ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W30 審判 全部申立て 登録を維持 W30 |
---|---|
管理番号 | 1306636 |
異議申立番号 | 異議2015-900107 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-04-02 |
確定日 | 2015-09-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5730073号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5730073号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5730073号商標(以下「本件商標」という)は、「EVER NEW」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年8月21日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,粥,ぞうすい,即席菓子のもと,ミートソース,その他のパスタソース」を指定商品として、同年12月8日に登録査定、同年同月26日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。 1 申立人は、学校体育、アウトドア、フィットネス、ウインター等のスポーツ用品及び関連商品を扱っている会社である。申立人は、大正12年に創業し、昭和8年から現在まで「EVER NEW」の商標を使用し続けている。「EVER NEW」という商標は、“もっともっと(増々)新しく!”の意味を込めて申立人が創作したものであり、この創作性に富んだ創造商標を約80年もの長きに亘って使用し続けたことによって「EVER NEW」ブランドを確立した。 また、主力事業の一つであるアウトドア事業では、国内全国及び海外において販売活動及び広告活動を行っている。アウトドア事業では、ウェア、シューズ、バッグ、テント、アイゼンやステッキ、野外調理器具などアウトドア用品全般はもとより、乾燥米等の加工食品、マヨネーズや醤油等の調味料入れ等の関連商品も取り扱っている。すなわち、本件商標の指定商品と同一及び関連性の強い商品も取り扱っている。勿論、申立人が取り扱う商品には「EVER NEW」の商標を使用しており、「EVER NEW」ブランドとして需要者及び/又は取引業者の間に広く認識されている。さらに、申立人によるイベント活動やスポンサー活動を通じて、より広く認識されている。 上述のとおり、「EVER NEW」は、申立人の創造商標であり、かつ、申立人のハウスマークである。してみれば、本件商標の指定商品の分野の需要者及び/又は取引業者にとっては、「EVER NEW」の商標が、本件商標の指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品と出所の混同をおこすことは明らかである。 2 結び 本件商標は、商標法第4条第1項15号に違反して登録されたものであるから(甲1?甲27)、取り消されるべきである。 また、一部の指定商品は、商標法第4条第1項10号に違反して登録されたものであるから(甲16、甲17、甲2、甲4?甲6)、取り消されるべきである。 第3 当審の判断 1 本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「いつも、常に」などを意味する英単語「EVER」と「新しい」を意味する英単語「NEW」を「EVER NEW」と標準文字で表してなるところ、構成英単語はいずれも平易な語ではあるものの、構成全体としての意味を特定できるものではないから、一種の造語からなるものといえる。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「エバーニュー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 2 引用商標について (1)引用商標の構成 引用商標は、別掲のとおり「EVER NEW」の欧文字からなるものである。 (2)引用商標の周知性について 申立人の提出した証拠及び主張によれば、申立人は、引用商標を遅くとも昭和43年頃から「EVER NEW」の商標を継続して使用しているが、別掲のとおり、その構成態様は、使用年により変遷していることが認められる。そして、申立人の業務に係る商品は、主として登山用品(例:ピッケル、登山ヘルメット、アイゼン、ハンマー、アブミ、カラビナ、ハーケン)、キャンピング用品(例:コッヘル、ハンゴー、水筒、テント、マット)、ハイキング用品(例:バッグ、ハイキングステッキ)などで、いわゆる「アウトドア用品」といえるものであるところ、甲各号証によれば、引用商標は、申立人の業務に係るいわゆる「アウトドア用品」の商標として、「エバニュー」と称呼されて需要者、取引者の間に広く認識されているものといえる。 3 商標法第4条第1項第10号の該当性について 申立人は、本件商標の指定商品と同一又は関連性の強い商品も取り扱っており、本件商標の一部の指定商品は商標法第4条第1項第10号に該当する旨主張しているので、以下検討する。 ア 「アルファ米」を含む「乾燥米等の加工食品」に係る引用商標の周知性について 甲第16号証は、申立人の平成12年(2000年)版の商品カタログであり、同カタログには、表紙に別掲(3)の引用商標が表示されていること及び「アルファ米」が掲載されていることが認められ、そして、「アルファ米」は、申立人のいう「乾燥米等の加工食品」に該当するものといえる。 また、甲第17号証は、申立人の平成14年(2002年)版の商品カタログであり、同カタログにも、表紙に別掲(3)の引用商標が表示されていること及び「アルファ米」が掲載されていることが認められる。 しかしながら、これら商品カタログの「アルファ米」の説明文や商品写真には、引用商標の表示が確認できないし、これらのカタログに掲載されたアルファ米の販売状況などについては全く立証がない。そして、甲第16号証及び甲第17号証以外には、「乾燥米等の加工食品」について引用商標が使用されている事実を立証する証拠はない。 そうすると、申立人が提出した甲各号証のみによっては、「アルファ米」を含む「乾燥米等の加工食品」について引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知性を獲得していたものと認めることはできない。 イ 上記アのとおり、引用商標は、「アルファ米」を含む「乾燥米等の加工食品」について本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知性を獲得していたものとは認められないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号の該当性について ア 本件商標と引用商標との類似性の程度について (ア)本件商標は、上記1のとおり、「EVER NEW」の文字に相応して「エバーニュー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標は、別掲のとおり、「EVER NEW」の文字からなるところ、上記2(2)のとおり、申立人の業務に係るいわゆる「アウトドア用品」の商標として、「エバニュー」と称呼されて需要者、取引者の間に広く認識されているものであるから、「エバニュー」の称呼を生じ、「(ブランドとしての)EVERNEW」の観念を生じるものである。 (ウ)本件商標と引用商標を比較すると、いずれも「EVER NEW」の欧文字の綴り字を共通にするから外観上相紛れるおそれがあり、本件商標から生じる称呼「エバーニュー」と引用商標から生じる称呼「エバニュー」とは中間において「バ」の音が長音を伴うか否かの差異を有するにすぎないから称呼上も相紛れるおそれがある。そして、観念上は本件商標から観念が生じないから比較することができないものであるものの、外観及び称呼において相紛らわしいものであるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いものといえる。 イ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の品質、用途における関連性の程度及び商品の取引者及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、上記第1のとおり、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,粥,ぞうすい,即席菓子のもと,ミートソース,その他のパスタソース」であり、主として食品であって食用又は保存用の処理したもの及び食品の香味を改良するための補助的な材料を含むものである。そして、これら商品の取引者は食品などの取扱業者であり、その需要者は老若男女を問わず一般の需要者であると認められる。 一方、申立人の業務に係る商品である、いわゆる「アウトドア用品」は、趣味嗜好性の強い商品であり、登山用品、キャンピング用品又はスポーツ用品などを扱う専門の業者又は店舗で取り扱われ、その需要者は登山者、ハイカー又はキャンパーなどのアウトドア活動の愛好者である。 以上によれば、本件商標の指定商品は、食用とされる商品であるのに対して、申立人の業務に係る商品は、屋外の活動で使用される用具や調理器具などの、いわゆる「アウトドア用品」であるから、それらの品質、用途、製造者、販売場所が異なり、一般的には関連性が認められないものである。 そうすると、商品の取引者、需要者についても、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは、一般的には共通性がないといって差し支えないものである。 ウ 混同を生じるおそれについて 本件商標は、引用商標とは、上記アのとおり、商標の類似性の程度が高く、引用商標がいわゆる「アウトドア用品」についてその取引者、需要者に知られているとしても、上記イのとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは商品の品質、用途、製造者、販売場所が異なるばかりでなく、その取引者、需要者を異にするものである。 そうすると、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者において、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じるおそれがないものといえる。 エ 小括 上記アないしウのとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標 (1)昭和43年頃から同48年頃の使用態様(甲2?甲5) ![]() (2)昭和51年頃から同57年頃の使用態様(甲6?甲9) ![]() (3)昭和60年頃から現在の使用態様(甲10?甲22、甲25、甲26) ![]() |
異議決定日 | 2015-09-03 |
出願番号 | 商願2014-70516(T2014-70516) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(W30)
T 1 651・ 271- Y (W30) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鈴木 雅也 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
大森 健司 原田 信彦 |
登録日 | 2014-12-26 |
登録番号 | 商標登録第5730073号(T5730073) |
権利者 | キユーピー株式会社 |
商標の称呼 | エバーニュー、エバー |
代理人 | 高木 康志 |