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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2528
審判 全部申立て  登録を維持 W2528
審判 全部申立て  登録を維持 W2528
審判 全部申立て  登録を維持 W2528
管理番号 1301765 
異議申立番号 異議2014-685014 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-08-11 
確定日 2015-03-12 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1150649号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1150649号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1150649号商標(以下「本件商標」という。)は、「ROBERTO RICCI」の欧文字を書してなり、2012年11月30日に国際商標登録出願、第25類「Clothing,namely swim suits,beach clothes,sports warm-up and thermal suits,sun visors,hats,caps (headwear),berets,T-shirts,tank-tops,trousers,shorts,belts (clothing),shirts,tops,jeans,jackets (clothing),coats,sweat suits,sweat pants,sweat shirts,bib overalls,windsurfing clothes,kite surfing clothes,ski clothes,after-ski clothes,namely jackets,sweaters,underwear,socks,gloves (clothing) and headgear for wear;knitwear (clothing);footwear,namely leisure shoes,sneakers,beach shoes,beach sandals,sandals;footwear for sports,namely wetsuit boots,booties for water sports,gymnastic shoes,snow boots,ski boots,after ski boots;athletic uniforms;weather outer clothing,namely rain jackets,padded jackets,rainproof jackets,waterproof jackets and pants,wind resistant jackets;clothing for water sports and mountain sports,namely surf wear,kite surfing wear,swim wear,snow suits,training suits,tracksuits,ski wear,ski jackets.」及び第28類「Sporting articles,namely kites for kite surfing,boards for kite surfing,windsurf boards,booms and masts for surf boards;flippers for swimming;monoskis;binding being parts of kite for kite surfing,bindings for kite boards,bindings for windsurf boards,bindings for surf boards and bindings for monoskis;deck grips for surfboards,foot boards and foot straps for windsurf boards;parts and accessories in this class for kites,for kite boards,for surfboards,for windsurf boards,for monoskis,namely leg ropes for surfboards,surfboards leashes,trapezes,trapezes hooks,trapezes lines,trapezes clips,waterski tow ropes,waterski tow harnesses,waterski bridles,waterski handles;sports bags,namely bags especially designed for windsurf boards,bags especially designed for surfboards,bags especially designed for monoski and ski,sports bags especially designed for kites for kite surfing and kite boards.」を指定商品として、平成26年1月24日に登録査定され、同年5月30日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標は、以下のとおりである。
(1)登録第2074550号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおり、「STEFANO RICCI」の文字を書してなり、昭和49年4月5日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同63年8月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成20年12月17日に第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」を指定商品とする書換登録がされたものであって、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4075520号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおり、「STEFANO RICCI」の文字を書してなり、平成7年12月11日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年10月31日に設定登録、その後、平成19年5月15日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(3)申立人の使用に係る商標
申立人は、同人の業務に係る商品「ネクタイ」等に使用する商標であるとして、「STEFANO RICCI」(以下「引用商標3」という。)の文字からなる商標を引用している。
なお、これらをまとめて、以下「引用商標」という場合がある。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第39号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、欧文字の「ROBERTO」及び「RICCI」の文字が一連に表記された態様からなり、これらの語の間には、約1文字分のスペースが空いているため外観上必ずしも一体不可分のものと把握されるとはいえず、それぞれ分離して認識され、把握されるものである。
そして、「ROBERTO」は、イタリア人、スペイン人をはじめ欧米の男性の名前(ファースト・ネーム)としてよく見かけられる名前であり、「RICCI」と比較すると「ROBERTO」の文字部分が自他商品識別標識として果たす機能は相対的に低いといえる。
そうすると、「ROBERTO RICCI」の文字部分に接した需要者、取引者は、ありふれた「ROBERTO」(ロベルト)の文字部分よりは、「RICCI」の文字部分に注意をひかれ、これを「RICCI」と記憶して次の取引に当たる可能性も高いといわなければならない。
してみれば、本件商標は、その欧文字部分から「ロベルトリッチ」の一連称呼の他に「リッチ」の分離称呼も生じるものといわなければならない。
他方、引用商標1は、欧文字で「STEFANO RICCI」と書してなる商標であり、引用商標2は、右下方向に影を付した袋文字により、「STEFANO RICCI」と書してなる商標である。
そして、本件商標並びに引用商標1及び2とは、後半の「RICCI」の部分において共通するものであり、申立人が展開する国際的なブランド「STEFANO RICCI」の世界的名声及び周知著名性を考慮すると、本件商標に接した需要者、取引者は、本件商標の「RICCI」部分に着目し、これより周知著名な「STEFANO RICCI」のファミリーネームである「RICCI」を想起し、連想する結果、両者を混同して認識するおそれは優に認められる。
外観においても、本件商標と引用商標1及び2とは「O RICCHI」の文字部分において共通しているものであるから、本件商標がタグ等として小さく商品に付された場合、当該商品を一見した需要者が本件商標に係る商品と出所において誤認混同するおそれは高いというべきである。
してみれば、本件商標並びに引用商標1及び2とは、同一又は類似の商品に使用された場合には相紛らわしく、その商品の出所について混同を生じるおそれのある類似の商標というのが相当である。
そして、本件商標の第25類における指定商品は、引用商標1の全指定商品と同一又は類似するものである。また、本件商標の第25類における全指定商品は、引用商標2の一部指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、引用商標1及び2に類似し、その指定商品も引用商標1及び2の指定商品と同一又は類似の商品に使用されるものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当について
ア 引用商標3の周知著名性
「STEFANO RICCI」は、オーナーであり、デザイナーであるステファノ・リッチがイタリア国フィレンツエにおいて1972年に設立したアパレル・ブランドである。ネクタイにはじまった「STEFANO RICCI」は、1980年には紳士向けのシャツを発表し、その後、宝飾品、かばん・靴などの革製品、ブルゾン、香水、洋食器、室内装飾品等、幅広く商品展開を行ってきた(甲4)。
これらの商品には「STEFANO RICCI」の文字からなる商標(引用商標3)が付されている(甲5の1?4)。また、申立人は「STEFANO RICCI」の文字からなる商標をイタリア、カナダ、トルコ、シンガポール、マカオ、インドネシア、マレーシア、台湾、南アフリカ、カタール、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦で登録し、さらに国際登録も受けている(甲5の5?20)。
申立人は、さまざまな媒体を通じて「STEFANO RICCI」ブランドのPRを行っている。2001年から2011年の間の広告費として、約5,826,279ユーロ(7億3千万円)を費やしている(甲37)。
その結果、「STEFANO RICCI」全グループの全世界における売上高は、2009年度においては、34,215,290ユーロ(約48億円)、2010年は46,660,984ユーロ(約66億円)、2011年は57,121,712ユーロ(約81億円)、2012年は88,728,728ユーロ(約126億円)、2013年は131,792,581ユーロ(約187億円)にも及んでいる(甲7)。また、申立人に係る「STEFANO RICCI」単独の売上高においても、2007年からは常に2千万ユーロを超え、2013年は、88,801,461ユーロ(約126億円)と非常に高い売り上げを記録している(甲39)。
このように世界的に有名な高級ブランド「STEFANO RICCI」の商品は早くから日本の取引者、需要者へも紹介され、商品が輸入されるなどして、高い人気を博している。
したがって、「STEFANO RICCI」ブランドは、本国イタリアはもちろんのこと、世界各国の富裕な顧客を中心に広く認識された超高級ブランドであり、その周知著名性がわが国にも及んでいることは明らかである。そして、そのように世界的に周知著名なブランドに使用される商標として引用商標3もわが国の取引者及び需要者の間に広く認識されている。
イ 出所の混同等について
申立人のブランド「STEFANO RICCI」は、40年近い歴史を誇り、世界的な名声を獲得して周知著名となっているハイ・プレステージブランドであること、引用商標3は、その「STEFANO RICCI」の文字からなり、他方、ロゴ部分について分離判断される欧文字は、「ROBERTO RICCI」であって、後半の「RICCI」の文字部分において共通すること、本件指定商品と引用商標3が使用される商品とが、いずれも被服及び服飾品に関連する点において高い関連性を有し、需要者、取引者も共通することを総合勘案すれば、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、その需要者、取引者は、その「RICCI」の文字部分から世界的に周知著名な「STEFANO RICCI」ブランドを想起、連想し、本件商標権者の取扱いにかかる商品が、イタリア人デザイナーステファノ・リッチ、あるいはそのブランド「STEFANO RICCI」と経済的若しくは組織的になんらかの関係がある者の業務にかかる商品であると誤認し、その出所につき混同を生じるおそれが極めて高い。
さらには、「STEFANO RICCI」ブランドが使用される衣料、服飾品の分野における本件商標の登録と使用を容認すれば、世界的に周知著名な超高級ブランドである「STEFANO RICCI」の指標力が希釈化され、毀損されることは明らかである。
したがって、本件商標は、申立人の業務にかかる商品と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「ROBERTO RICCI」の欧文字よりなるところ、これらの構成文字は、同書、同大に、まとまりよく表された構成よりなるものである。そして、前半の「ROBERTO」は、名前として看取されるというのが相当であり、後半の「RICCI」は、苗字(ファミリーネーム)として看取されるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、「ROBERTO RICCI」の文字に相応した「ロベルトリッチ」の称呼を生じ、外国人の氏名のひとつであるとの観念を生じるものと認められる。
なお、申立人は、「ROBERTO」と「RICCI」の間には間隔があり、両文字は視覚上分離して看取され、「ROBERTO」がイタリア人、スペイン人等の名前としてよく見かけられるものであるから、「RICCI」の文字部分に注意をひかれ、この部分をもって取引に当たる可能性も高いと主張するが、「ROBERTO RICCI」の文字は、まとまりよく表されている上、外国人の名前として一体のものとして理解されるというのが自然であり、これより生ずる「ロベルトリッチ」の称呼も格別冗長でなく、一気に称呼し得るものである。このほか、「RICCI」の部分のみに着目すべき特段の理由も見いだせないから、申立人の主張を採用することはできない。
イ 引用商標1及び2について
引用商標1及び2は、いずれも、別掲1及び2に示すとおり、「STEFANO RICCI」の文字及び該文字を籠字風に表したものである。そして、当該構成各文字は、同じ書体でまとまりよく一連に表されていることに加え、「STEFANO」と「RICCI」のそれぞれ第1文字目の「S」と「R」が他の文字より大きく書され、全体として、外国人の氏名のひとつとして理解されるというのが相当である。
したがって、引用商標1及び2は、その構成文字「STEFANO RICCI」に相応して「ステファノリッチ」の称呼を生じ、外国人の氏名のひとつであるとの観念を生じるものと認められる。
なお、申立人は、「STEFANO RICCI」の世界的名声及び周知性を考慮すると、ファミリーネームである「RICCI」を想起すると主張するが、提出された証拠中には、「RICCI」のみに略して使用されている実情は見あたらないことから、「RICCI」のみで周知であるとはいい難く、申立人の主張を採用することはできない。
ウ 本件商標と引用商標1及び2の類否について
本件商標と引用商標1及び2は、外観においては、その構成文字が前半の「ROBERTO」と「STEFANO」の文字において明らかに相違しており、両者から受ける印象は全く異なるものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。なお、両者の構成中、「RICCI」の部分が殊更に強く印象されると認められないことは、前記ア、イのとおりであるから、かかる「RICCI」部分をもって、外観上相紛れるおそれがあるとはいえない。
また、称呼においては、本件商標から生ずる「ロベルトリッチ」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「ステファノリッチ」の称呼は、後半の「リッチ」の音を共通にするとしても、称呼の識別上で重要な要素を占める語頭の4音において、「ロベルト」と「ステファノ」の差異を有するものであることからすると、それぞれを一連に称呼した場合、全体の音調、音感が全く異なり、称呼上、相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標1及び2は、それぞれ別異の外国人の氏名として理解されるものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標1及び2は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人提出の証拠によれば、引用商標3が主としてネクタイ等の商品を表示する商標として、国内の雑誌等において継続して紹介されていること(甲8?甲19、甲25?甲35)が認められ、日本においても、引用商標3が表示されたネクタイが、本件商標の出願前から有名デパートにおいて、展示、販売されていることが認められる(甲20?甲24)。
そうすると、引用商標3は、ネクタイの需要者の間では、申立人の業務に係るネクタイを表示する商標として、ある程度知られているということができる。
しかしながら、上記を含む全証拠には、「RICCI」のみの使用を見いだすことができず、引用商標3が、「RICCI」「リッチ」の文字をもって略称されているとはいい難いことからすると、「RICCI」の文字が、申立人に係る商品を表示する商標として、需要者の間で広く認識されるに至っていたと認めることはできない。
また、引用商標3は、引用商標1及び2と同じ綴りのものであるところ、本件商標と引用商標1及び2とが非類似の商標であることは、前記(1)のとおりであり、本件商標と引用商標3についても同様に判断される。
そうすると、本件商標と引用商標3とは、結局、別異の出所を表示する標章として看取されるといわざるを得ない。
以上からすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が、引用商標3あるいは申立人を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤信するとは認められないから、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあったとはいえない。その他、申立人の「STEFANO RICCI」ブランドが本件商標の使用により、その指標力が希釈化され、毀損されるとの事情は認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2015-03-06 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W2528)
T 1 651・ 262- Y (W2528)
T 1 651・ 263- Y (W2528)
T 1 651・ 272- Y (W2528)
最終処分 維持  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2012-11-30 
権利者 RICCI INTERNATIONAL S.R.L.
商標の称呼 ロベルトリッチ、ロベルト、リッチ 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 田中 克郎 
代理人 生田 哲郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 春田 まり子 

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