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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1301761 
異議申立番号 異議2014-900308 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-10-30 
確定日 2015-06-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5690552号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5690552号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5690552号商標(以下「本件商標」という。)は,「COOLMOCO」の欧文字を標準文字で表してなり,平成26年3月20日に登録出願,第23類「糸(「脱脂屑糸」を除く。),脱脂屑糸」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を指定商品として,同年7月14日に登録査定,同年8月1日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下,「申立人」という。)が本件登録異議の申し立て理由として引用する国際登録第1073689号商標(以下「引用商標」という。)は,「MO&Co.」の欧文字を横書きしてなり,第25類「Clothing, namely, T-shirts, shirts, athletic uniforms, undershirts, underpants, dresses, pajamas; shoes; hats; shawls; hosiery; coats; belts (clothing); trousers; skirts; gloves (clothing); children's clothing; bathing suits; waterproof clothing; theatrical costumes; wedding dresses.」を指定商品として,2010年(平成22年)10月20日に中華人民共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2011年(平成23年)3月28日に国際商標登録出願され,我が国において平成23年12月22日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は,登録異議申立ての理由を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 称呼について
本件商標は,「COOLMOCO」を書してなるものであるから,「クールモコ」の称呼を生ずる。
他方,引用商標は,「MO」の欧文字と「Co.」の間に「&」があるものの「モコ」の称呼を生ずるものである。「MO」と「Co.」を切り離して,発音するものではなく,一体不可分の「モコ」と一気に発音する。
してみれば,本件商標は,引用商標から生ずる「モコ」の称呼を含むこと明らかであるから,その称呼において類似の商標である。
イ 外観について
本件商標は,「COOLMOCO」を標準文字にて書してなるものである。
他方,引用商標は,「MO&Co.」をデザインして書してなるものの,需要者が引用商標から抽出される外観は,造語である「MOCO」の単語であると想起するものである。
よって,本願商標と引用商標は,「MOCO」の文字部分を共通にし,外観上差異がなく,類似するものである。
ウ 観念について
本件商標と引用商標は,観念的に類似するものである。需要者をして,本願商標と引用商標から抽出される観念は同じものを想起するものである。
エ 指定商品の類否
本件商標と引用商標の指定商品は,前記したとおり,同一又は類似のものである。
オ まとめ
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第19号の該当性について
本件商標が,申立人の業務に係る商品を表すものとして,中国その他の外国における需要者に広く認識されている商標と同一又は類似の商標を不正の目的で使用するものであり,本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当することは,以下のとおりである。
引用商標は,中華人民共和国その他の外国において広く認識されている。申立人は,引用商標を2003年から使用しており,中国,香港,台湾,メキシコ,マレーシア,カナダ,南アフリカ,フランス,フィンランド,ニュージーランド,デンマーク,シンガポール,オーストラリア,イタリア等の40の国や地域において既に商標登録されている(甲1)。その他の多数の国や地域にも商標登録出願中である(甲2)。このように,申立人の引用商標は,中国をはじめ世界各国で商標登録されているか,または,登録出願中である。当該引用商標の指定商品は国際分類表第25類に属するものであり,世界中で権利を取得しているか,または取得しようとしているものである。日本においても,引用商標が付された商品がインターネットを中心に販売されており,引用商標が付された商品を容易に見出すことができ,特にこの分野について有名な企業の商標と認識されている。申立人は,2003年に被服等ファッションの専門メーカーとして中国において設立され,それらに関連する商品を,研究,開発,生産する,世界で著名な企業である(甲第3号証)。申立人は,引用商標を2003年に独自に考案し,継続的かつ広範に使用してきた。地道な努力を重ね,ようやく引用商標が世界中に普及してきており,実質的な評判や高い信頼を得て,申立人が貿易を行っている世界各国や公共の間で周知・著名性を獲得するに至った。
このように,申立人は,中国その他の外国において,引用商標を付した商品を多角的に販売しており,多くの需要者が引用商標を知るところである(甲4)。
以上のような事実からすれば,引用商標は,本件商標の出願日である平成26年3月20日時点で,申立人の業務にかかる商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものである。
(3)商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標権者は,申立人の引用商標が中国その他の外国で獲得した顧客吸引力や信頼等の不正の利益を得る目的,申立人に損害を与える目的で,不正の目的をもって本件商標を使用し若しくは使用しようとするものであることは明白である。本件商標は,申立人が中国その他の外国において獲得した顧客吸引力,信頼をただ乗りしようとするものである。
このことは,ただ単に引用商標を知っていたというレベルを超え,極めて悪質なものであり,社会の一般的道徳観念に反するものと言える。このような出願は,健全な法感情に照らし条理上許されないというべきであり,したがって,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。
(4)むすび
したがって,本件商標は,その指定商品中第25類「全指定商品」について,商標法4条1項11号,19号及び7号に該当するものであるから,取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人は,2003年より世界40ヶ国以上で「MO&Co.」の欧文字の商標及び当該欧文字を含む商標を,国際分類第25類を指定して商標登録又は商標出願していること(甲1及び甲2),2004月3月16日から2012年7月4日まで申立人が中国の広州市において衣料品,皮製品等の小売りに関する法人ビジネスライセンスを有していたこと(甲3)が認められる。
さらに,「MO&Co.」の欧文字の商標を伴った女性モデルのショー広告とみられるチラシ,女性モデルの写真,店内に婦人服をディスプレイした店舗の写真,商品のタグ及びインターネットの情報ページ(甲4)が確認できる。
しかしながら,申立人が引用商標と同様の商標を世界各国に商標登録又は商標出願していること及び申立人が「MO&Co.」の商標を商品「被服」に使用していることは認められるものの,申立人が甲第4号証において提出する証拠のうち,2009年に開催された女性モデルのショー広告とみられるチラシ以外の,女性モデルの写真,店内に婦人服をディスプレイした店舗の写真,商品のタグ及びインターネットの情報ページは,その撮影日・作成日等が不明であるばかりでなく,申立人が,引用商標をその指定商品に使用して行う営業の規模(店舗数,営業地域,販売量等),広告宣伝の方法,回数及び内容を確認できる具体的な証拠は提出されていない。
したがって,申立人が提出した証拠からは,引用商標が,本件商標の登録出願時に,我が国,中国及びその他の外国において,申立人の業務に係る商品を表すものとして広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1号第11号の該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,上記1のとおり「COOLMOCO」の欧文字を標準文字で表してなるところ,構成各文字は外観上まとまりよく一体に表されているものであり,これより生ずる「クールモコ」の称呼も格別冗長とはいえず,無理なく一連に称呼し得るものである。
次に,観念についてみると,本件商標は,全体として一定の語義を有する語としては知られていないものであるから,一体不可分の造語と認められるものであって,特定の観念を生じないというのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は,上記2のとおり,「MO」の文字と「Co.」の文字を「&」の文字を介して一連に「MO&Co.」と横書きしてなるものである。そして,引用商標の構成中の「Co.」の文字部分は,これと同一構成からなる 「Co.」の文字が「会社」等を意味する英語「company」の略号として,我が国においても一般に知られていることからすれば,引用商標は,構成文字全体として「エムオーアンドカンパニー」及び構成文字より「&」の文字の称呼を省略した「エムオーカンパニー」の称呼を生じ,「エムオーアンドカンパニー」又は「エムオーカンパニー」なる会社名程の意味合いを想起させるというのが相当である 。
なお,申立人は,引用商標から「モコ」の称呼が生ずる旨主張する。
しかしながら,引用商標は,上記のとおり,その構成中の「Co.」の文字は,「company」の略号と看取されるとみるのが相当であって,その他,申立人が提出する全証拠によっても,引用商標から「モコ」の称呼が生ずると認めることはできない。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との外観を対比すると,両者は,構成文字が著しく相違することから十分区別することができ,外観上において互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
次に,本件商標から生ずる称呼「クールモコ」と,引用商標から生ずる称呼「エムオーアンドカンパニー」及び「エムオーカンパニー」を対比すると,両者は,その構成音が著しく相違するので十分聴別することができ,称呼上において互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
観念については,本件商標からは特定の観念は生じず,引用商標からは「エムオーアンドカンパニー」又は「エムオーカンパニー」なる会社名程の意味合いを観念するものであるから,観念についても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると,本件商標と,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても類似するものではない非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1号第7号の該当性について
本件商標は,前記(2)ウのとおり,引用商標とは類似しない別異の商標であり,かつ,引用商標は,上記(1)のとおり,我が国,中国及びその他の外国において著名なものであるとも 認められない。
そうとすれば,本件商標は,引用商標の信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものとはいえないばかりでなく,これをその指定商品に使用することが社会一般の道徳観念に反し,公正な取引秩序を乱すものとはいえないし,国際信義に反するものともいえない。
もとより,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし,他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。
したがって,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)商標法第4条第1号第19号の該当性について
本件商標と,引用商標とは,上記(2)ウのとおり,類似しない別異の商標であり,しかも,上記(1)のとおり,引用商標は,我が国,中国及びその他の外国において著名なものであると認められないから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものと認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(4)結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第7号及び同第19号に違反して登録されたものでないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-05-25 
出願番号 商願2014-21893(T2014-21893) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W25)
T 1 652・ 22- Y (W25)
T 1 652・ 261- Y (W25)
T 1 652・ 222- Y (W25)
T 1 652・ 263- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉岡 めぐみ 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
前山 るり子
登録日 2014-08-01 
登録番号 商標登録第5690552号(T5690552) 
権利者 株式会社イワセ
商標の称呼 クールモコ、モコ 
代理人 庄司 隆 
代理人 森岡 正往 

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