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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09 |
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管理番号 | 1299529 |
審判番号 | 取消2014-300222 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2014-03-24 |
確定日 | 2015-03-23 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5153532号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5153532号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、やや図案化された「シンデン」の片仮名を表して、平成17年3月4日に登録出願され、第9類「スイッチ,コンセント,ヒューズホルダー,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,表示灯,その他の電気通信機械器具」を指定商品として平成20年7月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第8号証を提出している。 1 請求の理由 請求人の調査によれば、本件商標に専用使用権及び通常使用権の登録はなく、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても本件商標がその指定商品について一度も使用された事実が存在しない。 なお、甲第2号証のとおり、商標権者は、その商号を「シンデン株式会社」とする法人であり、同社のホームページにおいては、本件商標の指定商品への使用の事実は見当たらない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消されるべきである。 2 弁駁の要旨 (1)「登録商標」として認められる範囲について、商標法第50条第1項は、「登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)」と規定している。 (2)本件商標は、別掲(1)のとおり、片仮名「シンデン」を表したものではあるが、例えば、広辞苑には「シンデン」を示す漢字の日本語が多数存在するためか(甲8)、「標準文字制度」(商標法第5条第3項)をあえて採用することなく、かつ、明朝体等のありきたりの普通の書体を採用することを排し、その外観構成において意図的に極めて独創的なデザインで装飾しているものである。具体的には、各文字の外周を黒色太線で囲んで、その内側を白抜きにした上で、その白地内側には前記黒色太線より細い黒色斜線をその白地内側全域に施すという極めて特徴ある独創的な装飾が行れている。また、各文字は等間隔に独立して配置されている。 (3)これに対し、被請求人が答弁書で示した「本件商標の使用の事実」は、乙第1ないし第4号証の証拠であり、これに示された商標(以下「使用商標」という。)は別掲2のとおりである。使用商標も、片仮名「シンデン」を表したものではあるが、文字自体をあえて立体的な形態で表した上で、文字前面を黒色一色で塗りつぶし、立体的に認識させる側面は蛍光色の黄色一色で塗りつぶされている。更に、使用商標の文字中、「シ」と「ン」との間隔がなく2文字が結合しているように認識される特徴を有する。 これらの相違点に加えて、本件商標と更に子細に対比すると、次の点においても明らかに相違する。 ア 使用商標の文字は、本件商標の文字より一見して認識可能な程度に構成全体として上下方向に押し潰された形状で表現されている点。これは、「シ」と「デ」の文字に顕著に表れる。即ち、第1に、本件商標では、「シ」を構成する2本の横線が極端に短い上に間隔が広いのでイコールの記号「=」のように特異なバランスで特徴的に認識されるが、使用商標の該当部分は対極をなすほど極端に長い上に間隔が狭いものとなっている。第2に、「デ」の濁音表記の長短に明確な差異が生じている。 イ 使用商標の文字を構成する全ての横線部分は、本件商標の該当部分より一見して認識可能な程度に、かつ、通常のバランスを欠くほどに長く表現されている点。 ウ 使用商標の文字を構成する全ての縦線部分は、本件商標の該当部分より一見して認識可能な程度に、かつ、通常のバランスを欠くほどに太く表現されている。 (4)上記のとおり、本件商標の「シンデン」と使用商標の「シンデン」の各文字部分のみを抽出してみても、本件商標の表示態様が本件商標の識別性のうえで重要な要素の一となっていることは明らかである。よって、使用商標は、本件商標の構成文字を単にその書体のみに変更を加えたといい得る範疇を大幅に脱しており、また、外観において同視できるものとは到底言い得ないものであるから、本件商標とは全く別異の識別機能を果たす商標として看取されることは明白である。 したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。 更に、被請求人が提示する使用商標の構成には、上記の「シンデン」部分と併せて、SDの欧文字をデザイン化した部分とを、何重もの横長長方形の枠の中に置き、これらの構成要素を全体として1つの商標としてまとまりよく配置しているので、本件商標を使用していることにはならない。 第3 答弁の要旨 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第4号証(枝番を含む。)を提出している。 商標権者(被請求人)は、次に示すように、本件商標を日本国内において継続して指定商品について使用している。 1 旧ホームページでの使用 被請求人は、本件商標を平成20(2008)年7月25日の登録以前より2012年2月22日に至るまで、自社旧ホームページのトップページに使用していた(乙1)。 このトップページには、本件商標が、その指定商品、即ち、各種スイッチ、ヒューズホルダー、その他の配電用又は制御用の機械器具等の記載と共に表示されている。 したがって、被請求人が自社旧ホームページにおいて本件商標を指定商品について使用していたことは明らかである。 このホームページが2012年2月22日まで使用されていた事実は、現ホームページの最下部に「スイッチの専門屋のホームページ、更新情報 2012/2/23? スイッチの専門屋のホームページ、リニューアル中。ご不便をお掛け致しますが、今しばらくお待ち下さい」と記載されていることから分かる(乙2)。 したがって、本件商標が、2012年2月22日に至るまで自社旧ホームページにおいて使用されていたことは明らかである。 2 経歴書(会社案内)での使用 被請求人は、本件商標を平成20(2008)年7月25日の登録以前より現在に至るまで継続して「PROFILE経歴書」(以下「会社案内」という。)において使用している。この会社案内の裏表紙には旧ホームページのトップページが掲載されている。したがって、被請求人は、自社の会社案内において、本件商標を指定商品について継続して使用している(乙3)。 なお、この会社案内は、主として、毎年数十社に及ぶ新規顧客に製品カタログと共に送付されるものである。 3 ウェブサイト「カタログのご案内」での使用 被請求人は、現在、上記会社案内の表紙を、上記現ホームページとは別の「スイッチの専門屋、カタログのご案内」というウェブサイトのトップページに、「現在の最新版会社案内」との表示を添えて掲示している(乙4)。 この会社案内の表紙をクリックすると、「現在の最新版会社案内」の各ページを閲覧することができ、その裏表紙も見ることができる(乙4の1及び2)。 被請求人が本件商標を指定商品について現在も使用しているこの事実は、インターネットを介して被請求人のウェブサイト「スイッチの専門屋、カタログのご案内」にアクセスすれば誰にでも確認することができる。 第4 当審の判断 1 事実認定 乙第3号証は、その表表紙において、左肩に「シンデン株式会社」を横書きし、中央左端には「SHINDEN」の欧文字を縦書きし、右下方には各種スイッチの写真を、その下には「PROFILE経歴書」を横書きし、右下段には「2011-2012」が表示されている。 2葉目以降には、商標権者の事業内容、取扱いに係る各種スイッチ、「平成23年度7月31日現在の顧客数」などが掲載され、裏表紙には、商標権者のホームページの写し、右下段には「2011.11.」が表示されている。 そして、上記ホームページは、被請求人が本件商標を使用したと主張する旧ホームページ(乙1)とその構成を同じくするものであって、これらの上段中央には、やや幅太の横長長方形の枠内に、「SD」の欧文字をモノグラム風に赤書きされた図形とやや図案化された「シンデン」の片仮名が配された使用商標が表示されている。その下には、商標権者の名称や各種スイッチの写真及びスイッチについての説明などが掲載されている。 2 判断 前記1の事実認定から、乙第3号証は、2011年11月に作成された2011年と2012年向けの商標権者の会社案内の写しであり、そこに紹介された事業内容から、商標権者は取消請求に係る商品「スイッチ」を取り扱っていることが明らかである。 そして、使用商標については、横長長方形の枠が幅太で表されたものであったとしても、やや強調の様が呈されている範囲にとどまる程度のものであり、また、枠内に表されたモノグラム図形も赤書きされていることもあり、その右側に配された「シンデン」の片仮名と常に一体とみるべき特段の理由が存せず、両者は、ともに独立した構成からなるものとみることができるものである。 さらに、使用商標の「シンデン」の片仮名部分と本件商標を比較しても、文字の太さにおいてわずかに相違するのみであって、いずれも「シンデン」の片仮名を表してなるものと認められ、両者は、社会通念上同一の商標といえるものである。 以上を総合勘案すると、本件商標は、要証期間に日本国内において、取消請求に係る指定商品に含まれる商品「スイッチ」について、商標権者により使用されていたものというべきである。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者によって、取消請求に係る指定商品について使用されていたものというべきであるから、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標 ![]() 2 使用商標(色彩は原本を参照) ![]() |
審理終結日 | 2015-01-22 |
結審通知日 | 2015-01-26 |
審決日 | 2015-02-09 |
出願番号 | 商願2005-18695(T2005-18695) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 安達 輝幸、松田 訓子 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 手塚 義明 |
登録日 | 2008-07-25 |
登録番号 | 商標登録第5153532号(T5153532) |
商標の称呼 | シンデン |
代理人 | 大橋 邦彦 |
代理人 | 山口 栄一 |