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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z16 |
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管理番号 | 1299512 |
審判番号 | 取消2014-300355 |
総通号数 | 185 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-05-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2014-05-15 |
確定日 | 2015-03-23 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4245422号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4245422号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4245422号商標(以下「本件商標」という。)は、「REBT研究」の文字を横書きしてなり、平成9年8月1日に登録出願、第16類「新聞,雑誌」を指定商品として、同11年3月5日に設定登録され、その後、同21年3月24日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、甲第1号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」があるとし、「自ら『REBT研究センター』を置き、『REBT』に関する研究、翻訳、セミナー、教育教材製作、カウンセリングなどを行うとともに、ほかの個人や団体にもそれらの活動を行うことを奨励した。本件商標は、第16類『新聞,雑誌』を指定商品として登録されているところ、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標をそれらの商品について使用したことはないが、これまでの研究が蓄積されてきたので、本件商標を使用した学術雑誌を権利期間内に発行すべく準備中である。」旨主張する。 しかしながら、被請求人の主張する理由は、被請求人の内部事情等にすぎず、本件商標をその指定商品に使用できなかったことについて真にやむを得ないと認められる特別な事情がある場合には該当しない。本件商標が平成11年に商標権の設定登録されたものであること、被請求人の提出に係る乙各号証は何ら本件商標の不使用につき不可抗力等の事由があった事実を証明するものではないことからすれば、被請求人の主張に係る事実が本件商標の不使用についての「正当な理由」といえないことは明らかである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。 1 答弁の理由 被請求人は、本件商標をその指定商品について使用していないことにつき、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」がある旨答弁する。 (1)「REBT」(Rational Emotive Behavioral Therapy)は、米国の著名な心理学者であるアルバート・エリス氏によって提唱された心理療法であり、子供から高齢者までの各発達段階で、また、教育、医療、企業等の各生活の場で、治療や健康促進を目的として用いられているものである。 (2)我が国では、当初、「REBT」を専門領域とする複数の学者がそれぞれ異なる日本語訳を主張するという事情があったところ、被請求人は、同代表であった本明博士が1996年に著書の日本語版翻訳のためにアルバート・エリス氏を訪問した際、同氏から我が国における「REBT」の発展を託されたこともあり、異なる訳語を主張する同業者同士の争いを避けるために、英語名による「REBT研究」として商標登録した。 (3)被請求人は、自ら「REBT研究センター」を置き、「REBT」に関する研究、翻訳、セミナー、教育教材製作、カウンセリングなどを行うとともに、ほかの個人や団体にもそれらの活動を行うことを奨励した。 本件商標は、第16類「新聞,雑誌」を指定商品として登録されているところ、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標をそれらの商品について使用したことはないが、これまでの研究が蓄積されてきたので、本件商標を使用した学術雑誌を権利期間内に発行すべく準備中である。 第4 当審の判断 1 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標をその指定商品について使用していないことにつき、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」がある旨主張するところ、該「正当な理由」とは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者等」という。)のいずれの責めに帰すことができない事由(以下「不可抗力等の事由」という。)が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品について使用することができなかった場合をいうものと解される(知的財産高等裁判所、平成19年11月29日、平成19年(行ケ)第10227号判決)。 そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、1996年(平成8年)8月26日付け、同年9月16日付け及び同年11月4日付けで「Albert Ellis,Ph.D.」から「Dr.Kyoko Noguchi」へ「Reason and Emotion in Psychotherapy」と称する書籍の日本語翻訳版についての「前書き」に関する書簡が送付されたこと並びにアルバート・エリス著書の日本語翻訳版とされる「REBT入門(理性感情行動療法への招待)」(1996年)、「理性感情行動療法」(1999年)、「ブリーフセラピー(理性感情行動療法のアプローチ)」(2000年)及び「怒りをコントロールできる人、できない人(理性感情行動療法(REBT)による怒りの解決法)」(2004年)が刊行されたことがうかがえるにすぎない。 また、被請求人は「『REBT研究』の名称を使用した学術雑誌を権利期間内に発行すべく準備中である。」とも主張するが、その主張を裏付ける証拠方法は、一切提出されていない。 してみれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標をその指定商品について使用していないことにつき、商標権者等において不可抗力等の事由が発生したとは到底いえず、よって、被請求人は、本件審判の請求について、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」があることを明らかにしていないといわざるを得ない。 そして、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者等がその請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用していることも証明していない。 2 以上によれば、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-01-26 |
結審通知日 | 2015-01-29 |
審決日 | 2015-02-10 |
出願番号 | 商願平9-144591 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Z16)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 馬場 秀敏 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 井出 英一郎 |
登録日 | 1999-03-05 |
登録番号 | 商標登録第4245422号(T4245422) |
商標の称呼 | アアルイイビイテイケンキュー、アアルイイビイテイ、レブトケンキュー、レブト |
代理人 | 岡村 信一 |