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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z14242526 |
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管理番号 | 1294986 |
審判番号 | 取消2000-30619 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2000-06-01 |
確定日 | 2001-07-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第0386767号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第0386767号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件商標 本件登録第386767号商標(以下、「本件商標」という。)は、「シスター」の片仮名文字を書してなり、第36類「被服、手巾、釦鈕及び装飾用『ピン』ノ類」を指定商品として昭和24年2月26日登録出願、昭和25年7月6日設定登録、4回に亘る商標権存続期間の更新登録を経て、指定商品並びに商品の区分については、第14類「カフスボタン,ネクタイピン,宝石ブローチ」、第24類「経かたびら,布製身の回り品」、第25類「被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),運動用特殊衣服,マラソン足袋,地下足袋」及び第26類「帯留,こはぜ,ボタン,衣服用ブローチ」とする書換登録が、平成12年10月4日になされているものである。 2.請求人の主張の要点 (1)請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により登録を取り消すべきである旨主張するとともに、被請求人の答弁に対し、以下のように弁駁した。 (2)商標法第50条の規定に基づく商標登録の取消審判が請求されたときには、被請求人又は専用使用権者あるいは通常使用権者において、当該審判請求の予告登録日前3年間に日本国内において、取り消しを求められた商品について登録商標の使用の事実又は不使用についての正当理由があることを立証しなければならない。すなわち、被請求人等は、本件商標をその指定商品中の何らかの商品に現実に使用していることを立証しない限り、その登録は取り消しを免れない。 しかるに、被請求人は、本商標権を前権利者「水川英男」から平成12年4月20日に譲り受け、同年5月15日に移転登録を済ませており、同年5月31日には、本件商標は、通常使用権者である有限会社アニマル オブ エアーズ(以下、「ア社」という。)が、商品「ティーシャツ」に使用している旨主張している。 しかしながら、被請求人の当該主張は、以下に述べる点において不明確あるいは明らかに妥当性を欠くものであって、本件商標の使用を十分に証明しているとはいえない。 (3)第一に、被請求人は、本件商標の前権利者による使用について言及せず、その使用も立証していないことから、同人は、商標法第50条の規定による本件商標の取り消しを免れるために本商標権の譲渡による移転登録日(平成12年5月15日)から本件審判請求の予告登録日(平成12年7月12日)までのほぼ2ヶ月間における本件商標の使用を立証しなくてはならない。 この点に関し、被請求人は、平成12年5月31日に本件商標が使用された商品「ティーシャツ」が、通常使用権者から同人に納品された旨主張しているが、乙第1号証に添付の写真には、撮影日を示す「4 9’00」の数字があることからすると、当該写真は、平成12年4月9日もしくは同年9月4日に撮影されたものと推測することができる。そうとすると、これらのいずれの日も上記2ヶ月間以外の日であるといわざるを得ず、上記写真は、商品「ティーシャツ」が、上記2ヶ月間に現実に存在していた事実を証明するものではない。 また、乙第1号証は、上記写真以外に、通常使用権者が、被請求人宛に作成した証明書及び同社の平成12年5月31日付納品書の写しからなるが、これらの書類に記載されている商品が、上記写真に示す商品と同一のものであることを示す証左はない。いずれにしても、乙第1号証に添付の写真に示す「ティーシャツ」が、上記2ヶ月の間に現実に存在し、商取引の対象物たる商品として流通過程におかれたことが明らかにされない限り、当該商品に使用された商標が、上記期間内に使用されたものとはいえず、乙第1号証は、この点を十分に立証するものではない。 (4)第二に、被請求人は、「ア社」が、被請求人の了解の下に本件商標を使用したから、同社は本件商標の通常使用権者であると主張している。 しかしながら、乙第1号証には、被請求人が、同社に本件商標の使用を許諾したことを示す記述は一切存在せず、それを推測させる記載もない。 思うに、乙第1号証からは、「ア社」が被請求人に何らかの商品を納品したことのみが推測できるだけであり、両者の関係は単なる商品の製造の発注者と製造業者である可能性が高い。そうであれば、「ア社」は、被請求人から注文を受けた商品を製造し、被請求人に納品したに過ぎないから、自ら本件商標を商品の流通過程において使用したことにはならない。 仮に、「ア社」が、本件商標の通常使用権者であるというのであれば、本件商標を使用した商品を、同社が自ら製造し、不特定多数の一般消費者あるいは問屋や小売店等に販売していることを立証する必要がある。 しかるに、「ア社」は、被請求人から製造委託を受けて、その要求する「ティーシャツ」を製造しただけであり、被請求人の下請けにすぎない。 したがって、「ア社」は、本件商標の通常使用権者とはいえない。 また、被請求人が、「ア社」に対し、本件商標の使用を許諾している事実、あるいは、黙示の通常使用権の存在を推測させ得る両者間の何らかの特別な関係を証する資料は提出されていないので、「ア社」が、本件商標の通常使用権者であるとする被請求人の主張には妥当性がない。 (5)第三に、商標が使用されたというためには、当該商標が使用されている商品が、取引の対象物たる商品として流通過程におかれていなければならない。 しかるに、乙第1号証は、添付写真に示す「ティーシャツ」が、「ア社」から被請求人に納品されたことを示しているだけであり、当該「ティーシャツ」が、一般当業者あるいは消費者に現実に販売されたこと、あるいは、販売のために展示されたことを示すものではない。 したがって、当該商品は、商品としての流通過程におかれたものといえないから、それに使用されている商標は、現実に使用されたことにならない。 まして、乙第1号証に添付の写真に示されている「ティーシャツ」は、平成12年5月15日から同年7月12日までの2ヶ月間に存在していたか否かも不明であるから、当該商品が、商取引の一般的な流通過程におかれたかどうかは、より一層不明といえる。 (6)第四に、本件商標は、片仮名文字「シスター」からなるところ、乙第1号証に添付の写真に示す商品に使用されている商標は、英文字「Sister」と「animal of air」の二段書きであり、両者の構成上の差異は明白である。 したがって、仮に、乙第1号証に添付の写真に示す商品に使用されている商標の使用が、十分立証されたとしても、当該商標と本件商標との間に同一性が認められないので、当該商標の使用をもって本件商標の使用とすることはできない。 (7)以上のように、本件商標は、被請求人が、本件商標の所有権者となった日から本件審判請求の予告登録日までの間に、わが国において通常使用権者により、「ティーシャツ」について使用されたとする被請求人の主張には、合理的な根拠もしくは妥当性がなく、乙第1号証は、それらの事実を十分立証するものではない。 したがって、本件商標が、指定商品について本件審判請求の予告登録日前3年間に、わが国において使用されていなかったことは明らかである。 よって、本件商標の登録は、取消されるべきである。 3.被請求人の答弁の要点 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。 (1)本件商標は、その指定商品中、「ティーシャツ」について、通常使用権者によって、審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において使用されている。この事実を立証するために、被請求人は、商品の写真及び納品書が添付された「ア社」による証明書(乙第1号証)を証拠として提出する。 本件商標は、平成12年4月20日に前権利者「水川英男」から被請求人に譲渡され、同年5月15日に移転登録がなされているものである。 (2)本件商標は、片仮名文字「シスター」を横書きした商標であるところ、使用に係る商標は、ローマ字「Sister」を横書きした商標である。 使用に係る商標「Sister」は、本件商標「シスター」(片仮名文字)をローマ字に変更したものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標であるから、商標法第50条第1項括弧書きの規定により、「登録商標」に含まれるものである。 (3)本件商標は、旧々第36類「被服、手巾、釦鈕及び装飾用『ピン』ノ類」を指定商品とするものであるところ、使用に係る商品「ティーシャツ」は、本件商標の指定商品に含まれるものである。 (4)本件商標は、被請求人の了解の下に、東京都渋谷区に所在する「ア社」が使用したから、当該会社は、通常使用権者に他ならない。 なお、請求人は、「登録原簿上、本件商標について専用使用権者あるいは通常使用権者は、存在しないから、本件商標が、専用使用権者あるいは通常使用権者によって上記商品について使用された事実もない。」と述べているが、通常使用権の登録は、第三者対抗要件であり、効力発生要件ではない(商標法第31条第4項で準用する特許法第99条第1項)から、請求人の主張は失当である。 (5)乙第1号証の証明書及びそれに添付された商品の写真及び納品書により明らかなとおり、通常使用権者は、本件登録商標に含まれる使用に係る商標「Sister」を、商品「ティーシャツ」の襟ネームに付して使用(商標法第2条第3項第1号)し、これを本件審判の予告登録日(平成12年7月12日)前である平成12年5月31日に被請求人に納品した(同項第2号)。 したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が、本件商標の指定商品について使用しているものであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきでない。 よって、答弁の趣旨どおりの審決を求める。 4.当審の判断 被請求人は、通常使用権者である「ア社」が、本件商標に含まれる商標、いわゆる社会通念上の同一性の範疇にある商標を商品「ティーシャツ」に使用している旨主張し、乙第1号証(納品に係る証明願と証明書、写真及び納品書)のみを提出しているが、当該写真における商品「ティーシャツ」の襟ネーム部分に、たとえ、本件商標と称呼及び観念を同じくする標章(「Sister」及び「animal of air」の文字の二段併記)が見受けられるとしても、該写真の撮影日、撮影場所、撮影者等の記載はなく、当該標章が、商品「ティーシャツ」に現実に使用されたという信憑性に乏しいばかりでなく、それが本件審判請求の予告登録前3年以内の使用であるか否かも判然としないものである。 また、同号証に添付の納品書は、如何なる商品に関する納品書なのかという記載もなく、「シスターブランドネーム」という記載も、商品「ティーシャツ」の納品なのか、襟ネームそのものについての納品なのかすら定かでなく、請求人も述べているように、かかる納品書は、いつでも容易に作成し得るというのが相当である。 さらに、納品に係る証明願と証明書は、「ア社」が、被請求人に対して、前記標章を使用した商品「ティーシャツ」を納品したとの文言に双方が単に捺印しただけのものであり、これをもって、例えば、店舗等において、商品「ティーシャツ」を現実に販売した事実を客観的に裏付ける証拠とみるには、些か不自然であり、信憑性に欠けるものといわなければならない。 なおかつ、被請求人は、請求人による2.(2)から(7)までの弁駁に対して、何等答弁していないことをも勘案すると、被請求人等は、本件商標を審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について使用していたと認めることができず、他に、使用を立証するに足る証拠の提出もない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-05-09 |
結審通知日 | 2001-05-18 |
審決日 | 2001-05-29 |
出願番号 | 商願昭24-2776 |
審決分類 |
T
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31・
1-
Z
(Z14242526)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 泉田 智宏 |
登録日 | 1950-07-06 |
登録番号 | 商標登録第386767号(T386767) |
商標の称呼 | シスター |
代理人 | 大島 厚 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 加藤 建二 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 宮川 美津子 |
代理人 | 田中 克郎 |