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審決分類 審判 一部無効 観念類似 無効としない X02
審判 一部無効 称呼類似 無効としない X02
審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X02
審判 一部無効 外観類似 無効としない X02
審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない X02
管理番号 1294866 
審判番号 無効2013-890079 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-11-15 
確定日 2014-11-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第5289294号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5289294号商標(以下「本件商標」という。)は、「PLANET SUPRA」の欧文字を標準文字により表してなり、平成20年10月15日に登録出願、第2類「塗料,プラスター仕上げ面を呈するエマルジョン系塗料,合成樹脂エマルジョン塗料,合成樹脂塗料,遮光塗料,太陽熱遮蔽塗料,耐候性塗料,耐熱用塗料」、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属性耐火性建築材料,鉄錆様のシート状の金属性建築材料」、第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用または構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,ガラスを主材料とする建築材料,コルクを用いた建築用材料及びその他の建築材料,コンクリート・メーソンリイ・モルタル・ショットクレタ・石こう又はセメントのような構築材料の物性の改質に用いる繊維・繊維束・粒状物・粘性流体又はそれらの混合物の形態をしたコンクリート製建築材料,コンクリート製建築材料,プラスチック製建築材料,建築材料(金属製のものを除く。),鉱さい(建築材料),耐火性建築材料(金属製のものを除く。)」を指定商品として、同21年11月13日に登録査定、同年12月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2614536号商標
登録第2614536号商標(以下「引用商標1」という。)は、「プラネット」の片仮名を横書きしてなり、平成3年5月12日に登録出願、第3類(昭和35年3月8日に昭和35年政令第19号をもって公布、同年4月1日より施行された商標法施行令第1条に基づく商品の区分)「塗料,顔料,その他本類に属する商品」を指定商品として、同5年12月24日に設定登録され、その後、同16年10月13日に指定商品を第2類「顔料,塗料,合成樹脂塗料,印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第3238808号商標
登録第3238808号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PLANET」の欧文字を横書きしてなり、平成6年6月30日に登録出願、第2類「塗料,染料,顔料,印刷インキ」を指定商品として、同8年12月25日に設定登録されたものである。
以下、上記2件の登録商標をまとめて「引用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第2類「塗料,プラスター仕上げ面を呈するエマルジョン系塗料,合成樹脂エマルジョン塗料,合成樹脂塗料,遮光塗料,太陽熱遮蔽塗料,耐候性塗料,耐熱用塗料」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を審判請求書及び審判事件弁駁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第47号証を提出した。
1 請求の理由
(1)取引の実情
ア 請求人の商標の具体的使用態様
請求人は、昭和13年に設立された株式会社で、東京証券取引所第一部に株式を上場しており、資本金は約61億円であり、電源機器、半導体デバイス、精密機構部品、システム機器及び合成樹脂塗料の製造販売等を業として行っている。
請求人の商標「プラネット」及び「PLANET」の具体的使用態様は、次のとおりである。
(ア)引用商標の使用について
請求人は、現在まで、約30年間、引用商標を使用して塗料を製造販売してきたものであり、プラネット・シリーズの塗料は、100種類以上にも上っている。
具体的な例として一部を提示するならば、「プラネット PP HF プライマー」、「プラネット AT」、「プラネット AU-20」、「プラネット AU-2」、「プラネット AX-10」、「プラネット AX-6」、「プラネット AX」、「プラネット AX-2」、「プラネット AX-5」、「プラネット MUF」、「プラネット MUF-3」、「プラネット PA」、「プラネット TS」、「プラネット TC」、「プラネット PZ」、「プラネット PO-1」、「プラネット PP」、「プラネット PP-20」、「プラネット PP-2」、「プラネット PP-7」、「プラネット PP-3」、「プラネット PP-6」、「プラネット PP-5」、「プラネット PP-8」、「プラネット PP-3 改」、「プラネット PP-32」、「プラネット PP-35」、「プラネット SY」、「プラネット SY-2」、「プラネット PP-37」、「プラネット SY-3」、「プラネット PY」、「プラネット PX-1」、「プラネット PX-50」、「プラネット PX-3」、「プラネット PX-8」、「プラネット PX-2」、「プラネット PX-30 改」、「プラネットPX-20」、「プラネットRU」、「プラネット PZ-2 ES」、「プラネット PZ-2」、「プラネット PK」、「プラネット PZ-3」、「プラネット #777」、「プラネット PZ-5」、「プラネット SV」、「プラネット SV-2」、「プラネット SV-31」、「プラネット SV-5」、「プラネットSV-21」、「プラネット SV-8」、「プラネット SV-38」、「プラネット SX」、「プラネット SX-2」、「プラネット SX-5」、「プラネット SV-35」、「プラネット SV-85」、「プラネット PH」、「プラネット PH-2」、「プラネット PH-3」、「プラネット PH-4」、「プラネット PH-5」、「プラネット PH-5S」、「プラネット SV-10」、「プラネット RN-100」、「プラネット RN-200」、「プラネット RN-300」、「プラネット RV」、「プラネット RV-S」、「プラネット AZ」、「プラネット UB-1」、「プラネット UB-2」、「プラネット UB-3」、「プラネット UB-3S」、「プラネット CX-1」、「プラネット CX-2」、「プラネット CX-21」、「プラネット CX-4」、「プラネット CX-5」、「プラネット CX-7」、「プラネット CX-8」、「プラネット VX」、「プラネット PPX」、「プラネット J」、「プラネット SS-1」、「プラネット SV-11」、「プラネット ST」、「プラネット SV-12」、「プラネット PV-1」、「プラネット UV-75」、「プラネット UV-45」、「プラネット UV-77」、「プラネットUV TG」、「プラネット シンナー」、「プラネット リターダー」及び「プラネット PP リターダー」などである。
(イ)請求人の製品の態様(商標の使用態様を含む。)
実際のプラネット・シリーズの各々のカタログは、「プラネットPP プライマーシリーズ(1998年3月)」(甲9)、「プラネット SV シリーズ(1998年3月)」(甲10)、「プラネット PH シリーズ(1998年3月)」(甲11)、「プラネット PX-1(1998年3月)」(甲12)、「プラネット PZ-II(1998年3月)」(甲13)、「Planet TC Clear CF-100(2002年3月)」(甲14)、「Planet SV Series(2002年3月)」(甲15)、「Planet AU-10+OrigiApt #300(2002年3月)」(甲16)及び「Planet SX(2002年3月)」(甲17)などに示すところである。
また、製品の態様は、通常の塗料の製品の形態と同様、一斗缶などの容器に入れられ、その一面に商標及びその他の製品の概要が貼り付けられている。
その様子は、例えば、「PLANET AX-10」製品外観(甲18)、「PLANET PH-4」製品外観(甲19)、「PLANET PX-1」製品外観(甲20)、「PLANET PZ」製品外観(甲21)、「PLANET THINNER #D260 NO2」製品外観(甲22)、「プラネット AX」製品外観(甲23)、「プラネット AX-5」製品外観(甲24)、「プラネット AX-6」製品外観(甲25)、「プラネット PK」製品外観(甲26)、「プラネット PP」製品外観(甲27)、「プラネット PP-3」製品外観(甲28)、「プラネット PX-1」製品外観(甲29)、「プラネット PX-2」製品外観(甲30)、「プラネット PZ」製品外観(甲31)、「プラネット PZ-5」製品外観(甲32)、「プラネット SV-12」製品外観(甲33)、「プラネット SV-35」製品外観(甲34)、「プラネット TC」製品外観(甲35)、「プラネット シンナー#258」製品外観(甲36)及び「プラネットUV TG」製品外観(甲37)に示すところである。
イ 周知・著名性の獲得
請求人は、現在までの約30年の長期にわたって、プラネット・シリーズとして100種類以上もの塗料を、甲第9号証ないし甲第37号証に例として示すような製品の態様により、各々のカタログ等とともに、盛大に製造・販売・頒布・広告等を行った結果、近年では、若干売上げが落ちているとはいえ、年間約15億円もの売上げがあり、当該商標には、請求人が販売する塗料のブランドとしての信用が蓄積されてきたものである。
そして、少なくとも塗料に関連する需要者・取引者との間では、取引において、例えば「『プラネット』のPKを発注したい」、「この色の『プラネット』をくれ」といった発注が請求人又は請求人の代理店に出されて取引されており、「プラネット」や「PLANET」といえば請求人に係る塗料であり、それはシリーズ化された塗料であると直感させるまでに認知され、それに基づいた取引の状態が形成されている。本件商標が登録された時点においては、請求人のプラネットシリーズの売上げは、現在よりも更に大きい状態であり、既に認知されていた。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標
(ア)構成からみた要部の検討
本件商標は、「PLANET」と「SUPRA」のそれぞれの欧文字が1文字分の空白を介して左横書きに一列に書してなる結合商標であるところ、その空白の存在ゆえに、本件商標に接した需要者・取引者は、「PLANET」と「SUPRA」とを単語として自然に分断して認識する。
そして、それぞれの単語をみると、「SUPRA」の文字は、ラテン語由来の英単語で、「over」ないし「above」と同様の意味を有する語であり、日本語訳では「上に」、「上の」、「前に」という意味の副詞である。また、該文字は、時に接頭辞として利用される文字列でもあり、そのときは、「?を超えた」といった意味を有するものである。
さらに、「SUPRA」の文字は、インターネットの検索サイト大手Googleにおいて検索語として検索すると、約300万件がヒットするというほど、現在の我が国において一般的な語になっている上、該語は、トヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)が昭和53年から平成14年まで製造・販売していたスポーツカーの車種名として使用される(甲38及び甲39)など、その語義とともに、日本国内で周知といえる。
他方、「PLANET」の文字は、「惑星」を意味する日本国内でもなじみのある英単語であるところ、本件審判の請求に係る指定商品「塗料,プラスター仕上げ面を呈するエマルジョン系塗料,合成樹脂エマルジョン塗料,合成樹脂塗料,遮光塗料,太陽熱遮蔽塗料,耐候性塗料,耐熱用塗料」(以下「請求に係る指定商品」という。)との関係においては、極めて特徴的な語であり、印象に強く残るものといえる。
また、英語における副詞の配置は、副詞が修飾する語句に最も近いところに置かれることが原則とされるが、特定の語句や文体あるいは強勢によって、置かれる位置が変化する。通常、名詞を修飾する言葉は形容詞であるが、例外的に名詞を補足説明する副詞が存在する。名詞や代名詞を修飾する場合、語によってその前後いずれかに置かれること、さらに、副詞そのものを強調したい場合、文法上副詞は文頭に置かれることから考えると、本件商標における「SUPRA」の文字は名詞「PLANET」の文字の後ろに配置されており、これは、あくまでも名詞「PLANET」の文字の修飾語として「SUPRA」の文字が存在することを示す配置である。
言い換えると、本件商標は、「PLANET」の文字を中心に、それを単に修飾する語として「SUPRA」の文字を添えていることから、結合商標である本件商標を選択した被請求人においても、「SUPRA」の文字は要部ではないという意思が顕著に表れている。そして、本件商標の構成中の「SUPRA」の文字は「PLANET」の文字を修飾する「形容詞的文字」であり、本件商標の要部は「PLANET」の文字部分であることが、事実として明確化されるものである。
以上により、本件商標の構成から鑑みると、本件商標の要部は、「PLANET」の文字部分のみにあり、「PLANET SUPRA」を一体的にとらえて類否の判断を行うことは不自然である。
(イ)取引の実情からみた要部の検討
本件商標の指定商品と同一又は類似する「塗料」について、請求人は、大量かつ多種類の「PLANET」シリーズの塗料を長期間にわたって販売している。この取引の実情から、本件商標のほかの指定商品に関してはともかく、請求に係る指定商品との関係では、請求人が販売する塗料のブランドとして、「プラネット」や「PLANET」は、需要者・取引者からの認知を得ており、極めて特徴的な語として、需要者・取引者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとなっていることは明らかである。
(ウ)要部の認定
本件商標の構成における「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とが分離された外観及びこの外観により生ずる称呼の分離、言語的にみて「PLANETを超えた」、「PLANETより上位の」という意味を想起させる「PLANET」の文字をベースとして品質を示している観念に加え、取引の実情、長年にわたる請求人の大量かつ多種類に及ぶ「PLANET」シリーズの塗料の販売状況、さらには、近年の宇宙ブームからみた「PLANET」なる単語の取引者に与えるこれらの印象、記憶、連想から、本件商標は、要部を分離して観察し、その類似性を判断するべきであり、その要部は、明らかに「PLANET」の文字部分であることが確信されるものである。
そうとすれば、本件商標に接した需要者・取引者は、「PLANET」と「SUPRA」とに自然に分離して認識し、かつ、各々の単語が持つ意味からも、自然と「PLANET」の存在をベースとして認識した上で、「SUPRA」を「超えた」などの副詞的意義を有する付加的な語としてとらえてしまうため、「PLANET」シリーズの商品群の一つであって、従来の商品の改良版であるとの誤った認識をもつことになる。
したがって、本件商標の構成中の「PLANET」の文字部分は、需要者・取引者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるため、本件商標の要部は、「PLANET」の文字部分のみにある。そして、本件商標の要部が「PLANET」の文字部分のみにある以上、「PLANET SUPRA」を一体的にとらえて類否の判断を行うことは、不自然である。
以上によれば、本件商標の要部は「PLANET」の文字部分であるため、本件商標の類似性を判断する際に考慮すべき外観は「PLANET」、称呼は「プラネット」、観念は「惑星」である。
イ 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標と引用商標1との類否
本件商標の要部は、上述のとおり、「PLANET」の文字部分であるから、類似性を判断する際に考慮すべき外観は「PLANET」、称呼は「プラネット」、観念は「惑星」である。
他方、引用商標1は、「プラネット」の片仮名を横書きしてなるものであり、これより「プラネット」の称呼及び「惑星」の観念を生ずる。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観において相違するとしても、「プラネット」の称呼及び「惑星」の観念を同じくする類似の商標である。
また、本件商標の指定商品中の請求に係る指定商品は,引用商標1の指定商品中の「塗料,合成樹脂塗料」と同一又は類似の商品である。
(イ)本件商標と引用商標2との類否
本件商標について類似性の判断をする際に考慮すべき外観、称呼及び観念は、上記(ア)のとおり、「PLANET」、「プラネット」及び「惑星」である。
他方、引用商標2は、「PLANET」の欧文字を横書きしてなるものであり、これより、「プラネット」の称呼及び「惑星」の観念を生ずる。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念を同じくする類似の商標である。
また、本件商標の指定商品中の請求に係る指定商品は,引用商標2の指定商品中の「塗料」と同一又は類似の商品である。
ウ 小括
引用商標は、本件商標よりも先の登録出願に係るものであり、しかも、本件商標と引用商標とは、類似の商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
ア プラネット・シリーズの塗料の概要
(ア)引用商標の使用について
請求人が現在までの約30年間に100種類以上ものプラネット・シリーズの塗料を製造・販売していることは、上記(1)ア(ア)にて示したとおりである。いずれの塗料も、商標「プラネット」又は「PLANET」に商品の個別の特徴を示す品番や名称を付加しており、シリーズ化されている。(イ)製品の態様(商標の使用態様を含む。)
実際のプラネット・シリーズの製品の態様及び各々のカタログは、上記(1)ア(イ)に示したとおりであり、通常の塗料の製品の形態と同様、一斗缶などの容器に入れられ、その一面に商標及びその他の製品概要が貼り付けられているものである(甲9ないし甲37)。
イ 周知・著名性の獲得及び引用商標との混同
請求人は、現在までの約30年の長期にわたって、営々たる企業努力を行ってきており、プラネット・シリーズとして、100種類以上もの塗料について、甲第9号証ないし甲第37号証に例として示すような製品の態様により、各々のカタログ等とともに、盛大に製造・販売・頒布・広告等を行い、その範囲は日本国内のみならず海外にも及ぶものである。
その結果、プラネット・シリーズは、近年では、若干売上げが落ちているとはいえ、年間約15億円もの売上げを上げるまでのシリーズとなり、「プラネット」や「PLANET」といえば、請求人に係る塗料であり、それはシリーズ化された塗料であると直感させるまでに周知・著名性を獲得している事実が、本件商標が登録された時点においても存在していた。
したがって、本件商標の要部が「PLANET(プラネット)」であることもあいまって、本件商標は、請求人の業務に係る商品と誤認・混同を生じている、又は、誤認・混同を生じさせるおそれがある商標である。
ウ 問題提起と被請求人の意図
被請求人は、なぜ商品「塗料」という極めて狭い製品の業界において、本件商標のごとく、あえて引用商標に類似する商標を採択し、現在も盛大に使用しているのか、被請求人の意図が問題となる。
この点、本件商標は、外観上の一体性や称呼の一連性もない。また、それぞれの単語は、名詞と副詞とからなり、「PLANET」の語を修飾して、「PLANETを超えた」、「PLANETより上位の」といった観念を容易に連想させるものである。
ここで、上述のとおり、引用商標を付した塗料は、約30年間の販売実績があり、近年では年間15億円程度の売上げがある当該業界における定番かつ主力商品であり、請求人の営々たる企業努力により、品質についても非常に高い評価を受け、需要者・取引者から永年にわたって利用されているものである。すなわち、引用商標には、絶大なる業務上の信用が化体しているという実情がある。
この取引の実情の下、本件商標は、請求人の「PLANET」の業務上の信用にフリーライドして、あたかも、その品質を超える商品であるとか、品質に定評のある請求人の塗料「PLANET」の信用を利用して、「PLANET」シリーズの新型版であるかのように、取引者に誤認、混同を生じさせる商標となっている。
事実、被請求人は、被請求人が現在販売している塗料の名称を、2008年7月頃までは「SUPRA」として展開していた(甲40ないし甲42)が、その後、2009年1月から「PLANET」を名称に付加して販売するとし(甲43)、その結果、2008年に比べ2009年、さらには2010年と急激に売上げを伸ばしたと思われる。
また、被請求人が、特許庁に対して行った2009年(平成21年)5月22日提出に係る意見書(以下「意見書」という。)の要点は、本件商標は、分断されることのない、左横書きに書された一体不可分に表された商標であることを主張しているものである(甲7)。
ところが、意見書の提出前に当たる2009年(平成21年)1月にJETIなる書籍(以下「JETI書籍」という。)において、被請求人代表取締役が著した「『PLANET SUPRA(プラネットスープラ)』シリーズの製品化と新製品の開発、日本ECO-SUSCOM協議会の運営について」と題する文書(甲43)によれば、「PLANET SUPRA(プラネットスープラ)」を2段にややずらして記載した「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とを分断した態様の商標を付した商品の販売を現実に開始している事実が存在し、被請求人は、この使用態様を現時点においても継続している。
すなわち、被請求人は、一方では本件商標の登録を獲得するために本件商標を「一体不可分の商標」であると主張しながら、他方では現実の使用態様として「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とを分断した態様で商品に付して販売しているものである。
さらには、商品の説明において、「SUPRA」、「スープラ」という当初の商品名を雑誌の記事やパンフレットのグラフ等にも用いるなど、被請求人の意識として、「PLANET」と「SUPRA」とが分離されていることは明らかである。
このような実情からみて、被請求人の商標は、請求人の「PLANET」の多大なる業務上の信用にフリーライドして、あたかも、その品質を超える商品であるとか、品質に定評のある塗料「PLANET」を地球環境に配慮した塗料に改良した「PLANET」シリーズの新型版であるかのように、取引者に誤認、混同を生じさせんとする意図が明らかに存在するものである。
エ 小括
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
ア 商標法第4条第1項第7号に該当するための要件
本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するというためには、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であることが必要である。 本件商標は、引用商標が審査で引用された際の意見書において、虚偽の主張をして登録を獲得したものである。このことは、商標法第79条(詐欺の行為の罪)の趣旨に鑑み許されるものではなく、本件商標の登録を存続させておくことは、公の秩序・善良の風俗に著しく反するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同法46条の規定により、無効とされるべきものである。以下、その理由を詳述する。
イ 被請求人の意見書における主張
被請求人は、意見書において、本件商標の構成中の「PLANET」の語と「SUPRA」の語とが一連一体性を持つことを主張・立証して、本件商標の登録を獲得しているものである。
ウ 意見書の提出前後における被請求人による本件商標の使用態様
被請求人のホームページでは、製品を紹介する記事が多数掲載されているところ、その中の一つに、JETI書籍において、被請求人代表取締役が著した「『PLANET SUPRA(プラネットスープラ)』シリーズの製品化と新製品の開発、日本ECO-SUSCOM協議会の運営について」と題する文書(甲43)がある。これには、上記(3)ウのとおり、「PLANET SUPRA(プラネットスープラ)」を2段にややずらして記載した「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とを分断した態様で商品に付した商標の使用態様が掲載されている。
被請求人は、意見書を提出する約6か月前に、本件商標の構成中の「PLANET」の語と「SUPRA」の語とが一連一体性を保持しない形で商標を付した商品の販売を現実に開始しているという事実が存在し、さらに、現在においても、その使用態様とほぼ同一の使用態様による商標の使用を続けている。
エ 特許庁への欺罔行為
被請求人は、意見書を特許庁に提出した2009年5月頃において、実際の使用態様として、本件商標を「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とを2段書きし、各段の文字の大きさや色彩・デザインを変えて、一連一体の商標とはいえない分離して認識させる使用態様で本件商標を盛大に多数使用しておきながら、他方で、引用商標に基づく拒絶理由を回避し、商標登録を獲得するために、上記意見書において、本件商標は左横書きに書された一連一体の商標であるという虚偽の主張をし(甲7)、これにより、特許庁を欺罔し、商標登録を獲得したものである。
商標法第79条においては、「詐欺の行為により商標登録、防護標章登録、商標権若しくは防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録、登録異議の申立てについての決定又は審決を受けた者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。」なる規定が設けられている。
すなわち、本件に当てはめれば、「意見書において、虚偽の主張を行い、特許庁審査官を欺罔し、それにより商標登録を受けた」こととなり、被請求人には刑罰が科されるべきものである。
このような反規範的過程を経て登録を得た本件商標は、まさしく、国家社会の一般的利益を害し、かつ、社会の一般的道徳観念を害する商標であり、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当し、このような商標登録を存続させることは、健全な産業の発達(商標法第1条)を阻害し、公益を害することとなるものである。
オ 小括
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
2 審判事件弁駁書における主張
(1)商標法第4条第1項第11号該当性に係る本件商標の要部について
人は、理解できない語句(SUPRA)に直面した場合、理解できる語(PLANET)を要部として認定するのが経験則であるところ、被請求人が自白するとおり、我が国国民が「SUPRA」の意味内容を理解しないのであれば、本件商標において強く支配的な印象を与える部分は「PLANET」の部分であり、これが要部として認識・抽出されると考えられることにより、本件商標は、商標法第4条第1項第11号該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性に係る引用商標の周知性を立証する証拠方法の補充について
ア 甲第44号証は、請求人の社史(オリジン電気75年の歩み)における「PLANET」に係る記述部分の抜粋である。ここには、請求人の業務に係る「PLANET」シリーズが、請求人の中核事業である塗料事業の中核商品として、昭和40年から継続して販売されており、その売上げは、塗料事業全体の3割を占めるまで成長しており、現在はその売上げが減少しているものの、年間約15億円を売り上げていること、すなわち、引用商標が塗料業界の取引者、需要者において、請求人の業務に係る商品「塗料」を表示するものとして、周知の商標といえることが示されている。
なお、被請求人は、プラネット・シリーズの販売実績がどの程度あったのかを具体的に立証していないことを根拠として周知性を否定しているが、請求人の社史において、請求人の塗料事業の売上げが平成19年には約159億円に達したところ、その急成長の要因の一つは、「プラネットSV-35」であることが記載されている(甲44)ことからすれば、プラネット・シリーズの販売実績は相当大きく、十分な周知性を備えているといえる。
イ 甲第45号証は、化学工業の業界唯一の日刊専門紙である、「化学工業日報」の1992年3月11日号から2013年11月6日号の抜粋である。これらによれば、請求人が、単に塗料製品の製造販売のみならず、あらゆる分野における塗料を自ら開発し、業界においてその地位を確固たるものとすべく、引用商標に係る営々たる企業努力をしていることが分かる。
なお、被請求人は、カタログが今から11年前から15年前のものであることを根拠に、それ以後継続して販売実績があるか否かについて明らかでない旨主張するが、プラネット・シリーズは、化学工業日報において2013年にも報道があるように(甲45)、現在でも新製品が開発され販売がなされているロングセラー商品である。
また、カタログについては、仕様変更等がなければ従来のものを使用し続けることは塗料業界において特に珍しいことではない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性に係る本件商標の使用態様について
本件商標は標準文字からなるものであるところ、その使用態様は、本件商標の拒絶理由通知に対応する前後において変更がなく、分離して2段書きされ、かつ、その大きさ、色なども変更した使い方であって、これに接する需要者に、「PLANET」と「SUPRA」とを分離して観察させる。
さらに、甲第46号証及び甲第47号証においては、上記のように分離した使用態様であるばかりか、片仮名によって振り仮名がされ「スープラ ベース アルファ」、「スープラ ベース ベータ」と記載されている。人は、理解できない語句に直面した場合、理解できる語を認定するのが経験則であり、まして、日本人であれば、日本固有の文字である片仮名と、外国語の文字であるアルファベットとでは、片仮名にこそ大きな識別力が発揮されるといえ、この証拠においても被請求人は「PLANET」と「SUPRA」とを、外観、称呼、観念において分離した態様で需要者に認識させる状態で使用していることは明らかである。
先に述べたように、請求人は、30年もの長きにわたり「PLANET」シリーズの塗料を製造・販売している。「PLANET」シリーズの数は100種類を超え、「PLANET」は単なるペットネームではなく、ファミリーネームとして存在している。
被請求人は、引用商標の存在を明らかに認識し、かつ、拒絶理由の解消法として一体的であることを主張しつつ、他方では、通知の前後で使用態様を変更していないばかりか、あたかも、「PLANET」シリーズの一つであるかのように分離して利用し続けている。
これらの事実に鑑みれば、被請求人は一貫して「登録商標と同一」はおろか「登録商標と社会通念上同一」の商標を使用してきた事実はない。また、明らかに需要者の意識を分離させる態様で使用している。「PLANET SUPRA」は一体的であるとの主張は、ただ、拒絶理由受領時において登録を獲得せんがため、その場しのぎの便宜的虚偽を用いて特許庁を欺罔したものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反してされたものであるから、請求人は、その登録を同法第46条第1項第1号により無効とし、審判費用は被請求人の負担とすることを求めるものである。
なお、請求人は、請求人が保有する登録商標の商標権の侵害に基づく被請求人の行為の差止及び損害賠償について、東京地方裁判所へ平成25年9月30日に出訴(受付番号平成25年(ワ)第25768号東京地方裁判所民事第40部担当)している。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 答弁の理由
請求人は、本件商標の登録が、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきである旨主張する。
しかしながら、被請求人は、請求人の上記主張に到底承服することができない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標は引用商標に類似しないこと
請求人は、引用商標を使用した取引の実情から、本件商標の構成中の「PLANET」の文字部分が、需要者・取引者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるため、本件商標の要部は「PLANET」の文字部分のみにあるとし、本件商標は、引用商標に類似すると主張する。
しかし、外観、観念、称呼を全体的に考察し、具体的な取引状況に基づいて判断すると、本件商標は、引用商標に類似するものではない。すなわち、まず、観念については、本件商標は、被請求人の創造した造語であるところ、そこから想起される観念は、「スープラという名前の惑星」であって、引用商標の観念である単なる「惑星」とは類似しない。また、称呼についても、本件商標の自他商品の識別機能を果たす部分は、識別力の弱い「PLANET」の文字部分ではなく、「SUPRA」の文字部分であることに鑑みると、本件商標からは「スープラ」ないし「プラネットスープラ」の称呼が生じるものであるところ、これらは、引用商標の「プラネット」という称呼とは類似しない。さらに、外観についても、本件商標は「SUPRA」の文字部分ないし「PLANET SUPRA」の文字が自他商品の識別機能を果たす商標として取引者及び需要者により把握されるが、これらは、引用商標の外観である「PLANET」又は「プラネット」とは類似しない。
(2)本件商標の観念と引用商標の観念とについて
ア 本件商標から想起される観念
本件商標の構成中の「PLANET」の文字は、英語で「惑星」を意味し、同じく「SUPRA」の文字は、ラテン語で「超えて」又は「上に」を意味するものである(乙1)。ラテン語では、「SUPRA」は、名詞とともに用いられるとき、前置詞として名詞の前に付され、全体として副詞の役割を果たす(乙2)。しかし、「PLANET SUPRA」という用法をみると、「名詞+前置詞」となっており、ラテン語における通常の用法ではない。
また、ラテン語には「PLANET」という名詞はないことから、「PLANET SUPRA」は、英語とラテン語とを組み合わせた、それ自体、意味を有しない用語であって、被請求人が新たに創出した造語である。もっとも、「SUPRA」は、ラテン語由来の単語として英語でも用いられているが、ほとんど使用されていない。つまり、英語においても、「PLANET SUPRA」という用法は、通常の用法ではなく、本来的には意味を有しない。
しかし、「SUPRA」を固有名詞としてみれば、「PLANET SUPRA」は、英語として意味を持つ。英語では、特定の惑星を称するとき、「PLANET」の次に固有名詞を続けるという用法がある。例えば、「PLANET EARTH」(地球)、「PLANET X」(第十惑星)という用法である。そうすると、「SUPRA」という名前の惑星を指す場合、「PLANET SUPRA」と表記できる。つまり、「PLANET SUPRA」は、被請求人の創出した、特定の惑星である「スープラという名前の惑星」という観念の造語である。そして、「SUPRA」の意味を知っている者であれば、「スープラという名前の惑星」との観念に加え、その名前が、通常の惑星を「超越した特定の惑星」、つまり、「至上かつ最高の惑星」という意味を持つと観念する。とはいえ、上記のとおり、「SUPRA」は、日常的に使用される単語ではなく、我が国において、一般国民がその意味を理解するという程度には至っていない。
イ 「スープラ」の周知性に対する原告(審決注:「請求人」の誤記と認める。)の主張について
請求人は、「スープラ」の我が国における周知性について、トヨタの「スープラ」という車種がかつて存在したことを根拠に「その語義とともに、日本国内で周知」であるとし(審判請求書第12頁第17行ないし第20行)、本件商標の構成中の「SUPRA」の文字は、「PLANET」の文字を修飾する「形容詞的文字」であり、本件商標の要部はあくまで「PLANET」の文字部分のみにあるとしている(同第13頁第4行ないし第6行)。 しかし、「SUPRA」の意味が周知であるか否かにかかわらず、「PLANET SUPRA」は、上記のとおり、被請求人の創造した造語であり、「スープラという名前の惑星」という観念を生じることに変わりはない。 そして、トヨタの「スープラ」は、カタログにもその名前の由来が掲載されておらず(トヨタのウェブサイト参照)、その意味するところを売りにして販売したわけではないので、「スープラ」という車が周知であっても、「スープラ」の意味まで知っているとは限らない。これは、例えば、同じくトヨタの大衆車の「カローラ」や人気車種の「プリウス」も、その語義(ちなみに、それぞれの語義は、「花の冠」及び「?に先駆けて。?に先立って」である。)を知らない国民が大多数であろうことは想像に難くないことからすれば、当然であろう。
また、トヨタの「スープラ」という車が周知であれば、かかる固有名詞である「スープラ」ないし「SUPRA」と、英語の普通名詞として周知である「プラネット」ないし「PLANET」とでは、「スープラ」ないし「SUPRA」の方が自他商品識別機能を果たすはずであるのに、「プラネットスープラ」及び「PLANET SUPRA」の要部はそれぞれ「プラネット」及び「PLANET」であるとする請求人の主張は、矛盾している。
さらに、請求人は、「PLANET」の語は、「惑星」を意味する日本国内でもお馴染みの英単語であるところ、「塗料,プラスター仕上げ面を呈するエマルジョン系塗料,合成樹脂エマルジョン塗料,合成樹脂塗料,遮光塗料,太陽熱遮蔽塗料,耐候性塗料,耐熱用塗料」との関係では、極めて特徴的な語であり、その印象に強く残るといえると主張する(審判請求書第12頁第21行ないし第25行)が、この主張は、何らの根拠もなく、独りよがりな主張である。
ウ 本件商標の観念と引用商標の観念との対比
引用商標は、「惑星」を意味する英語の普通名詞「PLANET」の文字及びその片仮名表記である「プラネット」の文字からなることからすれば、これらの文字から生ずる観念は、いずれも単なる「惑星」であり、それは、宇宙に無数にある惑星の一般名称としての「惑星」である。
他方、本件商標から生ずる観念は、「スープラという名前の惑星」であり、単なる「惑星」ではない。
したがって、引用商標の観念と本件商標の観念とは、類似するものではない。
(3)本件商標の称呼及び外観と引用商標の称呼及び外観とについて
ア 本件商標の自他商品識別機能を果たす部分は「SUPRA」の文字であること
本件商標は、上述したとおり、「惑星」を意味する普通名詞として日常的に広く用いられている「PLANET」と、一般的にはなじみの薄いラテン語由来の「SUPRA」とを組み合わせた「スープラという名前の惑星」という意味の造語である。
ところで、造語からなる商標は、自他商品・役務の識別力が本来的に強いマークである(小野昌延編「注解 商標法[新版]上巻」青林書院、16頁(d)ロ))。そして、本件商標の構成中、その識別力を強化しているのは、普通名詞の「PLANET」ではなく、固有名詞として使われている「SUPRA」である。特に、塗料の業界では、「プラネット」の文字の識別力は弱いものであり、請求人のほかにも、株式会社プラネットジャパンが「プラネットカラー」という塗料を販売している(塗料においては、「カラー」は、ありふれた名称普通に用いられる方法で表示する場合であるから、識別力はなく、「プラネット」が要部である。)。インターネットで「プラネット」及び「塗料」の文字をキーワードとして検索すると、このプラネットカラーが多数ヒットし、「楽天市場」や「大源商会」、「大橋塗料株式会社」等の多数の販売者により広く販売されていることが分かる。そうすると、塗料の業界では、引用商標の「PLANET」又は「プラネット」の文字を要部とした出所の異なる製品が複数販売されており、その識別力は低いといわざるを得ない。
また、特許庁の特許電子図書館(IPDL)の商標検索において、商標(検索用)を「PLANET」又は「プラネット」とし、類似群コードを引用商標1の類似群コード「03B01」、「03C01」及び「03D01」とし、出願日を引用商標1の出願日(平成3年5月12日)以降として検索すると、請求人が権利者である商標3件以外に、「WATER PLANET」(登録番号4575013号)、「PLANET KID」(登録番号4599199号)、「ウィル プラネット\Will Planet」(登録番号4761392号)等、「PLANET」又は「プラネット」を含む6件の商標が登録されている(乙3)。これらが引用商標1よりも後に登録出願されたにもかかわらず登録されているということは、特許庁においても、「PLANET」又は「プラネット」単独では識別力が弱く、「PLANET」又は「プラネット」とほかの語句を組み合わせることによって、「PLANET」又は「プラネット」にはない強い識別性が付与されると判断したものと考える。
本件商標は、「PLANET SUPRA」の欧文字を標準文字で表してなる外観及び「スープラという名前の惑星」との観念からして、「SUPRA」の文字部分又は一連の「PLANET SUPRA」の文字が需要者に独特の印象、記憶、連想を与え、自他商品識別機能を十分に保持しているものである。
イ 本件商標の称呼
本件商標は、「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とが同じ字体で非常に近接してまとまりよく構成されているものであり、これを一体のものとしてとらえた場合には、「プラネットスープラ」の称呼を生じ、また、自他商品識別力の弱い「PLANET」の文字部分が省略されて、識別力の強い「SUPRA」の文字部分が抜き出された場合には,当該文字部分に従って、「スープラ」という称呼をも生じる。
ウ 本件商標の外観
本件商標は、その外観においても、自他商品識別力の弱い「PLANET」の文字部分ではなく、「SUPRA」の文字部分又は「PLANET SUPRA」の文字が、自他商品の識別機能を果たす商標として、取引者及び需要者により把握される。
エ 本件商標の称呼及び外観と引用商標の称呼及び外観との対比
本件商標から生ずる「プラネットスープラ」又は「スープラ」の称呼と引用商標から生ずる「プラネット」の称呼とは、類似しない。また、外観においても、本件商標の「SUPRA」又は「PLANET SUPRA」の構成文字は、引用商標の「PLANET」又は「プラネット」の文字とは類似しない。
(4)小括
以上のことから、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの判断要素においても相違し、非類似であることが明らかであり、本件商標が、引用商標をもって、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知著名性
請求人は、現在までの約30年の間に、プラネット・シリーズの約100種類の塗料を製造・販売等してきたことにより、引用商標が周知著名性を獲得してきた旨主張しているが、このような主張をするのであれば、審判請求書の第8頁第15行ないし第9頁第23行に羅列されている製品名のものが具体的にどの程度の販売実績があったかを、商品・時期等と対応させて立証すべきであるが、これら販売実績等の具体的立証は何らなされていない。例えば、製品名の冒頭に、「プラネット PP HF プライマー」とあるが、これが甲第9号証のカタログに記載の「プラネットPP プライマーシリーズ」の一製品であるのか否かが不明であり、また、「プラネットPP プライマーシリーズ」の一製品であったとしても、そのカタログに記載の製品についてどの程度の販売実績があるのかなどが不明である。また、続いて記載されている「プラネット AT」、「プラネット AU-20」に関しては、カタログも製品形態も示されておらず、しかも、それらの販売実績等を示す証拠についても何ら示されていない。さらに、請求人が甲第9号証ないし甲第17号証にて示すカタログは、今から11年前ないし15年前のものであり、それらカタログに記載の商品が、それ以後、継続して販売実績があるか否かなどに関しても何ら明らかではない。
要するに、請求人主張の事実からは、引用商標が塗料の分野において周知・著名となっていることを推認することはできない。
(2)本件商標と引用商標との混同
仮に引用商標が周知性を有していたとしても、そもそも上記2に記載のとおり、本件商標と引用商標とは非類似であり、混同のおそれは全くない。すなわち、本件商標と引用商標の構成全体とを対比すると、両商標が外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似の商標であることは、上述のとおりである。
したがって、被請求人が本件商標を請求に係る指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が請求人に係る引用商標を連想又は想起するものということはできず、当該商品が請求人又は請求人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがあるということはできない。
(3)小括
以上のように、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれにおいても相紛れるおそれの存しない非類似の商標であって、本件商標と引用商標との間に何らの出所の混同のおそれもない以上、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)被請求人の使用態様
請求人が、被請求人のホームページでの紹介記事及び被請求人の現実の使用態様として挙げている商標において、「PLANET SUPRA」の文字は、サイズの異なる「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とが2段に分けて表記されているものの、上段の「PLANET」の文字と下段の「SUPRA」の文字とが一体不可分となって全体がまとまりよく一体的に構成されたものであるから、社会通念上、本件商標と同一性を有する商標である。
したがって、被請求人は、一貫して自己の登録商標(出願商標)及び社会通念上それと同一の商標を使用しているにすぎない。
(2)商標法第4条第1項第7号の意義
知財高裁の判例において、商標法第4条第1項第7号の意義として、次のように判示されている。
「商標法4条1項7号は、『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標』は商標登録を受けることができない旨規定する。ところで、同号は商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法4条1項各号に個別に不登録事由が定められていること、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法4条1項7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。」(知財高裁平成17年(行ケ)第10324号)
また、商標審査基準においては、その第3の五、第4条第1項第7号(公序良俗違反)の項において、次のようにある。
「『1.公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標』には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものとする。なお、『差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形』に該当するか否かは、特にその文字又は図形に係る歴史的背景、社会的影響等、多面的な視野から判断するものとする。2.他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標は、本号の規定に該当するものとする。」
これを本件商標についてみるに、本件商標は、それ自体に公序良俗違反がないことは明らかであり、また、本件商標の出願の経緯が著しく社会的相当性を欠き、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものであるともいえない。そして、ほかに本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認めるに足りる証拠はない。
したがって、被請求人による本件商標の登録を獲得する行為が「特許庁への欺罔行為」であるとする請求人の主張は、全く根拠のない暴論である。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば、本件商標が、公正な競争秩序から逸脱し、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標であるといえないのは明らかであり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものということはできない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項第1号に該当するものではない。

第5 当審の判断
請求人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、順次検討する。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「PLANET SUPRA」の欧文字を標準文字により表してなるものである(「PLANET」の語と「SUPRA」の語との間には1文字分のスペースがある。)。
しかして、本件商標の構成は、欧文字が標準文字により表されているものであるところ、各文字の配置及びスペースの前後それぞれの語の構成に軽重の差がなく、各語の間にスペースがあるとしても、全体として一連一体でまとまりよく表されているものであり、また、スペースの前後どちらかの語が商品の品質や原材料等を表示する語であるということもできないものである。
そして、本件商標の構成全体から生ずる「プラネットスープラ」の称呼も、簡潔とはいえないまでも、よどみなく一気一連に称呼することが可能な範囲のものというべきである。
また、本件商標は、その構成中、前半の「PLANET」の文字が「惑星」の意味を有する英語であり、同じく、後半の「SUPRA」の文字がラテン語であって、副詞として「上に、上部に、高く」等の意味を、前置詞として「の上に、さかのぼって」等の意味を有する語であることが認められ(乙2)、英語の辞書においてもラテン語が語源である旨が確認できるものであるとしても、その構成全体としては、特定の意味合いを理解させる語ということはできないものである。
そうであれば、本件商標は、その構成全体として一体的に把握され、「プラネットスープラ」と一連に称呼され、特定の観念を生じさせることのない造語からなるものというべきである。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「プラネット」又は「PLANET」の文字からなり、「プラネット」と称呼され、「惑星」の意味を有する外来語又は英語である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、上記(1)のとおり、その構成全体として一体的に把握され、「プラネットスープラ」と一連にのみ称呼され、特定の観念が生じない造語というべきものである。
他方、引用商標は、上記(2)のとおり、「プラネット」又は「PLANET」の文字からなり、「プラネット」と称呼され、「惑星」の意味を有する外来語又は英語である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、明らかな差異を有するものであり、類似する商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
なお、この点について、請求人は、本件商標は「PLANET」と「SUPRA」のそれぞれの欧文字列が1文字分の空白を介して左横書きに一列に書してなる結合商標であり、その空白の存在ゆえに、本件商標に接した取引者、需要者は、「PLANET」と「SUPRA」とを単語として自然に分断して認識すると主張している。
しかしながら、間に空白を有する商標について取引者、需要者が分断して認識するとの主張は、上記(1)のとおりの構成からなる本件商標については、必ずしも妥当するものではなく、本件商標は、上記(1)のとおり、一体的に把握されるというのが相当であるから、その主張を採用することはできない。
また、請求人は、「SUPRA」の文字は、インターネットの検索サイト大手Googleにおいて、約300万件がヒットするというほど、現在の我が国において一般的な語になっていると主張している。
しかしながら、そのことをもって、本件商標が一体的に把握されないということはできず、この請求人の主張を採用することはできない。
さらに、請求人は、「SUPRA(スープラ)」なる単語は、トヨタが昭和53年から平成14年まで製造・販売していたスポーツカーの車種名として使用され、その語義とともに、日本国内で周知といえると主張している。 しかしながら、この点についても、スポーツカーの車種名として知られていることをもって、本件商標が一体的に把握されないということはできず、この請求人の主張を採用することはできない。
そして、請求人は、「PLANET」の語は、請求に係る指定商品との関係では、極めて特徴的な語であり、その印象に強く残るとも主張している。
しかしながら、請求人は、その具体的理由や証拠を示していないから、採用することはできない。
加えて、請求人は、英語の副詞、名詞、形容詞、代名詞、そして、その修飾関係についてるる述べ、本件商標は、「PLANET」を中心にそれを単に修飾する語として「SUPRA」を添えていると主張している。
しかしながら、ラテン語の「SUPRA」が、英語の「PLANET」を修飾するとの請求人の主張は、その主張に係る語学上の扱いが、取引者、需要者に広く認識されているということができないものであって、そのほかに請求人主張のように本件商標から「PLANET」が分離独立して認識されるとすべき事情も見いだし得ないから、採用することはできない。
よって、本件商標から「PLANET」が分離独立して認識される旨の請求人の主張は、いずれも採用することはできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
請求人は、「現在まで約30年間の長期間にわたり、請求人が保有する登録商標である引用商標1(プラネット)及び引用商標2(PLANET)を使用して100種類以上ものシリーズ化した塗料を大量に製造販売している。」、「近年では、若干売上げが落ちているとはいえ、年間約15億円もの売上げがあり、当該商標には、請求人が販売する塗料のブランドとしての信用が蓄積されてきたものである。」などと述べ、引用商標が著名である旨主張している。
そこで、請求人提出の甲号証をみるに、請求人が引用商標に関連するシリーズ化した商標を使用して塗料の製造、販売を行っていること(甲9ないし甲37)、昭和50年代から60年代初頭にかけて「プラネットPP」、「プラネットPX」、「プラネットAX」、「プラネットSX」、「プラネットSV」及び「プラネットPZ」というプラスチック用塗料が開発されたこと、塗料事業部の売上げは、平成10年(1998年)頃から増加に転じ、平成19年にはその売上げが159億円を記録したこと(甲44)、請求人が製造、販売する「プラネット」の商品名に係るプラスチック用塗料は、自動車部品分野からエレクトロニクス関連、携帯電話などの通信機器分野等のニーズに応じた商品であること(甲45)などが認められるとしても、引用商標の使用に係る商品の製造、販売が、どの程度の量の取引があり、どの程度の売上げがあり、どのような地域で取引があったのか、どのような広告をどの程度行っているのかなどを具体的に把握できる証拠方法は提出されていない。また、職権をもって調査するも、引用商標を周知・著名とすべき事実を見いだすこともできない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が我が国の取引者、需要者の間で広く認識されて周知著名になっていたと認めることはできない。
してみれば、本件商標と引用商標とが類似しないことに加えて、引用商標の周知著名性が認められないことから、本件商標は、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由の一つとして、被請求人が、「PLANET SUPRA(プラネットスープラ)」の文字を「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とに分断した態様で製品に使用している旨を掲げている。
しかし、本件審判の請求において審理すべきは、本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号に違反してされたか否かであって、被請求人の使用商標が同項第15号に違反しているか否かではない。そして、本件商標は、上記1のとおり、その構成全体で一体のものとして把握、認識されるものであるから、被請求人の使用商標の態様をもって、本件商標が同法第4条第1項第15号に違反してされたということはできない。
3 商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないと規定しているところ、これに該当する商標には、「(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合等が含まれるというべきである。」と解されている(知財高裁 平成22年7月15日判決 平成21年(行ケ)第10173号)。
そこで、上記判決の判示を踏まえて、本件商標をみるに、本件商標が上記の(a)ないし(d)に該当しないことは明らかであり、また、請求人による本件商標が同法第4条第1項第7号に該当するとの主張は、使用商標を一体のものとしてみるか否かについて、被請求人と見解が異なることに起因するものであることを踏まえると、本件商標の登録出願の経緯に、請求人との関係で信義則に反するなど、何らかの社会的相当性を欠く事情があったとも認めることができない。
なお、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由として、被請求人が「PLANET SUPRA(プラネットスープラ)」の文字を「PLANET」の文字と「SUPRA」の文字とに分断した態様で商品に使用する一方で、意見書において本件商標が一連一体の商標であるとの意見を述べ、特許庁を欺罔して本件商標の登録を得たと主張している。
しかし、本件審判の請求において審理すべきは、本件商標の登録が同法第4条第1項第7号に違反してされたか否かであって、例えば、使用商標が登録商標のいわゆる専用権の範囲内であるのか、それとも専用権の範囲を逸脱し、類似の範囲のものであるのか否か、さらに、その使用商標が他人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生じさせるものであるのか否かなどについては、商標法の他の規定によるべきものといえるから、請求人の主張は採用できない。
してみれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-09-09 
結審通知日 2014-09-11 
審決日 2014-10-09 
出願番号 商願2008-83768(T2008-83768) 
審決分類 T 1 12・ 263- Y (X02)
T 1 12・ 262- Y (X02)
T 1 12・ 261- Y (X02)
T 1 12・ 22- Y (X02)
T 1 12・ 271- Y (X02)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 田中 敬規
梶原 良子
登録日 2009-12-18 
登録番号 商標登録第5289294号(T5289294) 
商標の称呼 プラネットスープラ、プラネットスプラ、プラネット、スープラ、スプラ 
代理人 上原 空也 
代理人 寺田 達郎 
代理人 村橋 史雄 
代理人 井上 勉 
代理人 菊池 毅 

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