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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W141825
管理番号 1291616 
審判番号 不服2013-13843 
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-19 
確定日 2014-08-15 
事件の表示 商願2012-43295拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,別掲1に示すとおりの構成からなり,第14類「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製靴飾り,時計」,第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,平成24年5月30日に登録出願されたものである。

第2 引用商標
原査定において,本願商標は商標法4条1項11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の(1)ないし(4)のとおりであり(以下まとめていう場合は「引用商標」という。),それぞれ,現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4997944号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成18年3月9日に登録出願,別記1のとおりの商品を指定商品として,同年10月20日に設定登録されたものである。
(2)登録第5112029号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成19年6月6日に登録出願,別記2のとおりの商品を指定商品として,同20年2月15日に設定登録されたものである。
(3)登録第5112030号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成19年6月6日に登録出願,別記3のとおりの商品を指定商品として,同20年2月15日に設定登録されたものである。
(4)登録第5155384号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成18年10月30日に登録出願,別記4のとおりの商品を指定商品として,同20年8月1日に設定登録されたものである。

第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は,別掲1に示すとおり,概略,正面を向き,犬歯を有する頭蓋骨と,当該頭蓋骨の下部(犬歯の部分)に僅かに重ねて,扁平に交差させた二本の骨を配し,全体をシルエット風に黒塗りした図形からなるものであり,特定の称呼及び観念を生じないものである。
2 引用商標について
引用商標1及び2は,別掲2及び3に示すとおり,概略,正面を向いた頭蓋骨と,当該頭蓋骨の下に,扁平に交差させた二本の骨を配し,全体をシルエット風に黒塗りした図形(以下「図形部分」という。)の下部に,「mastermind」の文字と「JAPAN」の文字を上下2段に横書きしてなるものであり,引用商標1及び2の図形部分は,その輪郭が明確であるか,僅かにぼやけているかに差異はあるが,ほぼ同一である。
そして,図形部分とその下部に表された文字部分とは,視覚上,分離して看取されるものである上,図形部分と文字部分とが一体となって特定の観念を生ずるものでもない。また,文字部分が,いずれも小さく,引用商標1又は2の下部に表されているのに対し,図形部分は,引用商標1又は2の大部分の割合を占めるように,顕著に表されているから,印象的で記憶に残りやすく,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると,引用商標1及び2は,図形部分のみをもって取引に資されることも決して少なくないというのが相当であるから,本願商標と引用商標との類否判断の際には,当該図形部分をもって本願商標と比較することも,許されるというべきである。
そして,当該図形部分は,特定の称呼及び観念を生じないものである。
また,引用商標3及び4は,共に別掲4に示すとおり,概略,正面を向いた頭蓋骨と,当該頭蓋骨の下に,扁平に交差させた二本の骨を配し,全体をシルエット風に黒塗りした,引用商標1及び2の図形部分とほぼ同一の図形からなるものであり,特定の称呼及び観念を生じないものである。
3 本願商標と引用商標の類否について
上記2のとおり,引用商標1及び2は,本願商標との類否判断の際には,図形部分をもって本願商標と比較することも,許されるものであるところ,本願商標と引用商標1及び2の図形部分並びに引用商標3及び4の外観は,別掲1ないし4に示すとおりであり,これらを子細に観察すれば,本願商標は,扁平に交差させた二本の骨が頭蓋骨の下部(犬歯の部分)に僅かに重なっている点及び本願商標の頭蓋骨は犬歯を有するのに対して,引用商標1及び2の図形部分並びに引用商標3及び4は,扁平に交差させた二本の骨が頭蓋骨から離れている点及び頭蓋骨に犬歯を有さない点等において差異を有するとしても,共に頭蓋骨と扁平に交差させた二本の骨の図形をシルエット風に黒塗りに表してなる点,交差している骨の角度がほぼ同じである点,いずれの頭蓋骨も正面を向いている状態である点,眼窩部が白抜きで両端が下がっている点,鼻に相当する部分の下端が二股に分かれている点等において,その構成の軌を一にするものであり,いずれも「正面を向いた頭蓋骨と扁平に交差させた二本の骨を組み合わせた図形をシルエット風に黒塗りに表した構図」として需要者の記憶に強く印象づけられるものといえる。
そして,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際にあって,需要者が時と所を異にして離隔的に商標に接する場合,必ずしも常に図形の細部まで正確に記憶しているとはいえないのが通常であることを踏まえれば,上記に挙げたような,本願商標と引用商標1及び2の図形部分並びに引用商標3及び4における差異は,その構成全体から受ける共通した印象からすれば,微差の範囲にとどまるものというべきである。
また,本願商標,引用商標1及び2の図形部分並びに引用商標3及び4は,いずれも特定の称呼及び観念を生じないから,称呼及び観念によっては,これらを区別することができない。
してみれば,本願商標と引用商標は,需要者に与える印象,記憶,連想等が「正面を向いた頭蓋骨と扁平に交差させた二本の骨を組み合わせた図形をシルエット風に黒塗りに表した構図」において共通にするものであり,称呼及び観念によっては区別することができないから,これらを総合的に勘案すれば,本願商標と引用商標を同一又は類似の商品に使用した場合は,需要者がその出所について混同を生ずるおそれがあるというのが相当である。
したがって,本願商標は,引用商標に類似する商標といえるものである。
4 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願商標及び引用商標の指定商品は,前記第1及び別記(1)ないし(4)のとおりであるところ,本願商標の指定商品は,引用商標1の指定商品中「布製幼児用おしめ」を除く指定商品と同一であるか,又はこれらを包含するものである。また,本願商標の指定商品中「宝石箱」及び「携帯用化粧道具入れ」は,引用商標2の指定商品中「家具」及び「つけづめ,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」と,その用途,需要者等を共通にするから,それぞれ類似するものである。さらに,本願商標の指定商品中「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は,引用商標3の指定商品中「運動用具」と,その用途,需要者等を共通にするから,それぞれ類似するものである。加えて,本願商標の指定商品は,引用商標4の指定商品中「貴金属,布製幼児用おしめ」を除く指定商品と同一又は類似のものである。
5 小括
以上からすれば,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから,商標法4条1項11号に該当する。
6 請求人の主張について
(1)請求人は,頭蓋骨と骨片を組み合わせた図形を基本モチーフとするデザインは,この種業界において好まれて採択され,ありふれており,慣用図形として普通に採択,使用されており,各社は,骸骨頭部と交差した骨片という限られた構成要素の中で,表現方法においてそれぞれ創意工夫をしているのが実情であるところ,本願商標は,2本の長い牙(犬歯)が極めて特徴的であり,該牙であたかも骨片をくわえているかのような表現がなされ,頭蓋骨部分と骨片部の一体感は強くなっているものであるのに対し,引用商標は,頭蓋骨部をズングリとし,全体的なシルエットもぼんやりと表現すると共に,頬骨部を波状に左右に膨出させ,上顎部下端において上顎部の下端も波状に突出してなることなどにより,人間らしい愛嬌さを看取できるから,上顎部における牙・歯の存在の有無は,明確な印象の差として受け取られること等により,本願商標と引用商標は紛れるおそれのないものである旨主張する。
しかしながら,請求人は「頭蓋骨と骨片を組み合わせた図形を基本モチーフとするデザインは,この種業界において好まれて採択されている」として証拠(平成24年12月21日付け手続補足書における甲2,同25年7月19日付け手続補足書における甲20ないし甲31,同26年2月10日付け手続補足書における甲37ないし甲109)を提出するが,これらを見ても,本願商標又は引用商標のように,頭蓋骨と扁平に交差させた二本の骨をシルエット風に黒塗りにし,かつ,眼窩部を白抜きしてその両端を下げるなどして写実的に表現したものが,ありふれた慣用図形というに足るほど多く採択されているとはいえない。
さらに,本願商標と引用商標1及び2のうち取引に資される部分である図形部分並びに引用商標3及び4は,子細に観察すれば,上記3で述べたとおりの差異を見いだすことはできるものの,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際にあって,需要者が時と所を異にして離隔的に商標に接する場合には,「正面を向いた頭蓋骨と扁平に交差させた二本の骨を組み合わせた図形をシルエット風に黒塗りに表した構図」が需要者の記憶に強く印象づけられるものであり,上記のような差異は,微差の範囲にとどまるものというべきである。
そうすると,本願商標は,引用商標に類似するものというのが相当であるから,上記請求人の主張は,採用できない。
(2)請求人は,請求人が保有する登録第5244936号商標及び登録第5244937号商標は,引用商標とは非類似のものと判断されて登録されたのであるから,本願商標と引用商標も非類似のものと判断されるべきである旨,また,登録第5244936号商標及び登録第5296696号商標に係る商標登録無効審判事件における類否判断の手法を,本件についても当てはめるべきである旨主張する。
しかしながら,登録第5244937号商標については,引用商標4を引用する商標登録無効審判において,当該商標と引用商標4は類似するものと判断され,当該事件は確定している(平成25年(行ケ)第10008号)。
また,登録第5244936号商標及び登録第5296696号商標は,交差させた二本の骨が頭蓋骨の背後に配されていたり,頭蓋骨部分のみで構成されているなど,本願商標とは構成,態様を異にする別異の商標であるから,これらの商標における類否判断が,そのまま本願商標における類否判断に当てはまるものではない。
したがって,上記請求人の主張は採用できない。
その他,請求人は縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。
7 結語
以上のとおりであるから,本願商標は,商標法4条1項11号に該当するものであって,これを商標登録することはできない。
したがって,本願商標が同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)


別掲4(引用商標3及び4)



別記1(引用商標1の指定商品)
第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,乗馬靴」

別記2(引用商標2の指定商品)
第 3類「せっけん類,化粧品,つけづめ」
第 9類「眼鏡」
第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」
第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」
第16類「紙製包装用容器,紙類,文房具類,印刷物」
第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス,木製の包装用容器(「コルク製栓・木製栓・木製ふた」を除く。),うちわ,せんす,家具」
第21類「食器類,電気式歯ブラシ,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」
第24類「布製身の回り品,布団,布団カバー,まくらカバー,毛布,カーテン」
第26類「頭飾品」
第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス」
第33類「日本酒,洋酒,果実酒」
第34類「喫煙用具」

別記3(引用商標3の指定商品)
第 9類「写真機械器具,電気通信機械器具」
第15類「楽器」
第16類「写真,写真立て」
第28類「おもちゃ,ビリヤード用具,運動用具」
第32類「乳清飲料,飲料用野菜ジュース」

別記4(引用商標4の指定商品)
第14類「貴金属,キーホルダー,身飾品(「カフスボタン」を除く。),貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計」
第18類「かばん類,袋物,傘,革ひも,原革,原皮,なめし皮,毛皮」
第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,乗馬靴」





審理終結日 2014-05-19 
結審通知日 2014-06-06 
審決日 2014-06-25 
出願番号 商願2012-43295(T2012-43295) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W141825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 守屋 友宏
梶原 良子
代理人 飯島 紳行 

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