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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900191 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X25
管理番号 1290771 
異議申立番号 異議2012-900367 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-09-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-12-18 
確定日 2014-04-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5524362号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5524362号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5524362号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、4隅を丸くしたベージュ色の横長長方形の中央やや右寄りに隅を丸くした青色の逆三角形状図形を配し、その三角形状図形中に「stressless」の欧文字を白抜きで書した構成からなり、平成23年9月1日に登録出願、第25類「ブーツ,靴及び運動用特殊靴,スリッパ,被服(但し、アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛布製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆を除く。)」を指定商品として、平成24年8月7日に登録査定、同年9月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第797939号商標(以下「引用登録商標」という。)は、別掲2のとおり、濃い灰色の逆三角形状図形とその図形内に「Stressless」(lessのeの上には、円で囲った「R」が付されている。以下省略する。)の欧文字を白抜きで書した構成からなるものであり、2002年(平成14年)11月12日にNorwayにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年12月3日に国際商標登録出願、第20類「Furniture; sofas, chairs (seats),recliner chairs, with footstool; box spring mattresses for beds; pillows and cushions; beds and bed bottoms.」及び第35類「Procurement services of others (purchasing goods and services for other businesses in the field of furniture, furnishing and mattresses).」を指定商品及び指定役務として、平成16年2月13日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

4 本件商標に対する取消理由(要旨)
商標権者に対して、平成25年8月1日付けで通知した本件商標の取消理由(要旨)は、次のとおりである。
(1)引用商標の周知著名性について
申立人の提出に係る甲各号証及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 引用登録商標に係る椅子(以下「ストレスレスチェア」という。)について
申立人は、1934年に創業したノルウェーに本社を有する家具メーカーであり、1971年(昭和46年)以来、「ストレスレス(○内にR 以下省略する。)」というブランド名でリクライニングチェア及びソファなどを製造・販売し、その宣伝においては、別掲3のとおり、別掲2の引用登録商標と色彩のみを異にする商標(以下「青色引用商標」という。)を使用している(甲10、甲12及び甲13)。そして、青色引用商標は、商標法第70条の規定によれば、引用登録商標の商標権の効力の範囲に含まれると認められるものである(以下、「引用登録商標」と「青色引用商標」をまとめて「引用商標」という。)。
そして、申立人の日本語によるウェブサイトには、2009年(平成21年)12月17日付け「ストレスレス販売 600万台突破!」のタイトルのもと、「1971年に初代のストレスレスチェアが誕生してから、世界中のストレスレスチェアの販売実績は、2009年(同21年)末で600万台を達成し、全世界の販売店数は約2500である」旨の記載(甲13)及び2011年(同23年)2月28日付け「新記録を樹立」のタイトルのもと、「世界各国でのマーケットリサーチの結果、ストレスレスブランドは現在少なくとも7千万以上の人たちに認知されている。」(甲26)の記載がある。
イ ストレスレスチェアの日本での販売状況
日本におけるストレスレスチェアについては、1984年(昭和59年)12月に「STRESSLESS」の欧文字からなる商標を、「家具」等を指定商品として、商標登録出願を行い(甲4)、1993年(平成5年)から、simmons(シモンズ)を代理店にした販売を開始し、2004年(同16年)途中からは、EkornesKK(エコーネス株式会社)による販売に代わった。そして、本件商標の登録出願時又は登録査定前である1993年(同5年)から2011年(同23年)までの間、19万4,988台のストレスレスチェアが販売されている(甲15)。
また、2011年(平成23年)1月25日付けのホームリビングに掲載された株式会社エコーネス社社長のインタビュー記事において、「ストレスレスチェアの開発から40周年になること」、「ストレスレスは、パーソナルチェアやリクライニングチェアの中では、日本のトップシェアであること」、「日本の売上は1995年から2009年までの15年で5倍ほどに上がったこと」及び「日本では月に1,000台ほど売れていること」などが記載されている(甲25)。
ウ ストレスレスチェアの日本での販売地域
ストレスレスチェアの日本での販売地域は、北海道・東北地区から九州・沖縄地区まで、約280の専用売り場、取扱い百貨店を有し、提携家具店は、特に関東、東京、中部、関西に多く、有名百貨店による取扱いのほか、「店内のどこにいてもストレスレス製品の展示場所や、ストレスレスチェアの特徴が一目でわかる新ディスプレーツール(ハブ)」を有するハブ設置ショップやエコーネス社の国内取扱品すべてを備えた「ストレスレス ショールーム東京」(甲14)がある。
エ ストレスレスチェアの日本での広告宣伝等
申立人は、ストレスレスチェアについて、春夏秋の各期にストレスレス・キャンペーンを行うほか(甲16)、次の(ア)ないし(カ)のとおり、本件商標の登録出願時又は登録査定前である2007年から2012年まで間、「AERA」、「週刊朝日」、「男の隠れ家」及び「家庭画報」などの各種雑誌、ならびに「朝日新聞」及び「日本経済新聞」などの新聞等において広告宣伝を行っている(甲17ないし甲22)。なお、これらについては、申立人の日本語HPにおいて「メディア掲載」として紹介されている(http://www.stressless-pr.jp/media/)。
また、上記広告宣伝において、2009年(平成21年)以降に、雑誌・新聞等に掲載された広告の大半は、椅子の写真とともに広告右上に、青色引用商標が目立つように表示されている。
(ア)2007年の広告掲載雑誌、新聞等(掲載日付は降順 以下同じ)(甲22)
マンスリーm(11月24日)、日経ビジネス(11月26日)、Pen(10月1日)、東京大人のウォーカー(9月26日)、Lapita10月号(9月6日)、ENGINE9月号(7月26日)、asia spa Japan創刊号(4月28日)、スカンジナビア航空機内誌SCANORAMA(4月1日)、
(イ)2008年の広告掲載雑誌、新聞等(甲21)
GOETHE(11月24日)、男の隠れ家(10月27日)、日経ビジネス同梱媒体「DIGNIO」(10月17日)、ヤナセライフプレジール(10月25日)、日経おとなのOFF(10月6日)、サライ(10月2日)、男の隠れ家(9月27日)、日経ビジネス同梱媒体「TOKYOSTORY」(9月26日)、SEVEN SEAS(7月20日)、MEN‘S CLUB(7月10日)、スカンジナビア航空機内誌SCANORAMA(7月3日)、男の隠れ家(4月27日)、ALWAYS STYLE(4月25日)、ホームシアターファイル(4月19日)、家庭画報(2月1日)
(ウ)2009年の広告掲載雑誌、新聞等(甲20)
日経ビジネス特別版(2009年冬号)、MOMENTUM(2009年11月)、美STORY(11月17日)、I’m home(11月16日)、家庭画報(11月1日)、YANASE LIFE plaisir(10月25日)、読売新聞(夕刊)(10月20日広告特集)、Stereo Sound(10月15日)、HERS(10月12日)、サライ(10月10日)、和樂(10月10日)、日経ビジネス同梱媒体「DIGNIO」(10月9日)、日本経済新聞(夕刊)(10月2日)、ゴルフダイジェスト(7月28日)、朝日新聞(首都圏版 夕刊)(4月1日全段広告)、家庭画報特選HomeIdeas北欧インテリア(2月10日)、月間C(1月26日)
(エ)2010年の広告掲載雑誌、新聞等(甲19)
婦人画報(12月27日)、朝日新聞(12月22日)、銀座線外苑前駅構内ポスター(注;期間不明)、priv(プライヴ)冬号(11月12日、日経ビジネス11月15日号同梱誌)、MOMENTUM(11月6日)、日経メディカル(11月6日)、日経ヘルスケア(11月5日)、日経トップリーダー(11月27日)、日本経済新聞(9月10日及び10月8日)、VISA(10月1日)、男の隠れ家(9月27日)、ホームシアターファイル2010SUMMERvol.58(7月8日)、クロワッサン Premium(5月20日)、家庭画報(6月1日)、日本経済新聞夕刊(4月20日)、ミセス(4月7日)、婦人画報(4月1日)、日本経済新聞夕刊(4月1日)、DAZZLE(3月26日)、日経ビジネス特別版(2010年春号)、日本経済新聞(3月18日)、家庭画報(2月1日)、IMPRESSION GOLD(1月15日)
(オ)2011年の広告掲載雑誌、新聞等(甲18)
AERA(12月26日)、日本経済新聞(12月26日)、ゴルフダイジェストチョイス(12月1日)、てんとう虫(11月1日)、日本経済新聞(10月27日)、日経ビジネス(10月24日)、AERA(10月3日)、ホームシアターファイル(10月8日)、日本経済新聞(9月29日)、週刊朝日(8月23日)、サライ(7月10日)、朝日新聞(6月30日)、朝日新聞(6月28日)、YANASE LIFE(6月25日)、男の隠れ家(6月27日)、朝日新聞(夕刊)(6月17日)、PRESIDENT(4月25日)、GOLF(3月1日)、DAZZLE(1月28日)及び男の隠れ家(1月27日)
(カ)2012年の広告掲載雑誌、新聞等(登録出願後、登録査定前のもの)(甲17)
朝日新聞(7月23日)、日本経済新聞(7月28日)、週刊ダイヤモンド(7月28日)、朝日新聞(7月23日)、日経ビジネス(7月16日)、日本経済新聞(7月13日)、ゴルフダイジェストチョイス(6月1日)、日本経済新聞(4月4日)、朝日新聞(4月12日)、朝日新聞夕刊(4月23日)、HERS(4月12日)、日経ビジネス(4月16日)、ゴルフダイジェストチョイス(4月1日)、日経ビジネス(3月5日)
(キ)上記の広告掲載雑誌、新聞等の発行部数
上記(ア)ないし(カ)の雑誌、書籍等の発行部数は、一般社団法人日本雑誌協会の印刷部数公表検索(http://www.j-magazine.or.jp/magadata/?module=list&action=list)(2011年4月から6月の期間の例)によると、AERA(約15万部)、週刊朝日(約23万部)、クロワッサン Premium(約7万部)、サライ(約17万部)、PRESIDENT(約26万部)、家庭画報(約13万部)及び婦人画報(約8万部)となっている。
オ まとめ
以上を総合すると、引用商標は、申立人が製造・販売する椅子等を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者・需要者に広く知られていたと認められるものである。
(2)本件商標と引用商標について
ア 本件商標は、別掲1のとおり、4隅を丸くしたベージュ色の横長長方形の中央やや右寄りに隅を丸くした青色の逆三角形状図形(以下「本件三角図形」という。)を配し、その三角形状図形内に白抜きで「stressless」の欧文字を書した構成からなるものである。そして、本件商標の構成態様からすると、ベージュ色の横長長方形部分は、背景として捉えられ、「stressless」の欧文字を含む本件三角図形部分が、独立して自他商品の識別標識として捉えられる場合が少なくないといえるものである。また、本件三角図形と「stressless」の文字部分を、常に一体のものとして捉えなければならない特段の事情も見出せないことからすると、「stressless」の文字部分のみも、独立して自他商品の識別標識として捉えられる場合もあるといえる。
そうすると、本件商標は、その文字部分に相応して、「ストレスレス」の称呼を生じる。また、「stressless」後半の「less」の文字は、名詞につけて「・・・のない」の意味を作る英語の接尾語(小学館 ランダム英和中辞典)であることからすると、「ストレス」を意味する英語「stress」(同中辞典)に、「less」を付したと認められる「stressless」の文字からは、「ストレスがない」程の観念を生じる。
イ 引用登録商標は、別掲2のとおり、濃い灰色の逆三角形状図形(以下「引用三角図形」という。)とその図形内に「Stressless」の欧文字を白抜きで書した構成からなるものであるところ、図形部分と「Stressless」の文字部分を、常に一体のものとして捉えなければならない特段の事情も見出せないことからすると、「Stressless」の文字部分のみが、独立して自他商品の識別標識として捉えられる場合が少なくないといえるから、引用登録商標は、上記アの本件商標と同様に、その文字部分に相応して、「ストレスレス」の称呼及び「ストレスがない」程の観念を生じる。
また、青色引用商標は、別掲3のとおり、引用登録商標の色彩のみを変更したものであるから、当該商標と同様に、「ストレスレス」の称呼及び「ストレスがない」程の観念を生じる。
ウ 両商標の類否について検討すると、上記のとおり、両商標は、「ストレスレス」の称呼及び「ストレスがない」の観念を共通にするものであり、外観においても、本件三角図形と引用三角図形は、丸く面取りされた逆三角形であること、三角形の各コーナー付近を明るく反射させた色合いにしていること及び図形中に同一綴りの「stressless」の文字を配していることを共通にする、極めて近似した印象を与えるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のすべてにおいて極めて類似する商標といえるものである。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 上記(1)のとおり、引用商標は、申立人により長年使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の製造・販売する椅子の出所を表示するものとして、取引者及び需要者に広く知られた商標になっていたといえるものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
引用商標は、別掲2及び3のとおり、逆三角形内に「Stressless」の文字を配した独創性の高い標章といえるものであるところ、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、その類似の程度は、相当に高く、酷似する商標といえるものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品との関連性の程度
本件商標の指定商品は、前記1のとおりであるところ、その需要者は、一般の消費者である。他方、引用商標の使用に係る商品は、主に一般の家庭で用いる「椅子」等であり、その需要者もまた、一般の消費者である。
また、本件商標の指定商品には、「スリッパ」などの室内で使用する商品が含まれるところ、これら商品と引用商標の使用に係る商品「椅子」等とは、使用する場所(室内)及び時間(くつろぎタイム)を共通にするものであり、それらの使用状況をイメージした、例えば、椅子のそばにスリッパを配置するなどの宣伝・展示がされている実情もうかがえる。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品とは、その需要者及び使用場所等において、互いに密接な関連性を有する商品といえるものである。
エ 出所の混同のおそれ
上記ア及びイのとおり、引用商標は、著名な独創性の高い標章といえるものであり、かつ、本件商標と引用商標の類似性は相当高いものであるから、これに上記ウの事情を考慮すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、引用商標を連想し、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると混同を生ずるおそれ、若しくは、引用商標の顧客吸引力にただ乗り(いわゆるフリーライド)やその稀釈化(いわゆるダイリューション)を招く結果を生ずるおそれがあると判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、商標法第4条第1項第15号に該当するものであったいうべきである。

5 商標権者の意見
本件商標について、上記4の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は、何ら意見を述べていない。

6 当審の判断
本件商標についてした上記4の取消理由は、妥当なものと認められるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標 (色彩については原本参照)


別掲2 引用登録商標


別掲3 青色引用商標 (色彩については、原本参照)

異議決定日 2013-11-29 
出願番号 商願2011-62817(T2011-62817) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X25)
最終処分 取消  
前審関与審査官 小出 浩子半田 正人 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 梶原 良子
高橋 幸志
登録日 2012-09-28 
登録番号 商標登録第5524362号(T5524362) 
権利者 エム/エス. ヴィロラ インターナショナル
商標の称呼 ストレスレス 
代理人 牧 哲郎 
代理人 菊谷 公男 
代理人 牧 レイ子 

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