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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z21 |
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管理番号 | 1290731 |
審判番号 | 取消2013-300772 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-09-10 |
確定日 | 2014-08-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4416957号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 登録第4416957号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成11年9月2日に登録出願、第21類「タオル状あかすり,スポンジ状あかすり,その他のあかすり」を指定商品として、同12年9月14日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成25年10月1日にされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証及び検甲第1号証を提出した。 (1)請求の理由(要約) 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)認否 ア 請求人は、乙第1号証及び乙第2号証並びに検乙第1号証及び検乙第2号証の包装袋の表面上部に、泡を模した青色の横長略楕円形状の中に、「Cure」の文字を白抜き文字で横書きし、その下段右寄りに「SERIES」の文字を比較的小さく白抜き文字で横書きし、横長略楕円形状の下側に緑色の「?」形状の図形が付されてなる商標(以下「使用商標」という。)を付した商品「ナイロンタオル」(以下「本件商品」という。)を商標権者が平成11年以降現在に至るまで継続して製造販売していることを認める。 イ 請求人は、本件商標と上記の商標権者の使用商標との間に社会通念上の同一性があることも認める。 ウ 一方、本件商品が本件商標の指定商品中の「タオル状あかすり」であることは否認する。 (3)請求人の具体的主張 ア 本件商標の出願経過 甲第2号証は、本件商標の出願経過を示す特許庁出願包袋在中の書類であるところ、本件商標は、出願当初、その指定商品が、第21類「タオル状あかすり,スポンジ状あかすり,その他のあかすり,スポンジたわし,その他の清掃用具及び洗濯用具」及び第24類「タオル,その他の布製身の回り品」であったものを、平成12年6月27日の手続補正書により、第21類「タオル状あかすり,スポンジ状あかすり、その他のあかすり」に補正している。 これに関し、商標権者は、平成12年6月27日付け意見書において、「この補正により削除した商品は、『商品及び役務の区分に基づく類似商品・役務審査基準[改訂第8版]』によれば、『スポンジたわし,その他の清掃用具及び洗濯用具』が『19A05』、『タオル,その他の布製身の回り品』が『17B01』の類似群コードが付与されている。また、補正をした後の本願の指定商品『タオル状あかすり,スポンジ状あかすり,その他のあかすり』は、『あかすり』の範疇に包含されるものであるから、類似群コード『21F01』に含まれるものである。」旨主張している。すなわち、商標権者は、例え「タオル」であっても、類似群「17B01」に属するものと類似群「21F01」に属するものがあり、本件商標の指定商品中の「タオル状あかすり」(第21類)は、「あかすり」の範疇に包含される類似群「21F01」に属するものであると主張している。 イ 本件商品が類似群「21F01」に属する商品ではないことについて 例え「タオル」であっても類似群「17B01」に属するものと類似群「21F01」に属するものがあるとの商標権者の主張はその限りにおいては正当である。 しかし、以下のとおり、本件商品は、類似群「21F01」に属するものではない。 (ア)商標法にいう商品の属性を決定する上の要素として、少なくとも原材料及び品質のほかに、生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲が問題となる。 (イ)類似群「17B01」に属する「タオル」とは、体を拭いたり、洗浄する際に使用する布片を指す。すなわち、「タオル」とは、体を拭くだけでなく、入浴に際し体を洗う時にも使用される。ちなみに、WIPO Goods&Serviceマネージャーデータの「wash cloths(顔・体洗浄用タオル)」に関し、特許庁では類似群「17B01」を付している(甲3)。 一方、類似群「21F01」に属する「タオル状あかすり」とは、毛穴の汚れや不要な角質の垢を削り取るボディケアで、韓国で習慣的に行われている美容方法である「あかすり」に使用するためのタオルである。このタオルは、お湯に浸してきつく絞ると表面がヤスリ状になり、この表面と皮膚の間の摩擦抵抗によりヤスリをかけるように皮膚表面を削り取る。 (ウ)本件商品の現物として提出された検乙第1号証及び検乙第2号証を見る限り、本件商品は、ナイロンからなり、お湯に浸しきつく絞ると表面がヤスリ状になり、「あかすり」の用途にも使用できそうである。 しかし、本件商品の包装に記された用途や使用法、また、商品カタログ(乙12)には、それが「あかすり」の用途に使用されたりすることをうかがわせる記載は一切ない。 一方、包装袋には「ソフトな感触で少量の石鹸でもよく泡立ち、お肌の汚れを落とし、すすぎも簡単で乾きも早く、トラベルにも最適。」(乙1:タオルの包装表面)、「泡立ちが豊かでお肌の汚れをきれいに落とします。」(乙1:タオルの包装裏面)、「適度な感触で少量の石鹸でもよく泡立ち、お肌の汚れを落とし、すすぎも簡単で乾きも早く、トラベルにも最適。」(乙2:タオルの包装表面)、「肌ざわりはかためで、心地よい刺激感があり、豊かな泡立ちでお肌の汚れをきれいに落とします。」(乙2:タオルの包装裏面)及び「●体洗い以外の用途には使用しないでください。」(乙1・乙2:タオルの包装裏面)などの記載があり、それが入浴に際し体を洗う時に使用する用途のタオルであることが明らかである。特に、「少量の石鹸でもよく泡立ち」、「豊かな泡立ちで」の記載は、タオルと皮膚の間の摩擦抵抗を減じてしまうので石鹸を使用しないことが原則である「あかすり」と相反するもので、本件商品が、「あかすり」の用途でなく、入浴に際し体を洗う時に使用する用途で販売されていることを表している。 (エ)甲第5号証は、商標権者が「あかすりタオル」として製造販売している商品であり、検甲第1号証はその現物である。また、甲第6号証は、商標権者のホームページの一部である。 甲第5号証及び検甲第1号証から明らかなように、商標権者は、「あかすり」に使用するためのタオルを「あかすりタオル」として製造販売している。そして、その包装袋には「●アカスリ以外の用途には使用しないでください。」、「●石鹸はつけないでご使用ください。」と記載されており、それが「あかすり」の用途のタオル、すなわち、類似群「21F01」に属する「タオル状あかすり」であることは明らかである。 また、甲第6号証は、商標権者の商品ラインアップのうちのバス用品に関するものを記載したものであるが、そこでは「ボディタオル」と「ボディケアグッズ」を別部門の商品として明確に峻別して区分けしている。そして、本件商品と同等の「NFナイロンタオル」(甲6の4頁目)が「泡立ちも泡含みも良いものになっています。」、「程よい刺激」、「適度なかたさ」の説明とともに、同じく「NF綿ナイロンタオル」(甲6の5頁目)が「水切れと泡立ちが良いナイロンと、ソフトな綿をミックスしたタオルです。」の説明とともに、「ボディタオル」の部門に収録されている一方、甲第5号証の「あかすりタオル」は「ボディケアグッズ」の部門(甲6の最終頁)に収録されている。 すなわち、商標権者は、甲第5号証の本来の「あかすりタオル」と、本件商品と同等のナイロンタオルに関しては販売部門を区分けしている。 (オ)以上の状況を総合した場合、本件商品は、類似群「21F01」に属する「タオル状あかすり」とは用途、販売部門、需要者の範囲が明らかに異なり、類似群「17B01」に属する「体洗浄用タオル」以外のなにものでもない。 ウ 本件商品が「タオル状あかすり」ではないことについて (ア)「タオル」とは、体を拭くだけでなく、入浴に際し体を洗う時にも使用されるものであり、汚れを落とすために肌を「こする」ことの一事をもって、それが類似群「17B01」に属する「タオル」ではないということはできない。 また、ナイロン100%からなる類似群「17B01」に属する「タオル」が存することは、甲第6号証の商標権者の商品ラインナップのうちのバス用品に関するものを記載した中に、「NFナイロンタオル」(甲6の4頁目)及び「NF綿ナイロンタオル」(甲6の5頁目)が「ボディタオル」の部門に記載されていることやナイロン製ボディタオルのカタログに関する甲第7号証及び甲第8号証からも明らかである。 一方、「あかすりタオル」にはレーヨン製(甲9)やシルク製(甲10)のものもあり、「あかすりタオル」=ナイロン100%という図式は当てはまらない。 (イ)「タオル状あかすり」なる商品は、我が国ではそれほどポピュラーではなく、商品採択にあたり、需要者は包装袋などに記された用途、使用法を手がかりにするものであり、そのような記載が一切なく、浴用タオルとしての用途、使用法しか記されていない本件商品を需要者に「タオル状あかすり」と認識される余地は存しない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証、検乙第1号証及び検乙第2号証を提出した。 (1)本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において、商標権者自身が現に使用しているものであり、請求人の主張は、本件商標の使用事実を知らないで、あるいは知るべく真摯な調査を行うことなくなされた事実に反する主張であり、正当な根拠を有しない。 以下、本件商標の使用事実を証拠に依拠して具体的に説明する。 ア 本件商品 被請求人は、平成11年以降現在に至るまで継続して、乙第1号証、乙第2号証の各写真に示す、本件商品を広く販売してきた。検乙第1号証、検乙第2号証は、本件商品の実物である。 イ 本件商品に付された商標 乙第1号証、乙第2号証において、本件商品の包装袋の表面上部には、「Cure」の文字を含む青色の商標が付されている。 この商標は、泡を模した青色の横長略楕円形状の中に、「Cure」の文字を白抜き文字で横書きし、その下段右寄りに「SERIES」の文字を比較的小さく白抜き文字で横書きし、横長略楕円形状の下側に緑色の「?」形状の図形が付されてなるものであり、横長略楕円形状が黒色か青色か、「?」形状の図形がグレーか緑色かという色彩において本件商標と相違するが、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 また、本件商品の包装袋の裏面には、製造販売元として「株式会社オーエ 和歌山県海南市大野中1010」の各表示があり、本件商品が被請求人の製造販売に係る商品であることは明白である。 また、本件商品は、入浴時に使用されるナイロンタオルであり、本件商標の指定商品「タオル状あかすり」であることも明白である。 ウ 本件商品の取引事実 乙第3号証ないし乙第11号証は、被請求人が本件商品を取引先である株式会社友和鹿児島、株式会社友和YDC朝倉及び株式会社友和YDCさぬきに納品した際の売上伝票の写しである。 (ア)乙第3号証 乙第3号証の売上伝票は、宛名欄に「(株)友和 鹿児島様」と記載され、発行者欄に「株式会社オーエ」と記載され、発行年月日欄に「25 4 15」と記載されており、商標権者から株式会社友和鹿児島に宛てて平成25年4月15日に発行されたものである。 商品コード・品名欄の「C クアナイロンタオル100 ふつう B」、「C クアナイロンタオル100 かため G」は、それぞれ乙第1号証の1及び同2の各写真の本件商品を示している。 このことは、本件商品の包装袋の裏面に貼着されたバーコードシールに「C クアナイロンタオル100 ふつう B」、「C クアナイロンタオル100 かため G」の表示があることからも明らかである。 乙第3号証により、商標権者が株式会社友和鹿児島に対して本件商品を平成25年4月15日に販売したことは明らかである。 (イ)乙第4号証、乙第5号証 乙第4号証、乙第5号証の売上伝票は、それぞれ発行年月日が平成25年3月18日、同年3月5日であり、前述の乙第3号証と合わせ、商標権者が株式会社友和鹿児島に本件商品を複数回にわたって繰り返し販売していたことを示すものである。 (ウ)乙第6号証ないし乙第11号証 乙第6号証ないし乙第8号証の売上伝票は、宛名欄に「(株)友和YDC朝倉様」と記載され、乙第9号証ないし乙第11号証の売上伝票は、宛名欄に「(株)友和YDCさぬき様」と記載されており、商標権者が株式会社友和YDC朝倉及び株式会社友和YDCさぬきという複数の取引先に対して本件商品を複数回にわたって繰り返し販売していたことを示すものである。 エ 本件商品に付されたロット番号について 乙第1号証の商品パッケージ裏面右上隅部に「040131C」のロット番号の印字があるが、これは「04」が日、「01」が月、「3」が年、「1」が縫製機械を示す番号、「C」が検査者を示す符号となっており、この商品が2013年1月4日に1番の縫製機械により製造され、検査者Cにより検査されたことを示している。 なお、乙第2号証の「150731C」は、同様に、2013年7月15日に1番の縫製機械により製造され、検査者Cにより検査されたことを示している。 オ 乙第12号証 乙第12号証は、本件商品の発売開始当時の商品カタログ(チラシ)の写しである。 乙第12号証の商品カタログには、裏面の右下隅に「99.12」の記載があり、本件商標が登録出願された平成11年9月から間もない、1999年(平成11年)12月の発行であることがわかる。 乙第12号証は、発行時期が古く、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用を直接立証する証拠ではないが、本件商品の商品カタログは改訂版を作成していないため、商標権者が本件商品を古くから実際に使用してきたことを示す証拠として提出する。 カ 小括 以上によれば、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内において、本件商標をその指定商品について当該商品の包装に付して販売(譲渡)することにより、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号の使用実績を有するものである。 (2)まとめ 以上のとおり、本件商標は、その指定商品「タオル状あかすり」について、本件審判の請求の登録前3年以内において使用されてきたものであるから、商標法第50条第1項に規定される不使用の取消事由を有しない。 4 当審の判断 (1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証は、本件商品が包装された状態を表面及び裏面として撮影された写真からなるものであり、その包装袋の表面上部には「NYLON TOWEL」、「ナイロンタオル・ふつう」及び「100cm」の文字が表示され、それらの文字の上方に使用商標が表示されている。 同じく、包装袋の裏面上方部には、使用商標及び「ナイロンタオル・ふつう」の文字が表示されており、バーコード表示部分には、バーコード上部に「Cクアナイロンタオル 100ふつう B」の文字等が表示され、その右方に、商標権者の名称及び住所等が表示されていることが認められる。 イ 乙第2号証は、乙第1号証と同様に、本件商品が包装された状態を表面及び裏面として撮影された写真からなるものであり、その包装袋の表面上部には「NYLON TOWEL」、「ナイロンタオル・かため」及び「100cm」の文字が表示され、それらの文字の上方に使用商標が表示されている。 同じく、包装袋の裏面上方部には、使用商標及び「ナイロンタオル・かため」の文字が表示されており、バーコード表示部分には、バーコード上部に「Cクアナイロンタオル 100かため G」の文字等が表示され、その右方に、商標権者の名称及び住所等が表示されていることが認められる。 ウ 乙第3号証ないし乙第5号証は、商標権者から「(株)友和 鹿児島」宛ての売上伝票であり、順次、平成25年4月15日付け、同年3月18日付け、同年3月5日付けのものであることが認められ、これらの日付は本件審判の請求の登録前3年以内のものである。 また、乙第6号証ないし乙第8号証は、商標権者から「(株)友和YDC朝倉」宛ての売上伝票であり、順次、平成25年4月16日付け、同年3月19日付け、同年3月6日付けのものであることが認められ、これらの日付は本件審判の請求の登録前3年以内のものである。 さらに、乙第9号証ないし乙第11号証は、商標権者から「(株)友和YDCさぬき」宛ての売上伝票であり、順次、平成25年4月16日付け、同年3月19日付け、同年3月5日付けのものであることが認められ、これらの日付は本件審判の請求の登録前3年以内のものである。 そして、上記の各伝票の商品コード・品名欄には、「C クアナイロンタオル100 ふつう B」又は「C クアナイロンタオル 100かため G」の記載が存在し、乙第1号証又は乙第2号証に表示されたバーコード上部の「Cクアナイロンタオル 100ふつう B」又は「Cクアナイロンタオル 100かため G」の文字と符合していることが認められる。 (2)上記(1)で認定した事実によれば、使用商標が付された包装袋に入れられた本件商品は、商標権者から「(株)友和 鹿児島」、「(株)友和YDC朝倉」及び「(株)友和YDCさぬき」に対して、本件審判の請求の登録前3年以内にあたる時期に、それぞれ少なくとも3回にわたって販売(譲渡)されたことが推認される。そして、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。これらの点について、当事者間に争いはない。 (3)本件商品が本件審判の請求に係る指定商品中の「タオル状あかすり」の範疇に属するものであるか否かについて、争いがあるので、以下検討する。 ア 被請求人提出の証拠によれば、上記(1)で認定した事実のほかに、以下の事実が認められる。 (ア)乙第1号証において、包装袋の表面に、「●ソフトな感触で・・・、お肌の汚れを落とし、・・・」との記載があり、さらに、包装袋の裏面には、「注意」として、「●皮膚は同一箇所をあまりにも強く長時間こすりすぎると、まれに肌を痛めたり・・・という症例が報告されています。」、「●お肌の弱い方や、幼児、アレルギー体質の方、及び皮膚に異常のある時は、ご使用にならないでください。」、「●こすっていて痛みを感じた場合は使用を中止してください。」ほかの記載があり、「材質/ナイロン100%」、「サイズ/約28×100cm」の表示がされている。 (イ)乙第2号証において、包装袋の表面に、「●適度な感触で・・・、お肌の汚れを落とし、・・・」との記載があり、さらに、包装袋の裏面には、「注意」として、「●皮膚は同一箇所をあまりにも強く長時間こすりすぎると、まれに肌を痛めたり・・・という症例が報告されています。」、「●お肌の弱い方や、幼児、アレルギー体質の方、及び皮膚に異常のある時は、ご使用にならないでください。」、「●こすっていて痛みを感じた場合は使用を中止してください。」ほかの記載があり、「材質/ナイロン100%」、「サイズ/約28×100cm」の表示がされている。 イ 上記アによれば、本件商品は、ナイロン100%からなり、約28cm×100cmの大きさ(寸法)であって、入浴時に肌の汚れを落とすために肌をこするのに用いる製品と解され、その材質・形状・用法等に照らせば、「タオル状あかすり」と認め得るものである。そして、これが本件審判の取消請求に係る指定商品の一であることは明らかというべきである。 ウ 請求人は、この点について、「本件商品は、類似群『21F01』に属する『タオル状あかすり』とは明らかに異なり、類似群『17B01』に属する『体洗浄用タオル』である。」旨主張している。 そして、確かに、本件商品の包装袋上には、「あかすり」の直接的な表示や記載は見いだせない。 しかしながら、「商標法50条所定の商標不使用取消審判請求を審理するに際して,商標権者(専用使用権者又は通常使用権者を含む。)において商標を使用している当該商品が,審判請求人が取消しを求めた『指定商品』に含まれるか否かを判断するに当たっては,使用に係る当該商品について,単に形式的,画一的に考察すべきでなく,取引の実情や需要者,取引者の認識,社会通念等を総合して考察すべきであるから」(知財高裁平成23年(行ケ)第10028号同年5月30日判決参照)、この観点から、本件について、更に検討するに、「『商品及び役務の区分』に基づく類似商品・役務審査基準」(特許庁商標課編)における類似群「17B01」に属する商品は、「布製身の回り品」(第24類)が該当し、その中には「タオル,手ぬぐい,ハンカチ,ふくさ,ふろしき」が含まれるとして例示されており、第24類には、主として、織物(反物)及び家庭用織物製カバーを含むとされ、「布製身の回り品」の商品概念には、「手ぬぐい」等の家庭用の繊維製品であって、他の類に属さないものが含まれるとされる一方、同じく類似群「21F01」に属する商品は、第21類中において「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」が該当するとされ、その中には「あかすり,おしろい入れ,くし,コンパクト,歯ブラシ」等が含まれるとして例示されており、第21類には、主として、家庭用及び台所用の小型手動式器具並びに化粧用具、ガラス製品及び磁器製品を含むとされ、「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」の商品概念には、主に化粧品を塗布等のための「道具」が該当するとされている。 そして、「タオル」とは、洗顔、入浴、汗ふきに用いるパイル織物をいうものと解され(東洋経済新報社「商品大辞典」参照)、また、「あかすり(垢擦り)」とは、「入浴の時、肌の垢をこすり落とすのに用いるもの」と解される(「広辞苑」参照)ところ、上記ア及びイのとおり、本件商品は、ナイロン100%からなるものである上、包装袋裏面の注意書きに照らせば、肌をこするためのものとみられ、その材質・形状が「あかすり」に適した製品とみるのが相当であって、「タオル」とは解し得ないものであるから、当該商品に接する取引者・需要者が、洗顔、入浴、汗ふきに用いる「タオル」と把握するというよりも、タオル状に形成された「あかすり」と把握して取引にあたるものというべきである。 また、商標権者の製造販売に係るほかの製品中には、本件商品とは別に「あかすりタオル」と表示をした商品が存在すると認められる(甲5)が、当該ほかの製品の存在をもって直ちに本件商品が「あかすり」の範疇に属さないとの理由にはなり得ないというべきである。 したがって、本件商品が「タオル状あかすり」と認められるとする上記判断は、請求人の上記主張によって左右され得ないものである。 (4)むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、その請求に係る指定商品中の「タオル状あかすり」について、商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審決日 | 2014-06-27 |
出願番号 | 商願平11-79745 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Z21)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山口 烈 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
寺光 幸子 酒井 福造 |
登録日 | 2000-09-14 |
登録番号 | 商標登録第4416957号(T4416957) |
商標の称呼 | キュアシリーズ、キュア |
代理人 | 清水 久義 |
代理人 | 神保 欣正 |
代理人 | 清水 義仁 |