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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X35
管理番号 1290700 
審判番号 取消2013-300692 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-08-12 
確定日 2014-08-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5328441号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5328441号商標の指定役務中、第35類「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5328441号商標(以下「本件商標」という。)は、「みずほ」の文字を標準文字で表してなり、平成19年7月2日に登録出願、第35類「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同22年1月25日に登録査定、同年6月11日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年8月27日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務中の「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて、商標法第50条第2項ただし書の正当な理由が存在すると主張している。
すなわち、被請求人は、本件商標をその指定商品中の「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用をしていないことを自認している。
イ 商標法第50条第2項は、「前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。」と規定するところ、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについての正当な理由として、平成11年12月16日に登録出願され、同13年6月1日に設定登録された商標登録第4478383号に係る「MIZUHO」の登録商標の存在を挙げている。
そして、被請求人は、本件商標を使用した場合、「広告」あるいは「商品の販売に関する情報の提供」を指定役務とする株式会社みずほフィナンシャルグループの「MIZUHO」、「みずほ」商標との関係で、同社の当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなされ得る(商標法第37条)とし、それ故に、本件商標を使用していなかったのであるから、商標法第50条第2項ただし書の正当な理由が存在すると主張している。
ウ 本件商標は、第35類において、「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」という小売等役務について登録されたものであるのに対し、商標登録第4478383号は「広告,商品の販売に関する情報の提供」を含む第35類に属する役務を指定役務とするものであるところ、両者は、全く無関係であり、また、それ故に、後者の商標登録が存在するにもかかわらず、本件商標の登録が認められたのである。
被請求人は、独自の憶測によって商標の使用をしていなかったのであり、到底正当な理由があるとはいえない。
エ 「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第19版]」では、「ここでいう『正当な理由』としては、例えば、その商標の使用をする予定の商品の生産の準備中に天災地変等によって工場等が損壊した結果その使用ができなかったような場合、時限立法によって一定期間(三年以上)その商標の使用が禁止されたような場合等が考えられる。」としている。
また、平成22年(行ケ)第10012号審決取消請求事件においては、「商標法50条2項ただし書にいう『正当な理由』とは,地震等の不可抗力によって生じた事由,第三者の故意又は過失によって生じた事由その他の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰すことができない事由が発生したために,商標権者等において,登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうと解するのが相当である」と判示している。
オ 上記から明らかなとおり、被請求人は、本件商標を使用できたにもかかわらず、使用していなかったのであり、天災地変等、法令による禁止等、被請求人の責めに帰することができない事由によって使用していなかったわけでもなく、その不使用について正当な理由があるとはいい得ない。
カ 以上のとおり、被請求人は、本件商標をその指定役務中、本件審判の請求に係る「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用していないことは明らかであり、また、その不使用については、正当な理由があるとはいえない。
よって、本件商標は、その指定役務中の上記「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標の使用をしていないことについては、以下のとおり、商標法第50条第2項ただし書の正当な理由が存在する。
ア 小売等役務のインターネット利用が社会通念となっていた状況で、国会・経済産業省が関わった商標法の改正により、「小売等役務商標制度」が導入された。この改正では、既存の「広告」、「商品の販売に関する情報の提供」の指定役務に加え、「小売等役務」を指定役務とした。
国会(立法府)は、第164回国会において、内閣提出法律案(主管官庁:経済産業省。小売業者等がその業務に係る小売・卸売に使用する商標の保護制度を導入することを含む「意匠法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第55号)を審議し、平成18年6月7日に公布(乙第1号証。「閣法第164回国会 69 意匠法等の一部を改正する法律案 議案審議経過情報」)、平成19年4月1日より施行された。小売業、卸売業が使用するマークをサービスマーク(役務商標)として保護する制度(小売等役務商標制度)がスタートした。この平成18年法律第55号の国会での審議時には、小売等役務がインターネットでなされていること、また、インターネットを介した商取引(BtoB・BtoC)がなされていることは社会通念となっていたといえる。
イ 経済産業省特許庁が作成した平成18年法律第55号に係る資料(乙第2号証。「平成18年法律第55号解説書」)の「第三部 商標法の改正項目」中の78頁ないし79頁には、「『小売等役務商標制度』の基礎となった、ニース協定の「ニース国際分類 類別表(第9版)」の第35類の日本語訳として、「この類には、特に、次のサービスを含む。/他人の便宜のために各種商品を揃え(運搬を除く)顧客がこれらの商品を見、かつ、購入するために便宜を図ること。当該サービスは、小売店、卸売店、カタログの郵便による注文、またはウェブサイトまたはテレビのショッピング番組などの電子メディアによって提供される場合がある。」とある。この「ウェブサイト」は、インターネット上のウェブサイト(日本では「ホームページ」とも称される。)のことで、小売等役務においてインターネット利用がされていることを示している。
ウ 平成20年度に経済産業省がまとめた報告書によれば、卸売・小売(BtoB・BtoC)の便益の提供(商取引)に当たり、インターネットの利用は既に社会通念となっているといえる(乙第3号証。「平成20年度我が国のIT利活用に関する調査研究事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」)。この報告書からも、国会が「意匠法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第55号)を審議した時点においても、卸売・小売(BtoB・BtoC)の便益の提供(商取引)に当たりインターネットを用いることは、既に社会通念となっているといい得る。
「広告」、「商品の販売に関する情報の提供」の役務は、「小売等役務商標制度」以前から存在していた(乙第4号証。「商品及び役務の区分に基づく類似商品・役務審査基準[国際分類第8版対応]」)。国会は、これらの役務の存在を承知して(「広告」、「商品の販売に関する情報の提供」とは別の役務として)、商標法を一部改正して小売業、卸売業の者が使用するマークをサービスマーク(役務商標)として保護する「小売等役務商標制度」を設けている。
エ 「小売等役務商標制度」が導入されるまでは、小売業者等は、「業として商品を譲渡する者」(商標法第2条第1項第1号)に該当するものとされ、「商品」に係る商標としては商標法による保護が図られていた。そのため、小売業者等が使用する商標について商標法上の保護を求める場合、販売する商品と関連して、商品に係る商標権を取得し、商品としての側面から保護を受けることとなっていた(乙第3号証の75頁)。別の表現をすれば、小売業者・卸売業者がその販売する商品と関連して商品に係る商標権(商品商標)を取得することを要しないとしたのが、「小売等役務商標制度」である。
オ インターネットのDNS・ドメイン名を用いる伝達手段であるウェブサイト(ホームページ)や電子メール(乙第5号証の1ないし3)によって小売等役務商標の使用をした場合、その使用は、「広告」あるいは「商品の販売に関する情報の提供」ともされ得る司法判断が示された(乙第6号証。知的財産高等裁判所平成21年(行ケ)第10354号)が、被請求人は、しばらくした後に該判決を知るに至った。
カ 株式会社みずほフィナンシャルグループは、「広告」、「商品の販売に関する情報の提供」を指定役務に含む商標登録第4478383号に係る「MIZUHO」の登録商標(乙第7号証)を所有しているところ、該商標登録が無効とされていたならば、被請求人は、何の支障もなく本件商標を使用できるのであるが、司法判断によってそれは否定された。すなわち、被請求人は、平成9年4月に取得したドメイン名「MIZUHO.NET」(乙第8号証)の称呼である「みずほねっと」商標を「広告」、「商品の販売に関する情報の提供」を指定役務に含めて平成9年5月26日に登録出願し、平成11年3月5日に設定登録された(乙第9号証。商標登録第4246220号)のに対し、株式会社第一勧業銀行(現株式会社みずほフィナンシャルグループ)は、「広告」、「商品の販売に関する情報の提供」を指定役務に含む「MIZUHO」商標を平成11年12月16日に登録出願し、平成13年6月1日に設定登録された(乙第7号証)ところ、被請求人は、「みずほねっと」の後半部の「ねっと」は形容詞的文字あるいは指定役務において慣用される文字であって、「みずほねっと」と「MIZUHO」とは類似商標であるとして無効審判を請求したが、司法判断により、その請求は否定された(乙第10号証の1ないし3)。
キ 銀行等の金融機関の標章(名称)については、以下に示すように、昨今、合併等によりその変更が大手金融機関においても行われている。
(ア)協和銀行+埼玉銀行→協和埼玉銀行→あさひ銀行+大和銀行→りそな銀行・埼玉りそな銀行
(イ)太陽銀行+神戸銀行→太陽神戸銀行+三井銀行→太陽神戸三井銀行→さくら銀行+住友銀行→三井住友銀行
(ウ)第一勧業銀行+富士銀行+日本興業銀行→みずほホールディングス(持株会社)→みずほフィナンシャルグループ(持株会社)
上記「あさひ」や「さくら」の標章は、現在では、使われていても、その金融機関の一部の関連企業の名称にとどまるが、みずほフィナンシャルグループ及びそのグループ企業では、「MIZUHO」、「みずほ」標章を本件商標の登録日以降現在まで冠している状況にある。
(2)まとめ
株式会社みずほフィナンシャルグループの所有する商標登録第4478383号に係る「MIZUHO」の登録商標が無効とされていたならば、被請求人は、何の支障もなく本件商標を使用できるのであるが、司法判断によってそれは否定された。
また、銀行等の金融機関の標章(名称)については、昨今、合併等によりその変更が大手金融機関においても行われているが、株式会社みずほフィナンシャルグループ及びそのグループ企業では、「MIZUHO」、「みずほ」標章を本件商標の登録日以降現在まで冠している状況にある。
知的財産高等裁判所による平成21年(行ケ)第10354号の判決に準拠するならば、インターネット上で小売等役務商標の使用をした場合、その使用は、「広告」あるいは「商品の販売に関する情報の提供」ともされ得る。該判決を知っていながら(知ってから後に)、インターネット上で本件商標を小売等役務商標として使用した場合、本件商標の先願に係る上記「MIZUHO」の登録商標や、その後に出願され、登録された「広告」、「商品の販売に関する情報の提供」を指定役務とする「MIZUHO」、「みずほ」商標との絡みで、「悪意」の使用であるとされ得る可能性を否定することができない。
もっとも、小売等役務の登録商標の指定役務に関連して、その販売する商品に係る商標(商品商標)を取得した上で、該商品について「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」という役務を行うのであれば分からないが、「小売等役務商標制度」は、「商品商標」の取得を必要としない制度であることから、被請求人は、本件商標の取得の後、小売等役務の登録商標の指定役務(本件審判においては、「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が該当する。)に関連して、その販売する商品(本件審判においては、「日本酒」が該当する。)に係る商標登録出願を行っていなかった。つまり、被請求人は、本件商標の指定役務に関連して、その販売する商品に係る「商品商標」を有していない。この状態で本件商標を使用した場合、「広告」あるいは「商品の販売に関する情報の提供」を指定役務とする「MIZUHO」、「みずほ」商標との絡みで、株式会社みずほフィナンシャルグループの当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなされ得るものであり(商標法第37条)、また、商標権者(被請求人)が故意に指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときとされ、商標登録を取り消すことについて審判を請求され得るものである(商標法第51条第1項)。
このような状況にあり、本件商標の使用をしていないことについて、商標法第50条第2項ただし書の正当な理由が存在し得る。

4 当審の判断
(1)商標法第50条第2項は、その本文において、商標法第50条第1項による商標登録の取消しの審判の請求があったときは、「その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定しているところ、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務「インターネットによる日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標の使用をしていないことを自認している。
(2)商標法第50条第2項は、そのただし書において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が指定商品又は指定役務に登録商標を使用していないとしても、「登録商標の使用をしていないことについて正当な理由」があることを商標権者である被請求人が明らかにしたときは、その登録商標は取り消されない旨規定しているところ、ここでいう「正当な理由」とは、地震、水害等の不可抗力、放火、破損等の第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由等、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用をすることができなかった場合をいうと解すべき(東京高等裁判所 平成7年(行ケ)第124号判決、知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10160号判決、知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10012号判決)ものである。
しかし、被請求人が主張する「正当な理由」とは、要するに、本件商標をその指定役務について使用をした場合、本件審判の請求とは何ら関係のない株式会社みずほフィナンシャルグループの所有に係る商標登録第4478383号との関係において、その商標権を侵害するものとみなされ得る又は、商標法第51条第1項に基づく商標登録の取消しの審判が請求され得ることを被請求人が懸念しているためというにとどまるものであるから、これらが上記第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由や、商標権者等の責めに帰することができない事由のいずれにも該当するとは認められない。
してみれば、被請求人主張の理由をもって、本件商標の使用をしていないことについて、商標法第50条第2項に規定する正当な理由があるということはできない。
(3)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成25年8月27日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求に係る指定役務について、登録商標の使用をしていたことを証明したということはできず、また、その使用をしていないことについて正当な理由があったということもできない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中の「結論掲記の役務」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-04-08 
結審通知日 2014-04-10 
審決日 2014-04-25 
出願番号 商願2007-73324(T2007-73324) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今田 三男津金 純子 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 田中 敬規
梶原 良子
登録日 2010-06-11 
登録番号 商標登録第5328441号(T5328441) 
商標の称呼 ミズホ 
代理人 大島 泰甫 
代理人 稗苗 秀三 
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