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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2014900022 審決 商標
異議2013900387 審決 商標
異議2012900213 審決 商標

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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W03
審判 一部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1289811 
異議申立番号 異議2014-900005 
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-08-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-01-06 
確定日 2014-07-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5620209号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5620209号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5620209号商標(以下「本件商標」という。)は、「ステラ・ボーテ」の文字を標準文字で表してなり、平成25年6月5日に登録出願され、第3類「口臭消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年9月18日に登録査定、同年10月4日に設定登録されたものである。

第2 本件登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項により、その指定商品中、第3類「化粧品」についての登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第5438701号商標(以下「引用商標」という。)は、「STELLA」の欧文字を横書きしてなり、平成20年11月13日に登録出願、第3類「香水類,化粧品」を指定商品として、同23年9月16日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ステラ・ボーテ」の片仮名からなるところ、「ステラ」及び「ボーテ」の語は「・」で区切られており、「・」の記号は2つの別異の語を併記する際に使用するのが常であることから、本件商標は、不可分一体としてのみ看取されるというよりは、「ステラ」と「ボーテ」の2語に分離して認識されるものといえる。
そして、本件商標構成中の「ボーテ」は、フランス語の「BEAUTE」の片仮名表記であって、これが「美しさ・美・美容」等の意味を表すことは、美容の分野を中心に我が国においても周知の事実である(甲3)。また、本件商標の指定商品中、特に「化粧品」に関して、「ボーテ」の語は、頻繁にその名称中に使用されており(甲4)、該語が前記のような意味合いを持つものと解さない取引者・需要者においても、これが美容や化粧品と何らかの関連を示唆する語であると認識する可能性はあるとしても、特定の商品と結びつく自他商品識別力を有する語であると認識されるとは考えられない。
上記のような事実が特許庁においても認識されていることは、「BEAUTE」及び「ボーテ」からなる登録出願が拒絶査定された判断からも窺うことができる(甲5及び甲6)。
そうすると、本件商標において、強い自他商品識別力を発揮するのは、「ステラ」の部分であるというのが相当であり、簡易迅速を尊ぶ取引の実情に照らせば、一般的に使用され、識別力の弱い「ボーテ」の部分を省略し、「ステラ」として取引に資する場合も少なくないから、本件商標からは、その構成文字全体より生ずる「ステラボーテ」の称呼の他に、「ステラ」の称呼が生じるといえる。
他方、引用商標は、「STELLA」の欧文字からなり、該文字に相応して「ステラ」の称呼を生じる。「STELLA」とは、ラテン語の「星」に由来する語であり、欧米では女性の名として使用される(甲7)。なお、「STELLA」は、申立人の代表デザイナーである「STELLA McCARTNEY(ステラ マッカートニー)」の名でもある。
そして、本件商標と引用商標を比較すると、両商標は「ステラ」の称呼及び「ステラ(という女性の名)」の観念を共通にするものであるから、本件商標と引用商標は、同一の称呼及び観念を生ずる類似の商標であるというべきである。
なお、上記のとおり、本件商標の構成中「ボーテ」の文字部分は、本件商標の指定商品中、特に「化粧品」について極めて識別力が極めて弱いものであり、単独ではもとより、他の語と結合したとしても「(○○の)化粧品」、「(○○の)美容関連商品・事業」といった付加的な意味合いを表す効果があるにすぎないから、たとえ本件商標が、「ステラ・ボーテ」一体として認識されたとしても、本件商標からは、「ステラ(という女性)の化粧品」、あるいは「ステラ(という女性)の提供する美容関連商品・事業」といった意味合いが生じ、本件商標の指定商品、特に「化粧品」との関係においては、本件商標と引用商標は、同一又は類似の観念を生ずるというべきである。
また、特許庁の過去の審査において、「ボーテ」または「BEAUTE」の有無という差異を有する商標が、先登録商標と類似と判断され、登録を拒絶されている事例が存在し(甲8ないし甲12)、本件もこれら事案と同様であり、本件商標において自他商品識別標識として機能するのは「ステラ」の文字部分であるから、本件商標と引用商標は、共通の称呼及び観念を生じる互いに類似する商標というべきである。
さらに、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品である「香水類,化粧品」を含むものであり、本件商標は引用商標と同一又は類似の商品に使用するものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、引用商標と類似するものであり、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
申立人、ステラ マッカートニー リミテッドは、英国のファッションデザイナーであるステラ マッカートニーと、グッチを擁し、世界三大ファッションブランドグループと言われるフランスPPR社(現ケリング社)のラグジュアリー部門のパートナーシップにより、2001年に英国において設立された。ステラ マッカートニーは、元ビートルズのポール マッカートニーの次女として生まれ、ファッション界の名門である英国ロンドン芸術大学のセントラル セント マーチンズ カレッジ オブ アート アンド デザイン(Centoral Saint Martins College of Art and Design)に進学し、在学中からそのファッションデザインの才能が注目されるなど、自身の才能と実力でも広く名を知られるようになった。
申立人の商品は、ニューヨーク、ロサンジェルス、香港、パリ、ミラノなどに展開する25の直営店のほか、世界主要都市で600以上の卸売業者を通じて販売されている。我が国においても、全国の百貨店において商品が取り扱われているほか、2008年には、東京青山に国内第1号店、2013年には六本木ヒルズに第2号店のフラッグシップストアがオープンし、大きな話題となった(甲13)。
上記のように、著名なファッションデザイナーであるステラ マッカートニーが初めて手がけ、2003年に申立人により発売された香水に使用されてきたのが、該デザイナー自身の名からなる引用商標である(甲14)。申立人は、我が国においても2008年から本格的に香水を発売し、その日本総売上は、初年度で122,000ユーロを超えた。なかでも、引用商標を冠した「香水」は、上品で豊かなローズをベースとした香りで我が国の女性の間においても高い人気を誇り、数々のファッション雑誌にも取り上げられた(甲15ないし甲24)。また、引用商標は、香水だけではなく、ボディクリームやボディローションにも使用されている(甲25)。
そして、引用商標は、申立人が請求した拒絶査定不服審判の審決(不服2010-7630)において、需要者の間にある程度認識されていることが認められるとの認定を受け、「スティラ/STILA」と出所の混同を生じないとして、商標法第4条第1項第11号には該当しないとの決定を受けた(甲26)。
上記のことからも、引用商標が、今日、我が国において著名な商標として認識されていることは明らかである。そして、先に述べたとおり、「ボーテ」は本件指定商品、特に化粧品の分野において識別力が極めて弱い、印象に残りにくい語であるから、取引者・需要者が、時と所を異にして本件商標に接した場合は、「ボーテ」の部分が捨象され、著名な引用商標を想起するのが自然である。
したがって、本件商標がその指定商品中「化粧品」に使用された場合、取引者・需要者をして、使用に係る商品が、申立人あるいは申立人と何らかの経済的、組織的関連がある者の提供に係るものであるかのごとく認識され、商品の出所に混同を生じるおそれがあるものというべきである。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
4 むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決)、商標は、その構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決)。
以下、これをふまえて本件について、本件商標と引用商標との類否を検討する。
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「ステラ・ボーテ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ステラ」の文字と「ボーテ」の文字との間に「・」(中黒)が配されていたとしても、全体の構成は、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、その構成文字全体から生ずる「ステラボーテ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。そして「ステラ」の片仮名が「女性の名前」を意味する英語「Stella」の読みと、また、「ボーテ」の片仮名が「美しさ、美」等を意味するフランス語「beaute」(「ロワイヤル仏和中辞典」旺文社)の読みとそれぞれ一致するものであるとしても、本件商標のかかる構成にあって、下記2(1)のとおり、「ステラ」の文字が我が国の需要者に広く認識されているということもできないことをも踏まえると、「ボーテ」の文字部分が捨象され、「ステラ」の文字部分が、本件指定商品の取引者や需要者に対し、強く支配的な印象を与えるものであるとはいえないものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体のものとして認識されるというべきものであり、その構成文字に相応した「ステラボーテ」の称呼のみを生じ、観念においては、その全体として、特定の意味合いを直ちに想起させるとはいえないものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2の1のとおり、「STELLA」の欧文字を横書きしてなるものであるから、これより、「ステラ」の称呼が生じ、「ステラという女性の名前」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標から生ずる「ステラボーテ」の称呼と引用商標から生ずる「ステラ」の称呼とは、前者の後半部に「ボーテ」の音が存し、両者の構成音数に明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、称呼上、容易に区別することができるものである。また、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成態様の相違に照らせば、外観上、明確に区別し得るものである。さらに、観念においては、本件商標が全体として特定の意味合いを想起させるとはいえないことから、本件商標と引用商標とは、観念では比較することができないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念を総合的に考察すると、相紛れるおそれのない非類似の商標ということができるものである。
なお、申立人は、「ボーテ」又は「BEAUTE」の文字の有無という差異を有する商標が、先登録商標と類似と判断され、登録を拒絶されている過去の審査例及び審決例(甲8ないし甲10)をあげ、本件商標もこれら事案と同様である旨主張しているが、商標の類否の判断は、検討されるべき商標について、当該判断時の取引の実情を勘案しつつ、個別具体的に判断されるべきものであるところ、申立人が示す前記事例と本件商標とは構成を異にするものであるから、申立人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人は、英国のファッションデザイナーであるステラ マッカートニーと、フランスPPR社(現ケリング社)のパートナーシップにより、2001年に英国において設立され、2008年に東京青山に、国内の第1号店を、2013年には東京六本木ヒルズに第2号店のフラッグシップストアをオープンし、それら店舗において、レディスウェアやアクセサリーをはじめ、ランジェリーやフレグランスなどを販売している(甲13)。
また、申立人の提出した日本国内で発行された雑誌やWebサイトの記載によれば(甲14ないし甲25)、申立人は、引用商標を表示した香水「STELLA」を2003(平成15年)年に日本において発売したこと、そして、女性向け雑誌である「MAQUIA」(2007年4月号)(甲15)を始めとし、「SEVENSEAS」(2007年5月号)(甲16)、「Hanako」(2007年6月号)(甲17)、「LUCi」(2007年6月号)(甲18)、「marisol」(2007年6月号)(甲19)、「ar」(2007年7月号)(甲20)、「美的」(2007年7月号)(甲21)、「JJ」(2007年7月号)(甲22)、「MORE」(2007年7月号)(甲23)、及び「SPUR」(2007年7月号)(甲24)の雑誌において、また、インターネットにも「楽天市場」「@cosme」「香水専門店 Jelly」「Beauty Factory」「香水主義」のウェブサイトにおいて「STELLA」あるいは「ステラ」の表示で申立人の香水が紹介されていること(甲14)、さらに、「楽天市場」及び「ビューティーサミット@コスメ党」(甲25)のウェブサイトにおいて、「STELLA」の文字が付されたボディクリーム及びボディローションが表示されていることが認められる。
しかしながら、上記雑誌は、全て2007年に発行されたものであり、また、ウェブサイトに関するものは、登録出願時又は登録査定時の前の日付のものはわずかしかなく、申立人の香水は、多くの場合、「イブ・サンローラン・パルファン」又は「ステラ マッカートニー」などの文字と共に紹介されているほか、「SHEER」の文字がボトルに大きく表示され、「シアーステラ」の名称として紹介されているものが含まれていることから、これらの紹介記事のみによって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているということはできない。
そして、その他、甲各号証には、香水、ボディクリーム及びボディローションを含めた化粧品に関して、日本における販売数量、販売地域、広告宣伝の方法や回数などの具体的事実については何ら証明されていないものであり、職権を持って調査するもそれら販売量等を見出すことはできなかった。
以上の状況からすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取り扱いに係る商品「香水」並びに「化粧品」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標とまでは認めることができないというのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標は、上記1のとおり、引用商標と相紛れるおそれのない別異の商標であり、しかも、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の取り扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているということもできないものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品中の「化粧品」に使用しても、取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものとはいえず、当該商品を申立人、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできないものである。。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお、申立人は、申立人が請求した拒絶査定不服審判の審決(不服2010-7630)において、引用商標は「香水」に使用され、需要者の間にある程度認識されていることが認められるとの認定を受けた(甲26)と主張しているが、該審決は、商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否についての判断がなされた事例にすぎないから、本件をこれと同列に扱うべきではない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-07-14 
出願番号 商願2013-42804(T2013-42804) 
審決分類 T 1 652・ 222- Y (W03)
T 1 652・ 25- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 中束 としえ
梶原 良子
登録日 2013-10-04 
登録番号 商標登録第5620209号(T5620209) 
権利者 有限会社オフィス・フルーツ
商標の称呼 ステラボーテ、ステラ、ボーテ 
代理人 田中 克郎 
代理人 白井 重隆 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 石田 昌彦 

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