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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20142920 審決 商標
不服20139372 審決 商標
不服201318783 審決 商標
異議2013900280 審決 商標
不服201320342 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W17
管理番号 1288805 
異議申立番号 異議2013-900294 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-08-30 
確定日 2014-05-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5586494号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5586494号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5586494号商標(以下「本件商標」という。)は、「BEAT」の欧文字(標準文字による。)を横書きしてなり、平成24年9月10日に登録出願、第17類「高分子複合圧電体を挟持した電気音響用途に適した柔軟性のあるプラスチック製積層フィルム,圧電効果を有するプラスチックフィルム,その他のプラスチック基礎製品」を指定商品として、同25年4月17日に登録査定、同年5月31日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として引用する登録第2139465号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和50年10月18日に登録出願、第11類「ステレオ電気蓄音機」を指定商品として、平成元年1月10日に登録すべき旨の審決があり、同年5月30日に設定登録、その後、同21年8月12日に指定商品を第9類「ステレオ電気蓄音機」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
(1)商標の類似性について
本件商標は、「BEAT」の欧文字を標準文字で書してなるところ、「ビート」の称呼及び「打ち負かす、打つ、心拍、拍子」等の観念が生じる(甲第3号証)。
他方、引用商標も、「Beat」の欧文字を、ややロゴ化した態様で書してなるところ、「ビート」の称呼及び「打ち負かす、打つ、心拍、拍子」等の観念が生じ、両商標は、称呼及び観念においては同一の商標である。
また、外観においても、両商標は、大文字と小文字や、細字と太字といった程度の差異しか有しておらず、離隔的に観察した場合は、微差を有するに過ぎないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において、明らかに類似の商標である。
(2)指定商品の類似性について
ア 商品の類似概念について
本件商標は、上記のとおり、「高分子複合圧電体を挟持した電気音響用途に適した柔軟性のあるプラスチック製積層フィルム、圧電効果を有するプラスチックフィルム」等を指定している。本件商標の審査においては、おそらく、これらの指定商品は、「プラスチック」を素材とする半加工品であって、第17類「プラスチック基礎製品」(類似群:34A01)に含まれる商品であると判断されたものと推察する。
他方、引用商標の指定商品は、「ステレオ電気蓄音機」であり、特許庁の審査基準によれば、第9類「音声周波機械器具(電気通信機械器具)」(類似群:11B01)に含まれる商品である(甲第4号証)。両商標の指定商品は、区分及び類似群の異なる非類似の商品として扱われ、本件商標の登録が認められたものと思料されるが、このような認定は、本件商標の指定商品が従来の概念では分別できない新規な商品であるから妥当でない。
区分及び類似群の概念は、過去裁判例等でも繰り返し述べられているとおり、「市場で流通する膨大な種類の商品を、商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類したもの」に過ぎないものである(昭和57年(行ケ)第67号:甲第5号証)。特許庁においても、指定商品・役務の類否関係を「推定」する基準を設けながらも、「商品の生産部門、販売部門の同一性、原材料、品質の同一性、用途の同一性、需要者の範囲の同一性及び完成品と部品の関連性を総合的に考慮し」、実態に即した柔軟な審査・審判実務が行われている(甲第6号証及び甲第7号証)。
本件商標の指定商品は、「音声周波機械器具」(類似群:11B01)にも該当する複合的な商品であり、以下のとおり、引用商標の指定商品とは類似するものである。
イ 本件商標の指定商品について
(ア)商品の実態(原材料、機能、用途等)
本件商標の指定商品は、「高分子複合圧電体を挟持した電気音響用途に適した柔軟性のあるプラスチック製積層フィルム、圧電効果を有するプラスチックフィルム」等であり、形式的には「プラスチックフィルム」として商品を特定している。しかし、これらは、一般的な「プラスチックフィルム」とは、その実態(原材料、機能、用途)が全く異なるものである。
一般的に、「プラスチックフィルム」とは、「二次元に広く延ばされた、通常、厚さ0.1ミリ以下の薄いプラスチックシート」などと定義づけられ、古くから包装材料等に用いられてきたものである(甲第8号証及び甲第9号証)。特許庁編集による「商品及び役務の区分解説」によっても、第17類には「電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック」と記されており、一般的な「プラスチックフィルム」の概念と差異はない(甲第10号証)。
他方、本件商標の指定商品は、「高分子複合圧電体を挟持した電気音響用途に適した柔軟性のあるプラスチック製積層フィルム、圧電効果を有するプラスチックフィルム」であり、明らかに、従来的な「プラスチック」の概念とは全く異なる機能を有する新規な商品であることがわかる。すなわち、プラスチックフィルムとは、一般的には、「電気絶縁」、「断熱」、「防音」など、何かを「遮断」する効果を有するものであるのに対して、本件商標の出願人(商標権者)の意図する商品は、「圧電効果」を有する特殊な効果を有する商品なのである(甲第11号証)。圧電効果とは、「水晶・ロシェル塩・チタン酸バリウムなどの結晶に力を加えると、応力に比例して電気分極が生じ、電圧が発生する現象。」をいうものである。
したがって、本件商標の指定商品は、「プラスチックフィルム」などと語尾を特定しているものの、実質的には、「プラスチックフィルム状の電気音響機械器具」、あるいは、「プラスチックフィルム状の電気音響機械器具の部品」などと把握されるべきものであって、本来的には、第9類(類似群:11B01)に属するべき商品であると思料されるものであり、仮に、第17類に該当するとしても、実質的には、引用商標の指定商品と類似するものであるから、一般的な類否基準を二者択一的に当てはめることは適当ではない。
(イ)使用の実態(名称、表示、形状・形態等)
本件商標の商標権者(富士フイルム株式会社)は、実際に、国内の複数の展示会で、本件商標「BEAT」を使用した商品を出品しており、甲第12号証ないし甲第17号証に示すとおり、「BEAT」をスピーカーに使用されるものと紹介している。
例えば、甲第13号証には、「nano tech 2013では、薄型のスピーカーや、巻き取り式のスピーカー、扇子状のスピーカーなどを展示した。」とあり、商標権者は巻取型スピーカーを展示しており、これは、一見するとプラスチックフィルムである。しかし、当該フィルムは、それ自身が振動し音声を発するものであるから、スピーカーとして機能し、認識されるものであり、その他、「BEAT」を使用したスピーカーとして扇子や折鶴状のものが紹介されている。これらは、「BEAT」が有する「フィルム状」という特徴を存分に生かして作成されたスピーカーであり、「BEAT」は、その外観、機能面ともに、スピーカーの主要部品として認識されるものである。
このように、本件商標の商標権者自身、「BEAT」は単なる「プラスチックフィルム」に使用されるものではなく、スピーカーそのもの、若しくは、その主要部品に使用されるものであることを明確にしている。
(ウ)需要者の認識
展示会に来場した需要者や、展示会に関する記事に接した需要者は、「BEAT」がスピーカーとして機能するものであると認識しており、それらを紹介した記事がインターネット上でも多く見られる(甲第18号証ないし甲第21号証)。
その展示会では、「BEAT」を使用したスピーカーとして扇子や折鶴状のものが紹介されており(甲第13号証)、それらは、一見すると、スピーカーの形状としては馴染みの薄いものであるが、逆に、その点が次世代のスピーカーとして「BEAT」が注目を集めている点であり、スピーカーとしての需要者の認識を高めているのである。
(エ)最新スピーカー技術の実態
スピーカーとは、「ラジオやテレビ、オーディオ装置などで、電気信号を音声に変える装置」のことであり(甲第22号証)、従来は、迫力のある高音質のものが求められてきたが、近年、ポータブル音楽プレーヤーの急速な普及などにより、音質に加えて、小型化が追及されるようになった。そして、現在は、より高音質でコンパクトなものとして、薄い平面の振動板を用いるフラットスピーカーが注目を集めている(甲第23号証)。
本件商標が使用される「フィルム型スピーカー」も、こうしたニーズから誕生したものと思料されるが、このフィルム型スピーカーは、既に、他社も開発し、実用化しているものである(甲第24号証ないし甲第30号証)。例えば、件外の京セラ株式会社(以下「K社」という。)が開発した「ピエゾフィルムスピーカー“スマートソニック”」は、「ファインセラミックスの圧電性を応用したピエゾ素子と、樹脂フィルムの組み合わせによって誕生した新構造のスピーカー」であるが、薄型テレビ、タブレット、PC、車載用など、様々な用途に用いられるものとして期待されている(甲第24号証)。実際に、このフィルムスピーカーは、既に、有機ELテレビ等に実装され、実用化されているものである(甲第25号証)。
なお、K社は、「スマートソニック(SMART SONIC)」の名称について、第9類「圧電スピーカー、圧電スピーカーを備えた電気通信機械器具」等を指定して権利化を図っている(甲第31号証ないし甲第33号証)。当該名称も、他社製品に組み込まれる半加工品としての性格を有するものであるが、K社は、あくまでも、このフィルムを第9類「圧電スピーカー」等に属する独立した商品として捉えている。
(オ)将来的な混同の生じる可能性
本件商標の商標権者の使用態様をみても、単なるプラスチックを原料としたフィルムではなく、その機能・用途において全く異なる商品、すなわち、フィルム状の音響器具を意図していることは明らかである。これらは、実質的には、引用商標の指定商品と類似するものであって、仮に、本件商標の登録が認められるとすれば、同一又は類似の商標について、引用商標の商標権者とは異なる者によって使用されることが認められることになり、需要者の間で商品の出所の混同を生じさせることは明白である。
ウ 小括
本件商標の指定商品は、以上のとおり、一般的な「プラスチックフィルム」とは全く異なる商品であって、本来的には、第9類において把握すべき商品、あるいは、第9類と第17類の双方で把握すべき商品であるから、「プラスチックフィルム」という言葉だけを形式的に当てはめて商品の類否を判断することは妥当でなく、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似するものである。
(3)まとめ
本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において類似の商標であり、また、類似の商品を指定商品としているものであるから、両者は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、その登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであると主張しているので、以下、検討する。
(1)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、上記1のとおり、「BEAT」の欧文字からなるものであり、「ビート」の称呼が生じ、「打ち負かす、打つ、打つこと、心拍、拍子」等の観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、上記2のとおり、「Beat」の欧文字からなるものであり、やはり、「ビート」の称呼が生じ、「打ち負かす、打つ、打つこと、心拍、拍子」等の観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、欧文字の大文字か小文字かの違いがあるとしても、いずれも同じ綴りの欧文字からなるものであるから、その外観において類似するものであり、また、それぞれから生ずる称呼及び観念を共通にするから、これらを総合的に勘案すれば、互いに類似の商標といわざるを得ないものである。
(2)本件商標と引用商標の指定商品の類否について
ア 本件商標の指定商品について
(ア)本件商標の指定商品の範囲
申立人は、展示会における商標権者の出展等を伝えるインターネット情報の写しである甲第12号証ないし甲第17号証を提出し、「『BEAT』は単なる『プラスチックフィルム』に使用されるものではなく、スピーカーそのもの、若しくは、その主要部品に使用されるものである」として、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似する旨主張している。
ところで、申立人が本件商標が該当すると主張している商標法第4条第1項第11号とは、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第6条第1項(第68条第1項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。?)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」という規定であって、同号に該当するための要件となっているのは、登録出願された商標に係る指定商品が、先願の登録商標を使用している商品と類似することではなく、先願の登録商標に係る指定商品と類似することである。そして、その指定商品とは、同法第6条第1項の規定により指定したものをいい、その範囲は、同法第27条第2項によって「願書の記載に基づいて定めなければならない」とされている。
そこで、本件商標の指定商品について願書の記載(手続補正書によって補正されたものを含む。)をみると、該商品は、上記1のとおり、第17類「高分子複合圧電体を挟持した電気音響用途に適した柔軟性のあるプラスチック製積層フィルム,圧電効果を有するプラスチックフィルム,その他のプラスチック基礎製品」であるところ、その記載に徴すれば、その指定商品は、いずれも「プラスチック基礎製品」の範疇に含まれる商品として指定されたものといえる。指定商品とは、上述のとおり、商標法第6条第1項の規定により指定したものであり、同条第2項によれば、その商品の指定は、「政令で定める商品及び役務の区分に従つてしなければならない」とされている。「プラスチック基礎製品」は、その政令である商標法施行令の第1条に基づき定められた商標法施行規則第6条の別表によって第17類に規定されているものであり、それを解説した「商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕(特許庁商標課)」によれば、「プラスチック基礎製品」は、「この商品は、プラスチックの半加工品が該当します。また、成型等の加工を何等施さない原料としてのプラスチックは、第1類『原料プラスチック』に属します。なお、第21類『プラスチック製の包装用容器』等、最終製品となったものは、この商品には含まれません。」とされており(同書については、申立人も、甲第10号証として提出しており、「プラスチック基礎製品」の解説は同号証の続葉に掲載されているものである。)、半加工品が該当し、最終製品は含まれない。
(イ)申立人提出の甲号証に係る商品
商標法第4条第1項第11号の適用の要件となっているのは、上述のとおり、先願の登録商標を使用している商品と類似することではなく、先願の登録商標に係る指定商品と類似することであるが、加えて、申立人提出の甲号証をみても、例えば、甲第12号証には、「『フレキシブルディスプレイに最適』、スピーカーになるフィルム材料が登場」の見出しの下に、「富士フイルムは『nano tech 2013?』?において、スピーカーの振動版として使用できるフィルム材料『BEAT?』を公開した。一般的なフィルム材料と同様に折り曲げが可能な高い可撓性を持つとともに、硬い方が良いと言われる振動板に必要となる高い音響特性も有している。展示では、BEATを使って試作したさまざまなスピーカーから、音声を出力するデモンストレーションを行った。」などと、また、甲第13号証には、「【ナノテク展】巻き取り式のスピーカーが可能に、富士フイルムがフレキシブル性と音響特性を両立したフィルムを開発」の見出しの下に、「富士フイルムは、スピーカーの振動板として使えるフィルム『BEAT』を開発し、『nano tech 2013』?で披露した。BEATを振動板として使うことで、曲げたり折ったりできるスピーカーが可能になる。?曲げられる振動板を実現するには、柔らかい材料が必要になる。しかし、柔らかい材料は振動を吸収してしまうため、フレキシブル性と音響特性の両立は難しかった。これに対して富士フイルムは可聴域の20Hz?20KHzでは硬くなり、手で曲げたりする数Hzの領域では柔らかくなる粘弾性ポリマーを用いることで、フレキシブル性と音響特性を両立した。」などと記載されており、これら記載において指称している本件商標に係る商品も、スピーカーの振動板の材料となり得るフィルムを指しているのであって、展示会においては、その特性を訴えるために様々なスピーカーを試作して展示したというべきである。
他方、申立人が他社の例として提出した甲第24号証ないし甲第30号証をみると、例えば、甲第25号証には、「韓国LG、55型TVに京セラのフィルムスピーカー」の見出しの下に、「韓国LG電子の日本での研究開発拠点であるLG Electronics Japan Labと京セラは2013年8月29日、共同で会見を開き、京セラが超薄型の『ピエゾフィルムスピーカー』を開発したこと、そしてLGが韓国などで発売した55型の曲面型有機ELテレビにそれが実装されていることを発表した。?このスピーカーは、ピエゾ(圧電)素子を透明なフィルムに貼ることで、実現したもの。?京セラが開発したスピーカーには大中小の3種類がある。」などと、甲第26号証には、「厚さ0.7mm、世界最薄の『ピエゾフィルムスピーカー』はタブレットにも採用へ♯CEATEC」の見出しの下に、「開催中のCEATEC JAPAN2013で京セラが展示している『ピエゾフィルムスピーカー(製品名:スマートソニックサウンド)』が入場者の注目を集めた。最大の特長は、従来の電磁式スピーカーとは比べ物にならないほど超薄型で軽量であること。3種類のラインナップのうち最も小型のタイプで、縦19.6mm、横27.5mm、厚さ0.7mm、重さ1g。実際に製品を目の前にしても、それがスピーカーだと言われないと普通はスピーカーだと分からないほどの大きさだ。」などと、甲第29号証には、「Film speaker」の見出し(2枚目)の下に、ヨットの形をしたスピーカーと思しき写真とともに、「お手持ちのiPodやMP3プレーヤーなどを接続するだけで音楽が楽しめます。」などと記載されており、甲第31号証ないし甲第33号証によれば、その商標がスピーカーなど第9類に属する商品を指定商品として商標登録されていることが認められる。
すなわち、申立人が他社の例として提出した甲第24号証ないし甲第30号証は、当事者がその商品を「スピーカー」とし、その商標の商標登録の際も、それに相応して「スピーカー」を始めとした「電気通信機械器具」などの完成品や部品を指定商品としているものであって、当事者がスピーカーの振動板の材料としてのフィルムを商品としている本件商標の場合とは状況が異なるものである。
その他、申立人主張のとおり、当該他社の例と同様に、本件商標に係る商品を第9類の完成品や部品と考えなければならない理由も見出し得ない。
(ウ)小括
本件商標の指定商品は、以上のとおりであるから、その指定商品の記載のとおり、電気音響の用途に適した特性を有するものではあっても、電気蓄音機や、レコードプレーヤー、録音機械器具などの電気通信機械器具自体でも、また、スピーカーなどの電気通信機械器具の部品でもないのであって、スピーカーに必要となる振動板の材料となり得るプラスチックフィルムなど、プラスチックの半加工品であり、商品の材料としての範囲にとどまるものとみるのが相当である。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との比較について
本件商標の指定商品は、上記1のとおり、第17類「高分子複合圧電体を挟持した電気音響用途に適した柔軟性のあるプラスチック製積層フィルム,圧電効果を有するプラスチックフィルム,その他のプラスチック基礎製品」であって、その範囲に関しては、上記アのとおり、振動板の原材料となり得るプラスチックフィルムなど、プラスチックの半加工品であり、商品の材料としての範囲にとどまるものとみるのが相当である。
他方、引用商標の指定商品は、上記2のとおり、第9類「ステレオ電気蓄音機」であって、音波を記録したレコード盤から音を再生させる装置、すなわち、レコード盤上には、音に対応する横ぶれを有する溝を刻み、溝に当たる針の振動を機械的に増幅して振動板に伝え音とする装置である蓄音機の一つといえるものであり、多くの場合、スピーカーが内蔵又は付帯していたりする。
そうすると、スピーカーの振動板の材料となり得るプラスチックフィルムなどを含む本件商標の指定商品と、スピーカーが内蔵又は付帯していたりする引用商標の指定商品とは、いわば完成品や部品とその材料との関係にあるといえるところ、材料の需要者は、主に完成品や部品の製造業者であり、完成品や部品の需要者は、電気通信事業者や放送事業者などの完成品のユーザーや、一般消費者であると考えられるから、両者は、需要者層が異なり、製造部門や販売部門も異なっているといえるものである。さらに、完成品や部品と材料とでは、それぞれの商品の用途や原材料も異なるものになるといえる。
してみれば、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、主な製造部門、販売部門、需要者層、用途、原材料等が異なり、同一又は類似の商標を使用しても、相紛れるおそれのない非類似の商品といえるものである。
(3)まとめ
本件商標は、以上のとおり、引用商標とは類似するものであるが、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似するといえないものであって、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないから、その登録は、同法第43条の3第4項に基づき維持すべきものである。
よって、結論のとおり、決定する。
別掲 (別掲)引用商標

異議決定日 2014-05-22 
出願番号 商願2012-72988(T2012-72988) 
審決分類 T 1 651・ 264- Y (W17)
最終処分 維持 
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 守屋 友宏
林 栄二
登録日 2013-05-31 
登録番号 商標登録第5586494号(T5586494) 
権利者 富士フイルム株式会社
商標の称呼 ビート 
代理人 工藤 莞司 
代理人 小暮 君平 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 魚路 将央 
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