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審決分類 |
審判 査定不服 観念類似 登録しない X31 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X31 |
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管理番号 | 1288767 |
審判番号 | 不服2009-16036 |
総通号数 | 175 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-08-12 |
確定日 | 2014-07-01 |
事件の表示 | 商願2008- 50378拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「桃苺」の文字を標準文字で表してなり,第31類「いちご」を指定商品として,平成20年6月10日に登録出願されたものである。 2 原審において通知した拒絶の理由および本件審判請求に係る経過 (1)通知した拒絶の理由 ア 本願商標は,イチゴの一種類と認められる「桃苺」の文字を普通に用いられる方法で表してなるものであるから,本願商標をその指定商品に使用した場合,本願商標に接する取引者・需要者は,イチゴの一種類である桃苺(ももいちご)を認識するに止まり,単に,商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,商標法第4条第1項第16号に該当する。 イ 本願商標は,以下の登録4323578号商標(以下「引用商標」という。)と同一または類似であって,その商標に係る指定商品(指定役務)と同一または類似の商品(役務)について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 引用商標は,「ももいちご」の文字と「百壱五」の文字を二段に書してなるものであり,平成10年4月10日に登録出願され,第31類「いちご」を指定商品として,平成11年10月8日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 (2)本件審判請求に係る経過 ア 本願は,上記(1)アおよびイを拒絶の理由として,平成20年11月21日(発送日)にその通知がされ,上記(1)アを拒絶の理由として,平成21年5月15日(同)に拒絶査定が発送され,同年8月12日に本件審判請求がされた。 イ 審判長は,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして,それに対する意見について,平成22年9月17日付で審尋をした。請求人は,当該審尋に対し,平成23年11月3日に回答書を提出した。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について 本願商標は,「桃苺」の文字を標準文字により表してなるところ,該文字は,それぞれ果実の一種を指称する漢字(語)として親しまれている「桃」と「苺」の各文字からなるものと容易に理解させるものであるから,構成文字に相応して「モモイチゴ」の称呼を生じ,「桃と苺」程の意味合いを想起させるものというのが相当である。 他方,引用商標は,「ももいちご」の文字と「百壱五」の文字を上下二段に横書きしてなるところ,これを構成全体として一体不可分とすべき特段の事情は認められず,上段の「ももいちご」の文字部分も独立して自他商品識別機能を有するものであり,該「ももいちご」の文字に相応して「モモイチゴ」の称呼を生じ,「桃と苺」程の意味合いを想起させるものというのが相当である。なお,「百壱五」の文字部分は,漢数字「百」「壱」「五」の文字よりなるから,当該文字部分からは,「ヒャクイチゴ」の称呼を生じる。 そこで,本願商標と引用商標の類否について判断するに,両商標は,前記のとおり,その構成文字より「モモイチゴ」の称呼を生ずるものであり,観念についても「桃と苺」程の意味合いを有する点について共通するものである。 そうとすると,本願商標と引用商標とは,外観上相違する点があるとしても,「モモイチゴ」の称呼および「桃と苺」の観念を共通にするものであるから,両者は,相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。 そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一のものである。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は,「ももいちごは『桃苺』ではない,正しい漢字は『百壱五』」というブログ記事があること,「桃苺」が「百壱五」の宛て字間違いにより広まった等を根拠に,「桃苺」の称呼は「トウマイ」だけである,と主張している。 しかしながら,「百壱五」の文字について「モモイチゴ」と読まれる場合があるとしても,そのことにより,「桃苺」について「モモイチゴ」と読まれることがないということはできない。そして,「桃苺」を構成する「桃」および「苺」は,いずれも果実名を意味する漢字として親しまれ,それぞれ「モモ」,「イチゴ」と読まれる漢字として極めてよく知られているものであり,一方,「桃苺」について,「トウマイ」と読むことが一般に知られているという事情はうかがえないから,「桃苺」の文字に接する需要者が,当該文字を「モモイチゴ」と読むというのが自然である。 したがって,請求人の上記主張は採用できない。 イ 請求人は,本願商標が登録された後には,「桃苺」について,その読みを「トウマイ」として使用すると主張する。 しかしながら,請求人が本願商標を「トウマイ」と読むものとして「いちご」に使用するものであるとしても,本願商標に係る需要者の一般認識からすると,前記のとおり,本願商標より「モモイチゴ」が自然な称呼として生ずるものというべきである。 ウ 請求人は,商標権者らが引用商標に関し虚偽表示,偽装表示を行っているとして,引用商標は妥当性に欠き,本願商標に係る商標法第4条第1項第11号は該当性に欠く,と主張している。 しかしながら,引用商標について,虚偽表示,偽装表示が行われているか否かにかかわらず,引用商標が現に存在し,前記1のとおり,本願商標が,商標法第4条第1項第11号に定められた要件に該当する以上,その該当性を欠くということはできない。 エ 請求人は,商標法第4条第1項第11号の拒絶理由は,拒絶査定の段階で解消しているのであり,再度この理由を持ち出すためには,商標法第16条による期限(平成21年12月10日)までに,それを行うに足る証拠が必要であると主張し,また,今回の審判は,拒絶査定に対してその内容が正しいかどうか争うものであり,審尋の内容は争点がすり替わり,これは審理の公正さを著しく欠くものである,と主張している。 しかしながら,本願商標は,前記1および2のとおり,平成20年6月10日に登録出願されたものであり,同年11月21日に引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当するとする拒絶理由(以下「本件拒絶理由」という。)を通知したものである。そして,商標法第16条および商標法施行令第2条において,商標登録出願についてその登録出願日から1年6月までに拒絶の理由を発見しないときは,商標登録をすべき旨の査定をしなければならないことが規定されているが,上記のとおり,本件拒絶理由が本件商標の登録出願日から1年6月以内に通知されていることは明らかである。 また,商標法第55条の2第1項において,「第15条の2および第15条の3(拒絶理由の通知)の規定は,第44条第1項の審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。」と規定されていることから明らかなように,拒絶査定に対する審判において,審理の対象となるのは,拒絶査定の理由とされた拒絶理由ばかりではなく,それ以外の同法第15条に規定する各号該当性について審理の対象とすることができる。 したがって,本願商標の登録性について,本件拒絶理由を当然に審理しなければならないのであり,本件拒絶理由について審理することは審理の公平性を欠くものではない。 なお,商標登録出願について原審において複数の拒絶理由が開示され,その内の一の理由により拒絶査定がなされたとしても,一の理由に該当するものであれば,拒絶査定をすることができるのであって,拒絶査定の理由にされていなかった理由について,その理由が解消されたものということはできないし,仮に原審の審査官がそのように判断したとしても,当審において,期間内に有効に通知された本件拒絶理由について審理することができることは明らかである。 したがって,請求人の上記理由は採用できない。 (3)結論 以上のとおりであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 なお,引用商標(登録第4323578号商標)に係る取消2010-300840は,その登録前3年以内に当該商標の使用の事実が認められ,請求不成立の審決が確定しているにもかかわらず,請求人は,平成25年6月16日付上申書において,当該審判請求に係る全証拠においても,関連商標「百壱五」が5年間公然と普通に使用された事実はないとし,関連商標「百壱五」に信用が蓄積されているとは考えられない,などと主張し,また,本願商標について平成21年2月頃から使用し信用が蓄積している,と主張して,本件審判事件に係る審理の再開および猶予を求めている。 請求人の主張する関連商標「百壱五」がいかなる商標であるのか判然としないが,上記本件に係る引用商標である登録第4323578号商標であるとすると,上記のとおり使用の事実が認められ,使用されている以上,当該商標に業務上の信用が生じているというべきであり,請求人の主張は,その前提において誤りである。 そして,上記請求人のいずれの主張を精査してみても,更に審理をすべき事情は認められない。 また,請求人は,引用商標について,上記確定した取消審判のほか,商標法第53条第1項の規定による登録取消と同法74条第1項第1号違反の確認を求めるとする取消審判,商標法50条第1項の規定による登録取消審判,無効審判を請求しているが,この点を踏まえてみても,本件審判事件に係る審理を再開すべき事情は認められず,請求人の主張は採用できない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-05-29 |
結審通知日 | 2013-06-07 |
審決日 | 2013-06-20 |
出願番号 | 商願2008-50378(T2008-50378) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(X31)
T 1 8・ 262- Z (X31) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 津金 純子、大森 健司 |
特許庁審判長 |
内山 進 |
特許庁審判官 |
内藤 順子 小川 きみえ |
商標の称呼 | モモイチゴ、モモ |