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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y01
管理番号 1285495 
審判番号 取消2013-300154 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-02-27 
確定日 2014-02-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4938885号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4938885号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジェルトラック」の文字からなり、平成17年4月28日に登録出願、第1類「アンカーボルト用固定剤,その他の化学品,植物成長調整剤類,肥料,陶磁器用釉薬,高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,写真材料,人工甘味料,工業用粉類,原料プラスチック,パルプ」を指定商品として、平成18年3月24日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第1類「アンカーボルト用固定剤,その他の化学品」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
<請求の理由>
本件商標は、その指定商品中、第1類「アンカーボルト用固定剤,その他の化学品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む)を提出した。
(1)答弁の理由
ア 本件商標は、商標権者である被請求人が、その指定商品中の「道床安定剤」(以下「使用商品」という。)について、平成19年4月から今日まで継続的に使用している。つまり、商品の包装に本件商標を付し、それを譲渡し、商品に関する広告及び商品に関する取引書類に本件商標を付し頒布させて使用している。
なお、「道床安定剤」とは、鉄道の軌道における路盤の継目落ち、墳泥が発生する場所に散布し、バラストを固着させ、道床を安定させる商品であり、第1類「化学品」に属する商品である。
(ア)乙第1号証の1ないし3は、本件商標登録原簿の写し、被請求人の履歴事項全部証明書及び会社案内であり、被請求人は、昭和56年5月より鉄道関連商品の製造並びに販売を営んでいる。商標登録原簿の写し及び履歴事項全部証明書に記載された被請求人の住所と会社案内の本社営業所の住所が相違しているが、履歴事項全部証明書に記載された支店(東京都大田区大森東・・・)が実際に営業活動を行っている本社営業所の住所であり、両者は同一法人であることは明らかである。
(イ)乙第2号証の1及び2は、本件商標が付された「道床安定剤」の現物写真と、現物を複写機で複写した複写物である。この現物写真のラベルには、本件商標が付されており、成分、容量、販売元名称・住所、製造元名称・住所が表示されている。
そして、このラベル表示から、第1類の「化学品」に属する商品であることは明らかである。
(ウ)乙第3号証の1ないし3は、平成23年(2011年)2月15日、同24年(2012年)4月15日及び同年6月15日に、株式会社鉄道現業社により発行された雑誌「新線路」であり、被請求人の商品の広告が掲載されている。その広告には、いずれも本件商標と商品「道床安定剤」の記載及び被請求人の住所・名称・連絡先が記載されている。
つまり、平成23年2月、同24年4月及び同年6月に、本件商標は、雑誌において広告宣伝していたものであり、本件審判請求の登録前3年以内に被請求人が登録商標を使用していたものである。
(エ)乙第4号証は、被請求人が道床安定剤「ジェルトラック」を客先に納入した、平成19年4月23日から同24年10月30日の「販売実績票」である。
(オ)乙第5号証は、被請求人が道床安定剤「ジェルトラック」を客先に販売した、平成23年10月1日から同25年3月31日の「商品別売上明細表」である。
イ 以上の説明及び提出した証拠から明らかなように、被請求人は、雑誌「新線路」において、本件商標を広告宣伝している。また、本件商標を使用商品に付して、少なくとも平成19年4月以降、今日まで継続的に日本国内の顧客向けに出荷(販売)している。
したがって、本件商標と使用商標は社会通念上の同一性を有しており、その指定商品について継続して3年以上不使用であったものではない。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標が使用されていないとの請求人の主張は誤りであり、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)乙第3号証の1ないし3について
ア 乙第3号証の1ないし3は、平成23年(2011年)2月15日、同24年(2012年)4月15日及び同年6月15日に、株式会社鉄道現業社により発行された雑誌「新線路」の2011年2月号、2012年4月号及び同年6月号(以下まとめて「新線路雑誌」という。)である。
イ 新線路雑誌の各表紙の題号「新線路」の左上部には、「創刊・昭和22年(1947年)」の記載、及び最上部に「平成○年○月○日発行(毎月1回15日発行)」の記載があり、各雑誌には、掲載記事に続いて20頁以上に亘って広告欄が設けられている。
そして、2011年2月号の91頁、2012年4月号の76頁及び同年6月号の77頁の頁半分の枠内に次の記載が認められる。枠内の最上段に、「継目落ち・墳泥化対策にジェルトラック(「ク」の右下に○Rの表示がある)」の見出し、次行に、【道床安定剤 ジェルトラックは林総事(株)の商標登録です】の表示、続いて「路盤の継目落ち、墳泥が発生する場所に散布するだけでバラストを固着し道床を安定!」の記載、製品の特長欄には「道床底部まですばやく浸透し、バラスト同士を固着します。容器から直接散布でき、道具も不要。」等の記載があり、下段の発売元には、鉄道信号保安装置総合メーカー 林総事株式会社(東京都大田区大森東・・・)と電話番号、FAX番号及びインターネットアドレス等が記載されている。
ウ 以上によれば、新線路雑誌の広告欄において、「林総事株式会社」が、商品「道床安定剤」の広告に、「ジェルトラック」の商標(以下「使用商標」という。)を使用していること、新線路雑誌は、平成23年2月15日、同24年4月15日及び同年6月15日に発行されたものであることが認められ、該雑誌は昭和22年から継続して発行されているものと推認される。
(2)判断
ア 使用商標
本件商標は、上記1のとおり「ジェルトラック」の文字からなるものであるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
イ 使用商品
使用商品「道床安定剤」は、新線路雑誌の広告に記載されている製品の特長、「道床底部まですばやく浸透し、バラスト同士を固着します。」等からすれば、取消に係る指定商品中「その他の化学品」の範ちゅうに含まれるものとみることができる。
ウ 本件商標の使用者
新線路雑誌の広告には、使用商品の発売元として、林総事株式会社(東京都大田区大森東・・・)の記載がある。また、乙第1号証の2の商標権者の履歴事項全部証明書の支店欄には「東京都大田区大森東・・・」の住所が記載されている。
そうとすると、商標権者と新線路雑誌の広告における発売者は同一人ということができる。
してみれば、商標権者は、新線路雑誌において、使用商標を付した使用商品の広告を掲載し、頒布されたものと認められる。
エ 本件商標の使用時期
新線路雑誌は、上記(1)ウのとおり、本件審判の請求の登録(平成25年3月18日)前3年以内に発行されたものである。
オ 上記アないしエからすれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品中「その他の化学品」の範ちゅうに属する商品「道床安定剤」についての広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)ものと認めることができる。
(3)請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-09-11 
結審通知日 2013-09-17 
審決日 2013-10-02 
出願番号 商願2005-38847(T2005-38847) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 高橋 幸志
梶原 良子
登録日 2006-03-24 
登録番号 商標登録第4938885号(T4938885) 
商標の称呼 ジェルトラック、ジェルト、トラック 
代理人 特許業務法人 小野国際特許事務所 
代理人 加藤 恭介 
代理人 福田 伸一 
代理人 福田 賢三 

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