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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29 |
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管理番号 | 1283221 |
審判番号 | 取消2013-300161 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-02-28 |
確定日 | 2013-12-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4989960号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4989960号商標の指定商品中、「調理用野菜ジュース」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4989960号商標(以下「本件商標」という。)は、「ベジベジ」の片仮名を標準文字により表してなり、平成18年1月23日に登録出願、第29類「加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,乳製品,カレー・シチュー又はスープのもと,ふりかけ,豆乳,たんぱくあるいはアミノ酸を主成分とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品,ビタミンを原材料とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品」を指定商品として同年9月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成25年3月18日にされている。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び口頭審理陳述要領書による陳述を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、指定商品中「調理用野菜ジュース」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 2 平成25年10月1日付け口頭審理陳述要領書 (1)被請求人は、平成25年9月10日提出の口頭審理陳述要領書において、「なお、本件商標は使用していない。」と不使用の事実を自ら明確に認めており、また、「不使用の正当理由」等は何ら述べていない。 (2)被請求人は、平成25年4月30日付け答弁書において、審判便覧を引用し、「当該審判の請求が被請求人を害することを目的としていると認められる場合には、その請求は、権利濫用として認められない。」に該当する旨を主張している。その実害として、「このような(ア)審判を突然請求されることで対応に追われ、時間的な損失を被ると共に、これまでの(イ)取引における信頼関係にも支障が生じたことによる今後の対応の検討が生じるなど、被請求人の営業において実害が生じている。」旨を述べている。 本来、「商標登録」は、登録の保持に対し「使用義務」を伴うものであり、不使用による取消審判は、「権利の上に眠る者」に対し、権利の抹消を求める制度である。 したがって、被請求人が「被請求人を害する目的」として挙げた上記(ア)及び(イ)は、何ら「実害」の概念には該当せず、当然「不使用の正当理由」にも該当しないこと明らかである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求を却下する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び口頭審理陳述要領書による陳述を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。 1 答弁の理由 (1)請求人適格について 平成8年の改正商標法第50条第1項において、不使用取消審判の請求人適格は「何人」にも認められる旨が法文上明示された。 しかしながら、請求人適格を「何人」にすることとしても、当該審判の請求が被請求人を害することを目的としていると認められる場合には、その請求は権利濫用として認められない。そのことは、審判便覧(53-商標登録取消審判/53-01登録商標の不使用による取消審判/3.平成8年改正商標法における不使用取消審判の改善/(1)改正の趣旨/a.請求人適格の緩和)にも明記されている(乙第1号証)。 本件審判の請求人は、商標を使用する意図を持っていないにもかかわらず、徒に本件商標の登録の取消しを求めるものであり、これは、被請求人の利益を害するのみならず、商標法制定の趣旨に反するものであるので、権利の濫用にあたり、本件請求は却下されるべきものである。 (2)被請求人を害することについて 請求人のホームページを見ても、業務内容は「出版業務」とされているうえ(乙第2号証及び乙第3号証)、請求人の法人登記にも会社の目的には次のように記されている(乙第4号証)。 1.工業所有権に関する調査一般 2.工業所有権に関する出版物の企画、編集、発行、販売 3.各種文献、資料の翻訳 4.タイプ印書ならびに一般印刷 5.前各号に附帯する一切の業務 実際、請求人は商標の審決に関する情報などを提供しており、被請求人も長年にわたり、請求人の提供するサービスを購入してきている。 しかしながら、このような審判を突然請求されることで対応に追われ、金銭的、人的、時間的な損失を被ると共に、これまでの取引における信頼関係にも支障が生じたことによる今後の対応の検討の必要性が生じるなど、被請求人の営業において実害が生じている。 (3)訴えの利益について 被請求人は、自ら又はそのグループ企業において各種飲料商品の製造・販売を行っているものであるが、請求人がそのような業界で営業を行っていることは不知である。 また、前記のとおり、請求人の営業項目にも飲料商品に関する業務は一切含まれていない。そのような請求人が本件審判の請求を行っても、なんら救済されるべき実益がない。このような、訴えの利益の無い者からの請求を容認してしまうと、特定の個人や法人に対しての嫌がらせや妨害行為まがいの事案も含め、むやみに審判事件を誘発してしまうおそれがあり、審判業務の遅延やコストの増大にもつながりかねない。 そのため、民事訴訟法における「利益なければ訴権なし」の原則に立ち返り、本件審判の請求は却下されるべきである。 (4)まとめ 以上より、本件審判の請求は権利濫用にあたり、請求人の訴えの利益も無いことから、本件審判の請求は却下されるべきである。 したがって、「本件審判の請求を却下する。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めるものである。 2 平成25年9月10日付け口頭審理陳述要領書 陳述の趣旨は、平成25年4月30日付け答弁書のとおりである。 なお、本件商標は使用していない。 第4 当審の判断 1 権利の濫用について (1)登録商標の不使用による取消審判について 商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標・・・の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。 上記規定は、平成8年法律第68号による改正前の商標法において、登録商標の不使用による取消審判の請求人適格について明示の規定がなかったことから、その反対解釈として、利害関係人に限って同審判を請求することができると解される余地が存在していたのを、「何人」にも認めることとし、その旨を法文上明示したものと解される。 したがって、登録商標の不使用による取消審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り、当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当である。 (2)本件審判請求について 被請求人は、本件審判の請求の対応に追われ、金銭的、人的、時間的な損失を被ると共に、これまでの取引における信頼関係にも支障が生じたことによる今後の対応の検討の必要性が生じるなど、被請求人の営業において実害が生じている旨主張している。 しかしながら、被請求人は、自己の営業において実害が生じていることの具体的な事実を何ら示していないし、そもそも、本件審判の請求と被請求人のいう実害との因果関係は明らかでない。その他、本件審判の請求が、被請求人に対する嫌がらせや、被請求人の営業の妨害等のために行われたことを具体的に示す証拠の提出はない。 したがって、被請求人の掲げる上記の理由によっては、本件審判の請求が被請求人を害することを目的としているものと認めることはできない。 また、被請求人は、その他「請求人は商標を使用する意図を持っていないにもかかわらず、徒に本件商標の登録の取消しを求めるものである。」及び「請求人の業務内容は『出版業務』とされており、請求人の法人登記にも会社の目的には飲料商品に関する業務は一切含まれていないことから、請求人が本件審判の請求を行っても、なんら救済されるべき実益がない。」と主張する。 しかしながら、前記のとおり、商標法第50条第1項において、「何人も・・・審判を請求することができる。」として、その審判の請求人適格を利害関係人に限ることなく、「何人」にも認めていることから、この点に関する被請求人の主張は採用することができない。 (3)小括 したがって、本件審判の請求を権利の濫用とすることはできない。 2 本件商標の使用について 被請求人は、本件商標を使用していないと主張し、本件商標の使用の事実を立証する証拠を提出していない。 3 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品「調理用野菜ジュース」について、本件商標を使用した事実を証明していない。 したがって、本件商標の指定商品中「調理用野菜ジュース」についての登録は、商標法第50条の規定により、これを取り消すものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-10-22 |
出願番号 | 商願2006-4320(T2006-4320) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y29)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤田 和美 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 渡邉 健司 |
登録日 | 2006-09-22 |
登録番号 | 商標登録第4989960号(T4989960) |
商標の称呼 | ベジベジ |
代理人 | 特許業務法人松田特許事務所 |