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審決分類 再審 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 132
管理番号 1282305 
審判番号 再審2011-950001 
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-02-23 
確定日 2012-01-10 
事件の表示 上記当事者間(注:株式会社万長は、原審被請求人(前商標権者)の安葉製粉製麺株式会社(住所:愛媛県新居浜市船木4672の2)の承継人。)の登録第1404051号商標の登録取消審判(取消2010-300721審判)事件について、平成22年11月1日に行った確定審決に対し、再審の請求があったので、次のとおり審決する。 
結論 取消2010-300721審判事件について、平成22年11月1日に行った確定審決を取り消す。 被請求人の取消2010-300721審判の請求は、成り立たない。 費用は、原審及び再審を通じ、被請求人の負担とする。
理由 第1 原審の確定審決における再審の理由の有無等について
1 原審判事件の審決
取消2010-300721審判(以下、単に「原審」ということがある。)の審決は、請求人を五木食品株式会社(代理人:恩田博宣外1名)、及び被請求人を安葉製粉製麺株式会社(本件再審請求人の被承継人)と記載した上で、次のとおり結論した。
「登録第1404051号商標の商標登録は取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」
そして、この審決の謄本は平成22年11月11日に上記両人宛に送達されたが、その後、商標法第63条第1項に基づく審決に対する訴えが提起されなかったことから,該審決は同年12月13日をもって確定した。

2 請求人の主張
請求人は、原審の確定審決を取り消す原因として、要旨以下のように述べた上で、本件の再審の理由として、商標法第57条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第3号(以下、単に「第3号」ということがある。)の再審事由に該当することを挙げて、原審の確定審決は取り消されるべきである旨主張している。
(1)商標権者(前商標権者の安葉製粉製麺株式会社)は2009年(平成21年)10月1日に取引停止処分を受けており、2010年(同22年)2月23日には、破産手続きが開始されているものである(甲第5号証)
(2)そして、破産財団に属する本件商標の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する(破産法第78条第1項)ものであるから、本件商標の登録取消審判の請求書の副本等の審判関係書類は、破産管財人(弁護士宮内哲彦)に送達すべきものであった。
(3)ところが、審判請求書副本は、破産管財人ではなく、破産会社(安葉製粉製麺株式会社)に発送され、安葉章子が平成22年8月4日に送達を受けた。
(4)その後、破産会社が取消審判請求に対する答弁書等を提出せず所定期間が経過したため、取消審決が確定し、商標登録は取り消され、商標権は消滅することとなったが、破産管財人は当該審判関係書類の送達について不知の状態に置かれていたため、審判請求書副本送達後の一定期間内にする答弁書の提出も、また審決謄本送達後の一定期間内にする審決取消の訴えもなし得なかった。
(5)つまり取消審判請求に対する答弁書提出の機会を与えられなかった結果、これに反論し、覆すことのできる事実とそれを証明する証拠を保持しているにもかかわらず、反論することなく、所定期間経過後に取消審決が確定し、平成23年1月13日に本件商標の登録は取り消されるに至った。
(6)また、請求人(株式会社万長)は、破産管財人に審判請求書副本が送達されていれば、破産管財人を通じて審判請求の事実を知ることができ、利害関係人として審判に参加し、取消審判請求を覆し、登録取消を免れることが可能であったのに、破産管財人に副本が送達されなかったためその機会は与えられないという不当な結果となった。
(7)なお、請求人が再審の理由を知った経緯は以下のとおりである。請求人が、本件商標の移転登録後に件外の書換登録申請書を提出したところ、同申請書の「商標登録の登録番号」の欄に記載された登録番号は抹消されている旨の却下理由通知書が平成23年1月24日に同書換登録申請手続の代理人(本件再審請求の代理人)に送達された。翌25日に特許庁に電話で問い合わせたところ、取消審判の請求から始まって、取消しを容認する審決の確定及び商標権の移転登録後にその移転登録に係る商標権の商標登録が取り消された一連の事情を知ることになり、また同日に破産管財人に電話し、取消2010-300721審判に関し、同審判関係書類が一切受け取られていないこと(甲第2号証の1及び2)を知り、再審の理由を知り得た。

3 被請求人の主張
被請求人は、何ら主張していない。

4 当審の判断
(1)請求人適格について
商標法第57条第1項における「当事者」については、商標法第50条の商標登録の取消し審判における商標登録を取り消すべき旨の審決の送達後であって、当該審決が確定する前に、特定承継による商標権の移転の登録があった場合、当該審決の効力は当該特定承継人(譲受人)に及ぶことから、当該特定承継人は当該当事者適格を有するものと解すべきである。
甲第1号証の2及び特許庁における記録等によれば、請求人の株式会社万長は、本件商標の前権利者である安葉製粉製麺株式会社から、本件商標に係る商標法第50条の商標登録の取消審判の予告登録(平成22年7月22日)の前日に、商標権を譲渡され、その後、当該審判における商標登録を取り消すべき旨の審決の送達(同年11月11日)後であって、当該審決確定(同年12月13日)前の平成22年11月15日に、特定承継による商標権の移転の登録が受け付けられた特定承継人と認められる。
したがって、株式会社万長は、本件再審の当事者適格(請求人適格)を有するものである。
(2)再審の理由について
上記2のとおり、請求人は、原審の確定審決には商標法第57条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第3号の再審事由がある旨を主張するので、これについて検討する。
ア 事実認定
原審及び当審における当事者の主張及び証拠、特許庁における記録等によれば、以下の事実が認められる。
(ア)原審の審判請求書には、被請求人として安葉製粉製麺株式会社と記載されていた。
(イ)原審の請求時点(平成22年7月1日)で、既に当時の商標権者である安葉製粉製麺株式会社(2009年(平成21年)10月1日に取引停止処分)については、破産手続きが開始(平成22年2月23日午前10時)され、松山地方裁判所西条支部によって破産管財人(弁護士宮内哲彦)が選任されていた(甲第2号証の2及び甲第5号証)。
(ウ)原審の予告登録(平成22年7月22日)の前日に、本件商標が安葉製粉製麺株式会社から株式会社万長(本件再審請求人)に譲渡された(甲第1号証の2)。
(エ)原審の審判請求書副本が安葉製粉製麺株式会社を受送達者として送達され、その同居人安葉章子によって平成22年8月4日に受領された。
(オ)安葉製粉製麺株式会社からの答弁がなかったため、平成22年11月1日に商標登録を取り消すべき旨の原審の審決がなされ、その審決謄本が安葉製粉製麺株式会社を受送達者として送達され、その同居人安葉章子によって同年11月11日に受領された。
(カ)安葉製粉製麺株式会社から株式会社万長(本件再審請求人)への特定承継による本権の移転の登録が平成22年11月15日に受け付けられ商標登録原簿に登録された(甲第1号証の1)。
(キ)原審の審決に対する訴えが提起されなかったため、原審の審決は平成22年12月13日に確定した。
(ク)原審審判手続を通じて、審判請求書副本及び審決謄本等の審判関係書類は、安葉製粉製麺株式会社を受送達者として送達され、その同居人安葉章子によって受領がなされ、破産管財人は、当該審判関係書類を受領することができなかった(甲第2号証の1及び2)。
(ケ)本件商標権の抹消の登録が平成23年1月7日になされた。
(コ)株式会社万長(本件再審請求人)は、平成22年12月15日に本件商標について書換登録申請書を提出したところ、商標登録が抹消されている旨の却下理由通知書が、平成23年1月24日に同書換登録申請手続の代理人(本件再審請求の代理人と同じ弁理士富田光風)に送達されたため、翌25日に特許庁に問い合わせた結果、本件商標登録が取り消された一連の事情を知るとともに、破産管財人は原審審判関係書類を受け取っていないことを知るに及んだ。
(サ)本件再審の請求が平成23年2月23日になされた。
なお、安葉製粉製麺株式会社の履歴事項全部証明書(松山地方法務局西条支局へ嘱託)によれば、平成23年10月19日現在、同社の破産手続は終了していない。
イ 判断
商標法第57条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第3号は、代理権の欠缺等を規定するが、その趣旨は、当事者に対する実質的手続保障が欠けていた場合を規定しているものと解される。
上記アで認定した事実によれば、本件商標は破産財団に含まれていたものであるところ(破産法第34条)、破産法上、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は破産管財人に専属し(破産法第78条)、破産管財人が破産財団に関する訴訟追行権を有し(破産法第80条)、他方、破産者はかかる管理処分権及び訴訟追行権を失うこととされている。
しかるに、本件は、破産者宛に審判関係書類の送達がなされ、破産管財人が審判手続に関与する機会を与えられないまま審決がなされて確定したものと認められるから、原審の確定審決は、当事者に対する実質的手続保障が欠けていたものといわざるを得ない。
そうすると、本件は、これを当事者の代理人として訴訟行為をした者に代理権の欠缺があった場合と別異に扱う理由はないから、商標法第57条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第3号の再審事由があるものと解するのが相当である。
なお、本件に関して、請求人が、原審の審決に対し審決取消訴訟を提起して前記再審事由(第3号)を主張したといった事実も、又は前記再審事由を知りながら審決取消訴訟を提起して主張しなかったという事実も認められないので、商標法第57条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項ただし書きの適用はない。
したがって、原審について、平成22年11月1日に行った確定審決は取消しを免れない。

第2 原審の再審理について
1 本件商標
本件登録第1404051号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和42年3月12日に登録出願、第32類「うどんめん、そばめん、中華そばめん、スパゲツテイ」を指定商品として、同55年1月31日に設定登録されたものである。

2 被請求人(原審請求人)の主張
被請求人(原審請求人)は、「商標法第50条第第1項の規定により、登録第1404051号商標の登録を取り消す。審判費用は、被請求人(原審被請求人:審決注)の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として「請求人(原審請求人:審決注)の調査によれば、本件商標は、継続して3年以上日本国内において指定商品『うどんめん、そばめん、中華そばめん、スパゲツテイ』について使用された事実がない。」と述べた。
なお、被請求人(原審請求人)は、下記3の請求人(原審被請求人)の主張に対し、何ら反論していない。

3 請求人(原審被請求人)の主張
請求人(原審被請求人)は、「本件登録第1404051号商標の登録は、本件不使用取消審判の請求によってもその商標登録の取消しは免れ得るものである。」との結論同旨の審決を求めると述べ、その理由として「本件商標権者(本権の移転前の権利者である「安葉製粉製麺株式会社」)は、本件商標を、『中華そば(ラーメン)のめん』について、審判請求の登録(平成22年7月22日)前3年以内である2009年(平成21年)8月12日から同年9月22日に、日本国内において使用していた。」と述べ、証拠方法として、平成23年2月23日差出の再審請求書において、(1)本件商標が表示された「中華そば(ラーメン)のめん」の包装用袋の原本(検甲第1号証)、(2)前記包装用袋に指定商品「中華そばめん(ラーメン)」を封入した袋詰め商品の各販売店への納入書の写し(甲第3号証の2ないし8)、(3)前記袋詰め商品を箱詰めにして卸売店に納入するための包装箱の側面の写真(甲第3号証の9)、(4)上記卸売店への納品明細書の写し(甲第3号証の10)を提出した。

4 当審の判断
(1)事実認定
請求人(原審被請求人)の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
検甲第1号証は、裏面左下の枠内の「品名」の欄に「即席中華めん」の記載があることなどからして、本件商標の指定商品中「中華そばめん」に相当する商品の包装用袋の原本と認められ、当該包装用袋の表面の中央上段及び裏面の右側上段には本件商標と同一の商標が表示されている。
また、同表面の最下段と裏面左下の枠内の「製造者」の欄に「安葉製粉製麺株式会社」及び「愛媛県新居浜市船木4672の2」の記載があること、同表面の中央及び裏面右側において、本件商標と同一の商標の表示の直下に「万長 ラーメン」の文字が縦書きで記載されていることから、当該「即席中華めん」の商品は、本件商標の前権利者(当時の商標権者)である安葉製粉製麺株式会社によって、本件商標のもと、「万長ラーメン」と称して製造されていたものと認められる。
そして、同裏面左下の枠外下部に「賞味期限2010.09.08」の記載があること、及び甲第3号証の1によれば、当該「万長ラーメン」の賞味期限は製造後約1年程と推認し得ることから、当該「万長ラーメン」は、本件審判請求の登録(平成22年7月22日)前3年以内である2009年(平成21年)9月頃に製造されたものと認められる(これは安葉製粉製麺株式会社の取引停止処分(平成21年10月1日)以前の時点である。)。
さらに、同裏面左下の枠内の「内容量」の欄に「175g(めん150g)」の記載があること、甲第3号証の10の納品明細書の写しには、日付として「平成21年8月11日」の記載、製造元として「安葉製粉製麺株式会社 愛媛県新居浜市船木4672の2」の記載、宛名として、「旭食品(株) 新居浜支店 殿」の記載、品名の欄に「万長ラーメン」の記載、数量の欄に「30」の記載、単価の欄に「3300」の記載、金額の欄に「99000」の記載、備考の欄に「175g×30入」の記載があることから、本件商標が使用された「万長ラーメン」の30袋入りのケース合計30箱が、本件審判請求の登録前3年以内である2009年(平成21年)8月11日に、製造元である本件商標の前権利者(当時の商標権者)安葉製粉製麺株式会社から、愛媛県新居浜市の旭食品株式会社・新居浜支店に納品(販売)されていたものと認められる。
(2)判断
上記(1)で認定した事実によれば、請求人(原審被請求人)は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、当時の商標権者(本権の移転前の権利者である「安葉製粉製麺株式会社」)が請求に係る指定商品中「中華そばめん」について、本件商標の使用(商標法第2条第3項第1号及び第2号該当)をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。

第3 むすび
よって、原審決を取り消し、被請求人の請求を成り立たないこととし、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標



審理終結日 2011-11-14 
結審通知日 2011-11-17 
審決日 2011-11-30 
出願番号 商願昭42-15115 
審決分類 T 5 31・ 1- Y (132)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 森山 啓
小川 きみえ
登録日 1980-01-31 
登録番号 商標登録第1404051号(T1404051) 
商標の称呼 マルニ、マンチョウ 
代理人 富田 光風 

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