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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2013900065 | 審決 | 商標 |
異議2013900080 | 審決 | 商標 |
異議2013900038 | 審決 | 商標 |
異議2013900025 | 審決 | 商標 |
異議2013900053 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W30 審判 全部申立て 登録を維持 W30 審判 全部申立て 登録を維持 W30 |
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管理番号 | 1276518 |
異議申立番号 | 異議2013-900083 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-03-19 |
確定日 | 2013-07-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5543850号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5543850号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5543850号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成24年8月16日に登録出願、第30類「菓子,パン,穀物の加工品」を指定商品として、同年11月27日に登録査定、同年12月14日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法4条1項10号、同項15号及び同項19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲1?9(枝番号を含む。)を提出した。 1 各証拠について (1)申立人について 申立人は、1421年ころより京都において菓子の製造及び販売を行う、全国的に著名な会社であり、1715年以降に「亀屋陸奥」の屋号を名乗りはじめ、昭和39年7月、現在の「株式会社亀屋陸奥」となった。 申立人は、西本願寺(以下、単に「本願寺」という場合がある。)が建立された当時から、本願寺御用達の御供物司として、供物調達や慶事に関する諸事を担ってきたことから、カタログ等の表記には社名の前に「本願寺御用達 御供物司」という記載をしている(甲2の1)。 そして「松風」及び「西六條寺内松風」等の菓子は、「西本願寺ゆかりの銘菓」であって、申立人の代表菓子である(甲2及び3)。 (2)申立人の使用する商標について 申立人は、本件商標と同一又は類似の商標(甲4の1?4の5。以下いずれも「引用商標」という。)を「松風」箱入り商品の包装紙(2種類)、掛紙、掛紙を留めるシール及び内装袋について平成5年から20年にわたり、本件商標の指定商品及び類似する商品等について、異なる数量の商品の大きさに合わせて使用している(甲4の1?4の10。ただし、掛紙を留めるシールは、1種類のみ。)。 (3)本件商標の商標権者について 商標権者は、申立人会社の取締役になっていた時期があり(甲5の1)、引用商標を申立人が長年上記の包装紙等に使用していることについて明確な認識があった。 (4)商標権者の本件商標の使用状況について 商標権者は、「三木都」という屋号で本件商標を「松風」という名称の菓子(申立人の販売している上記「松風」と同種の菓子。)を販売する際のカタログやホームページ(甲6の1及び6の2)上に掲載し、自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用している。 (5)商標権者のカタログ及びホームページについて 商標権者は、上記のとおり、自社のカタログやホームページに本件商標を表示しているとともに、以下のとおり、申立人の御供物や松風等を同カタログや同ホームページに掲載しており、このことは、西本願寺とゆかりのある申立人と関係があることを売りにして商売をしていることを意味している。 ア カタログ 甲6の1のカタログは、商標権者のカタログでありながら、以下の内容又は写真を掲載しており、商標権者の商品を申立人の商品に変更すれば、そのまま申立人のカタログとして使用できるようになっている。 (ア)「亀屋睦奥」の屋号の由来 (イ)申立人が「御本山御用菓子」を提供してきたこと (ウ)申立人の販売している「松風」の写真 (エ)申立人も自社カタログに使用の申立人を連想させる亀の置物の写真 (オ)申立人が西本願寺に納めた御供物であり、申立人の「松風」を使用した御供物の写真 イ ホームページ 商標権者は、自身が本願寺に納めてもいない御供物の写真や、申立人が以前使用していたカタログの写真をホームページにも載せており、あたかも商標権者が、ホームページに掲載している御供物を本願寺に納めているような体裁をとっている(甲6の2、2?4頁)。 (6)ジュニア京都検定(テキストブック)における写真について 商標権者は、本件商標と同一又は類似の商標をツイッター上に掲載するとともに、「ジュニア京都検定」の「松風」の写真は商標権者の提供である旨掲載している(甲7の1)が、これに掲載されている「松風」の写真は、申立人が提供している(甲7の2)。ここでも、商標権者は、西本願寺とゆかりのある申立人との関係をことさら強調している。 (7)インターネット情報における誤認について 上記したとおり、商標権者が西本願寺と関係があるかのような表現をしたり、カタログやウェブページ上に申立人の社名や申立人の御供物や「松風」を記載したり、また、店頭で申立人と関係がある者と説明したりしているために、一般人は、以下のとおり、申立人と商標権者を誤認している。 ア 「老舗若主人のこだわりの『松風』三木都(みきと)」、「あの亀屋陸奥息子さんが『松風』と『御供物』を作るために作ったという三木都(みきと)」(甲8の2)。 イ 「お供物も、亀屋陸奥さんの分家?『三木都』さんに検討してもらっていますし・・・」(甲8の3)。 ウ 「その7条にあるのが亀屋陸奥。そこの息子さんって言ってはったかな・・・」(甲8の4)。 これらを記載した人々は、明らかに申立人が本件商標の商標権者に暖簾を分けたような関係があると誤解している。 また、これらの記載では、単に「三木都」という店を紹介するのではなく、申立人の社名を出しており、いかに申立人の知名度が高いかを表している。 さらに、「そんな『亀屋陸奥』が、京都御所の東側(下切り通し)の『イストワール御所東』に開いたのが『三木都』」(甲8の5)のように、本件商標の商標権者を申立人の支店のように認識している誤認の酷いブログもあるほか、「株式会社亀屋陸奥のブログ記事」というウェブページ(甲8の6)からのリンク先の「[和菓子探検隊]三木都の松風」(甲8の7)なるページの冒頭には、「西本願寺の御用菓子」と記載され、「三木都(みきと)は亀屋睦奥を本家とし、『松風』と『御供物』を作るために出したお店。」と紹介されており、ここでも商標権者が申立人の支店のような扱いをされている。 (8)百貨店等における誤認について 数年前から、商標権者は、西武百貨店(東京池袋)(甲9の1)、横浜そごう、大丸松坂屋オンラインショッピングにも商品を出品している(甲9の2)。 平成23年6月10日に西武百貨店の諸国銘菓コーナーに展示された店舗紹介のカードには、「閑静な京都御苑東にある老舗『三木都』その名店が作る伝統銘菓『松風』に京丹波産の黒豆を使用することにより独自のしっとり感を生みだしました。百貨店初登場のお味をどうぞ。・・・限定入荷商品・・・」との記載があり(甲9の1)、開店2年程の店を「老舗」と表示していることからして、商標権者が西武百貨店への売込みに際して、申立人の社名あるいは申立人との関係を使ったことは明らかであり、西武百貨店においては、そもそも商標権者と申立人を誤認していると考えられる。 2 商標法4条1項10号について 引用商標は、平成5年から現在に至るまで、20年も申立人の製造する「松風」の箱入り商品の包装紙、掛紙、掛紙を留めるシール及び内装袋において、本件商標と同一又は類似の引用商標を使用しており、本件商標の出願時点で、既に申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。 それゆえ、商標権者が本件商標を自己の菓子等の商品又は役務について使用をすることは、申立人の未登録の周知商標である引用商標に抵触する。 したがって、本件商標の登録は、商標法4条1項10号に違反してなされたものである。 3 商標法4条1項15号について 商標権者が本件商標を同人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用すると、上記したとおり、既に申立人と商標権者を誤認混同している状況にさらに拍車をかけることにつながり、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標の登録は、商標法4条1項10号に該当しないとしても、同項15号の規定に違反してなされたものである。 4 商標法4条1項19号について 商標権者は、申立人の引用商標を認識して、あえて申立人と同種の「松風」という名称の菓子を販売して自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用し、商標権者が申立人の支店や暖簾分けを受けた者であるかのような誤解を与えた上で、百貨店等でも利益を上げている。 このような行為は、商標権者が不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える等の不正目的であることが明らである。 したがって、本件商標の登録は、商標法4条1項10号又は同項15号に該当しないとしても、同項19号に違反してなされたものである。 第3 当審の判断 1 引用商標の周知著名性等について 申立人提出に係る甲4の1?4の5にそれぞれ表されている引用商標は、4種類の台紙の色にそれぞれ白抜きで描かれた鳥の図形をモチーフにした商標及び当該同一図形を白色台紙にエンボス加工した商標(甲4の3のみ)であって、当該引用商標は、その構成態様上、別掲の本件商標と同一又は酷似しているものであることは明らかである。 そして、申立人は、当該引用商標が、平成5年から現在に至るまでの20年にわたり、申立人の製造販売する「松風」の箱入りの商品の包装紙、掛紙、掛紙を留めるシール及び内装袋において使用されており、本件商標の登録出願時点で、既に申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている旨主張している。 しかしながら、申立人の提出に係る全証拠によっても、引用商標全体が明確に表示されている証拠は、甲4の1?4の10のみであり、しかも、これらの証拠は、いずれも包装紙、掛紙、掛紙を留めるシール及び内装袋そのもの及びその写真(写真についてのみ、「平成25年3月17日」の表記あり。)であることからすれば、これをもって、引用商標が、平成5年ころから20年、つまり現在(本件商標の登録出願時及び登録査定時を含む。)に至るまでの間、申立人の製造販売する菓子「松風」に継続して使用していることを客観的に認めることはできず、ほかにこれを認め得る証拠の提出もない。 また、職権において申立人のホームページに徴しても、引用商標が自他商品識別標識として使用されていることを確認することができず、現在においても、申立人が、自己の商品を販売するに際し、引用商標を用いて積極的に広告宣伝している様子はうかがえない。 仮に申立人が、20年間にわたり、引用商標を自己の製造販売する商品「松風」に使用してきたものであるとしても、その販売数量、販売地域、広告宣伝の方法、回数及び内容がどの程度であるかを客観的に示す何らの証拠の提出も見当たらない。 してみれば、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、その取引者、需要者間に周知となっているとは到底認められない。 2 商標法4条1項10号該当性について 上記したとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、その取引者、需要者間に周知となっているとは認められないことから、本件商標は、商標法4条1項10号に該当するものとは認めることができない。 3 商標法4条1項15号該当性について 上記のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、その取引者、需要者間に周知となっているとは認められないことから、引用商標と本件商標との酷似性、両者が使用される商品の関連性、取引者、需要者の共通性等を考慮したとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用商標又は申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、引用商標に起因して当該商品が申立人又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと認められる。 4 商標法4条1項19号該当性について 引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、その取引者、需要者間に周知となっているとは到底認められない以上、本件商標は、商標法4条1項19号に該当するものと認めることができない。 5 出所の誤認混同に関する申立人の主張に関して 申立人は、商標権者が、申立人の御供物や「松風」及び亀等の写真を商標権者のカタログやホームページに掲載(前記第2(5))したり、「ジュニア京都検定」のテキストブックの「松風」の写真の提供者は商標権者である(前記第2(6))旨をツイッターに掲載するなど、商標権者が、西本願寺とゆかりのある申立人と関係があることを売りにしている又は強調している旨主張している。 また、インターネット情報におけるブログ等の各種情報(前記第2(7))からすれば、一般人は、申立人と商標権者を誤認している旨も主張している。 さらに、申立人は、西武百貨店においても申立人と商標権者を誤認していると考える旨も主張している。 しかしながら、商標権者による上記の行為及びインターネット情報におけるツイッターやブログ等の各種情報における誤認、さらに、一百貨店による上記のごとくの誤認は、申立人の屋号である「亀屋陸奥」が老舗であって、同人の代表銘菓と主張する「松風」がある程度知られていること、さらには、申立人会社の代表取締役と商標権者の血縁関係の有無等に起因しているものと推認し得るとしても、引用商標に起因しているものとは到底認めることができないものである。 6 まとめ 以上より、本件商標の登録は、商標法4条1項10号、同項15号及び同項19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法43条の3、第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標)![]() |
異議決定日 | 2013-07-04 |
出願番号 | 商願2012-66314(T2012-66314) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W30)
T 1 651・ 25- Y (W30) T 1 651・ 222- Y (W30) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 保坂 金彦 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
梶原 良子 田中 敬規 |
登録日 | 2012-12-14 |
登録番号 | 商標登録第5543850号(T5543850) |
権利者 | 大塚 真毅 |
代理人 | 玉村 匡 |
代理人 | 竹中 由佳理 |