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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y41
管理番号 1273928 
審判番号 取消2012-300654 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-08-16 
確定日 2013-04-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第4807657号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4807657号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成15年12月12日に登録出願され、「技芸・スポーツ又は知識の教授」を含む第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、平成16年10月1日に設定登録されたものである。
なお、本件審判請求の予告登録が平成24年9月4日になされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その第41類の指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授」について継続して3年以上日本国内において、商標権者等が使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標は、「技芸・スポーツ又は知識の教授」について継続して3年以上日本国において使用しているので、取消事由には該当しないものである。
2 本件商標は「技芸・スポーツ又は知識の教授」に含まれる「美容の教授」について現に使用されている。被請求人は化粧品の製造販売業者であるが、関連事業として、主に女性を対象とし、肌のしくみやお手入れ方法を「美容教室」などを開催して教授している。
3 乙第1号証の1は、「美容教室」を宣伝するチラシである。その内容から、「美容教室」が肌及び化粧品の知識、並びに正しいお手入れ方法を教授するものであり、指定役務に該当すること、チラシの表面の左下に「IVY.\COSMETICS」と表示されており、本件商標が使用されていることが明らかである。
被請求人は、このチラシを、平成23年4月に渋谷区に存在する株式会社クリークに委託して70,000部制作し、被請求人の傘下にある販売会社を通じて、消費者に配布している。乙第1号証の2はその制作と梱包・配送の委託料の請求書である。
4 乙第2号証の1は、被請求人の発行にかかる情報誌「アイビーニュース」2011年6月号である。その第6ページ中段において「美容教室」を宣伝しており、平成22年度はのべ11,801名が参加しているとの記述がある。
乙第2号証の2は、同2012年6月号である。その第5ページにおいて「美容教室」を宣伝しており、講師及び受講者のコメントが記載されている。いずれも、その裏表紙左下に「IVY.\COSMETICS」と表示されており、本件商標が使用されていることが明らかである。
被請求人は、情報誌「アイビーニュース」を毎月1回発行しており、品川区に存在する協同広告株式会社に委託して制作し、被請求人の傘下にある販売会社を通じて、消費者に配布している。2011年6月号は312,800部、2012年6月号は317,200部を制作しており、乙第2号証の3及び4は、その制作、印刷・発送の委託料の請求書である。
5 乙第3号証の1は、「美容教室」における教材として使用するテキストである。このテキストには、被請求人の会社紹介、美容理論、肌の基本的なしくみと働き、肌トラブルの原因とお手入れ方法、スキンケアの役割と必要性などの説明が掲載されており、指定役務に含まれる「美容の教授」を目的としていることが明らかである。また、表紙左下に「IVY.\COSMETICS」と表示されており、本件商標が使用されていることが明らかである。
被請求人は、このテキストを、株式会社ブライツに委託して制作しており、平成23年4月に8,000部改定増刷し、「美容教室」を開催する販売会社を通じて、受講者に配布している。乙第3号証の2は、その制作・印刷・梱包・発送の委託料の請求書である。
6 乙第4号証の1及び2は、被請求人の傘下にある販売会社が「美容教室」開催の都度、被請求人に提出して受講者の氏名、人数等を報告する開催報告書である。乙第4号証の1は、平成23年11月5日、被請求人の傘下にある栃木第1販社において開催された「美容教室」開催報告書である。新規4名、再受講3名、合計7名が受講したと記録されている。乙第4号証の2は、平成24年3月2日、被請求人の傘下にある群馬第2販社において開催された「美容教室」開催報告書である。新規3名、再受講5名、合計8名が受講したと記録されている。
7 以上述べたとおり、本件商標は指定役務中、「技芸・スポーツ又は知識の教授」について、現在日本国内において使用しているので、取消の事由には該当しないものである。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標を「技芸・スポーツ又は知識の教授」に含まれる「美容の教授」について、継続して3年以上日本国において使用していると主張して、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出している。
そこで、以下、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、取消請求に係る指定役務について、使用されていたかについて検討、判断する。
1 役務「美容の教授」について
役務「美容の教授」に関し、「美容」の語について、「容貌・容姿・髪型を美しくすること。」との記載があり、また、「教授」の語について、「学術・技芸などを教えること。養護・訓練とならぶ教育上の基本的な活動・作用。」との記載がある(両語とも、広辞苑第六版)。
したがって、「美容の教授」は、容貌・容姿・髪型を美しくすることに関する知識、技術を教えることと解され、これは、本件商標の指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授」に含まれるといえるものである。
2 乙第1号証について
(1)乙第1号証の1について
乙第1号証の1は、被請求人によるチラシと認められ、その表面には、「化粧品の特徴について、きちんと教えてほしい。」、「こんな疑問や要望をおもちなら、ぜひアイビー化粧品の美容教室にご参加ください。」、「美肌の基本は、まずご自身の肌の性質や状態を把握すること。アイビー化粧品の『美容教室』は、・・・あなたの『キレイ』を引き出します。」との表示がされていることが認められる。
そして、同チラシの左下には、本件商標が表示されているものである。
(2)乙第1号証の2について
乙第1号証の2は、株式会社クリークによる、美容教室の研修用チラシの作成に係る被請求人宛の2011年4月25日付の請求書の写しと認められ、これは、上記の乙第1号証の1についてのものということができるものである。
3 乙第2号証について
(1)乙第2号証の1は、被請求人の発行にかかる情報誌「アイビーニュース」2011年6月号と認められ、その6頁中段に「アイビー化粧品の研修」との見出しのもと、「アイビー化粧品は、どなたでもご参加いただける研修を開催しています。」との表示があり、同情報誌の裏表紙左下部には本件商標が表示されている。
(2)乙第2号証の2について
乙第2号証の2は、被請求人の発行にかかる情報誌「アイビーニュース」2012年6月号と認められ、その5頁に「美容教室」の宣伝記事が掲載されており、同情報誌の裏表紙左下部には本件商標が表示されている。
(3)乙第2号証の3及び4について
乙第2号証の3は、協同広告株式会社による、「アイビーニュース」2011年6月号の制作に係る被請求人宛の発行日を2011年5月31日とする請求書の写しと認められ、これは、上記の乙第2号証の1についてのものということができる。
乙第2号証の4は、協同広告株式会社による、「アイビーニュース」2012年6月号の制作に係る被請求人宛の発行日を2012年5月31日とする請求書の写しと認められ、これは、上記の乙第2号証の2についてのものということができる。
4 乙第3号証について
(1)乙第3号証の1について
乙第3号証の1の印刷物の表紙には、「美容教室 初級編」との記載があり、その左下には本件商標が表示されていることが認められる。また、裏表紙には、「社内教育用資料・社外秘」とあり、「このマニュアルは社内教育用です。・・・」との記載があることが認められる。
(2)乙第3号証の2について
乙第3号証の2は、株式会社日本ブライツによる、美容教室「初級編」改定増刷費に係る被請求人宛の2011年10月31日付の請求書の写しと認められ、これは、上記の乙第3号証の1についてのものということができる。
5 乙第4号証について
乙第4号証の1及び2は、被請求人の傘下にある販売会社による、平成23年11月5日及び平成24年3月2日に開催された「美容教室」に係る、被請求人に提出した受講者の氏名、人数等を報告する開催報告書の写しと判断されるところ、これらの証拠には、本件商標は表示されていない。
6 本件商標の使用についての判断
(1)前記2によれば、乙第1号証の1は、被請求人に係る「美容教室」を宣伝するためのチラシであって、これに本件商標を付して、本件審判請求前である2011年4月前後に配布されたと推認することができ、被請求人は、この時期において、役務「美容の教授」について本件商標を使用していたとみて差し支えないものと判断される。
また、前記3によれば、乙第2号証は、被請求人に係る情報誌「アイビーニュース」であって、これに本件商標を付して、本件審判請求の登録前である2011年(平成23年)6月及び2012年(平成24年)6月に配布されたと推認することができ、被請求人は、この時期において、役務「美容の教授」について本件商標を使用していたとみて差し支えないものと判断される。
そして、これら被請求人の行為は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
(2)その他
ア 乙第3号証について
前記4(1)で認定した記載内容によれば、乙第3号証の1の印刷物は、被請求人が開催する美容教室の社内教育用資料としてのマニュアルと認められるものであって、これが、「『美容教室』における教材として使用するテキストである。」との請求人の主張は、にわかには採用することはできないものである。
また、「社外秘」をはじめとする、その記載内容に照らして、このマニュアルは、社外には公開しないものと思われ、これが、社外の者である美容教室の受講者に配布されて、同人らが閲覧可能な状態に置かれていたとはいいきれず、「被請求人は、このテキストを、・・・『美容教室』を開催する販売会社を通じて、受講者に配布している。」との主張についても、直ちには採用することはできない。
そうすると、甲第3号証の1のマニュアルによる、役務「美容の教授」の提供行為は、商標法第2条第3項第4号外の同条3項の「使用」の定義を満たすということはできないものである。
しかしながら、上記(1)及び(2)における、被請求人による本件商標の使用時期に照らせば、乙第3号証(枝番を含む。)は、2011年(平成23年)10月前後に、被請求人が、役務「美容の教授」に本件商標を使用していたことを推定させる補完的証拠ということはできるものである。
イ 乙第4号証について
乙第4号証(枝番を含む。)によれば、2011年(平成23年)11月5日及び2012年(平成24年)3月2日に、被請求人が、役務「美容の教授」を提供していたということはできても、当該役務に本件商標が使用されていたと認めることはできないものである。
しかしながら、上記(1)及び(2)における、被請求人による本件商標の使用時期に照らせば、乙第4号証(枝番を含む。)は、2011年(平成23年)11月及び2012年(平成24年)3月に、被請求人が、役務「美容の教授」に本件商標を使用していたことを推定させる補完的証拠ということができるものである。
7 まとめ
以上、前記6を総合すれば、被請求人は、本件取消審判の請求登録前3年以内に、本件取消請求に係る役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」に含まれる「美容の教授」について、本件商標の使用をしていたことを明らかにしたということができるものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


審理終結日 2013-02-14 
結審通知日 2013-02-19 
審決日 2013-03-06 
出願番号 商願2003-111102(T2003-111102) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加園 英明 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2004-10-01 
登録番号 商標登録第4807657号(T4807657) 
商標の称呼 アイビーコスメティックス、アイビー、アイブイワイ、コスメティックス 

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