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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900161 審決 商標
異議2013900030 審決 商標
異議2012900292 審決 商標
異議2012900299 審決 商標
異議2011900133 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X34
審判 全部申立て  登録を維持 X34
審判 全部申立て  登録を維持 X34
審判 全部申立て  登録を維持 X34
審判 全部申立て  登録を維持 X34
管理番号 1272673 
異議申立番号 異議2012-900297 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-10-15 
確定日 2013-03-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5507137号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5507137号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5507137号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成23年5月18日に登録出願、第34類「たばこ,マッチ」を指定商品として、同24年6月4日に登録査定、同年7月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも有効に存続しているものである。
(1)登録第1228748号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和46年2月19日に登録出願され、第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同51年10月27日に設定登録され、その後、昭和61年10月21日、平成8年9月27日及び同18年5月16日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同19年2月28日に指定商品を第34類「フィルター付たばこ」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第1270552号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和47年12月27日に登録出願され、第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年5月16日に設定登録され、その後、昭和62年5月20日、平成9年5月20日及び同19年4月3日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年3月12日に指定商品を第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第3098721号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成4年6月8日に登録出願され、第34類「たばこ,紙巻きたばこ用紙,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として、同7年11月30日に設定登録され、その後、同17年6月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
これらをまとめて、以下「MARLBORO商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、長方形を赤色(上部)と白色(下部)の二色に分け、上部の赤色部分に、横長楕円状の白抜きをし、その内部に「FILTER CIGARETTES」の文字を赤色で記載している。他方、下部の白色部分には、縦長の楕円形の王冠状の図形を中心に、左右に互いに向き合い、左後ろ足で立ち上がった飛竜を配した紋章を配置し、その下に、縦長のフォントで「KING」の文字を黒色で配置する構成である。なお、縦長の楕円形の王冠状の図形の内部には、「FTCO」の文字が、また、飛竜の下には、「New York Paris London」の文字が記されている。
イ 「MARLBORO商標」について
「MARLBORO商標」は、長方形をルーフ状に、赤色(上部)と白色(下部)の二色に分け、上部の赤色部分に、横長楕円状の白抜きをし、その部分に「FILTER CIGARETTES」の文字を赤色で記載している。他方、下部の白色部分には、縦長の楕円形の王冠状の図形を中心に、左右に互いに向き合い、左後ろ足で立ち上がった飛竜(wyverns)を配した紋章を配置し、その下に、縦長のフォントで「Marlboro」の文字を黒色で配置する構成である。なお、縦長の楕円形の王冠状の図形の内部には、フィリップモリスの頭文字である「PM」の文字が、また、飛竜の下には、「Veni Vidi Vici」という文字が配されている。
ウ たばこの取引の態様
現在、たばこ等は、成人喫煙者に対して、コンビニエンスストア、自動販売機及び駅の売店等の様々な販売チャンネルを通じて販売されているところ、その中でも自動販売機による販売の場合、各商品の銘柄の名称を記載せずに、各商品のパッケージを陳列しただけの場合が多く、成人喫煙者は、陳列されているたばこのパッケージをみて、商品を識別し、購入をすることになる。また、コンビニエンスストアでも、たばこ等は、商品名を付記することなしに、レジの後ろ、あるいは、レジの周りに商品を陳列されている。これらのことから、たばこ等の取引においては、たばこのパッケージの外観が類似している場合、成人喫煙者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれが高いといえる。
エ 「MARLBORO商標」の著名性について
申立人は、フィリップモリスインターナショナル(以下「PMI」という。)グループに属する会社であり、PMIは、国際的なたばこのリーディングカンパニーである。PMIの主力ブランドである「MARLBORO」(マルボロ、マールボロ)は、1924年から発売が開始され、「MARLBORO商標」についても、米国において1955年、全世界的にも遅くとも1957年から使用が開始されている。「MARLBORO商標」を使用した商品を含む「MARLBORO」たばこは、1972年から世界第1位のたばこブランドで、すべての消費財の中で、最も力のある商標の一つである。実際、「MARLBORO」は、Millward Brownによる「BrandZ Ranking」の2010年ないし2012年版で第7位又は第8位にランキングされている(甲第7号証ないし甲第9号証)。
また、Maxwell Reportでは、少なくとも1984年から2005年までの間、「MARLBORO」は、世界第1位のたばこブランドとなっており(甲第10号証)、このMaxwell Reportのチャートにおける数字は、アメリカを含めた世界での出荷数である。
ちなみに、「MARLBORO」たばこは、世界の約170の国及び地域で販売されており、「MARLBORO商標」も、第34類のたばこ等の商品を指定商品として、世界的に登録、保護されている。
我が国においては、「MARLBORO」たばこは、1973年から発売を開始し、以後約40年間、継続して販売されており、社団法人日本たばこ協会の統計によれば、平成10年(1998年)から本件商標の登録出願時を含む平成23年(2011年)までの紙巻たばこ販売実績の上位20銘柄には、毎年、「MARLBORO」たばこ(「MARLBORO商標」を使用した商品を含む。)がランクインし、平成23年度は、「MARLBORO」たばこの4銘柄がランクインしている(甲第11号証)。また、たばこの重要な取引形態である自動販売機において、「MARLBORO」たばこを取り扱っている台数は、日本国内で309,830台、その他、215,508の日本国内のたばこの小売店において、「MARLBORO」たばこが取り扱われている。
さらに、PMIは、日本法の許容する範囲において、様々な媒体を通じて、「MARLBORO」や「MARLBORO」たばこに関する広告やキャンペーンを恒常的に行っており(甲第12号証ないし甲第14号証)、その結果、「MARLBORO」は、成人喫煙者及び取引者に著名となるに至っている(甲第15号証)。この著名性は、ブランド名だけでなく、パッケージデザインである「MARLBORO商標」を含むものである。
このことをさらに証するものとして、「MARLBORO商標」が、たばことは関連のない業界において、その著名性にフリーライドすることを意図し、模倣される例が現れ、その中には、「MARLBORO商標」の「Marlboro」の文字を自社のブランド名等に変更している例が挙げられる。このように、「MARLBORO商標」は、「Marlboro」の文字を使用しなくとも、「MARLBORO商標」を構成する色彩やその構成要素を使用するだけで、一般消費者をして、申立人を出所とする商標であることを想起させるから、「Marlboro」の文字を自らのブランド名等に変更して、「MARLBORO商標」の著名性や信用性にフリーライドする商品が現れるに至っている。このことから、「MARLBORO商標」は、その色彩や構成要素だけでも、一般消費者に著名な商標となるに至っていることは明らかである。
したがって、「MARLBORO」は、そのブランド名が申立人のたばこ等に使用する商標として著名性を獲得しているばかりでなく、たばこパッケージに使用されている「MARLBORO商標」、さらには「MARLBORO商標」の配色、構成についてまでもが、申立人の「MARLBORO」の象徴として、一般に広く知られた商標となっている。
オ 本件商標と「MARLBORO商標」との比較
本件商標と「MARLBORO商標」の指定商品は、同一である。
また、本件商標及び「MARLBORO商標」のように、たばこのパッケージデザインを商標とする場合、その構成中のデザイン部分は、識別力があると考えるべきであって、本件商標と「MARLBORO商標」の類否においても、文字部分を除いたデザイン商標部分について、部分観察による類否判断がなされるべきである。
以上に基づき、本件商標と「MARLBORO商標」とを比較すると、両商標は、(ア)いずれも、長方形の上部を赤色、下部を白色の二色に分け、かつ、(イ)その上部の赤色部分に、横長楕円状の白抜きをし、その部分に「FILTER CIGARETTES」の文字を赤色で記載している。また、両商標は、(ウ)下部の白色部分に、縦長の楕円形の王冠状の図形を中心に、左右に互いに向き合い、左後ろ足で立ち上がったほぼ同一の飛竜(wyverns)を配した紋章を配している点でも共通している。さらに、(エ)両商標とも、王冠状の図形と飛竜(wyverns)の紋章の下に商品名(「Marlboro」と「KING」)を記載しているが、いずれも同じ色及びタイプフェイス(黒色で、かつ、縦長フォント)を使用しており、両商標の外観は、全体的に極めて類似する。
以上のとおり、本件商標と「MARLBORO商標」とは、外観において、類似する商標であり、また、たばこの取引においては、たばこの銘柄の名称ではなく、パッケージ商標により商品を識別し、たばこを購入していることから、たとえ、称呼や観念が相違していても、パッケージ商標の外観が類似すれば、消費者(成人喫煙者)が、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれが高く、両商標は、類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)で述べたとおり、本件商標と「MARLBORO商標」とは、類似する商標である。
また、「MARLBORO商標」は、たばこの需要者(成人喫煙者)だけでなく、一般消費者に申立人の商標であることを認識されている状況にあり、その著名な「MARLBORO商標」と構成要素を共通にする本件商標を「たばこ」等に使用すれば、成人喫煙者が、申立人の「MARLBORO」ブランドの新銘柄や申立人の新ブランドのパッケージであると誤認する、あるいは、申立人の「MARLBORO」ブランドとのコラボレーション商品のパッケージデザイン(商標)であると誤認する可能性は避けられない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、たばこの製造及び販売会社である商標権者が登録出願したものであるが、商標権者は、本件商標と同様に「KING」の文字を使用したKINGラベル(登録第4741335号商標)を所有している。
当該商標は、「MARLBORO商標」とは完全に異なる要素で構成されており、「KING」を表すために、百獣の王である「ライオン」の紋章を「MARLBORO商標」とは異なる構成と色で作成したものであると推測される。
しかしながら、商標権者は、本件商標では、同じ「KING」の文字を使用しているにもかかわらず、「KING」のコンセプトとは何ら関連を有しない、「MARLBORO商標」とほぼ同一の紋章である馬、あるいは、飛竜をあえて使用している。また、商標権者は、本件商標において、「MARLBORO商標」のすべての図形及び文字が極めて類似する構成、タイプフェイスを使用するとともに、同じ色の組合せを選択している。
「MARLBORO商標」の著名性を考えれば、たばこ業界にいる商標権者が、「MARLBORO商標」を認識していないことはあり得ないし、あえて申立人の著名な「MARLBORO商標」と同じ紋章、構成、タイプフェイス、色の組合せを採用したことは明らかといわざるを得ない。
したがって、商標権者は、「MARLBORO商標」を模倣する意図の下、「MARLBORO商標」のこれまでに築き上げてきた信用、著名性にフリーライドし、その結果、これまでに申立人が保護してきた重要な商標を希釈化させる目的で本件商標を登録出願し、使用することは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録された商標であるから、その登録は、商標法第43条の2第1号により、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、縦長長方形の上部(該長方形の高さの約5分の1)を赤色、下部(該長方形の高さの約5分の4)を白色で色分けしてなるものであって、赤色上部には白色で表された横長楕円形の中に赤色の「FILTER CIGARETTES」の文字を書してなるものを配し、かつ、白色下部には、黄土色の王冠、2頭の馬様の図形及び白抜きで「New York Paris London」の文字を有するリボン状図形と白色で表された「FT」及び「CO」の文字(2段書き)を有する赤色の楕円形とを組み合わせてなる紋章様の図形、並びに顕著に表された「KING」の文字を配してなるものであるところ、該「FILTER CIGARETTES」の文字は、本件商標の指定商品との関係においては、商品「フィルター付き紙巻きたばこ」であることを表したものと容易に看取、理解されるものであるから、該文字は、自他商品の識別標識として機能し得ないものである。
さらに、上記紋章様の図形についてみるに、その構成全体をもって特定の称呼、観念を生じるとはいい難く、また、その構成中の「New York Paris London」の文字については、米国及び欧州の都市名と容易に看取され、販売地等を表したものと理解される場合も少なからずあるというのが相当であるから、該文字自体による自他商品の識別力は極めて弱いものである。
してみれば、本件商標は、その構成中、顕著に表された「KING」の文字に相応して、「キング」の称呼、「王様」の観念を生ずるものであり、また、その構成中の紋章様の図形内の「FT」及び「CO」の文字(2段書き)に相応する「エフティーシーオー」の称呼を生じ得るものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、縦長長方形の上半部及び下端部を赤色、下半部を薄黄色で色分けし、かつ、該赤色上半部の下方をくさび状に薄黄色で抜いてなるものであって、該赤色上半部には、薄黄色で表された横長長方形及び横長楕円形の中に赤色の「FILTER CIGARETTES」の文字を表してなるものを配し、かつ、薄黄色下半部には黄土色の王冠、2頭の馬様の図形及び薄黄色で表された「Veni Vidi Vici」の文字を有するリボン状図形と薄黄色で表された「PM」及び「INC」の文字(2段書き)を有する赤色の楕円形とを組み合わせてなる紋章様の図形、特徴ある書体(「l」と「b」の文字のステムは、ほかの文字よりも上方まで伸ばされて表されている。)をもって顕著に表された「Marlboro」の文字、並びに黄土色の「20 CLASS A CIGARETTES」の文字を配してなるものであるところ、該「FILTER CIGARETTES」及び「20 CLASS A CIGARETTES」の各文字は、本件商標の指定商品との関係においては、前者が商品「フィルター付き紙巻きたばこ」であることを表したものとして、後者が「20本のクラスAたばこ」程の意味合いを表したものとして容易に看取、理解されるものであるから、該各文字は、いずれも自他商品の識別標識として機能し得ないものである。
また、上記紋章様の図形についてみるに、その構成全体をもって特定の称呼、観念を生じるとはいい難いものである。
さらに、上記「Marlboro」の文字は、後述するように、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品「たばこ」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く知られていたといえるものである。
してみれば、引用商標1は、その構成中、特徴ある書体をもって顕著に表された「Marlboro」の文字に相応して「マルボロ」又は「マールボロ」の称呼を生じ、「マルボロ(マールボロ)たばこ」の観念を生じるものであり、また、その構成中の紋章様の図形内の「PM」及び「INC」の文字(2段書き)に相応する「ピーエムインク」の称呼及び「Veni Vidi Vici」の文字に相応する「ヴェニヴィディヴィチ」の称呼を生じ得るものである。
(イ)引用商標2は、別掲3のとおり、概ね引用商標1と同じ構成態様からなるものであって、引用商標1の構成中の赤色上半部内の薄黄色で表された横長長方形及び「FILTER CIGARETTES」の文字並びに薄黄色下半部内の「20 CLASS A CIGARETTES」の文字を有しないものである。
してみれば、引用商標2は、引用商標1と同様に、その構成中、特徴ある書体をもって顕著に表された「Marlboro」の文字に相応して「マルボロ」又は「マールボロ」の称呼を生じ、「マルボロ(マールボロ)たばこ」の観念を生じるものであり、また、その構成中の紋章様の図形内の「PM」及び「INC」の文字(2段書き)に相応する「ピーエムインク」の称呼及び「Veni Vidi Vici」の文字に相応する「ヴェニヴィディヴィチ」の称呼を生じ得るものである。
(ウ)引用商標3は、別掲4のとおり、縦長長方形の上半部に赤色正方形の下方をくさび状に白色で抜いてなるものであって、かつ、その中に白色の横長楕円形を表してなるもの(下方の2辺は、黄土色で縁取りされている。)を配し、その下方に、黄土色の王冠、2頭の馬様の図形及びリボン状図形と白色で表された「PM」の文字を有する赤色の楕円形とを組み合わせてなる紋章様の図形と、特徴ある書体(「l」と「b」の文字のステムは、ほかの文字よりも上方まで伸ばされて表されている。)をもって顕著に表された「Marlboro」の文字を配してなるものであるところ、該紋章様の図形については、その構成全体をもって特定の称呼、観念を生じるとはいい難いものである。
また、上記「Marlboro」の文字は、後述するように、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品「たばこ」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く知られていたといえるものである。
してみれば、引用商標3は、その構成中、特徴ある書体をもって顕著に表された「Marlboro」の文字に相応して「マルボロ」又は「マールボロ」の称呼を生じ、「マルボロ(マールボロ)たばこ」の観念を生じるものであり、また、その構成中の紋章様の図形内の「PM」に相応する「ピーエム」の称呼を生じ得るものである。
ウ 本件商標と「MARLBORO商標」との対比
(ア)外観
本件商標と「MARLBORO商標」とは、それぞれ上記のとおりの構成態様からなるところ、両商標は、概ね縦長長方形の上方を赤色とし、下方を白色(薄黄色)として、色分けしている点、紋章様の図形を有している点において、似たところがあるとはいい得るものの、上記色分けの仕方についてみれば、本件商標が縦長長方形の上方約5分の1を長方形状に赤色で表してなるのに対し、「MARLBORO商標」は、縦長長方形の概ね上半部を赤色で表し、かつ、その下方部をくさび状に抜いてなることからすれば、その差異は、容易に看取、認識されるとみるのが相当である。
また、本件商標の構成中の「KING」の文字と「MARLBORO商標」の構成中の「Marlboro」の文字とは、その綴りを全く異にするものである。
さらに、本件商標と「MARLBORO商標」とは、上記のとおり、紋章様の図形を有する点において、似ているところがあるものの、該図形を構成する赤色の楕円形及び黄土色のリボン状図形内に表された文字については、前者が「FT」及び「CO」の2段書き並びに「New York Paris London」であるのに対し、後者が「PM」及び「INC」の2段書き又は「PM」並びに「Veni Vidi Vici」というように、明らかに異なるものである。
してみれば、本件商標と「MARLBORO商標」とは、外観上、相紛れるおそれはない。
(イ)称呼
本件商標の構成文字から生ずる「キング」及び「エフティーシーオー」の称呼と「MARLBORO商標」の構成文字から生ずる「マルボロ」、「マールボロ」、「ピーエムインク」又は「ピーエム」及び「ヴェニヴィディヴィチ」の称呼とを比較すると、両称呼は、音構成をすべて異にするものであるから、互いに聴き誤るおそれはない。
(ウ)観念
本件商標は、その構成中、「KING」の文字に相応する「王様」の観念が生じるものであるのに対し、「MARLBORO商標」は、その構成中、「Marlboro」の文字に相応する「マルボロ(マールボロ)たばこ」の観念を生ずるものとみるのが相当であるから、観念上、両商標が相紛れるおそれはない。
(エ)以上によれば、本件商標と「MARLBORO商標」とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、非類似の商標というべきである。
エ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る証拠をみると、「MARLBORO商標」が、申立人の業務に係る商品「たばこ」を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国で知られているとはいい得るものの、本件商標と「MARLBORO商標」とは、概ね縦長長方形の上方を赤色とし、下方を白色(薄黄色)として、色分けしている点、紋章様の図形を有している点において、似たところがあるとしても、上記(1)のとおり、互いに紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当であり、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせない。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記(1)のとおり、非類似の商標といえるものであり、また、申立人の提出に係る証拠のいずれをみても、商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標(色彩については、原本参照。)




2 引用商標1
(登録第1228748号商標:色彩については、原本参照。)



3 引用商標2
(登録第1270552号商標:色彩については、原本参照。)



4 引用商標3
(登録第3098721号商標:色彩については、原本参照。)



異議決定日 2013-03-15 
出願番号 商願2011-33837(T2011-33837) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (X34)
T 1 651・ 262- Y (X34)
T 1 651・ 271- Y (X34)
T 1 651・ 222- Y (X34)
T 1 651・ 261- Y (X34)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2012-07-13 
登録番号 商標登録第5507137号(T5507137) 
権利者 エヌ.ブイ.スマトラ タバコ トレーディング カンパニー
商標の称呼 キング、エフテイシイオオ、テイオオエフシイ、ニューヨークフィルターシガレッツ、パリフィルターシガレッツ、ロンドンフィルターシガレッツ、ニューヨークシガレッツ、パリシガレッツ、ロンドンシガレッツ 
代理人 特許業務法人東京アルパ特許事務所 
代理人 渡辺 広己 

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