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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X3043
審判 全部申立て  登録を維持 X3043
審判 全部申立て  登録を維持 X3043
審判 全部申立て  登録を維持 X3043
管理番号 1272672 
異議申立番号 異議2012-900293 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-10-05 
確定日 2013-03-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5506246号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5506246号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5506246号商標(以下「本件商標」という。)は、「ダブルネルプレッソ」の片仮名を標準文字により表してなり、平成24年1月27日に登録出願、第30類「コーヒー」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同年5月28日に登録査定、同年7月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次に掲げるとおりである。
(1)登録第2049744号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:NESPRESSO
登録出願日:昭和60年9月18日
設定登録日:昭和63年5月26日
書換登録日:平成20年6月11日
指定商品 :第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」
(2)登録第3123593号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:(別掲のとおり)
登録出願日:平成4年8月31日(特例商標登録出願)
設定登録日:平成8年2月29日
指定役務 :第42類「茶,コーヒー,ココア,清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」
(3)登録第5288752号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ネスプレッソ (標準文字)
登録出願日:平成20年1月8日
設定登録日:平成21年12月18日
指定商品及び指定役務:第30類「コーヒー,コーヒーエキス,コーヒー飲料製造用調製品,代用コーヒー,代用コーヒーエキス,茶,茶エキス,茶飲料製造用調製品,ココア,ココア飲料製造用調製品,チョコレート,チョコレートを使用した菓子,菓子,砂糖菓子,砂糖,甘味料(天然のもの),焼き菓子,ビスケット」、第43類「ホテルにおける宿泊施設の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供」、その他第9類、第11類、第21類、第35類、第37類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(4)国際登録第1054554号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:(別掲のとおり)
国際登録日:2010年9月13日
優先権主張:2010年3月26日、スイス国
設定登録日:平成24年4月13日
指定商品及び指定役務:第30類「Coffee, coffee extracts, coffee-based preparations and beverages; iced coffee; artificial coffee, artificial coffee extracts, preparations and beverages made with artificial coffee; chicory (coffee substitute); tea, tea extracts, preparations and beverages made with tea; iced tea; malt-based preparations for human consumption; cocoa and cocoa-based preparations and beverages; chocolate, chocolate goods, chocolate-based preparations and beverages; confectionery, bakery goods, namely bread and buns, pastries; biscuits, cakes, cookies, wafers, caramels, dessert puddings; edible ices, water ices, sorbets, iced confectionery, frozen cakes, ice cream, ice candies, ice-cream cakes, frozen yoghurts; breakfast cereals, cereals mainly consisting of processed grains, nuts and dried fruits, corn flakes, cereal bars, ready-to-eat cereals; cereal preparations.」、第43類「Providing food and drink services; hotels, cafes, cafeterias, bars, restaurants, snack bars, canteens, coffee shops; preparation of foods and beverages to take away.」、その他第9類、第11類、第16類、第21類、第29類、第35類、第37類、第39類、第40類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
上記引用商標1ないし4は、いずれも現に有効に存続するものであり、以下、これらを一括して「引用商標」ということがある。

3 登録異議申立ての理由の要点
(1)本件商標は、その構成中の「ダブル」の文字が、数量(通常のコーヒー豆の2倍、約14g)を表示するものであって、自他商品・役務の識別力を有しないものであるから、「ネルプレッソ」の文字部分が自他商品・役務の識別力を有し、これより単に「ネルプレッソ」の称呼をも生ずる。そして、上記「ネルプレッソ」の称呼と引用商標から生ずる「ネスプレッソ」の称呼とは、第2音において母音を同じくする「ル(ru)」と「ス(su)」との差異を有するにすぎず、全体の構成音、アクセント等聴者に与える語調・語感に特段の差異もなく、両者の類似性は極めて高いものである。
加えて、引用商標の周知著名性を考慮すれば、本件商標と引用商標とは、称呼において類似する商標であり、両者の指定商品・役務も同一又は類似のものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)引用商標は、申立人が家庭用エスプレッソコーヒーメーカー及びカプセルコーヒー等に長年継続的に使用し、莫大な宣伝広告費を投じて広報活動を行ってきた結果、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時には既に取引者・需要者の間に広く認識されていたものである。
引用商標の著名性、独創性、本件商標の指定商品・役務と申立人の業務との関連性の程度、需要者・取引者の共通性に照らすと、引用商標と近似する本件商標がその指定商品・役務に使用された場合には、商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(ア)本件商標の構成中の「ダブル」の文字が「二つ、二重、二倍」や「通常のコーヒー豆の2倍、約14g」等を意味する語として知られていることは、申立人の主張のとおりである。
しかしながら、これに続く「ネル」の文字が、「紡毛糸で粗く織ったやわらかい起毛織物」を意味する「フランネル」の略として知られている語であることは、例えば、岩波書店発行「広辞苑第六版」の「ネル」及び「フランネル【flannel】」の項の記載に徴し、明らかである。
加えて、以下に示すように、コーヒー等を扱う業界においては、フランネルを用いてコーヒーを抽出する方法が「ネルドリップ」と称されており、さらに、一度抽出したコーヒーを新たなコーヒー粉で更にろ過・抽出する方法又はコーヒーを二重のフランネルでドリップする方法が「ダブルネルドリップ」と称されている事実がある。
例えば、インターネットのウェブサイト等には、次のような記載が見られる。
「『ネルドリップ』とは、布ドリップとも言われるように、フランネルという織物の種類のひとつを使用した抽出方法です。」、「・・・私たちが辿り着いたのは『ダブルネルドリップ』方式。一度抽出したコーヒーを新たなコーヒー粉でさらにろ過・抽出する、まったく新しい方式です。」(http://ueshima-ciffee-ten.jp/neldorip/)、「ダブルネルドリップとは、しずくをたらす、又はしずくの一滴一滴が特性の二重のフランネル(布)を通り、珈琲が落とされます。」(http://www.arstainn.co.jp/cafe/menu.html)、「ハツネヤガーデンカフェ/HATSUNEYA GARDEN CAFE/ドリンクメニュー/ダブルネルドリップコーヒー/無糖ミルク珈琲(写真はイメージ)/ダブルネルドリップコーヒーとミルクの濃厚な味わいS 350円/M 390円/L 500円・・・ネルドリップコーヒー/ウインナーコーヒー(写真はイメージ)/ネルドリップコーヒーの上に甘さひかえめのホイップクリームをのせてS 370円/M 410円/L 520円・・・」(http://hitosara.com/0006018967/drink.html)、「ブレンドコーヒーはダブルネル(二重の布)でドリップしたもので、・・・」(itot.jp/23228/8)、「サザコーヒーオンラインショップ/ネルドリップ/ネルドリップ式の抽出は『サザコーヒー本店』で採用されています。・・・本来『ネルドリップ』の『ネル』は『ネルシャツ』のネル布(羊毛織布)のことをいいます。現在は綿の使用が主流で一般には『綿のフイルター』の事をさします。その布を使ってコーヒー粉をこす方法が、ネルドリップです。・・・」(http://www.saza.jp/saza_jp/coffee_time/nel/index.html)。
また、新聞記事にも次のような記述が見られる。
「UCC上島珈琲、2段階濾過タイプのドリップマシンを全店に導入」の見出しによる「UCC上島珈琲は、布製のフィルターを上下2段に配置しコーヒーを抽出する『ダブルネルドリップマシン』を、セルフ業態の上島珈琲店全店(10店舗)に導入した。2段階の濾過によって、濃厚で後味の良いコーヒーができる。」(2005年4月22日付「日刊工業新聞」)、「UCCフードサービスシステムズ、『ダブルネルドリップマシン』開発」の見出しによる「ユーシーシーフードサービスシステムズ(株)は、店舗で提供するコーヒーメニューの品質向上を目的にネルドリップマシン『ダブルネルドリップマシン』を開発した。・・・今回開発した同製品は、ネルのフィルターを上下二ヵ所に取り付け、コーヒーの抽出工程を2回行う。第2フィルターが第1フィルターで抽出したコーヒーの余分な雑味と酸味を吸着する役目を果たすため、ネルドリップコーヒー本来の濃厚で後味の良いコーヒーが実現した。」(2005年4月27日付「日本食糧新聞」)。
以上によれば、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は「ダブルネル」の文字部分に着目して上記「ダブルネルドリップ」を連想、想起するというのが自然である。
そうすると、本件商標は、強いて分離観察をするとすれば、「ダブル」と「ネルプレッソ」との各文字部分に分離されるというよりは、むしろ「ダブルネル」と「プレッソ」との各文字部分に分離して認識し把握されるというべきであるから、「ネルプレッソ」の文字部分のみを分離抽出し、該文字部分が自他商品・役務の識別標識としての要部であるということはできない。結局、本件商標は、一連不可分の一種の造語として認識し把握され、「ダブルネルプレッソ」の一連の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
(イ)他方、引用商標2及び4は、別掲のとおり、最初の文字が図案化されているものの、全体の構成に照らし、「N」の文字を表したものと容易に認識し理解し得るから、全体として「ネスプレッソ」の称呼を生ずるものといえる。引用商標1及び3は、それぞれの構成文字に相応して「ネスプレッソ」の称呼を生ずること明らかである。
また、引用商標は、いずれも、英和辞典等には見られない綴りからなるものであり、親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとは認められない。
(ウ)そこで、本件商標から生ずる「ダブルネルプレッソ」の称呼と引用商標から生ずる「ネスプレッソ」の称呼とを対比すると、両者は、構成音数が異なるばかりでなく、称呼の識別上重要な要素を占める語頭部分における「ダブル」の音の有無という顕著な差異及び前者の第4音「ル」と後者の第2音「ス」との差異を有することにより、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感・音調が明らかに異なり、容易に区別することができるものである。
そして、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、また、いずれも親しまれた既成の観念を有する成語からなるものとは認められないから、観念上、相紛れるおそれはない。
(エ)したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(ア)申立人の提出に係る証拠(甲第15号証、同第18号証ないし同第41号証(枝番号を含む。))によれば、申立人は、1986年に「NESPRESSO」(ネスプレッソ)の文字を家庭用コーヒーメーカーのシリーズ名として採択し、その頃から現在に至るまで引用商標を家庭用エスプレッソコーヒーメーカー、カプセルコーヒー等について継続使用しており、当該商品についてテレビ、新聞、雑誌、インターネット等の媒体を用いて盛大に宣伝広告を行っているほか、各種新聞、雑誌でも紹介されていることが認められ、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものといえる。そして、その状態は本件商標の登録査定時においても継続しているものと認められる。
(イ)しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきであるから、引用商標の周知著名性を考慮したとしても、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品又は役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれもないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標2及び引用商標4



異議決定日 2013-03-15 
出願番号 商願2012-5192(T2012-5192) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (X3043)
T 1 651・ 262- Y (X3043)
T 1 651・ 271- Y (X3043)
T 1 651・ 261- Y (X3043)
最終処分 維持  
前審関与審査官 冨澤 美加 
特許庁審判長 大橋 信彦
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2012-07-06 
登録番号 商標登録第5506246号(T5506246) 
権利者 ユーシーシーフードサービスシステムズ株式会社
商標の称呼 ダブルネルプレッソ、ダブル、ネルプレッソ 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 工藤 莞司 
代理人 小暮 君平 
代理人 北村 修一郎 
代理人 森川 邦子 

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