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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X3032
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X3032
管理番号 1272618 
審判番号 不服2009-650152 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-23 
確定日 2013-02-07 
事件の表示 国際登録956073号商標に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、日本国を指定する国際登録において指定された第30類及び第32類に属する商品を指定商品として、2007年(平成19年)9月18日に国際商標登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成21年4月10日付け手続補正書により、第30類「Honey;tea;tea bags filled with tea;tea for infusions;herb tea;herbal tea;iced tea;tisanes;chocolate;hot chocolate;flavorings for beverages (excluding essential oils);herbal infusion not for medical purposes.」及び第32類「Non-alcoholic herb-flavored beverages.」と補正された。
第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、網状のピラミッド形状部分とその頂点が一枚の葉形を有する紐状の指で挟み持つことのできる部分からなり、全体としてピラミッド形のティーバッグと認識されるものであり、これをその指定商品中のティーバッグ入りの商品に使用しても、単にティーバッグの形状、すなわち指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成23年12月16日付けで証拠調べの結果を通知した。
第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成24年4月6日付け意見書及び同年5月16日付け上申書において、以下のように意見を述べ、それまでに提出している証拠に追加して、甲第56号証ないし甲第91号証を提出した。
1 本願商標は、ティーバッグのピラミッド形状よりも葉形の握り手部分に強い識別力を有している。特に、ティーバッグの握り手部分は、お茶を入れる際に、必ず触れる部分であるから、当該部分の特徴が需要者に強い識別力を与えることが明らかである。
また、本件ティーバッグの紐部分は、針金で構成されていることから、それ自体が自立しており、該部分さえも需要者に対して、一般的なティーバッグと異なる印象を与え、本願商標の立体的形状が識別力を有することは明らかである。
2 本願商標に係るティーバッグは、包装自体もピラミッド形状をしており、販売時点から使用時点まで一貫して立体的なピラミッド形状を保持している。そのため、本願商標を使用した商品に接する取引者・需要者は、使用時のみならず、店舗などにおける商品選択時においてさえも、本願商標が他の商品とは形状の違う特異な形状をしていることを認識し、本願商標を使用した商品を他の商品から区別できることは明らかである。
3 仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものだとしても、本願商標は、世界各国に輸出入され、アメリカのみならず、日本において大規模に使用されており、充分な著名性を獲得し、本願商標が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっている。
第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品等の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品等の形状は、多くの場合に、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、同号に該当すると解するのが相当である。
また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、同号に該当するものというべきである(知的財産高等裁判所 平成19年(行ケ)10215号 平成20年5月29日判決言渡参照)。
(2)以上を踏まえて、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて検討する。
ア 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、指定通報における「標章の記述」の内容を併せみれば、その構成は、茶葉等を入れる網状の浸出器と、葉状のタグ(握り手)とを、紐状のものにより連結してなる立体的形状を表したものであり、茶葉等を入れる網状の浸出器(以下「ティーバッグ」ということがある。)は、上方にやや長い四角錐(以下「ピラミッド型」ということがある。)の形状からなるものである。
また、本願は、前記第1のとおり、「tea;tea bags filled with tea;tea for infusions;herb tea;herbal tea;iced tea;tisanes」(参考和訳「茶,ティーバッグ入りのお茶,浸出用茶,ハーブティー,ハーブティー,アイスティー,チザン(薬草の又はよい香りの煎じ茶)」)を含む商品が指定されているところ、紅茶や緑茶などの茶葉やハーブ等を淹れるために用いられる濾紙や不織布等で作られた浸出器は、ティーバッグとして一般に知られるものであり、また、お茶等を淹れる際の利便性を向上させるために、茶葉等を入れる網状の浸出器に、紐や糸を用いてタグ(握り手)を取り付けたティーバッグが存在しているものである。
そして、ティーバッグは、四角形型(封筒型)の形状のものが最も一般的であるが、別掲2のとおり、近時においては、ピラミッド型ティーバッグ、ピラミッド型バッグ、ピラミッドタイプティーバッグ、テトラパック(三角錐)型のティーバッグ、ピラミッド型の三角ティーバッグ、ピラミッド型メッシュタイプのティーバッグと表示される形状のものが製造、販売されている実情が認められる。
イ 本願商標の立体的形状のうち、上方にやや長く伸びたピラミッド型の網状の浸出器部分は、上記アのとおり、ティーバッグの基本的な形状の一つであって、茶葉等が中で開きやすくするなど浸出するための機能に資するものであるとともに、全体の美感に資するものであり、また、葉を模したと思しき形状のタグ(握り手)と紐状の部分は、その指定商品との関係において、茶葉を連想させる葉とその茎をデザインしたものと容易に理解させるものであって、お茶を淹れる際に持ちやすく、浸出中にカップに固定したり茶葉を揺らしたり、浸出した後にカップなどから取り出しやすくするといった商品の機能に資するものであるとともに、全体の美感に資するものである。
そうすると、本願商標の立体的形状は、茶葉等をよりおいしく、より簡便に浸出する等のティーバッグとして商品の機能を高め、かつ、美感を惹起させることを目的としたものであるから、これを見た需要者に対して、ティーバッグとしての機能性及び美感を兼ね備えた商品であるとの印象を与えるに止まるものである。
ウ 本願商標の立体的形状は、上記ア及びイのとおり、その構成全体として、指定商品との関係から、通常何人がみても、茶葉等を収納して淹れるための浸出器、すなわちティーバッグの一形態であり、かつ、ティーバッグの上部にタグ(握り手)を付けたピラミッド型のティーバッグであることを容易に認識させるものである。
してみれば、該立体的形状が、たとえ多少特異な形状であったとしても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当であるから、取引者、需要者において、ティーバッグの形状として予測可能な範囲内のものというべきである。
そうとすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施された当該商品等の形状を表したものであることを認識させるにすぎないものであり、自他商品の出所表示機能ないし自他商品の識別標識としての機能を有しているものとはいえない。
エ したがって、本願商標は、これをその指定商品中、例えば「tea;tea bags filled with tea;tea for infusions;herb tea;herbal tea;iced tea;tisanes」(参考和訳「茶,ティーバッグ入りのお茶,浸出用茶,ハーブティー,ハーブティー,アイスティー,チザン(薬草の又はよい香りの煎じ茶)」)などのティーバッグ入りの商品に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるを得ない。
2 本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は、平成23年1月7日付け及び同年4月8日付けの上申書において「本願商標は、日本国内において広く認識されるようになっている。」旨主張し、さらに、同24年4月6日付けの意見書において「仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものだとしても、本願商標は、世界各国に輸出入され、アメリカのみならず、日本において大規模に使用されており、充分な著名性を獲得し、本願商標が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっている。」旨主張している。これは、すなわち、「本願商標は、商標法第3条第2項に該当するから、商標登録されるべきである」旨主張しているとも解することができるものであり、その証拠方法として、原審ないし当審を通じて、甲第2号証ないし甲第91号証を提出している。
(1)商標法第3条第2項を適用し、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られると解されるところである。
そこで、請求人の提出に係る証拠についてみるに、それらは、諸外国における保護認容声明や登録例(甲2?甲6,甲13?甲17,甲65?甲67)のほか、概ね国内外の雑誌や新聞に掲載された記事や広告(甲10?甲12,甲58?甲64,甲68,甲69,甲90)、インターネット上の記事や広告(甲7,甲9,甲43?甲45,甲70?甲76)、カタログ(甲18,甲19)と、輸出入に係るインボイス(甲20?甲39,甲46?甲55,甲77?甲88)である。
その中には、本願商標の使用と思われる写真が掲載された記事等(ただし、不鮮明であって、本願商標と同一の標章であることを確認することが困難なものも含まれている。)があるものの、そのほとんどは同時に視認できる範囲内に、デザイン化された「f」の文字が表面に付されてなる本願商標に近似する立体的形状の包装容器(パッケージ)、あるいは、請求人の企業名(ハウスマーク)である「Tea forte(なお、末尾の「e」はアクセント符号付き及び無しがある。以下同じ。)及び「ティーフォルテ」の文字が一緒に表示されているものであって、本願商標の立体的形状自体は、包装容器(パッケージ)に封入された中身、すなわち、紅茶等のティーバッグそのものとして認識されるというにすぎないものであるから、本願商標の立体的形状と同一の標章が、単独で自他商品の識別標識として使用されている具体的な事実を確認することはできないというべきものである。
そうとすれば、実際の使用に係る商標が、出願に係る商標と同一のものであると認めることはできない。
(2)また、本願商標の使用に係る商品についてみるに、本願の指定商品は、第30類「Honey;tea;tea bags filled with tea;tea for infusions;herb tea;herbal tea;iced tea;tisanes;chocolate;hot chocolate;flavorings for beverages (excluding essential oils);herbal infusion not for medical purposes.」(参考和訳「はちみつ,茶,ティーバッグ入りのお茶,浸出用茶,ハーブティー,ハーブティー,アイスティー,チザン(薬草の又はよい香りの煎じ茶),チョコレート,ホットチョコレート,精油以外の飲料用香味料,薬草の浸出液(医療用のものを除く。)」)及び第32類「Non-alcoholic herb-flavored beverages.」(参考和訳「アルコール分を含有しない薬草風味の飲料」)であるのに対し、該証拠における本願商標の使用に係る商品は、ティーバッグ入りのお茶やティーバッグ入りのハーブティー等に限られるものであり、提出された証拠によるも、それ以外の指定商品について、本願商標の使用が確認できる証拠は見当たらない。
そうとすれば、本願商標の使用に係る商品と出願に係る指定商品が同一のものとは認めることはできない。
(3)なお、該証拠中の雑誌等は、その大部分が海外で発行されたもの(甲10?甲12,甲90)であることから、これらによっては、日本国内において本願商標が広く使用されているとは認められない。
一方、日本国内において発行された新聞、雑誌等(甲58?甲64)をみるに、これらは7件程で決して多いものとはいえず、その期間も2009年4月から2011年3月までの2年程という短期間にすぎず、その掲載記事も、上記(1)で述べたように、同時に視認できる範囲内に、デザイン化された「f」の文字、あるいは、「Tea forte」及び「ティーフォルテ」の文字が一緒に表示されているものであることからすれば、これらの証拠によっても、日本国内において本願商標が広く使用されているとは認められない。
そうとすれば、日本国内において本願商標が、請求人の業務に係る商品であることを表示する商標として、取引者、需要者間に広く認識されるに至ったものとは認めることができない。
(4)以上より、請求人の使用に係る商標は、出願に係る商標とは同一のものではなく、その使用に係る商品についても、出願に係る指定商品とは同一のものではないのであり、また、本願商標が、その指定商品について使用された結果、請求人の業務に係る商品であることが広く認識されるに至ったと認めることはできないから、本願商標が使用により自他商品識別力を獲得したものとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではなく、同条同項により商標登録を受けることはできないというのが相当である。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標は、ティーバッグのピラミッド形状よりも葉形の握り手部分に強い識別力を有している。また、本件ティーバッグの紐部分は、針金で構成されていることから、該部分さえも需要者に対して、一般的なティーバッグと異なる印象を与え、本願商標の立体的形状が識別力を有することは明らかである。」旨主張している。
しかしながら、上記1で述べたとおり、葉を模したと思しき形状のタグ(握り手)と紐状の部分を含めて本願商標の立体的形状は、商品の機能又は美感に資するものであり、このことは、例えば、請求人の提出に係る証拠中、甲第7号証の「Tea forte-The Art Of Tea」の見出しの下、「ティーフォルテの品質とシルクのようなピラミッドのティーバッグ・・・ピラミッドの中には、世界中から集められた高品質の茶葉やハーブ、花びらが詰められています。」という記載や「美味しさの秘密は3つ」の見出しの下、「<ピラミッドのティーバッグ>」の項目に「ティーフォルテブレンドの抽出に適したティーバッグ。それは目の細やかな編み目の濾材と、抽出に十分なスペースのピラミッド型ティーバッグにあります。」という記載、甲第19号証の「緑の葉が冠されたティーフォルテのティーバッグは、見た目の美しさだけでなく、機能的にも優れたデザイン。・・・ティーバッグならではの手軽さと本格的な美味しさの両立を実現した、究極のラグジュアリーティー。」という記載、甲第43号証の「Tea forte」の見出しの下、「ピラミッド型ティーバッグ」の項目に「茶葉が開くスペースを確保するために考え出されたピラミッド型ティーバッグ。ひとつひとつ手作業で作られており、お湯に浸しても形が崩れず、通水性に優れ、風味と香りを最大限に引き出します。ティーバッグならではの手軽さと、本格的な美味しさの両立を実現しています。」という記載や「Q1 Tea forteの愛される三角形の秘密は?」の項目に「ピラミッド型のティーバッグは、茶葉が開く空間があるため通水性に優れ、風味と香りを最大限に引き出すことが可能です。」という記載、甲第58号証の「これは何でしょう? 実はティーバッグです。商品名は『ティーフォルテ』。」という記載、甲第61号証の「リーフを飾ったピラミッド形で、シルクの様な手触りのティーバッグは、形が崩れず、茶葉の風味と香りを最大限に引き出す特別設計です。」という記載、甲第64号証の「ティーフォルテ」の項目の下、「手作業で作られるピラミッド形バッグには茶葉に湯が通る十分なスペースがあり、中のホールリーフティーやハーブを理想的に抽出します。」という記載などからしても明らかである。
そうとすれば、以上のような商品の説明文や宣伝文句等も相俟って、これに接する取引者、需要者をして、本願商標の立体的形状は、タグ(握り手)部分が葉の形であったり、茎である紐部分が針金で構成されているなどによって、多少一般的なティーバッグと異なる印象を与える場合があるとしても、ティーバッグの機能及び全体の美感に資するものと認識させるにすぎないものであり、自他商品の識別力を有するものということはできないから、請求人の上記主張は、採用することができない。
(2)請求人は、「本願商標に係るティーバッグは、包装自体もピラミッド形状をしており、販売時点から使用時点まで一貫して立体的なピラミッド形状を保持している。そのため、本願商標を使用した商品に接する取引者・需要者は、使用時のみならず、店舗などにおける商品選択時においてさえも、本願商標が他の商品とは形状の違う特異な形状をしていることを認識し、本願商標を使用した商品を他の商品から区別できることは明らかである。」旨主張している。
しかしながら、請求人が「本願商標に係るティーバッグは、包装自体もピラミッド形状をしており・・・販売時において、需要者は商品の包装を目にして商品選択をしているものである。」と自認するとおり、需要者は、商品の中身、すなわちティーバッグである本願商標の立体的形状ではなく、商品の包装容器を目にし、商品の包装容器の表面に付されたデザイン化された「f」の文字や「Tea Forte」及び「ティーフォルテ」の文字を確認して商品の選択をしているものというのが自然である。そして、上記1で述べたとおり、本願商標の立体的形状は、ティーバッグの形状の予測の範囲内のものであり、その機能や美感に資するものというに相当するものであるから、自他商品の識別力を有するものではないというべきものである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)請求人は、知的財産高等裁判所の判決(平成19年(行ケ)第10293号 平成20年6月30日判決言渡)及び過去の審決、並びに本願商標と同一又は類似と認められる立体商標の諸外国における登録例を提出し、本願商標についても同旨判断により登録を認めてしかるべきである旨主張している。
しかしながら、それらの判決例や審決例は、商標の構成、商標の周知性、指定商品及びその取引の実情等において、本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、該商標の構成態様と指定商品との関係とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものである。
そして、諸外国における登録例については、それらの判断の基準や判断過程及び根拠が明らかではない上に、諸外国における立体商標の登録制度と我が国のそれとが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないものであるから、本願商標の登録の許否は、我が国商標法の登録要件に基づいて判断すべきである。
そうとすれば、それらの判決例等をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないものである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
4 結論
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。
また、本願商標は、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

2 証拠調べ通知におけるインターネット情報及び新聞記事情報(なお、以下の文中の下線は、当合議体が付したものである。)
(1)インターネット情報
ア 「株式会社杉山製茶工場」のウェブページ「ぐり茶の杉山」において、「ピラミッド型ティーバッグ(ティーパック)」の項の下、「このティーパッグ(ティーパック)は、改良してピラミッド型にしました。・・・袋が立方体の為、茶葉が対流しやすく、味を十二分に引き出すことが出来ます。袋の素材も、きめの細かいナイロンで出来ていますので余分な茶葉がでません。冷茶にしても美味しく召し上がれます。」の記載がある。(http://www.guricha.co.jp/shops/teabag.html)
イ 「製茶問屋 白形傳四郎商店」のウェブページにおいて、「煎茶ピラミッドティーバッグ」の項の下、「ティーバッグ専用に独自のブレンドと少し強めの火入れで、コクのある味わいに仕上げました。ティーバッグとは思えない味と香りをお楽しみ下さい。■一煎用■一つ一つ密封包装されて、いつでもどこでも新鮮、便利です。 ←便利なタグ 切れ込みのあるタグを湯のみのフチに掛ければ、お湯を注いでも中に落ちません。 ←ピラミッド型バッグ ゆったり大きめのピラミッド型バッグの中で、茶葉が十分に蒸らされて広がり、コクのある美味しいお茶が入れられます。」の記載がある。(http://www.shirakata.co.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=92)
ウ 「リプトン」のウェブページにおいて、「リプトン イエローラベル」の項の下、「リプトンはピラミッド型ティーバッグ。茶葉がティーバッグの中で元気にジャンピングができるよう工夫された理想的なカタチ。おいしい紅茶を手軽に楽しめます。レインフォレスト・アライアンス認証茶園で栽培された茶葉を100%使用。」の記載がある。(http://www.lipton.jp/product/tea_bag/yellow_label/index.html)
エ 「有限会社寺本製茶」のウェブページにおいて、「茶匠が創るティーバッグの逸品」の見出しの下、「本格的な茶葉そのものをティーバッグで味わっていただくため、『上の極』と『しんめ』と同じ原料を、ティーバッグ用に特別に仕上げ加工し、本物志向の逸品に仕上げました。また、手軽に紛茶や、玄米茶、ほうじ茶を楽しんでいただけるよう銘茶『いっぷく』として三種お作りいたしました。どの品も抽出しやすい三角形のピラミッド型ティーバッグにしております。」の記載がある。(http://www.ocha-teramoto.jp/teabag/index.htm)
オ 「有限会社キムラ加工」のウェブページにおいて、「ティーバッグ加工専門ファクトリー」の見出しの下、「包装資材について」の項に、「弊社にてご用意のティーバッグフィルターは常時50種類ほどと多彩です。代表的な素材は以下のとおりとなります。■ソイロンメッシュ トウモロコシ由来のポリ乳酸を原材料とした100%土に還るエコフィルターです。環境に配慮した点はもちろん、メッシュタイプですから抽出性が良く、リーフに限りなく近い味わいが実現できます。・・・テトラタイプ/タグ付テトラ・・・」の記載がある。(http://www.teabag.jp/02_package/index.html)
カ 「有限会社ダイハナ」のウェブページにおいて、「ティーバッグ加工」の見出しの下、「さまざまなティーバッグ」の項に、「ピラミッドタイプティーバッグ 四面体空間が大きく、茶葉の出が抜群!・・・バッグが三角錘となっておりバッグ内部空間が広く、茶のジャンピング作用を起こさせて茶葉の広がりを助け、茶の浸出力を高めます。摘み糸タグ付きもあります。」の記載がある。(http://www.tea-pack.com/consignment/teabag.html#teabag04)
キ フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」において、「ティーバッグ」の項の下、「ティーバッグ(Tea bag)は、紅茶の葉か抽出物を含む小さな袋である。紅茶を抽出した後に茶こしを使うことなくお茶を飲むことができるようになっている。・・・これらは、簡便に茶を淹れるために利用されているもので、合成繊維などからなる布ないし不織布の袋に茶の葉が封入されており、これを熱湯に浸したり煮出したりして利用する。紅茶の葉が入っているものが一般に多く流通しているが、後述するように紅茶以外の製品もみられる。・・・適切に製造されたティーバッグは、お茶の葉が遊泳する適度な空間があり、美味しい紅茶を抽出することができる。・・・伝統的なティーバッグは四角、もしくは角ばった形である。しかし、最近では丸みの帯びたものや、いわゆるテトラパック(三角錐)型のティーバッグが売り出されている。・・・ティーバッグは、紅茶を抽出するための袋だけでなく、その周りの包み紙を指すためにも使われている。」の記載がある。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0)
(2)新聞記事情報
ア 2000年3月30日付け読売新聞(東京朝刊)において、「ピラミッド型の紅茶バッグを発売/日本リーバ」の見出しの下、「日本リーバは、紅茶『サー・トーマス・リプトン リーフインバッグ』を発売した。ピラミッド型のティーバッグを採用し、茶葉を広げやすくしたという。」の記載がある。
イ 2001年7月27日付け日本食糧新聞において、「『リプトンピラミッド型紅茶ティーバッグ』発売(BBLジャパン)」の見出しの下、「BBLジャパン(東京都渋谷区、03・3498・4113)は9月3日から、リプトン紅茶で『アールグレイティーバッグ』と『ダージリンティーバッグ』を全国発売する。本格的な紅茶の味や香りを手軽に楽しみたい人20?30代の女性を中心に、『ワンランク上』の上質な茶葉をピラミッド型の三角ティーバッグにパックした。ピラミッド型はエンベロップ型のティーバッグに比べて紅茶本来のおいしさをよく引き出すことができる。パッケージは湿気を防いで香りを守るため独自に開発したチャック付き箱型パウチ(特許出願中)を採用した。」の記載がある。
ウ 2004年5月19日付け日本食糧新聞において、「2004年麦茶特集:主要メーカー動向=丸菱」の見出しの下、「丸菱(本社=大阪市西区、06・6581・1835)は麦茶、健康茶、玄米製品の大手企業。このほかにもお茶ドリンク、健康食品など多様化する市場に対応して、家庭用だけでも110品目以上の品揃えをしている。・・・特にドリンクの普及で、各家庭にPET容器があるのに目を付けて、PETボトルの形状に合わせてティーバッグを長めのスティックタイプにしたユニークな『ペットボトル用ティーパック』シリーズは6年目だが毎年増加、安定した商材に育った。・・・製法は原料を発芽直前まで成長させて蒸し上げ、遠赤外線焙煎したもの。また抽出しやすいピラミッド型メッシュタイプのティーバッグを採用。原料から製法、形態にまでとことんこだわっている。」の記載がある。
エ 2007年10月1日付け日本食糧新聞において、「『リプトン ゴリョク ティーバッグ』発売(ユニリーバ・ジャパン)」の見出しの下、「◆商品特徴=茶。紅茶でも日本茶でもない、新しい茶。豊かな天然成分を含むアッサミカ(アッサム種)品種の茶葉を100%使用。アッサミカという紅茶向きの品種のよさを、緑茶製法に基づく独自の製造工程を経て、従来の緑茶にはない新しい風味と透明感のあるグリーンの水色を実現。その茶葉は、豊富なカテキンとテアニンを含んでいる。新しい技術“アロマ・キャプチャー製法”を採用し(特許出願中)、摘みたてのフレッシュな茶葉の香りをカップまで届ける。ピラミッド型ティーバッグを採用。」の記載がある。
オ 2009年9月7日付け日本食糧新聞において、「ユニリーバ・ジャパンRA特集:新『リプトン』ティーバッグ、新商品『メイプル』にも注目」の見出しの下、「7月から順次、認証茶園茶葉へ移行中の『リプトン』のティーバッグ。今回、切り替えが行われたのは『イエローラベル』(全3品)、『フレーバーティー』シリーズ(全6品)の計9品だ。いずれも『リプトン』ブランドの基幹商品であり、流通量の多い定番アイテムが対象となっている。同ブランドの最大の特徴は、ピラミッド型ティーバッグによるジャンピング(体積の広いバッグ内で茶葉は活発に動き回ること。当然、抽出力に優れる)に由来する味覚面の差別性だが、切り替え商品でもこの特性は踏襲されている。」の記載がある。
カ 2010年2月10日付け日本食糧新聞において、「コーヒー・紅茶・クリーム特集:紅茶メーカー各社動向=ユニリーバ・ジャパン」の見出しの下、「ユニリーバ・ジャパンは、世界最大の紅茶ブランド『リプトン』を展開、ピラミッド型ティーバッグや多彩なフレーバーティーのラインアップ化など国内における紅茶市場の活性化に取り組んでいる。」の記載がある。
キ 2011年5月26日付け朝日新聞(東京地方版/東京 29頁 東京東部)において、「麦茶づくりは石釜焙煎 江戸川、香ばしく甘み /東京都」の見出しの下、「1908年創業の小川産業(江戸川区江戸川6丁目)では、・・・自ら考案したピラミッド型のティーバッグに入れ、煮出し麦茶として販売。5?8月の最盛期に約80トンが生産される。」の記載がある。
審理終結日 2012-07-11 
結審通知日 2012-07-20 
審決日 2012-09-28 
国際登録番号 0956073 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X3032)
T 1 8・ 13- Z (X3032)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
高橋 謙司
代理人 菊地 栄 
代理人 岸田 正行 
代理人 水野 勝文 

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