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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1271273 
異議申立番号 異議2012-900320 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-10-30 
確定日 2013-03-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5512056号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5512056号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5512056号商標(以下「本件商標」という。)は、「MOTOZEN」の欧文字を表してなり、平成23年4月5日に登録出願、第35類「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車用ヘルメットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車に貼るステッカーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同24年7月11日に登録査定、同年8月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として資料1ないし資料5(枝番号を含む。)を提出している。
(1)経過
申立人の異議申立に至る経過は、次のとおりである。
ア 商標の譲渡
申立人は、平成19年12月20日、商標権者との間で締結した「営業譲渡契約」第2条に基づいて、平成20年1月1日より、「MOTO禅」に関する商標及び営業を商標権者から譲り受けたので、申立人は、「MOTO禅」の商標を営業に使用する者となった。その結果、申立人は、「MOTO禅」(以下「引用標章1」という。)又は「MOTOZEN」(以下「引用標章2」という。)の商標を使用している。
なお、引用標章1及び引用標章2を併せていうときは、「引用標章」という。
イ 組合の成立
申立人は、平成20年7月24日、商標権者との間で「MOTO禅パートナーシップ規則」という契約を締結することによって、申立人と商標権者との間でパートナーシップ(組合)関係を形成し、それぞれ、「MOTO禅」の名称で共同して営業することになった。その結果、商標権者は、この組合関係に基づいて、「MOTOZEN」商標の使用をしていたにすぎない。
ウ 商標権者の出願
商標権者は、平成23年4月5日、申立人とのパートナーシップ(組合)の存続中にもかかわらず、申立人の同意を得ずに本件商標を登録出願した。これは、もちろん、申立人の関知しないところである。その結果、商標権者は、パートナーシップ契約第4条の業務内容の開示義務に反することになった。
エ 組合の解消
申立人は、平成23年4月25日、パートナーシップ規則第14時14条6号(審決注:「MOTO禅パートナーシップ規則第4章第14条第6号」の誤記と認める。)に基づいて、商標権者との信頼関係の破綻を理由として、商標権者に対して、パートナーシップ解消通知をなしたので、パートナーシップ(組合)は終了した。
オ 申立人の出願
申立人は、平成23年4月26日、「motozen MOTO禅」商標を登録出願(商願2011-029381)したところ、商標権者の本件出願を先願として引用され拒絶理由の通知を受けた。
カ 異議申立
商標権者は、平成24年8月3日、本件商標登録を受けたので、申立人は、この商標登録に対して異議の申立をするものである。
(2)問題
本件商標は、一つは、申立人の著名商標の無断登録であり、二つは、不正競争の目的をもって出願されたものである、という理由をもって、商標登録をなすべきではない、と考える。
ア 著名商標
「MOTO禅」という名称は、申立人の商標として、未登録であっても、町田を始めとする東京都のみならず、全国的に著名となっているので、商標権者が商標登録することは周知・著名の商標を侵害したことになり、したがって、商標法4条10号(審決注:「商標法第4条第1項第10号」の誤記と認める。)の規定に基づいて、商標登録をすべきではない、と解する。
この規定は、「他人」の「周知商標」と同一又は類似の商標を同一又は類似の商品・役務に使用するものは登録をすべきではない、と定めている。審査基準によると、周知商標(需要者の間に広く認識されている商標)について、需要書は、取引者・消費者を含み、かつ、周知は、全国的又は地方的を問わないし、また、周知の判断は、出願時を基準とし、さらに、周知性の立証及び判断について、次のとおりである。
(ア)「実際に使用している商標並びに商品」 「MOTO禅」の商標を、「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車用ヘルメットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車に貼るステッカーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務に実際に使用している。
(イ)「使用開始時期」 申立人は、営業譲渡契約に基づいて、平成20年1月1日より使用を開始する。
(ウ)「使用期間」 平成20年1月1日から現在までとすると、3年と9ヶ月となる。
(エ)「使用地域」 町田を始め東京都のみならず、日本全国又外国との取引にも及ぶ。
(オ)「生産量・譲渡量又は営業の規模」
(カ)「広告宣伝の方法・回数・内容」 店頭広告、雑誌広告、インターネット広告をしている。
イ 信頼の破壊
「MOTOZEN」という商標は、申立人の使用する商標であり、また、商標権者は、この商標の譲渡人であり、申立人は譲受人という関係にあるので、商標権者が申立人に無断で商標登録することは、不正競争の目的による商標登録であり、したがって、商標法第4条第1項第19号又は第7号の規定に基づいて、商標登録をすべきではない、と解する。
前記のとおり、出願の経過及び意図を考慮すると、申立人は、商標権者との平成19年12月20日の「営業譲渡契約」に伴って、「MOTO禅」商標の使用者となり、また、商標権者は、平成20年7月24日の「パートナーシップ」契約に基づいて、共同事業の限りで、「MOTO禅」商標を使用していたにすぎない。したがって、商標権者は、平成23年4月25日のパートナーシップの解消の後、「MOTO禅」商標の使用ができないはずである。
そうすると、商標権者は、「パートナーシップ」契約の存続中、平成23年4月5日、「MOTOZEN」商標を出願したことは、「パートナーシップ」契約の契約違反となり、公正な商業道徳に反し、不正競争となるものである。
(ア)先ず、これは、商標法第4条第1項第19号の「国内又は外国の著名商標を不正目的で使用する商標」に該当するものであり、本件商標を登録すべきではない。
一つは、著名商標であることは、「ア 著名商標」で明らかにしているところである。
二つは、「不正の目的」の認定にあたり、審査基準によると、「出願人より、商標の買い取りの事実を示す資料」を勘案するとしている。したがって、これは、商標の譲渡を伴う「営業譲渡契約」であり、これを提出する。
(イ)次に、これは、商標法第4条第1項第19号に該当しないとしても、同条第7号の「公序良俗に」該当するものであり、本件商標を登録すべきではない。
審査基準によると、二つの場合を挙げている。一つは、商標の構成自体のみならず、指定商品の使用をも考慮し、他は、他法による使用の禁止を受けている商標、国際信義に反する商標である。ところが、これらの要件を充たした商標であっても、不正競争の目的をもって、他人の周知又は著名な商標の登録を許し、結局、「公正な競業秩序」を害すると考えられる事例も起こっている。そこで、これを放置することは不公平な結果を生み出すので、いくつかの公序良俗に反するものと取扱われて来た。
そうすると、本件は、出願の経過及び意図を参酌すると、公正な競業秩序を害し、公序良俗に反するものと解することができる。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用標章の類否について
本件商標は、「MOTOZEN」の欧文字を表してなるところ、該文字から「モトゼン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。
他方、引用標章1は、「MOTO禅」の文字を表してなるところ、該文字から「モトゼン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。
また、引用標章2は、「MOTOZEN」の文字を表してなるところ、該文字から「モトゼン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。
したがって、本件商標と引用標章1とは、外観が異なり、観念において比較できないとしても、「モトゼン」の称呼を共通にすることから類似するものである。
また、本件商標と引用標章2とは、観念において比較できないとしても、外観において近似した印象を与え、「モトゼン」の称呼を共通にすることから類似するものである。
(2)引用標章の周知・著名性について
申立人は、「引用標章が、周知・著名商標となっている。」旨の主張をしているので、この点について判断する。
資料2-3-4は、申立人から取引先への平成22年5月31日付け及び同年8月10日付けの送り状であるところ、「荷送人」の欄に「MOTO禅 多川」又は「モトゼン レーシング 多川」の記載があるものの、「荷送人」の欄以外には、引用標章の記載がないものである。
資料2-3-4以外の資料2は、平成19年(2007年)12月20日(資料2-3-1)から平成22年(2010年)12月9日(資料2-5-2)までの、取引先から申立人に宛てた見積書、発注書等の取引を証する書類であるところ、「ご請求先」、「お届け先」等の欄に、「moto禅 御中/様 多川様」、「moto禅 御中 多川 様」、「MOTO禅 多川 殿」、「モト禅 御中 多川 様」、「MOTOZEN タガワ様」、「MOTOZEN MR.TAGAWA」、「MOTO禅 多川・・・様」、「MOTO禅 御中」又は「moto禅 多川・・・様」等の記載があるものの、これらは取引先から申立人に宛てた書類であって、申立人が作成又は頒布したものではない。
資料3-1は、2008年時点での申立人のウェブサイトであるところ、「moto禅」、「MOTO禅レーシング」及び「・・・moto禅は店舗を持っておりません・・・」の記載がある。
資料3-2-1及び資料3-2-2は、発行日が不明の広告冊子であるところ、「moto禅」、「www.motozen.jp」、「MOTO禅」又は「motozen.jp」の記載がある。
資料3-3-2-1ないし資料3-3-3-3は、欄外に「モトライダー(2008・3、2008・5、2008・9、2008・11、2009・1、2009・5、2009・12)」、「ダートスポーツ(2008・10、2008・12、2009・12)」、「ROAD RIDER 2008・11」、「Bike JIN 培倶人 2009・9」、「BMW BOXER Journal 2009・8・12」、「最新バイクギアBook 2010・3・30」等と雑誌名と日付が手書きされた雑誌であるところ、該雑誌の記事中の「商品の問い合わせ先」の欄に「問:moto禅 電話・・・」、「問:moto禅 電話・・・ http:・・・w.motozen.jp・・・」、「MOTO禅レーシング」、「問モト禅」又は「問:MOTO禅」等の記載がある。
資料4-1-1ないし資料4-1-5は、筆記体の「motozen」の文字が印刷されたテント及びTシャツの写真であり、欄外に日付が手書きされているところ、資料4-1-5は、本件商標の登録出願後の資料である。
資料4-2は、「MOTO禅」の文字が印刷された封筒である。
資料4-3は、「moto禅」の文字が印刷された年賀状である。
資料5-1は、「消費税課税事業者届出書」であるところ、「名称(屋号)」の欄に、「MOTO禅」の記載がある。
資料5-2は、「料金後納取扱承認書」であるところ、「MOTO禅 T 様」の記載がある。
資料5-3は、「個人事業の開業・廃業等届出書」であるところ、「屋号」の欄に、「MOTO禅」の記載がある。
資料5-4は、申立人が公的関係書類と称する表彰状であるところ、「MOTO禅殿」の記載があるものの、2010年10月吉日に申立人を表彰している者は株式会社・・・である。
そうとすれば、引用標章は、申立人の名称(屋号)として使用されていることはうかがわれるとしても、申立人の業務に係る商品又は役務を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものであって、周知・著名性を獲得した商標とは認め難いものである。
(3)不正の目的について
資料1-1は、平成19年12月20日付けの商標権者と申立人との「営業譲渡契約書」であるところ、「営業譲渡を行う日は、平成20年1月1日とする。」の記載がある。
資料1-2-1は、平成20年7月24日付けの商標権者と申立人との「『MOTO禅パートナーシップ規則』締結覚書」である。
資料1-2-2は、作成日の記載がない商標権者と申立人との「MOTO禅パートナーシップ規則」である。ただし、第19条には、「本規則は、平成20年7月24日より施行する。」の記載がある。
資料1-3-1は、平成23年4月25日付けの申立人の代理人から商標権者へ宛てた「パートナーシップ(組合契約)解消通知」であるところ、「・・・貴殿との信頼関係が破綻しましたので、・・・パートナーシップ(組合)を本書面を持って解消致します。・・・」の記載がある。
資料1-3-2は、商標権者の代理人から申立人の代理人へ宛てた平成23年5月19日付けの回答書類であるところ、「・・・パートナーシップを解消することについては、当方も異存はありません・・・『MOTO禅』の商標はもともと、当方の考案によるもので、申立人とのパートナーシップ契約締結以前から当方が使用していたものですから、申立人が勝手に使用できる商標ではありません。・・・」旨の記載がある。
申立人が提出した証拠資料によれば、「MOTO禅」の商標は、もともと商標権者の考案によるものであること及び平成20年7月24日より施行された「MOTO禅パートナーシップ契約」は、平成23年5月19日ころに解消されたことが認められる。
してみれば、商標権者が自身で考案した商標を出願することは、違法ということができないから、本件商標は、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用をするものと認めることができない。
(4)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用標章とは、上記3(1)のとおり、類似するものというべきである。
しかしながら、引用標章は、上記3(2)のとおり、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用標章とは、上記3(1)のとおり、類似するものというべきである。
しかしながら、引用標章は、上記3(2)のとおり、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。
さらに、本件商標が、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するものであることを認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとはいえない。
(6)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合に該当しないことは明らかである。
そして、本件商標は、商標権者が自己の業務に係る役務に使用する商標として登録されたものである。
たとえ、申立人と商標権者との間に、平成20年7月24日から平成23年5月19日頃までの間に、「MOTO禅パートナーシップ」契約が存在したとしても、商標権者が本件商標を自己の業務に係る指定役務について使用することが、社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するとは到底言い難いものであり、また、その出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠いたというような事情も認められない。
してみれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとはいえない。
(7)申立人の主張について
申立人は、「商標権者は、平成23年4月5日、申立人とのパートナーシップ(組合)の存続中にもかかわらず、申立人の同意を得ずに本件商標を登録出願した。これは、もちろん、申立人の関知しないところである。その結果、商標権者は、パートナーシップ契約第4条の業務内容の開示義務に反することになった。」旨、主張している。
しかしながら、仮に、商標権者に開示義務違反があったとしても、パートナーシップ契約は、当事者間の私的な契約であるから、この契約によって、本件商標が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するということはできない
(8)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同10号及び同19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-02-22 
出願番号 商願2011-23906(T2011-23906) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X35)
T 1 651・ 25- Y (X35)
T 1 651・ 22- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 大橋 信彦
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2012-08-03 
登録番号 商標登録第5512056号(T5512056) 
権利者 ベンバサット ミッキー
商標の称呼 モトゼン 
代理人 小島 庸和 
代理人 橘高 郁文 

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