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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1271268 
異議申立番号 異議2012-900190 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-07-13 
確定日 2013-02-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5484058号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5484058号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5484058号商標(以下「本件商標」という。)は、「モンフレール」の片仮名と「MONFLER」の欧文字を二段に書してなり、平成23年6月8日に登録出願、第25類「被服(「和服」を除く。)」を指定商品として、同年11月30日に登録査定、同24年4月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下に掲げるとおりである。なお、これらの引用商標をまとめていうときは、以下「引用各商標」という。
(1)国際登録第978819号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:MONCLER
登録出願日:2007(平成19)年6月25日
優先権主張:2007年4月11日(Italy)
設定登録日:平成23年2月25日
指定商品 :第25類「Clothing」を含む、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第22類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)国際登録第991914号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:2008(平成20)年10月13日
優先権主張:2008年7月29日(Italy)
設定登録日:平成23年6月3日
指定商品 :第25類「Clothing」を含む、第3類、第9類、第14類、第18類、第25類、第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(3)国際登録第1039652号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:2010(平成22)年2月22日
優先権主張:2010年2月18日(Italy)
設定登録日:平成23年6月3日
指定商品 :第25類に属する別掲4に記載のとおりの商品
(4)国際登録第876150号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:2005(平成17)年12月13日
優先権主張:2005年10月13日(Italy)
設定登録日:平成21年3月27日
指定商品 :第25類「Shoes.」
(5)登録第4142378号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:MONCLER
登録出願日:平成7年12月11日
設定登録日:平成10年5月1日
更新登録日:平成20年4月30日
指定商品 :第18類「革ひも,かばん類,袋物,傘,ステッキ,つえ,乗馬用具」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)申立人及び引用各商標について
申立人は、1952年フランスグルノーブル郊外の「モネスティエ・ドゥ・クレルモン(Monestier de Clerment)」で創業された世界的に極めて有名なファッションブランドである。そして、申立人の社名である「MONCLER(モンクレール)」は、その創業の地の頭文字を取って名づけられたものである。
「モンクレール」は、創業当初は、主にアルピニスト向けの高機能ダウンジャケットメーカーとしてその名を馳せたが、1968年にグルノーブルオリンピックでフランス・ナショナルチームの公式ウェアに採用された頃からアルピニストに限らず一般需要者にもその名が知られるようになった。その後、1980年から1990年頃にかけて一般需要者向けの商品にも力を入れるようになり、ヨーロッパに限らず全世界的に著名なファッションブランドヘと成長した。
我が国においても、2005年に爆発的なブームを巻き起こし、引用各商標が付されたダウンジャケット等の被服は、我が国の一般需要者において急速にその名が知られることとなった。
申立人による我が国における売上高は、2009年において約1167万ユーロ、2010年において約1571万ユーロ、2011年において約2263万ユーロ、2012年において約2362万ユーロと、極めて高い売上高を示している(甲7)。
引用各商標が付された商品は、今日においてもファッション雑誌等(甲8)において数多く取り上げられており、これらの証拠資料に示されるとおり、我が国においても相当の取引量があること、及び我が国における雑誌においても数多く取り上げられている事実等を鑑みれば、引用各商標は、申立人が自己の業務に使用した結果により、遅くとも本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く知られているものとなっている。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 称呼上の類否について
本件商標は、片仮名の「モンフレール」を上段に配し、ローマ字の「MONFLER」を下段に配してなる二段書きの商標であり、その構成態様から「モンフレール」の称呼が生じる。
一方、引用商標1は、欧文字「MONCLER」を横書きに表してなるものである。上述したとおり、「MONCLER」の文字は、「モネスティエ・ドウ・クレルモン」の頭文字をとった造語であり、我が国において「MONCLER」は、「モンクレール」との称呼をもって親しまれていることを鑑みれば、我が国において商品「被服」等の需要者・取引者が引用商標1に接した場合に、「モンクレール」の称呼が自然に生じるものと考えられる。
なお、引用商標2及び3は、ともに図案化された商標であるものの、「MONCLER」の周知性及びその構成態様から、「MONCLER」の部分のみが取り出されて称呼され得るものである。
ここで、本件商標から生じる「モンフレール」の称呼と、引用商標1ないし3から生じる「モンクレール」の称呼を比較する。
これらの商標から生じる称呼は、第三音において「フ」と「ク」の一音のみが相違するものである。当該差異音は、母音を共通にする無声音であって、比較的印象の弱い中間音でもあること等を鑑みれば、これに接する需要者において、両商標の全体の音感が近似して聴覚されるものということが出来る。
ゆえに、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象を鑑みれば、両商標は互いに相紛れる恐れがあるものといえる。
以上のとおりであるから、両商標から生じる称呼は類似する。
イ 外観上及び観念上の類否について
次に、本件商標と引用商標1ないし3との外観上の類否を検討する。
本件商標の欧文字部分である「MONFLER」と引用商標1の「MONCLER」とを比較すると、中間に位置するアルファベットの「F」と「C」が異なるのみであるから、両商標は外観上類似しているものといえる。
「MONCLER」の周知性及びその構成態様を鑑みれば、引用商標2及び3の要部は、「MONCLER」の部分である。そうとすれば、引用商標1及び2の商標中の要部である「MONCLER)と、本件商標「MONFLER」は、中間に位置するアルファベットの「F」と「C」が異なるのみであるから、外観上相紛れるおそれがあるものといえる。
なお、本件商標及び引用各商標は特定の意味合いを持たない造語であるものと考えられるから、需要者において観念上の差異は生じないものといえる。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし3とは、時と所とを異にして行う離隔的観察を行った場合において、区別することが容易でない相紛らわしい類似の商標であるといえる。また、本件商標に係る指定商品と引用商標1ないし3に係る指定商品とは類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
上述のとおり、引用各商標は、遅くとも、本件商標の登録出願時である2011年6月8日までには、我が国の取引者・需要者の間で周知・著名となっていた。
ゆえに、仮に引用各商標と本件商標とが類似しないものと判断された場合であっても、引用各商標の我が国における周知性及び現実の取引の実情等を総合的に判断すれば、本件商標と引用各商標とが並存して登録した場合、需要者において品質混同の生じるおそれがある上、本件の商標権者が経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるとして、申立人の業務と混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してなされたものであるから、取り消されなければならない。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「モンフレール」の片仮名と「MONFLER」の欧文字を二段に書してなるところ、上段の「モンフレール」は、下段の「MONFLER」の読みを特定する部分と無理なく理解されるから、本件商標は、「モンフレール」の称呼を生じるものであり、また、各構成文字は、辞書等に成語として掲載されていないものであるから、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然である。
引用商標1は、「MONCLER」の欧文字を書してなり、引用商標2は、図形と文字の結合商標であるところ、その構成中に「MONCLER」の欧文字を書してなり、引用商標3は、同じく図形と文字の結合商標であるところ、鳥をモチーフに図案化した「M」の文字に連ねた「ONCLER」の欧文字よりは、「MONCLER」の文字として看取されるものであり、これらの商標は、ともに「モンクレール」の称呼を生じるものである。そして、上記各文字は、いずれも辞書等に成語として掲載されていないものであるから、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然である。
そうとすると、引用商標1ないし3は、その構成文字に相応して、「モンクレール」の称呼を生じるものであって、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標1ないし3とを比較するに、両商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、外観上、区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標は、「モンフレール」の称呼を生じるものであるのに対して、引用商標1ないし3は、「モンクレール」の称呼を生じるものである。
しかして、両称呼を対比すると、「モン」「レール」の音を共通にするものではあるが、その中間において「フ」と「ク」の差異を有するものであって、その相違する「フ」の音が両唇を近接させて吹き出す唇歯による摩擦音で比較的弱い音であるのに対し、「ク」の音は後舌面を軟口蓋に接して発する軟口蓋音に属する破裂音で、極めて強く明瞭な音であって、「ク」の音は「フ」の音よりも強く明瞭に聴取される音として、聴音方法が著しく異なるものであるから、それぞれを一連に称呼する場合は、全体としての音調、音感が異なったものとなり、互いに紛れるおそれのないものといわなければならない。
さらに、本件商標と引用商標1ないし3とは、特定の観念を生じることのないものであるから、観念において、両商標が相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし3とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似することのない商標といえるものであって、両商標は、非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人は、1952年にフランスで創業された世界的に極めて有名なファッションブランドである。創業当初は、主にアルピニスト向けの高機能ダウンジャケットメーカーであったが、1968年頃からアルピニストに限らず一般需要者にもその名が知られるようになった。我が国においても、2005年に爆発的なブームを巻き起こし、申立人商標が付されたダウンジャケット等の被服は、我が国の一般需要者において急速にその名が知られることとなった。よって、引用各商標は、申立人が自己の業務に使用した結果により、遅くとも本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く知られているものとなっている旨述べている。
しかしながら、申立人の提出した我が国への売上高の資料(甲7)、及び主に引用商標2が付されたダウンジャッケット等の商品が掲載された雑誌等(甲8)によれば、その売上高は、2007年から2012年までの6年程であって、そのシェアは不明である。また、雑誌による掲載数もさほど多いとはいえないものであって、広告、宣伝費なども不明である。
そうとすれば、引用各商標は、その使用に係る被服等の商品において、一部の商品についてある程度知られていることが認められるとしても、本件商標の登録出願時はもとよりその登録査定時においても我が国で広く認識されていたものということはできないものである。
イ そして、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標1ないし3とは、十分に区別し得る商標というべきものである。
また、引用商標4は、図形と「MONCLER」の欧文字よりなり、引用商標5は、「MONCLER」の欧文字を書してなるところ、両引用商標は、ともに「モンクレール」の称呼を生じるものである。そして、上記各文字は、いずれも辞書等に成語として掲載されていないものであるから、特定の意味を有することのない造語として看取、把握されるとみるのが自然である。
そうとすると、引用商標4及び5は、その構成文字に相応して、「モンクレール」の称呼を生じるものであって、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標4及び5とを比較するに、両商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、外観上、区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標は、「モンフレール」の称呼を生じるものであるのに対して、引用商標4及び5は、「モンクレール」の称呼を生じるものである。
しかして、両称呼を対比すると、上記(1)の称呼の比較と同様に、それぞれを一連に称呼する場合は、全体としての音調、音感が異なったものとなり、互いに紛れるおそれのないものといわなければならない。
さらに、本件商標と引用商標4及び5は、特定の観念を生じることのないものであるから、観念において、両商標が相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標4及び5とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似することのない商標といえるものであって、十分に区別し得る商標というべきものである。
ウ 上記ア及びイによれば、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合において、これに接する需要者が引用各商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品及び役務が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標2)


別掲2(引用商標3:色彩については原本参照)


別掲3(引用商標4)



別掲4(引用商標3の指定商品)
第25類「Clothing, namely dungarees, ski trousers, ski jackets, baby body suits; baby tops, baby bottoms; headwear, down jackets, anoraks, parkas, fur coats and jackets, knitwear, namely jumpers, twin-sets (clothing), tops, skirts, waistcoats, shawls; shirts, T-shirts, polo shirts, shorts, bermuda shorts, suits, coats, overcoats and raincoats, overalls, trousers, jeans, blouses, sweaters, cardigans, pullovers, pants, gowns, skirts, vests, blazers, dresses, stockings, socks, pantyhose, scarves, caps, hats, cravats, ties, neckties, gloves, lingerie, pajamas, nightgowns, bathing costumes, bathrobes, boots, mountaineering shoes, running shoes, ski and snowboard shoes, rain shoes, gymnastic shoes and boots.」


異議決定日 2013-02-18 
出願番号 商願2011-39761(T2011-39761) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X25)
T 1 651・ 261- Y (X25)
T 1 651・ 263- Y (X25)
T 1 651・ 262- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎白鳥 幹周 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 井出 英一郎
寺光 幸子
登録日 2012-04-06 
登録番号 商標登録第5484058号(T5484058) 
権利者 三井物産インターファッション株式会社
商標の称呼 モンフレール、モンフラー 
代理人 市原 俊一 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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