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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X01
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X01
管理番号 1271255 
審判番号 不服2011-650134 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-24 
確定日 2012-12-19 
事件の表示 国際登録第1013416号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、日本国を指定する国際登録において指定された第1類及び第31類に属する商品を指定商品として、2009年(平成21年)2月13日に国際商標登録出願されたものである。
そして、指定商品については、原審において平成22年11月8日付け手続補正書の提出があり、さらに、当審において2011年7月28日付けで国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、第1類「Chemical preservative compositions,namely,antioxidants and antioxidant agents for use in the manufacture of soap and vegetable oils,and for use in the production of a wide variety of chemicals;and antioxidant food preservative compositions;plant growth regulating and plant growth stimulating and enhancing preparations;soil conditioners;organic fertilizers;fertilizers and compost.」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、指定商品の業態で品番・等級・品質等を表すために採択使用されている欧文字2文字『E』及び『M』の文字のみからなる商標であり、一般に品番・等級・略号の一類型として使用されていることからすれば、本願商標は、極めて簡単、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。したがって、商標法第3条第1項第5号に該当し、登録することができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号について
本願商標は、別掲のとおり、「EM」の欧文字2文字を書してなるものである。そして、ローマ字2字は、商品の型式、品番等を表示するための記号、符号として一般に採択・使用されているから、かかる構成からなる本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人は、本願商標は、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であるか認識できるものになっているから、商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し、証拠方法として、原審ないし当審を通じて、甲第1号証ないし甲第50号証(枝番を含む。)を提出している。
ところで、商標法第3条第2項を適用し、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られると解されるところである。
イ 請求人提出の証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
(ア)使用商標の商品(以下「使用に係る商品」という。)と、出願に係る指定商品(以下「本願の指定商品」という。)との同一性について
本願の指定商品は、前記1のとおり、第1類「Chemical preservative compositions,namely,antioxidants and antioxidant agents for use in the manufacture of soap and vegetable oils,and for use in the production of a wide variety of chemicals;and antioxidant food preservative compositions;plant growth regulating and plant growth stimulating and enhancing preparations;soil conditioners;organic fertilizers;fertilizers and compost.」(仮訳:化学的保存剤、すなわち、せっけん及び植物油の製造用・様々な化学品の製造用の酸化防止物質及び酸化防止剤,酸化防止用食品保存剤,植物生長調整剤並びに植物の生長刺激剤及び増進剤,土壌改良剤,有機肥料,肥料及び堆肥)である。
それに対し、請求人の提出に係る上記証拠によれば、使用に係る商品には、「土壌改良資材」と記載されていることから、本願指定商品中「土壌改良剤」に使用しているものと認められるものである。
してみれば、本願商標について、使用に係る商品と出願に係る商品とが、同一であるということはできない。
なお、請求人の提出に係る証拠においては、「土壌改良剤」以外の本願の指定商品を、直接的に使用しているものとは認められない。
(イ)甲各号証に表示された商標(以下「使用商標」という。)と出願に係る商標(以下「本願商標」という。)との同一性について
請求人は、継続的かつ大量に、本願商標の使用をしてきた結果、本願商標は、現在においては、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものである旨主張するが、使用商標は、請求人が所有する指定商品「植物育成剤,土壌改良剤」に係る登録商標(登録第4202299号商標)である、6つの円形図形とともに、円内に「EM」を表した図形(甲13,甲33,甲42,甲43)、株式会社EM研究所が所有する指定商品「植物成長調整剤類」等に係る登録商標(登録第4287224号商標)である「EM」に、数字の「1」、「2」及び「3」を連結した「EM1」、「EM2」及び「EM3」(甲13,甲43)のほか、「EM1」(甲13,甲34,甲42,甲43,甲47,甲48)、「EM・1」(甲23,甲32,甲33,甲42,甲43)、「EM-1」及び「EM1号」(甲41)であり、これらの各証拠においては、「EM」の文字以外の文字等も併せて使用されており、「EM」の文字自体が単独で自他商品の識別標識として使用されているとは認め難いものである。
(ウ)請求人の提出した資料(甲36)によれば、本願商標の使用状況は、1982年の土壌改良資材としての正式発表以降であると認められるが、上記(イ)のとおり、本願商標と本件使用商標との態様が明らかに相違するものであるから、本願商標が請求人の正式発表以来、継続かつ長期間にわたり使用されてきたものとみることはできない。
(エ)請求人は、1997年から2010年までの「EM」製品に関する年間売上高、出荷量及び販促費を主張する(甲13)が、当該証拠方法から、本願商標と同一の構成に係る商標が付された商品が、どの程度の数量及び金額のものが販売され、広告されているのか明らかではない。
(オ)請求人は、書籍等の販売(甲14,甲15,甲27,甲41?甲43)、テレビ・ラジオの番組提供(甲16?甲22)についても言及するが、当該証拠方法から、本願商標と同一の構成に係る商標が付された商品が、どの程度の数量及び金額のものが販売され、広告されているのか明らかではなく、新聞広告についても、本願商標と同一の構成に係る商標は採択されていないことから、当該新聞広告が、本件の判断に影響を与えるものではない。
ウ 以上のとおり、上記イの(ア)ないし(オ)を総合考慮するならば、本願商標が使用された結果、審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。
よって、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものということはできない。
(3)請求人のその他の主張について
請求人は、本件商標が自他商品識別力を有している証拠として、外国における登録例を提出している(甲8?甲12)。
しかしながら、諸外国の商標の登録制度と我が国のそれとが同一のものと解釈しなければならない特段の事由が存するものとも認めることはできず、諸外国の登録例が、本願商標が我が国において登録されなければならないとする根拠とはなり得ないものであるから、この主張についても採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものではないとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2012-10-17 
結審通知日 2012-10-26 
審決日 2012-11-06 
国際登録番号 1013416 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (X01)
T 1 8・ 17- Z (X01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄今田 尊恵 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 小林 正和
前山 るり子
商標の称呼 イイエム 
代理人 小栗 昌平 

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