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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X09
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X09
管理番号 1271181 
審判番号 不服2011-14252 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-04 
確定日 2013-02-21 
事件の表示 商願2008-12393拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「デジタルカメラ,カメラ用ストラップ,カメラ用ケース,その他の写真機械器具及びその附属品」を指定商品とし、2007年8月23日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成20年2月21日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原審においては、本願を拒絶すべき旨の理由として、以下の(1)及び(2)を通知した後、本願商標は、その(2)に係る国際登録第947312号商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、商品の型式・品番・種別等を表すための記号・符号として広範かつ類型的に使用されている、数字と欧文字1字を組み合わせたものと認められる「D3」を、特異とはいえない態様で表してなるにすぎず、極めて簡単かつありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)本願商標は、登録第4495006号商標及び国際登録第947312号商標と同一又は類似の商標であって、それらの商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成24年7月13日付けでした審尋の内容は、別掲2のとおりである。

4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対して、要旨次のように意見を述べている。
(1)本願商標は、極めて特徴的な独自の書体で表されており、楷書体・行書体・草書体・明朝体・ゴシック体等の広く一般的に用いられる書体とは顕著に相違するものである。
(2)商品の型式又は規格等を表示するための記号として用いられる表示にレタリング等のデザインを施した場合、商品の管理又は取引の便宜性等に支障をきたすことから、特徴的なデザインを施すことは極めて稀であり、本願商標のように全体としてまとまった印象を与えるデザインが施され図案化された標章は、取引上普通に用いられる態様をはるかに超えるものであり、本願商標は、全体として十分に自他商品識別機能を発揮し得る商標である。
(3)本件は、商標法第4条第1項第11号に基づいて原査定がなされており、該査定の下、本願商標について使用を希望する場合には拒絶査定不服審判を請求せざるを得ず、更に該審判において改めて同法第3条第1項第5号に該当する旨の判断(審尋)がなされるということは、本願商標が自他商品識別機能を発揮するものと判断されたと信ずる請求人に不要な審判請求を課したことを意味するにほかならず、信頼の原則に反する。
(4)以上により、本願商標は、商標法第3条第2項の適用の可否を問題とすることなく、登録を認められて当然と思料する。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、別掲1に記載のとおりの構成態様からなるものであって、これに接する者をして、容易に欧文字「D」の1字と数字の「3」とを組み合わせてなるものと看取、理解されるものであるところ、このように欧文字と数字との組合せからなる標章自体は、機械器具等を取り扱う業界において、商品管理の便宜のための型式、規格等を表す記号、符号などとして、取引上、普通に採用されている実情に照らせば、何ら特徴のあるものではなく、極めて簡単で、かつ、ありふれたものといえる。
そして、本願商標は、「D3」の欧文字及び数字の組合せからなる標章について、ゴシック体等とは異なる書体により表され、かつ、文字飾りが施されているものではあるが、その書体は、レタリング手法の一であるエジプシャン・エクスパンデットと称するものに近似するものであり、また、その文字飾りも、単に文字を輪郭線のみで表す、いわゆる袋文字などと称されるものであって、文字飾りの手法の一として、広く一般に用いられているものであるから、近年、商品の広告宣伝等を行う際に、視覚的効果の向上などのために文字や数字を装飾的に図案化して表現する手法が広く採用されている実状を考慮すれば、本願商標に接する取引者、需要者が、上記書体や文字飾りにより強く印象づけられ、極めて簡単で、かつ、ありふれた欧文字及び数字のみからなる標章「D3」とは別異の際立った特徴を備えたものとして看取、認識するとまではいい難い。
そうとすると、本願商標は、別掲1のとおりの構成態様からなるものであるとしても、これに接する取引者、需要者をして、特異な態様とはいえない「D3」の欧文字及び数字のみからなるものとして認識されるとみるのが相当であるから、本願商標は、いまだ極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものの範ちゅうに属するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に係る主張について
請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備すると主張し、証拠方法として、原審ないし当審において、甲第1号証ないし甲第18号証を提出している。
しかしながら、請求人の提出に係る甲各号証によれば、本願商標及び別掲3に示す標章が、本願の指定商品中に含まれる商品「デジタル一眼レフカメラ」の筐体及び該商品の広告(該商品の発表会、請求人のウェブサイトにおける商品紹介、新聞及び雑誌の掲載広告)において使用されたことは認められるが、該商品は、2007年(平成19年)8月に発表、同年11月に発売された後、2009年(平成21年)10月頃には製造が中止となっていたものである。
また、該商品についての新聞及び雑誌による広告も、その発表から2008年(平成20年)6月頃までの間は行われていたといえるものの、それ以後、同様の広告がなされた事実は見いだせない。
さらに、該商品は、2007年(平成19年)11月の発売から数か月間は1,000個を超える売上げがあったものの、その後、その販売数は大幅に減少していることに加え、該商品は、請求人のウェブサイトにおいて、「旧製品」のうちの一として取り扱われ、かつ、既に後継機とされる「D4」と称する商品「デジタル一眼レフカメラ」の販売も始まっている。
そして、請求人は、本願の指定商品中、「デジタル一眼レフカメラ」以外の商品について、本願商標の使用を立証していない。
以上を踏まえれば、本願商標をその指定商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったと認めることはできない。
(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標が極めて特徴的な独自の書体をもって表したものであって、商品の型式や品番等を表すための記号・符号として取引上普通に用いられる態様をはるかに超える特異なものであることから、全体として十分に自他商品識別機能を発揮するものである旨主張している。
しかしながら、本願商標が、いまだ極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものの範ちゅうに属するものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであることは、上記認定、判断のとおりである。
また、請求人は、当審において、原査定と異なる拒絶の理由(商標法第3条第1項第5号)に該当すると判断することは、本願商標が自他商品識別機能を発揮するものと判断されたと信ずる請求人に不要な審判請求を課したことになり、信頼の原則に反する旨主張している。
しかしながら、商標法第56条第1項で準用する特許法第158条の規定によれば、「審査においてした手続は、拒絶査定に対する審判においても、その効力を有する。」のであるから、たとえ本願に係る拒絶査定の理由が商標法第4条第1項第11号に該当するとするものであったとしても、原審においてした同法第3条第1項第5号に該当するとする拒絶の理由の通知は、審判においてもその効力を有するというべきである。
そして、拒絶査定に対する審判は、審査手続の続行として、商標登録出願について更に審理を行い、事実の認定及び法令の解釈適用をやり直すことによって、原査定の当否を判断するとともに、該商標登録出願についての最終的な結論を導くものであるから、たとえ拒絶査定の理由と異なり、かつ、該査定において否定ないし撤回された理由であるとしても、既に通知してある拒絶の理由については、これを更に審理した上で、改めて拒絶の理由を通知することなく、この理由により審決することができるものと解するのが相当である。
してみれば、当審における審理の結果、本願商標が、原審において既に通知してある拒絶理由のうち、原査定と異なるもの(商標法第3条第1項第5号)に該当すると判断することに何ら違法性はない。
なお、請求人は、当審において、甲第17号証及び同第18号証を提出しているが、これらは、甲第3号証における「D3」と称する商品の写真を拡大したものと認められるから、これらをもって上記(2)においてした判断が覆るものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本願商標



別掲2
平成24年7月13日付け審尋の内容
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、別掲1に記載のとおりの構成態様からなるところ、その構成態様に照らせば、看者をして、容易に「D」の欧文字と「3」の数字との結合からなるものとして理解されるものであり、さらに、該欧文字及び数字の表し方についてみても、その書体は、エジプシャン・エクスパンデット(「レタリングデザイン」、株式会社グラフィック社発行)と称するものに近似するものであり、その文字飾りも、いわゆる袋文字であって、広く一般に用いられているものであるから、本願商標は、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない程度の方法をもって表してなるものというのが相当である。
また、近年、レタリング技術の進展に伴い、商品の広告や宣伝等において、文字や数字を装飾的に図案化して表現する手法が広く採用されているところ、このような広告や宣伝に接する取引者、需要者にあっては、それを図案化された文字や数字を表したものとして看取、理解している実情にあるといい得る。
さらに、欧文字と数字を結合してなる標章は、機械器具等を取り扱う業界において、自己の製造、販売に係る商品の管理又は取引の便宜性等の事情から、該商品の型式又は規格等を表示するための記号、符号として、取引上、普通に採択、使用されているのが実情である。
そうとすると、上記構成態様からなる本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これが欧文字の「D」と数字の「3」との結合からなるものであって、一般に広く用いられる方法といえる袋文字による文字飾りを施したものとして容易に看取、理解し、上記商品の型式又は規格等を表示するための記号、符号の一類型として認識する場合も決して少なくないというのが相当である。
してみれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものというべきであるから、商標法第3条第1項第5号に該当する。
なお、請求人は、本願商標が極めて特徴的な独自の書体をもって表したものであり、商品の型式や品番等を表すための記号・符号として広汎かつ類型的に使用されている態様をはるかに超える特異なものである旨主張しているが、本願商標が、その構成態様をもってしても、これに接する取引者、需要者をして、商品の型式又は規格等を表示するための記号、符号の一類型として認識され得ることは、上記のとおりであるから、その主張を採用することはできない。
2 本願商標の使用による自他商品識別力の獲得について
(1)請求人(出願人)は、仮に本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当する商標であったとしても、それを使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であることから、同条第2項により、本願のすべての指定商品について、その登録が認めらるべきである旨主張し、その主張に係る書面として、甲第1号証ないし甲第13号証を提出している。
ところで、商標法第3条第2項の適用の可否は、使用をされた結果として、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったか否かによるものであるから、その使用に係る商標及び商品は、当然に本願商標及びその指定商品と同一でなければならないところ、請求人(出願人)の提出に係る証拠の中には、本願商標と同一の標章又は外観において同視し得る程度の同一性を有する標章(別掲3)からなるもの(以下、これらをまとめて「本願商標等」という場合がある。)のほか、例えば、別掲の4及び5に示すように、その構成中に本願商標を構成する「D3」以外の文字を含むものであって、本願商標と外観において同視し得る程度の同一性を有するとはいえないものもあることから、以下の請求人(出願人)の提出に係る証拠についての事実認定においては、主に本願商標等の使用の有無の観点から述べることとする。
ア 甲第2号証
請求人の関連会社である株式会社ニコンイメージングジャパンのウェブサイトにおける「製品情報」のうち、「一眼レフカメラ」に係るものであって、2008年(平成20年)10月9日に紙出力されたものである。
請求人の製造、販売に係る「デジタル一眼レフカメラ」の当時の商品群のうち、「D3」と称する商品を紹介する内容のものであって、その冒頭部に該商品の写真とともに、本願商標と同一の標章が表示されている。
イ 甲第3号証
請求人のウェブサイトにおける「PRESS RELEASE/報道資料」とされるもののうち、2008年(平成20年)5月19日付けの「ニコンデジタル一眼レフカメラ『D3』が『カメラグランプリ2008 大賞』『あなたが選ぶベストカメラ 大賞』を受賞」の見出しからなるものであって、2008年(平成20年)10月9日に紙出力されたものである。
「D3」と称する商品が、上記2つの賞を受賞したことを内容とするものであって、該商品の写真が掲載されているが、写真が小さく、本願商標等の使用を確認することはできない。
ウ 甲第4号証
請求人のウェブサイトにおける「PRESS RELEASE/報道資料」とされるもののうち、2008年(平成20年)5月13日付けの「権威ある『TIPAヨーロピアン・フォト・アンド・イメージング・アワード2008』の各賞を受賞 『D3』、『D300』、『AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED』」の見出しからなるものであって、2008年(平成20年)10月9日に紙出力されたものである。
「D3」と称する商品が、「TIPAベストプロフェッショナルデジタル一眼レフカメラ2008」の賞を受賞したことを内容とするものであって、該商品の写真が掲載されているが、写真が小さく、本願商標等の使用を確認することはできない。
エ 甲第6号証
請求人のウェブサイトにおける「PRESS RELEASE/報道資料」とされるもののうち、2008年(平成20年)8月18日付けの「デジタル一眼レフカメラ『ニコンD3』、『AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED』、『AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED』が『EISAアワード』受賞」の見出しからなるものであって、2008年(平成20年)10月9日に紙出力されたものである。
「D3」と称する商品が、「European Imaging and Sound Association(EISA)Photo Awards」の「EISAアワード ヨーロピアンプロフェッショナルカメラオブザイヤー2008-2009」を受賞したことを内容とするものであって、該商品の写真が掲載されているが、写真が小さく、本願商標等の使用を確認することはできない。
オ 甲第9号証
「マイコミジャーナル」のウェブサイトに掲載された「加藤真貴子 2007/08/24」の名による「【レポート】ニコン『D3』『D300』発表会-海外記者が大挙、大型CMOSなどパーツ写真も」の見出しの記事であって、2008年(平成20年)10月9日に紙出力されたものである。
「D3」と称する商品に係る上記発表会の模様を報じる内容のものであって、該商品の写真とともに、本願商標等の使用を確認することができる。
なお、同記事中に「当社は7月25日に創立90周年を迎えました。」との記載が見受けられる。
カ 甲第10号証(全11葉)
第1葉ないし第7葉は、甲第9号証と合わせ見れば、「D3」及び「D300」と称する商品の発表会に係る画像と思しきものであるが、開催日や開催場所等、その詳細は不明である。
なお、本願商標等の使用を確認することができる。
キ 甲第11号証(全19葉)
広告の写しと思しきものであって、全19葉のいずれについても、それ自体で掲載日を確認できるものはないが、第4葉、第6葉、第10葉ないし第12葉及び第16葉には、「90th Anniversary」との記載が見受けられるところ、これらは、甲第9号証中の「当社は7月25日に創立90周年を迎えました。」との記載と合わせ見れば、2007年(平成19年)7月以降、1年以内に用いられたものと推認される。
なお、第2葉ないし第13葉及び第16葉において、本願商標等の使用を確認することができる。
ク 甲第12号証の1
「D3」と称する商品に関する新聞の出稿料金表(2007年9月ないし2009年12月)とされるものであって、「料金表」には、媒体名を「朝日新聞」(北海道版(朝刊)、東京版(朝刊及び夕刊)、名古屋版(朝刊)、大阪版(朝刊)及び西部版(朝刊))、「毎日新聞」(北海道版(朝刊)、東京版(朝刊)、名古屋版(朝刊)、大阪版(朝刊)及び西部版(朝刊))、「読売新聞」(北海道版(朝刊)、東京版(朝刊及び夕刊)、名古屋版(朝刊)、大阪版(朝刊)及び西部版(朝刊))、「産経新聞」(東京版(朝刊)及び大阪版(朝刊))、「日本経済新聞」(東京版(朝刊)、名古屋版(朝刊)、大阪版(朝刊)及び西部版(朝刊))のほか、「北海道新聞」、「中日新聞」、「西日本新聞」、「河北新報」、「東京新聞」、「北陸中日新聞」及び「中国新聞」とする各朝刊に出稿した旨の記載並びに、「2007年(平成19年)9月?」、「2007年(平成19年)11月?」及び「2008年(平成20年)1月?」とする各項目に、上記各新聞に係る出稿料の金額が掲載されているが、その具体的な掲載日、掲載回数、掲載方法は、不明である。
また、該「料金表」の右方に、2007年(平成19年)11月及び2008年(平成20年)1月に掲載したとする新聞広告と思しきものの写しが掲載されているが、不鮮明であって、本願商標等の使用を確認することはできない。
なお、該「料金表」の右上には、その作成日と思しき「2011/7/20」の記載がある。
ケ 甲第12号証の2
「D3」と称する商品に関する雑誌の出稿料金表(2007年9月ないし2008年6月)とされるものであって、該「料金表」のうち、2007年(平成19年)9月ないし12月の間の売りに係るものには、雑誌名を「アサヒカメラ」、「日本カメラ」、「カメラマン」、「CAPA」、「デジタルカメラマガジン」、「デジタルフォト」、「フォトテクニックデジタル」、「コマーシャルフォト」、「フォトコン」、「写真工業」及び「旅写真」とするものに出稿した旨の記載並びに、該9月ないし12月の間の月毎に、各雑誌への出稿に係る頁数、単価及び合計金額が掲載されており、同じく、2008年(平成20年)1月ないし6月の間の売りに係るものには、雑誌名を上記各雑誌に「風景写真」を加えたものに出稿した旨の記載並びに、該1月ないし6月の間の月毎に、各雑誌への出稿に係る頁数、単価及び合計金額が掲載されているが、その具体的な掲載日、掲載回数、掲載方法は、不明である。
また、該「料金表」の下方に、各売り月毎に掲載したとする雑誌広告と思しきものの写しが掲載されており、そのうちの「10月売り・11月売り」とされるものは甲第11号証の第1葉ないし第3葉、「12月売り」及び「1月売り・2月売り」とされるものは甲第11号証の第5葉及び第6葉、「12月売りないし5月売り」とされるものは甲第11号証の第12葉と認められることから、それぞれにおいて表示されている「D3」と称する商品に係る標章の具体的な構成態様を確認することができるが、「3月売り・4月売り」、「5月売り」及び「6月売り」とされるものについては、不鮮明であって、本願商標等の使用を確認することはできない。
なお、該「料金表」の右上には、その作成日と思しき「2011/7/20」の記載がある。
コ 甲第13号証
「D3」と称する商品の売上表(2007年11月ないし2011年7月)とされるものである。該「売上表」は、「D3シリーズ売上数量および売上げ金額」を標題とするものであって、商品名として、「D3」のほか、「D3X」及び「D3S」の記載が見受けられ、これら各商品の2007年(平成19年)11月ないし2011年(平成23年)7月の間の月毎の「売上数量」及び「売上金額」並びに上記期間の合計の「売上数量」及び「売上金額」の記載がある。
上記「D3」の売上数量は、2007年(平成19年)11月ないし2008年(平成20年)1月の間は2,000個を超えているが、2008年(平成20年)2月ないし4月の間は1,000個を超える程度であって、同年5月ないし9月の間は700個を超える程度に漸減し、その後、同年10月ないし2010年(平成22年)1月の間は250個未満に減少して、さらに、同年2月ないし2011年(平成23年)7月の間のうち、2010年(平成22年)7月(26個)及び2011年(平成23年)4月(13個)を除く各月は、0ないし6個にとどまっている。
なお、該「売上表」の右上には、その作成日と思しき「2011/7/20」の記載がある。
(2)上記(1)において認定した事実のほか、請求人(出願人)の製造、販売に係る「D3」と称する商品について、職権をもって調査したところ、請求人のウェブサイトにおける2012年(平成24年)1月6日付け「報道資料」中に、「・・・ニコンのフラッグシップモデルとして、映像表現をリードしてきた『D3』シリーズの基本性能を踏襲しつつ、プロフェッショナルフォトグラファー、ハイアマチュアフォトグラファーの撮影の現場から寄せられた、貴重な要望の数々を反映し、機能や性能を極限まで高めたデジタル一眼レフカメラとして、次世代フラッグシップモデル『D4』を開発しました。」の記載(http://www.nikon.co.jp/news/2012/0106_d4_01.htm)が見受けられるとともに、請求人の関連会社である株式会社ニコンイメージングジャパンのウェブサイトにおける「製品情報」中の「旧製品」の項目中に「D3」と称する商品の情報が掲載されていることが認められる(http://www.nikon-image.com/products/discontinue/camera/)。
また、2012年(平成24年)1月7日付け「産経新聞」(東京朝刊、10頁)に、「ニコン、一眼レフ旗艦機『D4』発表」の見出しの下、「ニコンは6日、デジタル一眼レフカメラ『ニコンD4』を2月16日に国内外で発売すると発表した。デジタル一眼の旗艦機種『D3』シリーズの後継機で、フルハイビジョン動画が撮影できる。」の記載がある。
さらに、「価格.com」のウェブサイト中、「ニコンD3ボディ」に係る「クチコミ掲示板」において、「2009/10/20 21:47」の記載として、「今日、銀座のサービスセンターで聞いたところ、D3は既に製造中止になっているそうな。私はてっきり、暫くはD3Sと並行販売するのかと思っていました。・・・」の記載がある(http://bbs.kakaku.com/bbs/00490711093/SortID=10341609/)。
(3)上記(1)及び(2)によれば、本願商標等の使用に係る商品「デジタル一眼レフカメラ」は、2007年(平成19年)8月に発表後、同年11月に発売されたものであるが、その後、2009年(平成21年)10月頃には製造が中止となっていたものである。
また、本願商標等の使用に係る商品「デジタル一眼レフカメラ」は、2007年(平成19年)11月の発売から翌年9月までの間はある程度の販売実績があるが、その後、その販売数は大幅に減少し、2011年(平成23年)6月及び7月については、販売数が「0」となっており、その新聞及び雑誌による広告についてみても、その発表から2008年(平成20年)中頃までの間は、ある程度の回数は行われたものの、それ以後、同様の広告がなされた事実は見いだせない。
さらに、本願商標等の使用に係る商品「デジタル一眼レフカメラ」については、請求人(出願人)のウェブサイトにおいて、「旧製品」のうちの一として取り扱われていて、既に後継機とされる商品の販売も始まっており、「D3」と称する商品が、新たに製造、販売されたと認めるに足りる事実も見いだせない。
加えて、本願の指定商品中、「デジタル一眼レフカメラ」以外の商品について、本願商標等が使用された事実も認められない。
以上を踏まえれば、本願商標をその指定商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったと認めることはできない。

別掲3



別掲4



別掲5



審理終結日 2012-11-16 
結審通知日 2012-11-20 
審決日 2013-01-07 
出願番号 商願2008-12393(T2008-12393) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (X09)
T 1 8・ 17- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一原田 信彦 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 敬規
山田 和彦
商標の称呼 デイスリー、デイサン 
代理人 岡部 讓 
代理人 本宮 照久 
代理人 岡部 正夫 

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