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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X0609 |
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管理番号 | 1268496 |
異議申立番号 | 異議2012-900124 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-05-14 |
確定日 | 2013-01-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5469550号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5469550号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5469550号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEXB」の欧文字を横書きしてなり、平成23年11月22日に登録出願、第6類及び第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同24年1月26日に登録査定、同年2月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。 (1)引用商標の周知著名性について ア 「NEXT」及び「next」商標(以下、両商標をあわせて「引用商標」という。)は、申立人及びその関連会社を含むネクストグループのハウスマークである。 イ 申立人及びそのグループ会社について (ア)申立人及びそのグループ会社は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、今から30年前の1982年、「NEXT」ブランドの婦人服、婦人靴、婦人向けアクセサリーの販売を開始し、その後、紳士服、子供服及び家庭用品へと展開し幅広い商品を継続して取り扱っている。「NEXT」ブランドの洋服は、ファッションの先端をいくおしゃれで高品質でありながら手頃な価格である点に特徴がある。現在ではイギリス及びアイルランドに500以上の店舗並びに日本を含む世界30か国において約200の店舗を有する巨大企業である。(甲2) また、「NEXT」ブランドの立ち上げから30周年を迎えた現在もイギリス国内のみならず海外においても事業は順調に推移しており、日本を含め世界50か国を超える国においてオンラインショッピングが提供されている(甲3)。 更に、申立人のグループ全体の2012年1月期末の年間総収入は34億ポンド(約4,460億円)であり、税引前の利益は5.7億ポンド(約747億円)にも達している(甲2)。 ところで、申立人のグループ会社「Next plc」は、本年7月から開催されたロンドンオリンピック及びロンドンパラリンピックにおける公式衣料サプライヤーに選ばれており、開会式及び閉会式においてイギリス代表の男子選手、女子選手や組織委員らが着用するユニフォームやスーツを提供するほか、選手村で使用される寝具類等を提供することが決定した(甲5、甲6)。オリンピックの公式サプライヤーに選ばれた事実から見て、申立人のグループ会社が有力企業であることは明らかであり、加えて、公式サプライヤーになることで絶大な広告宣伝効果が得られることは容易に想像できる。また、申立人のグループ会社は、ロンドンオリンピック及びパラリンピックにおけるイギリス選手団のサポーター用の公式グッズであるスカーフを販売し、このスカーフ販売による全収益はイギリスオリンピック委員会及びイギリスパラリンピック委員会へ贈られることになっている(甲7)。加えて「Next Plc」は、社会貢献の一環として、2012年ロンドンオリンピックの候補選手7名を「Team Next」として支援する旨表明しており、スポーツ業界の発展に尽力している(甲8)。 (イ)日本においては、ゼビオ株式会社(以下「ゼビオ社」という。)が、1997年、イギリス最大の製造小売業ブランドであるNEXT社と提携し(甲9)、「next」の名称で自由が丘、横浜、仙台等において14店舗を運営し(甲10)、NEXT製品を継続して販売している。更に、「next Japan」のホームページにおいて「next」ブランドの婦人服、紳士服、乳幼児服及び子供服を販売するオンラインショップも運営(甲11)されている。 (ウ)引用商標の使用状況及び宣伝広告について 本件商標の出願日前から引用商標が積極的に使用された結果、周知著名に至ったことを示す証拠の一例として、甲第12号証ないし甲第30号証を提出する。 なお、これらの中には、「NEXT」及び「next」で表わされている使用例があるが、これは2007年にブランド創設25周年を迎え、ネクストグループのブランドのロゴを、「NEXT」から「next」へ変更したことによるものであり、両商標は社会通念上同一の商標であるといえる。 (エ)申立人所有の登録商標について 申立人は、日本において、「NEXT」又は「ネクスト」の語からなる登録商標4件を所有している(甲31?甲34)。 (オ)小括。 以上のことから、申立人及びそのグループ会社が有する「NEXT」及び「next」ブランドは、本国のイギリスはもとより日本を含む世界で広く知られており、「NEXT」及び「next」は申立人及びそのグループ会社を指称していることがわかる。 また、引用商標は、我が国において「被服」「靴類」「かばん類」及び「身飾品」等について永年にわたって使用された結果、遅くとも本件商標が出願された平成23年11月22日には周知著名の域に達しており、また本件商標の登録査定時においても同様に周知著名となっている事実がある。 (2)出所混同のおそれについて 上述(1)のとおり、引用商標は、本件商標の出願日前、「被服」等について使用された結果、取引者や需要者間で既に周知著名の域に達しており、また、本件商標の登録査定時においても同様に周知著名であった。 そして、本件商標と引用商標とを対比すると、両商標はいずれも4文字の欧文字から構成され、そのうち前半の3文字「NEX」が共通することから一見して相紛らわしく、引用商標の周知著名性を考慮すると、本件商標に接する需要者や取引者は、周知著名になっている引用商標を連想、想起し、その指定商品があたかも申立人やそのグループ会社と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認、混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 なお、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは、特許庁の類似商品・役務審査基準によれば類似関係になく、関連性が格別ないと判断されるかもしれないが、企業の多角経営が一般的に行われている実情があり、企業が異業種分野に進出する例もごく普通にみられるところであるので、商品に類似関係がないことのみをもって、混同を生ずるおそれがないと即断すべきではない。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について ア 申立人提出の証拠、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。 (ア)申立人及びそのグループ会社(以下「申立人等」という。)は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、1982年に「NEXT」ブランドの婦人服、婦人靴、婦人向けアクセサリーの販売を開始し、その後、紳士服、子供服及び家庭用品へと展開し幅広い商品を継続して取扱っている。現在ではイギリス、アイルランドに500以上の店舗及び日本を含む30以上の国において約200店舗を有する企業であり(甲2)、本年5月時点で50以上の国においてオンラインショッピングを提供している(甲3。なお、本年11月現在では61か国で提供している。)。また、申立人のグループ全体の2012年1月期末の年間総収入は34億ポンド(約4,460億円)である(甲2)。 (イ)申立人等は、我が国において1997年にゼビオ社と提携し(甲9)、「next」の名称で本年4月時点で自由が丘、横浜、仙台等において14店舗を運営し(甲10。なお、本年11月現在では16店舗を運営。)、NEXT製品を継続して販売している。また、申立人等は遅くとも本年4月から「next Japan」のホームページにおいて「next」ブランドの婦人服、紳士服、乳幼児服及び子供服を販売するオンラインショップを運営(甲11)している。 (ウ)本件商標の登録出願の日前から、引用商標が表示された被服等のカタログ、チラシなどが作成され(甲14、甲15、甲17?甲19)、申立人等の商品がインターネットや雑誌で紹介され(甲22?甲29)、また、申立人等の幹部の取材記事が雑誌に掲載された(甲30)。 (エ)申立人は、我が国において、本件商標の登録出願の日前から「NEXT」又は「ネクスト」の文字からなる登録商標4件を所有している(甲31?甲34)。 イ 上記アの事実からすれば、引用商標は、英国を中心に被服等について本件商標の出願の日前から使用され、我が国においても申立人等の業務に係る商品を表示するものとして、ある程度知られているものと認めることができる。 しかしながら、本件商標の登録出願の日ないし登録査定日前の、我が国における商品の売上高、販売数量など取引規模は不明であるし、カタログやチラシの作成回数も少なく、その配布部数、方法なども不明であり、さらに雑誌等の掲載回数も少なく、その内容も不明であることから、引用商標は、本件商標の登録出願の時ないし登録査定日において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間で広く認識されている商標と認めることはできない。 なお、申立人は、「NEXT」及び「next」が申立人等の名称又は略称であるかのような主張をしているが、それらが申立人等の名称又は著名な略称であると認め得る証拠は見いだせない。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 上記(1)のとおり、引用商標は本件商標の登録出願の時ないし登録査定日において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間で広く認識されている商標と認めることはできないものである。 イ 本件商標は、上記1のとおり「NEXB」の文字からなり、該文字に相応し「エヌイーエックスビー」及び「ネックスビー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。他方、引用商標は上記2(1)アのとおり「NEXT」又は「next」の文字からなり、該文字に相応し「ネクスト」の称呼、及び「次(の)」の観念を生じるものである。 そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。 ウ さらに、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品は、それぞれ上記1及び上記2(1)のとおりであって、両者の生産部門、販売部門及び用途などが異なり関連性の極めて薄いものである。 エ 上記アないしウに加え、引用商標を構成する「NEXT」及び「next」の語が「次(の)」などを意味する語として我が国において親しまれた英語の成語であることをあわせみれば、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標等を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2012-12-21 |
出願番号 | 商願2011-84052(T2011-84052) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X0609)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 原田 信彦 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 梶原 良子 |
登録日 | 2012-02-10 |
登録番号 | 商標登録第5469550号(T5469550) |
権利者 | 日本製箔株式会社 古河スカイ株式会社 |
商標の称呼 | ネックスビイ、エヌイイエックスビイ |
代理人 | 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 |
代理人 | 河野 生吾 |
代理人 | 河野 誠 |