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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2007301642 審決 商標
取消2012300384 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X35
管理番号 1268351 
審判番号 取消2012-300112 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-02-16 
確定日 2012-12-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5192762号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5192762号商標の指定役務中、第35類「電気磁気測定器・起動器・交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)・交流発電機・直流発電機・配電用又は制御用の機械器具・回転変流機・調相機・太陽電池・陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)・電線及びケーブルの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5192762号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成19年6月25日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飼料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,テーブル掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物用被服類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,香料類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙製包装用容器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同20年12月26日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成24年3月5日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「電気磁気測定器・起動器・交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)・交流発電機・直流発電機・配電用又は制御用の機械器具・回転変流機・調相機・太陽電池・陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)・電線及びケーブルの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)本件商標の使用に係る役務について
ア 被請求人は、乙第4号証の1ないし3のとおり、商標権者のウェブサイトにおいて、「タニタ通販|おしゃれ雑貨のDHC」等の表示と共に、株式会社タニタ(以下「タニタ」という。)の製品であって、「体脂肪計」、「活動量計」、「体組成計」等の記載がなされている「電気抵抗値を測定する機器(電気磁気測定器)」を販売しており、該商品は、「タニタの技術」の表題からなるインターネット情報(乙第5号証)の記載内容からも明らかなとおり、生体組織の電気抵抗値を計測した結果として体脂肪などの体組織を推定するものであるから、あくまでも生体組織の電気抵抗値を計測するものであり、「電気磁気測定器」の範ちゅうに属する商品といえるものである旨主張する。
しかしながら、乙第4号証の1ないし3のいずれにおいても、その掲載内容に係る商品が「電気抵抗値を測定する機器(電気磁気測定器)」や「生体組織の電気抵抗値を計測した結果として体脂肪などの体組織を推定するもの」という明示的な記載はない。また、乙第4号証の1には、「『健康をはかる』タニタの巻」の見出しの下、「タニタの『活動量計カロリズムダイエット』」及び「タニタの『体組成計インナースキャン』」の2つの製品が掲載されており、前者については、「おもに歩行時間を計測する『歩数計』と異なり、じっとしているときの消費カロリー(安静時代謝)も計測してくれるのが、『カロリズムダイエット』。『カロリズムダイエット』は、あなたのダイエットプランを自動作成してくれるのだ!」の説明があり、後者については、「『体重計』や『体脂肪計』も良いけど、もうちょっとくわしく知りたい・・・。そんな方におすすめなのが、1台で体重、体脂肪率はもちろん、筋肉量、推定骨量や体内年齢までわかるタイプの『体組成計』」の説明があることからすれば、このような掲載内容に接する取引者、需要者は、それぞれの用途、目的から、前者についてはダイエットに用いられる「測定機械器具」の範ちゅうに、後者についてはダイエットに用いられる「診断用機械器具」(医療用機械器具)の範ちゅうに属するものであって、仮に多面性を有する商品であるとしても、「測定機械器具」の一種にも属する程度のものと理解するのが通常であり、いずれについても「電気抵抗値を測定する機器(電気磁気測定器)」と理解することはない。
なお、乙第4号証の1ないし3のいずれにおいても、「体脂肪計」に係る説明等は掲載されていない。
イ 被請求人は、乙第11号証及び乙第12号証の「メルマガ」において、タニタの「測る」機器(電気磁気測定器)が販売されている旨主張するが、同各号証にそのような商品掲載はなく、また、「タニタの『測る』機器」についても、具体的に何を測る機器なのかまったく不明である。
なお、同各号証の上部には、それぞれ「file://C:」から始まるコンピュータ上の保存に係る表示があるが、そのうちの「¥20110228メルマガ.html」及び「\20110301メルマガ.html」の部分は、個人のパソコンに保存する場合のファイル名であり、その表示は自由に変更することが可能である。
(2)駆け込み使用について
本件商標の使用が本件審判の請求の登録前3年以内のものであるとしても、被請求人が使用根拠としている乙第4号証の1ないし3は、以下に詳述するとおり、いわゆる駆け込み使用に該当するため、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用に該当しない(第50条第3項)。
ア 請求人は、被請求人(商標権者)から商標登録第4375999号商標(「D H C」の欧文字を標準文字で表してなるもの。)に基づく商標権侵害の停止等を求める平成24年1月6日付け通知書(甲第3号証)を受けたことから、同月23日付け回答書(甲第4号証)をもって、暫時回答を猶予願う旨回答し、その後、同年2月21日付け回答書(甲第5号証)をもって、被請求人(商標権者)の主張には理由がないこと、請求人が同月15日付けで商標「DHC JAPAN」を「電気磁気測定器」等を指定商品として商標登録出願したこと、及び本件商標のほか被請求人(商標権者)保有の商標登録6件について不使用取消審判を請求したことを回答した。
上記回答書(甲第5号証)が平成24年2月22日に被請求人(商標権者)へ配達されている(甲第6号証)ことからすると、被請求人(商標権者)は、同日には本件商標について不使用取消審判が請求されたことを明らかに知っていた。
イ 乙第4号証の1ないし3は、2012年(平成24年)2月23日付けの商標権者のウェブサイトにおけるものとされるところ、該ウェブサイト上における使用は、本件審判の請求前3月からその審判の請求の登録の日までの間の使用であって、その審判が請求されたことを知った(平成24年2月22日)後のものであるから、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用に該当しないものである(同条第3項)。
なお、ウェブコンテンツのアップロードは、ダウンロード同様、極めて容易に行うことができるものである。
ウ 被請求人(商標権者)は、「化粧品や健康食品等」の製造、販売を行う一方、多分類にわたる多数の登録商標を保有し、業種がまったく異なる請求人に権利侵害の通知(甲第3号証)をしている以上、不使用取消審判が請求される可能性があることは十分察知できる状況にあった。
エ 以上のとおり、乙第4号証の1ないし3を根拠とする本件商標の使用は、いわゆる駆け込み使用に該当するものである。
(3)まとめ
以上のとおり、請求人は、請求の趣旨のとおりの審決を求める。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 本件商標の使用事実
本件商標は、商標権者により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務中「電気磁気測定器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用されている。
(1)インターネット販売について
商標権者は、インターネット上において、タニタの製造に係る生体組織の電気抵抗値を測定する機器を販売している(乙第4号証の1ないし3)ところ、これらの商品はいわわる「電気磁気測定器」に相当するから、商標権者は「電気磁気測定器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っているといえる。
また、商標権者は、2011年2月28日及び同年3月1日の「メルマガ」(乙第11及び第12号証)において、タニタの「測る」機器(電気磁気測定器)が販売されていることをもって、「電気磁気測定器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていたことを証明する。
(2)本件商標の使用について
乙第4号証の1ないし3は、商標権者のウェブサイトであり、右下の「2012/02/23」の数字は、本件審判の請求の登録前の2012年2月23日を表すものである。
また、左上の黒地の横長長方形内に「DHC」の文字を配した商標が付されているが、乙第4号証の1ないし3は、白黒のコピーであるために横長の長方形の色彩は黒地となっているのであって、実質的には本件商標とほぼ同一である。
したがって、本件商標と社会通念上同一の商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、「電気磁気測定器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用されている。
(3)「電気磁気測定器」の小売役務についての使用であること
ア 商標権者が販売する上記タニタの電気磁気測定器は、生体組織の電気抵抗値を計測するものであり、その結果として体脂肪などの体組織を推定するものである(乙第5号証)。「株式会社タニタ ユーザーサポート」(乙第6号証)においても、「電気抵抗値(流した電気の量と出てきた電気の量との差)を計測することにより、からだの組織を推測するものである。」と記載されている。
イ 乙第4号証の1ないし3によれば、商標権者が販売しているタニタの製品の名称は、「体脂肪計」、「活動量計」、「体組成計」等の記載がなされている。しかしながら、これらは、その名称はともかくとして、基本的には生体組織の「電気抵抗値」を計測するものであり、当該「電気抵抗値」を計測するものであることからすれば、その名称のいかんにかかわらず、「電気磁気測定器」の範ちゅうに属する商品とみても何ら差し支えない。
このことは、例えばインターネット情報によれば、「体組成計physionMDの四肢筋肉量測定原理」(乙第7号証)において、「生体組成計physionMDは、生体電気インピーダンス(BIA)方式を採用しています。体内に電流を流して、その流れ易さ・流れ難さから体組成を推定しようとする方式です。」と記載されていることからもうかがえるものであり、「【最新ハイテク講座】なぜ、体の中の脂肪量がわかるのか?『体脂肪計』」(乙第8号証)においても、同様の記載がされている。
なお、請求人は、乙第4号証の1ないし3には、その掲載内容に係る商品が「電気抵抗値を測定する機器(電気磁気測定器)」や「生体組織の電気抵抗値を計測した結果として体脂肪などの体組織を推定するもの」という明示的な記載はないとするが、例えば、乙第4号証の2の2頁目に、「◆安全に関するご注意」の一つとして、「●ペースメーカーなど、体内機器を装着している方は、絶対に使用しないでください。微弱な電流を体内に流すため、医用電気機器の誤作動による重大な事故の原因になります。」の記載があることからすれば、電流を流し、それにより測定値を計測する電気磁気測定器であることが容易に推定されるものである。
ウ 上記の生体組織の電気抵抗値を計測するような機器は、単なる測定機械とみれば、第9類「測定機械器具」に属することになるし、また、当該測定値を専ら健康・治療等の目的として使用されるということに重きをおけば、第10類「医療用機械器具」に属することにもなる。またその一方、「生体組織の電気抵抗値を計測する機器」とみれば、第9類の「電気磁気測定器」とみることもできるのである。
そうすると、上記のような多面性を有し、いずれに属するかを明確に判断することが困難な場合もあるのであって、かかる場合は、複数の概念あるいは類似群に属する商品ということもできるのである。このように、ある商品がその機能・品質・用途等からみて、どちらの商品にも属すると判断されるような場合は、どちらにも属するものとするのが過去の判決及び審決例においても是認されているところである(乙第9号証、乙第10号証、乙第22号証及び乙第23号証)。
エ 小括
以上のとおり、商標権者の販売に係る商品は、生体組織の電気抵抗値を測定する機器、すなわち「電気磁気測定器」にも属する商品ということができるものである。
(4)駆け込み使用であるとの請求人の主張について
請求人は、本件商標の使用に係る乙第4号証の1ないし3は、平成24年2月23日のインターネット上での商品の販売を立証するものであるところ、これは、同年1月に、請求人による「DHC」の使用に対し、商標権者が警告を発し、請求人が同年2月16日に本件審判の請求をした後のものであるから、いわゆる「駆け込み使用」に該当する旨主張する。
しかしながら、商標権者は、インターネット販売をするために、本件審判の請求前の平成23年2月8日に、タニタに対し、「活動量計カロリズムスマート」や「体組成計インナースキャン」等の商品を注文しており、同様に、同年4月13日付け及び同年6月15日付けで商品「体組成計インナースキャン」の注文をし、タニタから納品がされている(乙第13号証ないし乙第19号証)。また、乙第21号証及び乙第22号証によれば、平成24年1月に、商標権者の会員が商標権者のウェブサイトを見てタニタの「体組成計インナースキャン」を注文し、商標権者が注文をした会員に対して納品した事実がうかがわれる。
請求人は、2011年2月28日及び同年3月1日の「メルマガ」(乙第11及び第12号証)に掲載された商品の写真からは、それが「体組成計」等の商品か否か確認ができないとするが、該商品の写真と商標権者に係るオンラインショップ(第4号証の2)の商品の写真とは同一であり、また、該オンラインショップの商品名「タニタ 体組成計インナースキャンBC-716」等と上記注文等に係る書面上に記載された商品名とは同一であることから、上記「メルマガ」に掲載された商品が「体組成計」であることは明らかである。
以上のとおり、商標権者は、上記タニタの商品を通信販売するために、本件審判の請求がされる約1年前の平成23年2月から「体組成計」等を仕入れて販売しており、また、その請求がされる1月前にも「体組成計」の販売をしていた事実があるから、商標権者による本件商標の使用が商標法第50条第3項に規定するいわゆる「駆け込み使用」に該当する旨の請求人の主張は、明らかに失当である。
なお、請求人は、乙第4号証の1ないし3について、「体脂肪計」の表示は存在しない旨主張しているところ、確かに「体脂肪計」という表示は存在しないが、「体組成計」の説明の中で、「シンプルなボディに、うれしい&便利な機能満載!」とされ、「体脂肪率」を量ることのできる機能(いわゆる体脂肪計)も付加されていることは事実である。
(5)むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証を総合的にみれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を本件審判の請求に係る指定役務中「電気磁気測定器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用していたものといえるものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項により、取り消すことはできない。

第4 当審の判断
1 被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を本件審判の請求に係る指定役務中「電気磁気測定器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。)を提出しているところ、被請求人の主張及びその提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第4号証の1ないし3は、いずれも商標権者に係る「公式オンラインショップ」と称するインターネット上の情報を2012年(平成24年)2月23日に紙出力したものであって、それぞれの1葉目の左上方には、黒色の横長長方形内に「DHC」の欧文字を白抜きで表してなる標章が表示されている。
ア 乙第4号証の1の1葉目には、「知って得する\突撃!\ビューティ探検隊」と題する商品紹介記事として、「『健康をはかる』タニタの巻」の見出しの下、「年齢・性別を問わず、ダイエットや健康に関する意識は、つねに高く維持したいもの。そんな思いを強力サポートする、いま注目の健康ツールをご紹介します。」の記載があり、これに続けて、「タニタの『活動量計カロリズムダイエット』」の商品名及びその商品の画像と「おもに歩行時間を計測する『歩数計』と異なり、じっとしているときの消費カロリー(安静時代謝)も計測してくれるのが、『カロリズムダイエット』。『カロリズムダイエット』は、あなたのダイエットプランを自動作成してくれるのだ!」の説明並びに「タニタの『体組成計インナースキャン』」の商品名及びその商品の画像と「『体重計』や『体脂肪計』も良いけど、もうちょっとくわしく知りたい・・・。そんな方におすすめなのが、1台で体重、体脂肪率はもちろん、筋肉量、推定骨量や体内年齢までわかるタイプの『体組成計』!」の説明がある。同じく、2葉目には、「タニタ 体組成計 インナースキャン」の「BC-750」及び「BC-716」並びに「タニタ 活動量計 カロリズムダイエット」の「AM-130」の各商品が、商品の画像や価格等と共に掲載されている。
イ 乙第4号証の2の1葉目には、「“太りにくい”体づくりを応援\タニタの『測る』ダイエット」の見出しの下、「タニタ 体組成計 インナースキャン BC-716」が、商品の画像及び価格等と共に掲載されている。同じく、4葉目には、「【以下の計測対象年齢:6歳から99歳】●体脂肪率/50%から75.0% 0.1%単位 ●体脂肪率判定/やせ、-標準、+標準、軽肥満、肥満 ●BMI/0.1単位 ●推定骨量/100g単位 ●筋肉量/0から100kgで100g単位 100から136kgまで200g単位」及び「【以下の計測対象年齢:18歳から99歳】●筋肉量判定/少ない、標準、多い ●内臓脂肪レベル/1.0から59.0レベル 0.5レベル単位 ●内臓脂肪レベル判定/標準、やや過剰、過剰 ●基礎代謝量/1kcal(日単位) ●基礎代謝量判定/少ない、標準、多い ●体内年齢/1歳単位 ※100歳以上の方は参考値としてご覧ください。」の記載があり、また、「関連商品」として、「タニタ 体組成計 インナースキャン BC-750」及び「タニタ 活動量計 カロリズムダイエット AM-130」の各商品が、商品の画像及び価格等と共に掲載されている。
ウ 乙第4号証の3の1葉目には、「“太りにくい”体づくりを応援\タニタの『測る』\ダイエット」の見出しの下、「タニタ 活動量計 カロリズムダイエット AM-130」が、商品の画像及び価格等と共に掲載されている。同じく、2葉目には、「あなたにぴったりのダイエットプランを自動作成!\ダイエット目標を設定すると、目標達成に最適なダイエットプラン(摂取カロリーと総消費カロリーの目標値)を表示します。しかも1週間ごとの活動量と比較して、あなたにぴったりのダイエットプランを作成し直してくれます。」及び「活動量計と歩数計、どこが違うの?\歩数計でも消費カロリーを表示するものがありますが、歩数計で表示するのは『歩いている時間の中で消費しているカロリーのみ』となります。しかし、歩いている時間は、1日のうちの一部にすぎません。『カロリズムダイエット』なら、じっとしているときの消費カロリー(安静時代謝)も加算し、1日24時間つねに体の動きをチェック。1日の総消費カロリーを計測します。」の記載がある。同じく、3葉目には、「●タニタだからできる!高精度な計測で、体をしっかりマネージメント\消費カロリーを測定する『呼気分析法(間接熱量測定)』のデータと、3Dセンサーから得られるデータに登録した個人の体組成情報を組み合わせ、タニタ独自の方法でより正確に消費エネルギーを推定しています。」の記載がある。同じく、6葉目には、「●表示内容 ◎総消費エネルギー量/最小:1kcal 最大:99999kcal ◎安静時代謝量/個人設定終了時に表示 ◎消費目標/最小:1kcal 最大:99999kcal ◎摂取目標/最小:1kcal 最大:99999kcal 今日の達成度/最小:0.1% 最大:9999.9% ◎目標の達成度/最小:0.1% 最大:9999.9% ◎歩数/最小:1歩 最大:999999歩 ◎時刻/24時間表示 ◎24時間カロリズム/最小1目盛 最大7目盛 1時間ごとの活動量を表示 ◎過去メモリ/14日分 期間の達成度は12回分」の記載があり、また、「関連商品」として、「タニタ 体組成計 インナースキャン」の「BC-750」及び「BC-716」の各商品が、商品の画像及び価格等と共に掲載されている。
(2)乙第5号証及び乙第6号証は、いずれもタニタに係るインターネット上の情報を2012年(平成24年)5月7日に紙出力したものであって、前者は、「タニタの技術\1.体組成計の原理(BIA法)」の説明を内容とするものであり、後者は、「FAQ/よくある質問」の内容を抜粋したものである。前者においては、「タニタの体組成計はBIA法を用いています。BIA法は生体組織の電気抵抗値(生体インピーダンス)を測定することで、体脂肪率などの体組成を推定する方法です。生体組織において、脂肪組織はほとんど電気を通しませんが、筋肉などの電解質を含む組織は電気を通しやすい性質があります。電気の通りにくさ(電気抵抗と言います)をはかることで脂肪とそれ以外の組織の割合を推測しています。」の記載があり、後者においては、「体組成とは何ですか?(体組成計で測定できる項目を含む)」の質問項目に対する回答として、「からだを構成する組成分で、『脂肪』『筋肉』『骨』『水分』などを指します。タニタの体組成計では『体重』のほかに『体脂肪率』『筋肉量』『推定骨量』『内臓脂肪(レベル)』『基礎代謝量』などを測定することが出来ます。」の記載があるほか、「なぜ体組成(体脂肪)がはかれるのですか?(測定原理)」の質問項目に対する回答として、上記前者におけるのと同様の記載がある。
(3)乙第7号証は、「株式会社日本シューター」に係るインターネット上の情報を2012年(平成24年)5月7日に紙出力した「高精度筋量計\Physion MD」と称する商品についての説明であって、その2葉目には、「体組成計Physion MDの四肢筋肉量測定原理」の見出しの下、「◆体組成計Physion MDは生体電気インピーダンス(BIA)方式を採用しています。体内に電気を流して、その流れ易さ・流れ難さから体組成を推定しようとする方式です。電気を流す事はたやすく、どのメーカーの体組成計でも大差ないのですが、その流れ易さ・流れ難さから『体組成を推定する』際のメーカー毎の理念(推定する際の根拠となるデータ)に大きな差がある事に注意しなければなりません。」、「電気を流すだけで体組成が分かるわけではありません」及び「電気がどれだけ流れ易いか? → 体組成推定根拠となるデータ → どんな体組成をしているか?\どんな根拠で体組成を算出しているか、それが一番のポイントです」等の記載がある。
(4)乙第8号証は、2008年(平成20年)5月3日付け「livedoorニュース」の記事(2012年(平成24年)5月7日に紙出力)であって、「【最新ハイテク講座】なぜ、体の中の脂肪量がわかるのか?『体脂肪計』」の見出しの下、「●体脂肪計が脂肪を測定できる理由\体脂肪計は、文字通りに体内に占める脂肪の割合(体脂肪率)を測定する道具だ。家庭向けの体脂肪計では、微弱な電流を体に流して水分量の測定から体脂肪率を測定する『インピーダンス法』と呼ばれる測定法が用いられる。もう少し詳しく説明しよう。人間の体は、血液など水分を多く含む組織は電気を通しやすいのに対し、脂肪は電気を通しにくい性質を持っている。体脂肪計は、体に電気を通したときの電気抵抗(インピーダンス)の大きさを計測し、体脂肪率を割り出している。」、「●体脂肪計の数値は正確か?\人間は複雑な構造をしているので、体内の電流の流れは一様ではない。よって、体脂肪計で計測した脂肪率は、必ずしも正しい数値であるとは限らない。とくに水分率や骨密度が標準的な人と大きく異なると、体脂肪計で測定した脂肪率と、本当の脂肪率との差が大きくなってしまうのだ。」、「●体脂肪計はより賢く\よく知られているように朝起きた直後は水分が一様に分布しているが、夕方になると、水分は足のほうに移動している。そのために初期の体脂肪計は、朝に測定した数値は実際よりもやや高め、逆に夕方はやや低めの数値を出したということもあったようだ。各メーカーは、測定方法に独自の工夫を凝らしており、今日では測定誤差が少ない体脂肪計を提供している。一例をあげると、タニタは体の水分量と体に電流を通したときに発生する『リアクタンス』と呼ばれる抵抗に密接な関係があることを導き出し、1日の水分分布の変化できる体脂肪計を開発させた。体脂肪率の進化は目覚ましく、最近では体重や体脂肪率だけでなく、筋肉量や骨量なども測定できる多機能な計測器『体組成計』も登場しはじめている。体重計の歴史に比べると登場間もない体組成計だが、昨今の健康ブームと相まって個人の健康状態を手軽にチェックできるアイテムとして注目を集めつつあるようだ。」の記載がある。
(5)乙第11号証及び乙第12号証は、それぞれ「2011年2月28日の『メルマガ』」及び「2011年3月1日の『メルマガ』」とされるもの(いずれも2012年(平成24年)5月2日に紙出力)であって、それらの1葉目の左上方には、黒色の横長長方形内に「DHC」の欧文字を白抜きで表してなる標章が表示されている。また、該「メルマガ」の内容としては、商標権者の取り扱いに係る各種の「健康食品」や「化粧品」に係る情報等のほか、タニタの商品に係る情報として、「注目の3機種を同時発売!」、「数量限定」、「スマートな毎日を応援!\タニタの『測る』ダイエット」の記載と共に、商品の画像が掲載されているが、該商品がいかなる機種であるかを特定し得る明示はない。
2 上記1において認定した事実を踏まえれば、以下のとおり判断することができる。
(1)本件商標の使用について
商標権者は、インターネット上において、「公式オンラインショップ」を開設しているところ、平成24年(2012年)2月23日の同ショップにおいて、自らの取り扱いに係る商品として、「タニタ 体組成計 インナースキャン」の「BC-750」及び「BC-716」並びに「タニタ 活動量計 カロリズムダイエット」の「AM-130」を紹介しており、これらの紹介に当たっては、その画面冒頭部の左上方に黒色の横長長方形内に「DHC」の欧文字を白抜きで表してなる標章が表示されており、該標章は、色彩を本件商標と同一にするものとすれば同一の商標であると認められるものであるから、本件商標と同一と認められる商標である。
そうすると、商標権者は、少なくとも本件審判の請求の登録前3年以内である平成24年(2012年)2月23日に、本件商標を「体組成計又は活動量計と称する商品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用をしたものと認められる。
(2)本件商標の使用に係る役務について
商標権者による本件商標の使用に係る役務は、上述のとおり、「体組成計又は活動量計と称する商品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と認められるところ、被請求人は、該役務の提供に係る「体組成計」又は「活動量計」と称する商品が、生体組織の電気抵抗値を計測するものであることから、「電気磁気測定器」の範ちゅうに属するものである旨主張する。
ところで、商標法上の商品としての「電気磁気測定器」については、同法施行規則第6条に係る「別表」において、第9類に属する商品の一として、「五 電気磁気測定器」と定められ、かつ、その範ちゅうに属するとする商品が例示されているところ、その例示としては、同一周波数で同じ波形の2つの電気的入力量の間の位相角を指示する「位相計」、電圧及び電流を指示する「電圧計」及び「電流計」、永久磁石やコイルに流れる電流などによる磁界の強さ、磁束、あるいは磁性材料の磁化特性などを測定する「磁気測定器」等が掲げられていることからすれば、上記「電気磁気測定器」とは、専ら電気の単位又は磁気の単位を測定して指示する機器と解するのが相当である。
これを踏まえて、上記「体組成計」又は「活動量計」と称する商品が「電気磁気測定器」の範ちゅうに属するものであるか否かについて検討するに、前者については、微弱な電流を体に流し、生体組織の電気抵抗値(インピーダンス)を測定することで、体脂肪率などの体組成を推定するとされるものであって、単に電気抵抗値(インピーダンス)を測定して指示するものではなく、その測定値に体組成の推定に必要なデータを合わせた結果として、「体脂肪率」(0.1%単位)、「筋肉量」(100g単位)、「推定骨量」(100g単位)、「内臓脂肪(レベル)」(0.5レベル単位)、「基礎代謝量」(1kcal(日単位))等の指示をするものであり、また、後者については、消費カロリーを測定する「呼気分析法(間接熱量測定)」のデータと、3Dセンサーから得られるデータに登録した個人の体組成情報を組み合わせて、タニタ独自の方法で1日の総消費カロリー(エネルギー)を推定するとされるものであって、「総消費エネルギー量」(1kcal単位)、「歩数」(1歩単位)、「1時間ごとの活動量」(1目盛単位)等が指示されるほか、予めダイエット目標を設定することにより、目標達成に必要な「摂取カロリー」及び「総消費カロリー」の目標値が表示されるとともに、「消費目標」(1kcal単位)、「摂取目標」(1kcal単位)、「目標の達成度」(0.1%単位)等の指示をするものと認められるから、これらをもって、該「体組成計」又は「活動量計」と称する商品が「電気磁気測定器」の範ちゅうに属するものということはできず、ほかに、被請求人の提出に係る乙各号証を総合してみても、これを覆すに足る事実は見いだせない。
してみれば、商標権者がインターネット上に開設する「公式オンラインショップ」において取り扱うタニタの「体組成計」及び「活動量計」は、いずれも「電気磁気測定器」の範ちゅうに属する商品とは認められず、よって、商標権者は、「電気磁気測定器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていると認めることができない。
3 まとめ
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明していない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中「結論掲記の指定役務」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(登録第5192762号商標)


(色彩については、原本参照のこと。)

審理終結日 2012-10-04 
結審通知日 2012-10-10 
審決日 2012-10-30 
出願番号 商願2007-66138(T2007-66138) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2008-12-26 
登録番号 商標登録第5192762号(T5192762) 
商標の称呼 デイエッチシイ、デイエイチシイ 
代理人 萼 経夫 
代理人 山田 清治 
代理人 伊藤 正和 
代理人 笠松 直紀 
代理人 三好 秀和 
代理人 岩崎 幸邦 

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