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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201120454 審決 商標
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不服20127229 審決 商標
不服201210812 審決 商標
不服200811461 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項18号他 団体商標 取り消して登録 X31
管理番号 1267181 
審判番号 不服2010-28413 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-16 
確定日 2012-12-17 
事件の表示 商願2008-95407拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「中山かぼちゃ」の文字を横書きしてなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年11月12日に地域団体商標として登録出願され、その後、指定商品については、原審における同21年9月15日付け手続補正書により、第31類「那須烏山市中山地区で生産されたかぼちゃ」と補正されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品『那須烏山市中山地区で生産されたかぼちゃ』に使用された結果、出願人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。したがって、本願商標は、商標法第7条の2第1項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶した。

第3 手続の経緯
本件は、前記第2の理由を不服とし、平成22年12月16日に請求された審判事件であるところ、当合議体は、請求人に対し、同23年12月22日付け審尋及び同24年6月29日の口頭審理において、本件についての論点整理を行うとともに、追加の資料(証拠)の提出などを求めた。
これに対し、請求人は、同24年2月29日付け回答書により、審尋に対する回答を行い、また、同年8月30日付けで上申書を提出した。

第4 当審の判断
1 本願商標の商標法第7条の2第1項該当性について
本願商標は、前記第2のとおり、いわゆる周知性の要件を具備しないことを理由に拒絶されたものである。
なお、他の要件については、具備するものと認められる。
そして、請求人(出願人)は、「本願商標は、商標法第7条の2第1項の要件を具備するものである。」旨主張し、別掲のとおり、証拠方法を提出した(なお、便宜上の観点から書証番号の読み替えを行っている。)。
そこで、本願商標が使用をされた結果、請求人又はその構成員(以下、これらを併せて「請求人等」ということがある。)の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているか否かについて検討する。
(1)「那須烏山市中山地区で生産されたかぼちゃ」について
請求人の主張、請求人提出の証拠及び当審における職権調査によれば、戦後、北海道の開拓者によって栃木県の旧烏山町の中山地区に伝わり、その地の生産農家の自家採種によって保存されてきたかぼちゃが、その地名に由来して「中山かぼちゃ」と呼ばれていること、当初は自家用として栽培されていたが、農業協同組合の集まり等で、形が珍しく(先が尖った紡錘形)、甘みが濃く、おいしいかぼちゃであることなどが話題となり、昭和58年頃から、烏山町農業協同組合(烏山町農業協同組合は、平成8年に南那須町農業協同組合と合併したことにより、請求人である「那須南農業協同組合」となったものである。)の婦人部が中心となり、地域興しの一貫として婦人部の部員全員で栽培を始め、その後、生産にあわせて需要が増加したことから、昭和60年に請求人の内部に「中山かぼちゃ部会」が設立され、以降、該部会が主体となり、現在に至るまで、その生産及び販売がなされていることが認められる。
また、「中山かぼちゃ」は、通常のかぼちゃに比べて着果が遅いという特性があったため、請求人は、県の農業試験場に品種改良を依頼し、13年がかりで着果性に優れた新品種を誕生させ、そして、該品種は、上記合併後の平成16年には、請求人を権利者として種苗法による品種登録がされたこと、また、請求人は、その種から育てた苗を構成員のみに配布し、雑交配を防ぐととともに、受粉後55日以上の完熟収穫を徹底させるなどの管理を行い、「中山かぼちゃ」の品質の保持と普及に努めていること、さらに、平成14年には栃木県の県産農産物全体のPR等の業務を行っている一般社団法人とちぎ農産物マーケティング協会により、とちぎ地域ブランド農産物として「中山かぼちゃ」が認証されたことが認められる(願書B第4号証-2、願書B第6号証等等)。
(2)請求人等による使用について
ア 使用している商標及び商品について
請求人等は、請求人の愛称と認められる「JAなす南」の文字及び「中山かぼちゃ部会」の文字と共に「中山かぼちゃ」の文字を表示したシールを指定商品について直接貼付し、販売を行っているほか、広告・宣伝用のパンフレットに「JAなす南中山かぼちゃ部会」及び「中山かぼちゃ」の文字を、また、商品を梱包するためのダンボール箱に「中山かぼちゃ」の文字をそれぞれ記載していることが認められる(願書B第17号証、同第18号証、審判第4号証及び同第5号証)。そして、これら「中山かぼちゃ」の文字は、本願商標と同一のものと認められる。
イ 使用開始時期及び使用期間
請求人は、遅くとも平成3年頃から、「中山かぼちゃ」の文字を使用し、指定商品について販売を行っていることが認められ、また、職権による調査によれば、それらの状況は、現在に至るまで継続しているものと認められる(意見書第5号証等)。
ウ 販売地域
請求人は、栃木県那須烏山市で毎年開催されている「山あげ祭」及び栃木県宇都宮市で開催される「試食会」のほか、宅配により指定商品について販売を行っており、その宅配の販売先一覧によれば、北海道から沖縄まで約30都道府県の需要者に販売されていることが認められる(願書B第15号証、同第16号証、意見書第5号証、物件第2号証、同第3号証、審判請求書における「表1」ないし「表5」、審判第8号証及びDVD)。
エ 広告宣伝の方法、内容及び地域的範囲など
請求人は、前記アに記載のパンフレットを、「山あげ祭」及び「試食会」等の会場において配布し、広告宣伝を行っていること、また、これを商品の出荷時及び宅配時に段ボール箱に同梱するなどしていること、さらに、「中山かぼちゃ」と「JAなす南」の文字を記載したのぼりを「山あげ祭」及び「試食会」において使用し、広告宣伝を行っていることが認められる(願書B第14号証、審判第4号証、同第5号証及び上申書写真)。
なお、職権による調査によれば、「山あげ祭」は、国指定重要無形民俗文化財に指定されている450年もの歴史のある日本最大級の野外劇であり、毎年県内外から多くの来場者が訪れることがうかがえることから、前記のパンフレットは、栃木県内のみならず、県外からの来場者にも相当数配布されていることが推測できる。
(3)ウェブサイト、新聞記事等による紹介記事
ア 栃木県等によるPR
栃木県の「とちぎアグリネット」なるウェブサイトにおいて、那須烏山市の特産品として「中山かぼちゃ」が紹介され、「販売に関する問合せ先」として「JAなす南 園芸課」と記載されていること、また、公益社団法人栃木県観光物産協会の「とちぎ観光・物産ガイド」なるウェブサイトにおいて、栃木県の代表的物産品として「中山かぼちゃ」が紹介され、「照会先」として「JAなす南烏山支所」と記載されていること、さらに、前記(1)のとおり、「中山かぼちゃ」がとちぎ地域ブランド農産物として認証されたことが、一般社団法人とちぎ農産物マーケティング協会の「からだにとちぎ」なるウェブサイトに掲載されていることが認められる(審判第7号証及び同第8号証)。
イ 新聞記事
「中山かぼちゃ」の文字、請求人を表す文字及びかぼちゃの写真が表示された記事が、平成20年9月28日付け朝日新聞(栃木版)、平成20年8月19日付け日本農業新聞、平成19年8月6日付け日本農業新聞、平成14年4月5日付け下野新聞及び平成7年7月28日付け栃木よみうりに掲載されたことが認められる(願書A第1号証ないし同第3号証並びに願書B第1号証及び同第2号証)。
ウ 雑誌等刊行物
「中山かぼちゃ」の文字、請求人を表す文字及びかぼちゃの写真が表示された記事が、栃木県農業試験場ニュース(平成12年12月発行)、地域情報月刊誌「フーガ」(平成15年9月25日発行)、栃木県の月間総合農業雑誌「くらしと農業」(平成17年6月号)、栃木県の月間総合農業雑誌「くらしと農業」(発行年月日不明)及び月刊誌「家の光」(平成8年6月号 社団法人家の光協会)に掲載されたことが認められる(願書B第3号証ないし同第7号証)。
エ テレビ放送
「中山かぼちゃ」の文字、請求人を表す文字及びかぼちゃの写真が表示された番組が、平成19年11月12日に放送されたテレビ東京「レディス4」なる番組及び栃木テレビ「栃木のきらめき」なる番組(放送日は不明。)において放送されていることが認められる(願書B第9号証、審判第9号証ないし第11号証及びDVD)。
オ ウェブサイト
「中山かぼちゃ」の文字、請求人を表す文字及びかぼちゃの写真が表示された記事が、「全国旅そうだん」なるウェブサイト及び「農業協同組合新聞JAcom」なるウェブサイトにおいて記載されていること、また、平成20年8月9日に放送されたテレビ朝日「オトコの料理道」なる番組の放送内容を紹介したウェブサイト及び平成18年8月12日に放送された日本テレビ「あさ天サタデー」なる番組の放送内容を紹介したウェブサイトには、「中山かぼちゃ」の文字が記載されていることが認められる(願書B第8号証及び同第10号証ないし同第12号証)。
(4)他人による使用の有無について
請求人は、前記(1)のとおり、種から育てた苗を構成員のみに配布することにより、他人による使用商品の育成、販売を防止しているところ、職権により調査しても、請求人等以外の者が「中山かぼちゃ」の文字を請求人等が生産するかぼちゃ以外のかぼちゃについて使用している事実を発見することができなかった。
(5)小括
以上のとおり、請求人は、遅くとも平成3年頃から、指定商品について「中山かぼちゃ」の文字を使用し販売を行なっており、また、それらの状況は現在においても継続していることが認められる。そして、その販売地域は、栃木県及びその隣接県のみならず北海道、沖縄などを含むほぼ全国に及ぶこと、さらに、請求人は、「山あげ祭」や自身のウェブサイト等において「中山かぼちゃ」のPRを行っていることが認められる。
また、「中山かぼちゃ」が栃木県のウェブサイト、各テレビ番組等において請求人等の取り扱う那須烏山市の特産品として紹介されていること、とちぎ地域ブランド農産物として認証されていることなど、地方公共団体を含む第三者が「中山かぼちゃ」を請求人等の取り扱いに係る商品及び商標として紹介していることが認められる。
さらに、請求人等以外の者が「中山かぼちゃ」の文字を請求人等が生産するかぼちゃ以外のかぼちゃについて使用している事実も確認できない。
したがって、これらの事情を総合考慮すれば、「中山かぼちゃ」の文字からなる本願商標は、使用商品、すなわち、その指定商品について使用をされた結果、請求人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものというべきものである。
2 むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第7条の2第1項のいわゆる周知性の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく取り消すべきである。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1.地域団体商標登録願における証拠方法
「商標法第7条の2第2項に規定する地域の名称を含むものであることを証明する書類」No.1ないしNo.4(「願書A第○○号証」という。以下、すべて枝番号含む。)及び「商標法第7条の2第1項にかかる商標として需要者の間に広く認識されていることを証明する書類」No.1ないしNo.18(「願書B第○○号証」という。)
2.原審における平成21年9月15日付け意見書における証拠方法
No.1ないしNo.5(「意見書第○○号証」という。なお、前記意見書第1号証ないし第3号証は、それぞれ、その体裁から、願書A第1号証、願書B第4号証及び同第6号証と同一の書証であると理解されるところ、便宜上の観点から、それぞれ願書A第1号証、願書B第4号証及び同第6号証として挙示するものとする。)
3.原審における平成22年4月15日付け物件提出書における証拠方法
「中山かぼちゃを取り上げているブログのアドレス一覧表」(「物件第1号証」という。)、「栃木県庁で開催された直売イベントの出店表」(「物件第2号証」という。)及び「平成21年宅配申込者リスト」(「物件第3号証」という。)
4.審判請求書における証拠方法
参考資料1ないし11(「審判第○○号証」という。)
5.当審における平成24年2月29日付け回答書における証拠方法
平成19年11月12日に放送されたテレビ東京「レディス4」の放送内容が記録されたDVD(「DVD」という。)
6.当審における平成24年8月30日付け上申書における証拠方法
「写真データ(中山かぼちゃ市場試食PR、山あげ会館販売)」(「上申書写真」という。)


審理終結日 2012-10-10 
結審通知日 2012-10-19 
審決日 2012-11-27 
出願番号 商願2008-95407(T2008-95407) 
審決分類 T 1 8・ 942- WY (X31)
最終処分 成立  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 豊瀬 京太郎
酒井 福造
商標の称呼 ナカヤマカボチャ 

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