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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服2012650094 審決 商標
不服20137095 審決 商標
不服201223162 審決 商標
不服201223682 審決 商標
不服201127362 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X28
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 X28
管理番号 1264387 
審判番号 不服2012-9216 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-18 
確定日 2012-10-16 
事件の表示 商願2010-69257拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第28類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年9月2日に登録出願され、指定商品については、当審における同24年7月3日受付の手続補正書により、第28類「ゴルフクラブ,ゴルフクラブ用ヘッド,ゴルフクラブ用シャフト」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、赤茶色を施したローマ字の『R』と数字の『11』とを組み合わせ『R11』と表してなるところ、一般的にローマ字の1字又は2字と数字との組み合わせは、商品の品番、形式、規格等を表すための符号、記号として取引上普通に採択使用されているから、本願商標も商品の符号、記号の一類型にすぎず、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」と認定、判断して本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、ややデザイン化され、右に傾けたローマ字の「R」(赤色に着色されてなる)と数字「11」から構成された「R11」を横書きしたものである。
ところで、近時、レタリング技法の進展により、商品の広告、宣伝等において、ローマ字や数字を装飾的に図案化して表現する手法は決して珍しいことではなく、広く採用されているところであり、一方、このような広告、宣伝等に接する需要者も、それらについて文字や数字を表したものと認識、把握している実情にあるといい得るものであるから、本願商標の構成中、ややデザイン化された「R」の文字は、通常の「R」よりも、上部において丸みを帯びていたり、下部において角張っているものの、「R」の形象を十分に表しているものであり、未だ普通に用いられる方法で表示する域を脱しない程度に表してなるものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、ローマ字「R」と数字「11」とを結合して「R11」を表してなるものと容易に認識し、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本願商標は、ローマ字「R」と数字「11」とを組み合わせたものであって、その表現方法も前記のとおり、「R11」と看取されることを何ら妨げるものでもなく、文字数も3文字と少ないものであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し、証拠方法として甲第16号証ないし甲第281号証(枝番号を含む。)を提出した。
したがって、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を充足するか否かについて以下で検討するところ、前記の証拠及び当審における職権による調査から次の事実が認められる。
(1)新聞記事・雑誌による報道・広告宣伝
本願商標を付したゴルフクラブは、国内で販売が開始される前から、新聞・雑誌の報道で、需要者の注目を集めていた(甲49?52、54、56、60、63?68、75、78、79、86?89、91?103、105?109、111及び112)。特に、有名女子プロゴルファーの諸見里しのぶを起用した広告(甲69?74及び76)、有名男子プロゴルファーである青木功を起用した広告(甲80?85及び129)が行われた。
また、請求人は、本願商標を付したゴルフクラブの販売促進のため、商品の販売開始日前にモニターを募集した(甲51、55、59及び61)。
そして、本願商標を付したゴルフクラブを販売開始日の午前零時から特別に深夜営業にて販売したゴルフ用品店があった(甲110、113、116?119、125、126及び143)。
その発売後も、本願商標を付したゴルフクラブについての新聞・雑誌による報道・広告がされたところ、本願商標を付したゴルフクラブについては、「”白いドライバー世界で市民権獲得”」(甲134)、「面白いほど勝てるんです ホワイト革命」(甲195)、「今年のゴルフ市場でムーブメントを起こしているR11シリーズ」(甲201)、「2011年モデルのドライバーの中では最も人気が高い。・・・黒色が定番のヘッドを白にした。・・・他人とは違うクラブを持ちたいゴルファーの心をつかんだ。」(平成23年11月11日付け日経MJ(流通新聞)3ページ)、「市場の活性化をもたらした」(平成24年1月18日付け日経MJ(流通新聞)6ページ)などのように、その性能の高さとクラブヘッド(クラウン)が白色であるという斬新さとがあいまって、需要者に強い印象を与え、人気を博したものである。その他にも新聞・雑誌で本願商標を付したゴルフクラブが繰り返し取り上げられ、また、広告がなされている(甲114?116、120?124、127?133、135?142、144?163、165?173、175?194、196?200、202、204?240、242?248、251、253、255、257、263?265、267?273並びに平成23年5月28日付け日経プラスワン11頁、同年7月16日付け日経プラスワン11頁、同年8月13日付けスポーツニッポン6頁、同年9月10日付け日経プラスワン11頁、同年10月17日付け日経産業新聞18頁、同年10月27日付けスポーツニッポン11頁、同年10月29日付け日経プラスワン9頁、同年12月24日付け日経プラスワン11頁、同24年1月19日付けスポーツニッポン9頁、同年3月8日付けスポーツニッポン9頁、同年5月9日付け日経産業新聞16頁、同年5月16日付けスポーツニッポン11頁、同年6月14日付けスポーツ報知15頁、同年7月2日付け日経産業新聞18頁及び同年8月8日付け同紙13頁)。なお、甲第214号証及び甲第215号証、甲第220号証、甲第221号証ないし甲第225号証は、一部重複する証拠である。
(2)鉄道ターミナル駅構内の広告
本願商標を付したゴルフクラブの販売に先立って、ゆりかもめ新橋駅構内
、ホームドアなどに本願商標の広告が掲出された(甲48、甲48に係る審判請求書)。
(3)テレビ放映
本願商標を付したゴルフクラブは、ゴルフ専門番組の「GOLF NET WORK『Fusion』」で平成23年5月11日に放映され(甲164)たのみならず、一般向けのフジテレビ「めざましどようびメガ」の番組で、平成23年1月29日に放映され(甲62)、フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」で平成23年9月1日に放映された(甲203)。
(4)本願商標を付した商品の販売の数量など
本願商標を付したドライバーは、27週連続で売上げ本数で第1位となり、その後も常時上位を占め(甲210、甲278及び279)、本願商標を付したアイアンも発売された9月度の販売数第1位(前掲平成23年10月27日付けスポーツニッポン11頁)となり、その後も常時上位を占めている(甲280及び281)。特に、ドライバーは、平成23年度の売上げ実績第1位であり、プロツアーでは世界で32勝、累計使用本数1位、国内男子ツアー全試合モデル別使用率で第1位、ドライバーの販売数量実績で1位に輝く大ヒットとなった(前掲平成24年1月19日付けスポーツニッポン9頁及び同紙同年3月8日付け9頁)。さらに、平成23年度のドライバー販売シェアで請求人を第1位に押し上げる原動力となった(前掲平成24年5月9日付け日経産業新聞16頁)。
(5)プロゴルファーのツアー(大会)での使用
本願商標を付したゴルフクラブは、国内男子プロゴルフツアー(大会)の優勝者が使用した用具として新聞で報道されている(平成23年5月16日付けスポーツ報知9頁、同日付けスポーツニッポン7頁、同年6月6日付けスポーツ報知9頁、同年6月27日付けスポーツ報知22頁、同年8月22日スポーツ報知11頁、同24年4月30日付けスポーツ報知8頁、同年7月9日付けスポーツ報知9頁、同年8月20日付けスポーツ報知8頁及び同日付けスポーツニッポン12頁並びに同年8月27日付けスポーツ報知6頁)。また、本願商標を付したゴルフクラブを欧米の強豪プロが使って話題になった(前掲平成24年6月14日付けスポーツ報知15頁)。さらに、国内女子プロゴルフツアー(大会)の優勝者が使用した用具としての報道もある(平成23年12月10日付けスポーツ報知7頁)。
加えて、前記(4)のとおり、国内男子ツアー全試合モデル別使用率において第1位、ドライバーの販売数量実績で1位に輝く大ヒットとなった(前掲平成24年1月19日付けスポーツニッポン9頁及び同紙同年3月8日付け9頁)。
(6)本願商標を付したゴルフクラブ専用のフィッティングルーム
本願商標を付したゴルフクラブは、使用者の好みに応じて、調整する機能を有するものであり、その調整をするフィッティングルームを設けたゴルフ用品店がある(甲227、前掲平成24年5月16日付けスポーツニッポン11頁及び平成23年10月27日付けスポーツニッポン11頁(審決注:前掲同紙同日付記事とは別記事))。
(7)本願商標と使用商標の同一性について
実際に本願の指定商品について使用されている「R11」商標は、本願商標との対比において、外観上同視しうるものである。
(8)本願商標の指定商品と使用商品の同一性について
本願の指定商品中「ゴルフクラブ用シャフト」もそれ自体が商標法上の商品として市場に流通しているものである。しかして、本願商標は、ゴルフクラブ(ドライバー、アイアン、フェアウェーウッド)の商標として使用されているところ、クラブヘッドにシャフトを装着した状態でゴルフクラブ「R11ドライバー」などとして販売される実情からすれば、本願商標は、指定商品中「ゴルフクラブ用シャフト」について使用された場合も、請求人をその出所として認識させるものというのが相当である。
(9)第三者による商標の使用について
本件審決時において、本願商標を構成する「R11」の文字を、商品「ゴルフクラブ,ゴルフクラブ用ヘッド,ゴルフクラブ用シャフト」について
商標として使用する者は、請求人以外見いだせない。
(10)小括
以上からすれば、本願商標を付したゴルフクラブは、その発売前から、有名プロゴルファーを起用した大規模な広告宣伝が行われ、多数の商品モニターが募集され、販売開始日の午前零時に深夜営業で販売するゴルフ用品店が出現するほど需要者の注目が高いものであった。また、本願商標を付したゴルフクラブは、そのクラブヘッドが今までにほとんど例のない白色であるという斬新さが話題を呼んだ上に、その性能の高さは、国内外におけるプロゴルフツアー(大会)において優勝者の使用する用具として注目を浴びたほか、国内男子プロゴルフツアーのモデル別使用率第1位となり、ドライバーの販売実績トップを27週連続で達成し、その後も高い市場シェアを占め、平成23年度のドライバーの販売実績第1位となった。また、アイアンも人気商品となっている。さらに、本願商標を付したゴルフクラブは、ゴルフ専門のテレビや、一般向けテレビ番組で取り上げられたほか、本願商標を付したゴルフクラブ専用のフィッティングルームを設けるゴルフ用品店もあった。加えて、本願商標と使用に係る商標及び本願の指定商品と使用に係る商品は同一ということができる。その上、本願商標と同一の構成に係る商標を、本願の指定商品の分野で使用する者は、請求人以外に見当たらない。
そうすると、本願商標は、指定商品に使用された結果、請求人を出所とする識別標識として、需要者が認識するに至ったものというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものというべきである。
3 結語
前記のとおり、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するとして本願の登録を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標:色彩については原本参照)


審決日 2012-09-28 
出願番号 商願2010-69257(T2010-69257) 
審決分類 T 1 8・ 15- WY (X28)
T 1 8・ 17- WY (X28)
最終処分 成立  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 内田 直樹
前山 るり子
商標の称呼 アアルジューイチ、アアルイチイチ 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 

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