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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z14
管理番号 1262926 
審判番号 取消2009-300668 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-06-05 
確定日 2012-08-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4614344号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4614344号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4614344号商標(以下「本件商標」という。)は、「VENUS」の文字を標準文字で表してなり、平成13年8月20日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製の花瓶・水盤・宝石箱,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,記念カップ,記念たて,キーホルダー」を指定商品として、同14年10月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録の日は、平成21年6月24日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
1 請求の理由
請求人が調査したところ、本件商標は、その指定商品に継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用していないものである。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)請求人は、今回の不使用取消審判の請求に際して、株式会社内原(以下「内原」という。)、株式会社国太(以下「国太」という。)、株式会社メックインターナショナル、株式会社コリオリ及び商標権者(以下、これらをまとめていうときは、「内原グループ」という。)の全てについて、調査を行った。
それによると、本件商標は、過去に、国太の直営店舗と称するレギーナ内原(大阪府泉佐野市本町1-20)において、ダイヤモンドを使用した独自企画のカテゴリー商品(ネックレス、指輪)の名称として使用されていたが、当該商品の販売は2002年3月に終了しており、以後、本件商標を使用した商品の販売は行われていない。
請求人は、念のため、内原グループ各社及びそれらの全ての店舗においても追加調査を行ったが、本件商標を付した商品は、他のグループ会社へ納入されることもなく現在に至っており、展示会などへのいわゆる数合わせ品目として当該商品を陳列した事実もない。
また、内原グループ内で別品目の商品に本件商標を使用した実績はなく、第三者へのライセンスもない。
(2)被請求人は、本件商標が、本件審判の請求の登録の3年前以内に、内原グループの直営店舗で使用されている旨主張する。
そこで、被請求人が本件商標の使用証拠として提出した乙第2号証ないし乙第5号証を精査したところ、多数の矛盾点・疑問点が存在することが判明した。すなわち、被請求人が本件商標の使用証拠として提出したものには信用力がなく、被請求人は、商標の使用についての適切な立証義務を果たしていない。
ア 被請求人は、「被請求人と、本件商標を使用している国太、内原、ガレリアUCHIHARAは、関連会社である。」旨主張しているが、乙第2号証は、内原グループが一方的に作成したホームページの抜粋であり、「グループ会社」という項目の最後に単に「(株)宝」と会社名のみ列挙したものであり、その他なんらの説明もなく、「関連会社」という法的関係を立証できるものではあり得ない。証券取引法上、対象となる会社の議決権(株式)の過半数を保有していれば子会社、20%以上で関連会社となるが、株式会社宝が、国太の少なくとも20%以上の議決権を保有していることは、なんら立証されていない。したがって、「両者間には、本件商標に関する黙示の使用許諾が当然に存在する。」との被請求人の主張は立証されていない。
イ 国太は、被請求人の主張のとおり、2006年8月29日及び同30日の両日、「2006 Autumn&Winter New Collecion KUNITA 秋冬新作発表会」を開催している。その事実は、株式会社矢野経済研究所が発行する、宝飾・アクセサリー業界専門情報誌「JAPAN PRECIOUSジャパン・プレシャス」のWeb版に、宝飾業界ニュースとして紹介されている(http://www.japanprecious.com/news/details.php?news id=192)(甲1)。それによると、冒頭の記事タイトルに、「『SA BIRTH(サバース)』『CAZZANIGA(カッツァニーガ)』『ARC-EN-CIEL(アルカンシェル)』を初め、多数のダイヤモンド新作ジュエリーが出揃った国太の秋冬新作発表会」とあり、記事本文でも、上記3つの新ブランドのダイヤモンドジュエリーが写真付きで大々的に紹介されている。これより、上記3ブランドの商品が、上記2006年秋冬新作発表会の目玉商品であったことを認識することができる。
しかしながら、上記発表会でのリーフレットの写しとする書類(乙3、以下「乙3リーフレット」という。)には、上記新作発表会の目玉商品であったはずの新作ジュエリー「SA BIRTH(サバース)」「CAZZANIGA(カッツァニーガ)」「ARC-EN-CIEL(アルカンシェル)」が、いずれも掲載されていない。新作発表会で大々的に発表されたはずの上記3つの新作ジュエリーの名称が、新作発表会で配布されたリーフレットに掲載されていないことがあるとは、到底考えられない。このことより、「VENUS」を使用した商品が掲載されている乙3リーフレットは、2006年の新作発表会用のものではないということが認識できる。
ウ 請求人の調査によると、国太が本件商標「VENUS」ブランドの商品を販売していたのは、2002年より以前であり、同年3月には、販売を終了している。2002年3月に販売を終了したブランドを、2006年の「新作」の発表会で発表することは到底考えられない。
甲第2号証は、現在被請求人が保有する商標の一覧である。注目すべきは、本件商標は、2001年8月に登録出願されており、請求人が調査した本件商標の使用時期(つまり2001年から2002年頃)と一致する点である。
一方、2006年の秋冬新作発表会で発表されたブランド「SA BIRTH(サバース)」については、関連の登録出願4件が2004年12月9日付け及び2005年3月1日付けでなされており、2006年の新作発表用に登録出願されたことが推測できる(甲3)。
被請求人は、本件商標についても、「SA BIRTH(サバース)」と同様、2006年の秋冬の新作の発表会で発表されたと主張しているが、両者の登録出願時期に大きな隔たりがあり、到底信用できるものではない。
さらに、インターネットにより、現在の内原グループのブランド紹介サイト(http://www.uchihara.com/brand/index.html)を調査したところ、2006年の秋冬新作発表会で発表された上記3つの新作ブランド「SA BIRTH(サバース)」「CAZZANIGA(カッツァニーガ)」「ARC-EN-CIEL(アルカンシェル)の全てが、最上位に掲載されている(甲4)。
一方、乙第3号証に掲載された、「VENUS」をはじめ、「Astrale」「Cellule」「Famille」等のいずれのブランドも現在のブランド紹介サイト中に発見することができなかった。
2006年からのわずか3年の間に、乙第3号証に掲載された新作のブランド商品が全て販売を終了することは、極めて不自然である。
これらの事実より、乙3リーフレット本体は、2006年の新作発表会のものではなく、もっと古い時代の商品リーフレットであることが裏づけされる。
エ 乙第3号証の表紙は、一般のワープロソフトで簡便に必要な文字のみを印字したものである。しかし、毎年数百億円規模の売上を上げる内原グループの、新聞にも取り上げられる新作発表会で、1個100万円以上するファッショナブルな高級ジュエリー商品を紹介するリーフレットとしては、乙第3号証は、あまりにも貧弱で簡素で、ファッショナブル性や高級感を感じさせない表紙である。これが果たして2006年の秋冬新作発表会のリーフレットの表紙であったか否かについては、重大なる疑念を抱かざるを得ない。
オ 前記のとおり、乙第3号証は、証拠としての信用力がないものであるから、乙第4号証及び乙第5号証についての証拠の信用性も疑わしい。
乙第4号証は、売上伝票のコピーのようであるが、手書きで記入されたものであり、被請求人がいかようにも作成することが可能である。また、そもそも、この売上伝票単独では、本件商標を指定商品のいずれかに使用していることの証拠にはなり得ない。売上伝票中の品名欄に手書きで、アルファベットと数字と片仮名が二段書きで羅列されているだけで、これをもって自他商品識別力を発揮する商標的な使用をしているとはみなされない。また、本件商標が使用されている商品の写真や図面があるわけではなく、品名欄の型番のようなアルファベットと数字の羅列をもってして、被請求人が主張するダイヤモンド製のペンダントヘの使用が立証されたことにはならない。
さらに、仮に、被請求人が主張するように、ダイヤペンダントの売上伝票としたときには、その価格において矛盾する。被請求人が2006年秋冬新作発表会のリーフレットとして提出した乙第3号証の2枚目に「VENUS」の「K18PG ダイヤペンダント」が、税抜きで1,060,000円であると表示している。しかし、乙第4号証には、税抜き価格が848,000円であると表示されている。この伝票の日付は、2007年2月1日であり、まさしく「2006年秋冬」の期間内の売買となる。乙3リーフレットで、その年の秋と冬の値段が106万円であると表示しながら、その冬に84万8000円で販売するというような激しい価格変動が起こるとは考えられない。ましてや、購入者は一般個人のようであり、大量購入したわけでもなく、そのような著しい値引きをすることは、商習慣上考えられない。果たして、本売上伝票が、本当に「K18PG ダイヤペンダント」のものであったのかどうか、信用できない。
カ 乙第5号証は、銀行口座の写しのようであるが、これ単独で本件商標の使用の事実を証明するものではない。
(3)むすび
以上述べてきたことより、被請求人が提出した第1答弁書及び添付の証拠書類は、いずれも到底信用できるものではなく、本件商標の使用事実を立証できていない。そもそも、不使用取消審判は、業務上の信用が化体しない不使用商標を積極的に排除することで、不使用商標が第三者の商標選択の余地を狭めることを防止することを目的とする極めて重要な制度である。
商標権者は自己の商標を使用しているか否かについて最もよく知っているはずであり、使用事実の立証責任は商標権者側にある(商標法第50条2項)。しかるに、立証責任が転換されたとはいえ、本件のように、商標権者が明らかに信用性のない証拠を提出することにより取り消しを免れようとした場合、請求人の被る負担は依然として大きい。商標権者は、自己の商標を真に使用しているのであるなら、第三者に合理的な疑義をはさまれることのない、より明白な使用証拠を提出してその使用事実を証明すべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
3 口頭陳述要領書
(1)乙第3号証及びこれに関連する事項について
ア 乙第3号証の内容は、それを報じた甲第1号証の内容と異なるばかりでなく、パソコンで作成され、また配布先も明確でないこと等からその信憑性に疑問がある。ついては、乙第3号証の制作部数、頒布状況、及び2006年8月29日ないし30日の「秋冬新作発表会」で頒布されたのであれば、当日の入場者数についても説明されたい。
イ 被請求人は、「甲第1号証に掲載されたブランド『SA BIRTH』『ARC-EN-CIEL』などは基幹ブランドである。基幹ブランドは、一般消費者を対象として、ガレリアUHIHARAなどで販売されている。一方、新作発表会のメインブランドの商品は、乙第3号証に掲載されている本件商標に係る商品などである。」旨主張している。そうであれば、基幹ブランドではない本件商標が、ガレリアUHIHARAにおいて、一般消費者と思われる「●田●子」((乙4、なお、●は当該部分が黒く塗り潰されていることを示し、以下、「●田●子」を「A氏」という。)に販売された経緯について説明されたい。
ウ 被請求人は、本件商標など展示会用の新作は、サンプル的な意味があり、HPなどに露出することもなく、また雑誌などの広告も行わない旨述べる。そのような中で、和歌山市に在住するA氏が、なぜ新作発表会の約6ヵ月後に、東京六本木のガレリアUHIHARAで、本件商標ブランドの商品を購入できたのか説明されたい。
(2)乙4号証について
乙第4号証は、A氏に対する売上伝票と思われる。
同号証に記載された「お渡し日」は2月6日となっているところ、A氏に対して、どのような方法により、商品を渡したのか説明されたい。また、乙第5号証によれば、入金日も同日であるが、入金日とお渡し日との関係についても説明されたい。さらに、乙第4号証の「品名欄」に小さく「VENUS」と記載されているが、そもそも、このような高額商品に商標を記載することが一般的であるのか説明されたい。
(3)乙5号証について
乙第4号証の売上商品が、確かに「VENUS」ブランドのダイヤのペンダントであって、かつ、2月6日付けの当該商品の振込みによる入金が事実であるとするならば、当該商品は極めて高額な商品であるから、A氏及び被請求人間の取引において、以下の取引書類が存在するのが自然である。よって、それらの取引書類を提出のうえ、その内容を説明されたい。
ア 被請求人:納品書(控え)
イ A氏:納品書、領収書、宝石の鑑定書及び保証書
(4)乙第10号証の1ないし9について
乙第10号証の1ないし9は、被請求人が予め作成した定型の証明書に同業者が会社のゴム印と代表者印を押印したものにすぎず、このようなものは証拠能力に欠けるものである(甲6ないし甲11)。しかも、その内容は、「リーフレットの体裁は、概ね添付されているようなもので、・・」とか、「4年以上も前のことですので、完璧に明確というわけではありませんが、・・そのような体裁のものであったような記憶はあります。」というような記載からすれば、上記証拠は全く証拠能力を有しないものといわざるを得ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)を提出した。
1 第1答弁書
(1)本件商標は、被請求人の関連会社である国太及び被請求人が属する内原グループの直営店舗であるガレリアUCHIHARA(乙2)によって、本件審判の請求の登録の3年前以内に、指輪やペンダントなどの身飾品について実際に使用されているものであるから、請求人の主張は失当である。
本件商標の使用を証明するために、以下の証拠を提出する。
ア 乙第3号証は、国太が、2006年8月29日及び同30日に行った新作発表会でのリーフレットの写しである。国太は、企業向けに宝飾品などの身飾品の企画・卸などを行っている会社であり、企業向けの新作発表会を定期的に行っている。同リーフレットの2枚目に本件商標を使用した商品が掲載されている。
イ 乙第4号証は、2007年2月1日付けで作成された売上伝票の写しであり、品名欄には「VENUS」「K18PGダイアPEN」の文字があることから、本件商標の使用されたピンクゴールドのダイヤペンダントが、本件審判の請求の登録前3年以内である2007年2月1日に、ガレリアUCHIHARAによって、販売されたことが明らかである。
ウ 乙第5号証は、乙第4号証に示す金額について入金があったことを示す内原の当座勘定照合表の写しであり、これから、本件商標が付された商品が、実際に取引されたことが明らかである。なお、ガレリア内原の運営会社が内原であることから、本件商標が使用された商品の販売対価は内原の口座に入金されたものである。
また、本件商標の権利者と、本件商標を使用している国太、内原、ガレリアUCHIHARAは、上述のとおり関連会社であることから、両者間には、本件商標に関する黙示の使用許諾が当然に存在するものである。
(2)むすび
以上の乙各号証により、本件商標が、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に「身飾品」について被請求人の関連会社であり、黙示の通常使用権者である国太、内原により使用されていることが証明されるものである。
2 平成22年1月12日付け答弁書
(1)請求人は、「『SA BIRTH(サバース)』『CAZZANIGA(カッツァニーガ)』『ARC-EN-CIEL(アルカンシェル)』の3ブランドの商品が、2006年秋冬新作発表会の目玉商品であったことを認識することができる」旨主張する。
しかしながら、上記3ブランドなどの基幹ブランドの商品は、主として、一流百貨店や被請求人グループの直営店舗であるガレリアUCHIHARAなどプレステージ性のある販路に限定し、一般消費者を対象に販売しているのに対し、卸し会社である国太の展示会用の新作商品は、卸し業者、百貨店、独立小売点、通販業者など、幅広い法人顧客の仕入担当者を対象に、展示会で新しい商品提案を行っているものであり、基幹ブランドとは、その販売チャンネル、対象顧客、マーケッティングなどが根本的に異なるため、それぞれ全く別個にリーフレットを作成している。したがって、上記3ブランドの商品が掲載されていないことをもって、乙3リーフレットが2006年の秋冬新作発表会用のものではないと主張するのは的外れであり、請求人の主張は、失当である。
(2)請求人は、「2002年に販売が終了したブランドを、2006年の新作の発表会で発表することは考えられない。」旨主張する。
しかしながら、国太の展示会用の新作商品に関しては、基幹ブランド等のようにネーミングから全てを行うことはなく、被請求人等が既に保有している商標などから、そのときの新作商品に合っていると思われる商標を選びブランドとすることを一般に行っている。国太は、シーズンごとに多数の新商品を発表するが、一定期間使用したブランドをその後、別のコンセプトとして使用することも行っている。よって、請求人の主張は、失当である。
(3)請求人は、「被請求人と本件商標を使用している国太、内原、ガレリアUCHIHARAが関連会社であるとの事実は、立証されていない。」旨主張する。
しかしながら、本件商標の商標権者と、本件商標を使用している国太、内原、ガレリアUCHIHARAは、それぞれの代表者を共通にすることから、関連会社であることは明白である(乙第7号証ないし乙第9号証)。よって、請求人の主張は、失当である。
(4)請求人は、乙第4号証及び乙第5号証について、証拠としての信用力がない旨主張する。
しかしながら、売上伝票は、通常手書きで記入するものであり、乙第4号証と乙第3号証を併せ判断すれば、乙第4号証が「VENUS(K18PGダイヤモンドペンダント)」についての売上伝票であることは明瞭である。また、乙第5号証は、乙第4号証と組み合わせることによって、2007年2月1日に商品「VENUS」の売上げがあり、その代価が同年2月6日に入金になったことが明確に立証できる。よって、請求人の主張は、失当である。
(5)請求人は、乙第4号証について、「106万円であると表示しながら、その冬に84万8000円で販売するというような激しい価格変動が起こるとは考えられない。ましてや、購入者は一般個人のようであり、大量購入したわけでもなく、そのような著しい値引きをすることは、商習慣上考えられない。」旨主張する。
しかしながら、ジュエリー業界では、商品の値引きは一般に行われる商習慣であり、本商品については、2006年8月末に発表した商品の約半年後の購入であることから、2割引で提供したものである。2割引という割引額が、商習慣に反するような著しい値引きとは考えられない。また、何をもって、商習慣上考えられないと請求人が主張するのか、全く不明である。よって、請求人の主張は、失当である。
3 平成21年12月8日付け審尋及び当該審尋に対する回答
(1)平成21年12月8日付け審尋
ア 乙第3号証の原本の提出。
イ 乙第3号証と甲第1号証は、いずれも、国太による「KUNITA2006 Autumun&Winter New Collection 秋冬新作発表会」を内容としているにもかかわらず、甲第1号証には、ダイア「Venus ヴィーナス」に関する記載がない理由。
ウ 乙第4号証の品名欄に記載されている「K18PGダイアPEN」の意味。
エ 乙第4号証の品番欄に記載されている「1200002634 077」に合致する商品について、リーフレット等の提出。
オ 乙第4号証の販売者が「ガレリアUCHIHARA」になっているにもかかわらず、乙第5号証の入金先が「内原」となっている理由。
カ 乙第4号証の「御名前」欄が上下2カ所ある理由。
(2)前記(1)の審尋に対する平成22年1月12日付け回答書
ア 乙第3号証は、法人顧客向けの提案書といった意味合いを持つものである。そのため、乙第3号証が最終消費者に渡るものではないこと、展示会の直前まで商品の開発や、写真撮影、リーフレットの構成など多くの改良を必要とするものであることなどから、時間面及びコスト面など経済的合理性を勘案し、外部の印刷業者に印刷・製本を依頼することなく、被請求人及び関連会社が、展示会前に自社で印刷して会場にて配布している。したがって、乙第3号証の原本は存在しない。
イ 乙第3号証に「SA BIRTH(サバース)」「CAZZANIGA(カッツァニーガ)」「ARC-EN-CIEL(アルカンシェル)」など被請求人グループの基幹ブランドが掲載されていないのは、これらの基幹ブランドが「VENUS」など展示会で発表する新作とは、販売チャンネルもお客も商品の基本的な性格も根本的に異なることから、リーフレットなども別々に作成しているからである。
ウ 「K18PGダイアPEN」は、「18金ピンクゴールドダイヤモンドペンダント」の略称である。
エ 「1200002637 077」は、個々の商品に一つずつ付けられる個別コードである。宝飾品は、大量生産の消費財とは異なり、一点一点のクオリティが異なるものであるから、一点一点に個別のコードを付けて管理しているのである。当該個別コードは、被請求人の社内管理用のものであるから、顧客に掲示するものではない。そのため、当該個別コードの掲載されたリーフレットは作成していない。
オ 「ガレリアUHIHARA」は、内原が運営する店舗である。そのため、「ガレリアUHIHARA」が販売した商品の入金先は、内原の口座となっている。
カ 乙第4号証の上段は売上伝票であるが、下段は、顧客管理の目的で使用している。上下段とも顧客が記入する場合もあるが、下段のみ顧客が記入し、上段は、被請求人が記入する場合もある。そのため、「御名前」欄が上下2カ所に存在する。
4 平成22年10月14日付け審尋及び当該審尋に対する回答
(1)平成22年10月14日付け審尋
請求人は、平成22年10月6日提出の証人尋問申出書において、乙第4号証に表示されたA氏を証人として申し出ているところ、被請求人の提出した証拠によっては、同人の住所及び氏名を特定することができない。ついては、A氏の住所及び氏名を回答されたい。
(2)前記(1)の審尋に対する平成22年10月21日付け回答書
相手方及び公衆に開示されないことが保証されない限り、A氏の住所及び氏名を回答することを拒否する。
5 口頭陳述要領書及び上申書
(1)乙第4号証は、被請求人が属する内原グループの直営店舗における売上伝票であり、このような書面は、社内処理用の書面であり、展示又は頒布される種類の書面ではなく、また、実際に展示、頒布されたことはない。
(2)国太が行った2006年秋冬新作発表会で、乙第3号証を配布した証拠として、参加企業による書面を、乙第10号証の1ないし9として提出する。
(3)乙第10号証の1ないし9の書面を提出した企業の存在を証明するために、当該企業のウエブサイトの写しを、乙第11号証として提出する。
(4)乙第10号証の1の書面を提出した企業が、日本ジュエリー協会の会長であることを証明するために、乙第12号証を提出する。
(5)被請求人代表者の陳述書(別掲1)を、乙第13号証として、また、A氏の陳述書(別掲2)を、乙第14号証として提出する。
(6)国太主催の98年秋の新作発表会のリーフレット(写)を、乙第15号証として、同じく、国太主催の99年秋の新作発表会のリーフレット(写)を、乙第16号証として、また、第22回国際宝飾展における国太のパンフレットを、乙第17号証として提出する。

第4 当審の判断
1 事実認定
(1)本件商標権者及び内原グループについて
乙第2号証は、2009年8月5日付け紙出力による、「内原グループ プロフィール」の表題があるホームページの写しであるところ、「概要」の見出しの下に「[事業内容]ダイヤモンド裸石、ジュエリーの直輸入、商品企画・開発、卸、百貨店および直営店小売りを行う総合ジュエリーカンパニー」「[グループ会社](株)内原 (株)国太 (株)メックインターナショナル (株)コリオリ (株)宝」「[直営店舗]ガレリアUCHIHARA/東京都港区六本木7-2-7」「レギーナ内原/大阪府泉佐野市本町1-20」の記載がある。また、商標権者の履歴事項全部証明書(乙7)、東京都港区六本木七丁目2番7号に本店を有する国太の履歴事項全部証明書(乙8)及び東京都港区六本木七丁目2番7号に支店を有する内原の履歴事項全部証明書(乙9)から、これらの代表取締役は内原計介及び内原一郎であることが認められる。
(2)乙3リーフレットについて
乙第3号証は、「KUNITA 2006」「Autumun&Winter」「New Collection」「秋冬新作発表会」の表題及び当該表題の下に「2006年8月29日(火)/30日(水)」「(株)国太」の記載がある表紙とダイヤペンダント等の商品の名称、写真、価格等が表示されている、計6枚のリーフレットである。該リーフレットの2枚目には、「Venus」及び「ヴィーナス」を2段書きした見出しの下に、ダイヤリングとダイヤペンダントの写真が表示され、当該写真の下に「美の女神 ヴィーナスの輝きをダイヤに」「ピンクゴールドの優しさにも女性らしさが」「R)K18PGダイヤペンダント0.7ct/1.2ct¥1,060,000(税抜)」「L)K18PGダイヤリング0.7ct/1.2ct¥1,100,000(税抜)」の記載が認められる。
上記秋冬新作発表会には国太の取引先約200社300名が出席し、国太は、上記リーフレットを250部自社で印刷し出席者に配布した。なお、内原一郎は、上記秋冬新作発表会に配布されたリーフレットの原本はなく、また、「Venus」及び「ヴィーナス」を付した18金ピンクゴールドダイヤモンドペンダントは、サンプル的な要素もある商品であるため、鑑定書や鑑別書は取得していない旨陳述する(平成22年1月12日付け回答書及び乙13)。
これに対し、請求人は、国太が2006年8月29日及び30日に行った秋冬新作発表会は甲第1号証の内容であって、乙3リーフレットの内容ではない旨主張する。
この点について、被請求人は、上記秋冬新作発表会には、2006年4月に発売したサバースやアルカンシェルなどのブランド品も展示したが、上記秋冬新作発表会のメインは乙3リーフレットに掲載された新作商品であり、そこで使用されたリーフレットは乙3リーフレットである旨主張するとともに、上記事実を証明するため、乙第10号証ないし乙第13号証を提出した。
乙第10号証の1ないし9には、上記秋冬新作発表会に出席した株式会社ホーリ、桐谷株式会社、株式会社イシガミ、株式会社ジェイ・シィンク、株式会社タカヤジェム、株式会社柳澤商会、有限会社太豊貴金属、株式会社グローバルコーポレーション及び英和貿易株式会社からの書面とともに、乙3リーフレットが添付されている。各書面には、いずれも、リーフレット自体が配布されたことは認めているものの、その内容については、「4年以上も前のことですので、完璧に明確という訳では勿論ありませんが、そのリーフレットは添付のような体裁の物であったような記憶はあります。」との記載が認められる。
(3)売上伝票について
乙第4号証は、上半分に、記票者が「大久保」であって、名宛人をA氏とする「ガレリアUCHIHARA」による2007年2月1日付け売上伝票の写しである。その品番の欄に「1200002634」「077」、品名の欄に「VENUS」「K18PGダイア PEN」、品名の合計の欄に「1点」、価格(小計)の欄に「848,000」、内金の欄に「2,400」、残金の欄に「¥888,000」、ご入金日欄に「07年2月6日」、お渡し日「07年2月6日(火)」の記載がある。
また、下半分には、A氏の連絡先として「御住所 和歌山市吹上●-●-●」「電話 073(424)●」(審判注:●は、当該部分が黒く塗り潰されていることを示す。)との記載が認められる。
なお、被請求人は、上記品番の欄の「1200002634」「077」は、個々の商品に付された個別コードであり、社内管理用のものであるため、この個別コードは掲載されたパンフレットはなく、また、品名の欄の「K18PGダイア PEN」は、「18金ピンクゴールドダイヤモンドペンダント」の略称である旨回答する(平成22年1月12日付け回答書)。
(4)当座勘定照合表について
乙第5号証は、名宛人を「内原」とする「りそな銀行虎ノ門支店」による、19年2月6日付け「当座勘定照合表」の写しであるところ、日付年月日の欄中央に「19」「02」「06」、記号の欄に「90」(欄外に「90」は現金入金の記号説明がある。)、入金額の欄に「888000」、摘要の欄に「振込 ●ダ●コ」(審判注:●は、当該部分が黒く塗り潰されていることを示す。)の記載が認められる。
(7)乙第13号証は、別掲1のとおり、商標権者、内原及び国太の代表取締役社長内原一郎作成に係る2011年2月18日付け陳述書であり、国太の主催に係る2006年秋冬新作発表会の経緯及び2007年2月1日にガレリアUCHIHARAにおいて、前年8月の新作展で発表したペンダントである「VENUS」の販売に係る経緯などの記載がある。
(8)乙第14号証は、別掲2のとおり、A氏による陳述書であり、2007年2月1日にガレリアUCHIHARAにおいて、ペンダントである「VENUS」の購入に係る経緯の記載がある。
(9)請求人から出されたA氏の証人尋問申請は、被請求人が個人情報の保護を理由にA氏の公表を拒んでいるため、A氏を特定することができない。
したがって、上記申請は採用しない。
2 判断
(1)本件商標の使用について
商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては,その第2項において,その審判の請求の登録前3年以内(本件の場合,平成18年〔2006年〕6月24日から平成21年〔2009年〕6月23日,以下「要証期間」という。)に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り,使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて,商標権者は,その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
請求人及び被請求人の主張並びに提出された証拠をもとに、以下判断する。
(2)使用許諾契約について
使用許諾契約に係る書面の提出はないが、使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、口頭による契約も認められると解される。
乙第2号証の「内原グループ プロフィール」に、商標権者(株式会社宝)、内原及び国太は、内原グループのグループ会社として挙げられ、さらに、直営店舗としてガレリアUCHIHARAも挙げられている。また、本件商標を使用している国太、内原、ガレリアUCHIHARAは、「内原計介」及び「内原一郎」が代表取締役であることが認められる。そうとすると、「内原計介」及び「内原一郎」の両者が代表取締役を務める商標権者、国太及び内原と直営店であるガレリアUCHIHARAは、内原グループの関連会社であるとみることができる。
以上の点を考慮すると、書面による使用許諾契約はなされなくても、商標権者と国太及びガレリアUCHIHARAとの間には、使用許諾がなされていると推認することができる。
(3)被請求人提出の証拠について
ア 乙3リーフレットについて
被請求人は、本件商標権の通常使用権者である国太が、2006年8月29日及び30日に、取引先を対象とするダイヤモンドの2006年秋冬新作発表会を開催し、そこで出席者に配布された乙3リーフレットの2枚目には、本件商標と社会通念上同一と認められる標章「Venus」を本件審判の請求に係る指定商品中「ダイヤモンドペンダント」に付して使用している旨主張する。
しかし、乙3リーフレットは、上記秋冬新作発表会において配布されたリーフレットの原本ではなく、本件審判の答弁のために国太のパソコン内のデータから紙出力されたものである。そこで、乙3リーフレットと上記秋冬新作発表会において配布されたリーフレットが同一であることを証明するために提出された乙10の1ないし9に添付のリーフレットにしても、乙3リーフレットと同様、国太のパソコンから紙出力されたものである。加えて、上記新作発表会に出席した者の証明においても、両リーフレットが同一であるかという点について、そのような体裁であったような記憶がある旨を内容とする証明(乙10)にとどまり、そうとすると、両リーフレットの同一性に関していまだ明確さに欠けるものとみざるを得なく、被請求人の主張は、その信ぴょう性については疑義が残るものである。
なお、被請求人は、上記新作発表会のメインの商品は、乙3リーフレットに掲載された新作商品であり、その内容の乙3リーフレットを配布したが、併せて、2006年4月に発売したサバースやアルカンシェルなどのブランド品も展示し、甲第1号証の内容のリーフレットは別にある旨主張する。
確かに、取引先などの対象が異なる商品であったとしても、別企画の新作発表会に展示することはあるかもしれないが、被請求人は、右主張するのみでそれを立証すべき証拠は乙3リーフレット以外何ら提出されていない。そうとすると、甲第1号証の事実からみて、請求人の疑義が解消されたとみることができない 。
したがって、請求人の上記主張及び証拠をもっては、乙3リーフレットが、上記新作発表会に配布されたと認めることができない。
イ 売上伝票について
乙第4号証は、名宛人をA氏とするガレリアUCHIHARAによる2007年2月1日付け売上伝票の写しであり、その品番の欄に、社内管理用の個別コードと認められる「1200002634」「077」、品名の欄に、本件商標と社会通念上同一と認められる「VENUS」の欧文字と「18金ピンクゴールドダイヤモンドペンダント」の略称と認められる「K18PGダイア PEN」の記載が確認できる。
しかし、被請求人は、上記商品の購入者であるA氏について、個人情報の保護を理由にその氏名及び住所などを明らかにしない。
商標法第72条は、当事者以外の第三者からの書類の閲覧などに対して秘密の保持の請求ができる規定を設けている。不使用取消の審判においては、被請求人が登録商標の使用の立証の義務を負うにもかかわらず、被請求人による商標の使用の立証に係る購入者の特定を上記理由をもって阻むことは、秘密の保持の請求もしていないことから、認めることができない。
また、売上伝票の品名の欄には、乙3リーフレットに掲載された「Venus」が付されたダイヤモンドペンダントと同一視できる記載があるものの、売上伝票にある品番「1200002634」「077」が乙3リーフレットには記載がないため、双方の商品が同一であるか確認できない。さらに、売上伝票の品名の欄は、売主がいつでもいかようにでも記入できるところでもあり、そうとすると、たとえ上記売上伝票の品名の欄に本件商標の表示が認められるとしても、該表示の記載のみをもって、本件商標の使用に結びつけることはできない。
したがって、売上伝票からは、乙3リーフレットに掲載された「Venus」が付されたダイヤモンドペンダントが売買されたことを認めることができない。
ウ 当座勘定照合表について
乙第5号証は、名宛人を「内原」とする「りそな銀行虎ノ門支店」による、19年2月6日付け「当座勘定照合表」の写しであるところ、振込人として「●ダ●コ」の記載が認められる。しかして、該「●ダ●コ」は、前出の売上伝票及び乙第14号証のA氏による陳述書などからみて「A氏」と推認し得るものであるが、A氏については、前記イのとおり、商品の購入者としての特定ができない。
したがって、当座勘定照合表からは、乙3リーフレットに掲載された「Venus」が付されたダイヤモンドペンダントが売買されたことを認めることができない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、被請求人が提出した乙各号証の証拠をもってしても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標の指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をした事実を証明したとはいえない。
また、被請求人は、本件商標をその指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 内原一郎の陳述書(乙13)
対象商標「VENUS」を使用していた株式会社国太は、百貨店様、卸売業者様や小売業者様などのいわゆる業者様向けにダイヤモンド裸石の輸入・卸し、およびジュエリーの企画・開発・販売を行う会社であり、昭和50年代後半から「新作発表会」を毎年継続して開催して来ました。また2007年春夏からは「ご商談会」と名称を変更し、現在も引き続き開催しています。
2006年秋冬「新作発表会」には、約200社300名程のお取引先様がご来場され、新提案商品をご紹介するパンフレットは約250部程度を準備し、会場に置いて来場者様が自由に取り、また商談時に手渡しなどしました。
「新作発表会」用のパンフレットは、業者様との商談を目的として作成しています。「VENUS」など「新作発表会」パンフレットに掲載される品は、お取引先様である業者様宛にご提案する「サンプル」的な意味合いもある品であり、お取引先との商談の中で、それぞれの業者様のご要望に応じて、デザインの変更、ダイヤの品質・量目の変更などを行う場合もあります。
一般消費者向けのジュエリーのカタログでしたら、より立派なものをイメージされるかも知れませんが、卸販売会社である国太の「新作発表会」パンフレットは、そもそも一般消費者の方々にご覧頂くということを初めから全く想定しておりません。またパンフレット制作のためのコストや時間に制限があるなどの理由により、自社内で編集し出力することが基本となっており、実務的で、どちらかというと簡素な体裁になりがちです。
内原グループは一般消費者向けに、一流百貨店様や当社旗艦店であるガレリアUCHIHARAなどで、「SA BIRTH(サバース)」「CAZZANIGA(カッツァニーガ)」「ARCEN CIEL (アルカンシェル)」などの基幹ブランドを展開し、それらのブランドでは美しいパンフレットなどを作成していますが、「新作発表会」パンフレットの商品とは、商品そのものも、販売チャネルも、お客様も、広告宣伝・パブリシティなども全く性格の異なるものです。
したがいまして「新作発表会」の簡素なカタログと、それら基幹ブランドの美しいカタログとの大きな違いは、使用目的や対象顧客などが根本的に違うことに由来することを先ず以ってご理解賜りますようお願い申し上げます。
また、「新作展」用のパンフレットでは、それぞれの新作商品にネーミングを行っていますが、そのうちのいくつかの新作商品に、内原グループが所有しストックしている多くの商標の中から相応しいものを選び、使用します。
またストック商標を有効活用するために、それらの新作商品、或いは特定の商品の括りに対して、同一商標を、時間をおいて全く違う商品に使用する場合があります。
「VENUS」商標はその例のひとつで、請求人自らが平成21年9月4日付の審判事件弁駁書にて認めている通り、株式会社国太において「ダイヤモンドを使用した独自企画のカテゴリー商品(ネックレス、指輪)の名称として本件商標『VENUS』を使用」していた」とあります。
その一方、「新作発表会」などでさほど好ましい反応が得られなかった品は現物止まりで、その後の展開には限界があります。
2006年秋冬「新作展」での「VENUS」商品は、残念ながらこの例です。
今回「VENUS」のペンダントをご購入いただいた方(●田●子様)は、以前からの馴染みのお客様であり、レギーナ内原(大阪府泉佐野市)やガレリアUCHIHARA(東京・六本木)にたびたびご来店の上、ご購入いただいています。
2007年2月1日にガレリアUCHIHARAにご来店頂いた際に、お客様のご要望をお聞きし、前年8月の新作展で発表した「VENUS」をお勧めし、ご購入頂きました。
馴染み客であること、発表から約半年経過していたサンプル的要素もある商品であることから、当初の価格から2割引にして販売いたしました。
同日に内金として2,400円をご入金頂きました。その上で、今までのお取引実績から早期のお支払いが確実で、信用上問題の無いお客様でいらっしやること、お客様のお住まいがご遠方であり、ご入金後の再度ご来店がお客様にとって不都合であること、もしくは配送することが品物の性質上不適切であることなどから、当日に「VENUS」ペンダントをお渡ししました。
実際にその3銀行営業日後の2月6日に、残金全額888,000円の銀行振込によるご入金を確認しました。なお、銀行振込であるので、領収書は発行しておりません。
また、お客様には、2月1日に「お客様控」をお渡ししておりますが、確認したところ、既に破棄していらっしやるとのことであります。
売上伝票のお渡し日が2007年2月6日(火)となっているのは、社内ルールでは全額入金確認後に商品をお渡しするのが基本となっていることから、伝票記入者が入金を確認した2月6日と記載したようですが、実際に商品をお渡ししたのは上記の通り2月1日です。
なお、売上伝票の品名などの記載方法には厳格なルールを設けている訳ではなく、店舗や担当者の習慣や裁量による場合が多々あるというのが実際のところであります。ブランド名を記載する場合もあれば、記載しない場合もあります。
また「VENUS」は、株式会社国大の新作発表会のために作成したサンプル的要素もある商品であるため、当初から鑑定書や鑑別書は取得しておりません。

2 A氏の陳述書(乙14)
私は、2007年2月に東京都港区六本木のガレリアUCHIHARAにて、VENUSのダイヤモンド・ペンダントを次のように購入しました。
私は以前から内原の関西のお店であるレギーナ内原を知っていて何回か購入しています。
またガレリアUCHIHARAにも行ったことがあります。
2007年2月1日(木)に私は東京に行っていました。
ガレリアUCHIHARAに立ち寄った際にピンクゴールドのダイヤモンド・ペンダントが気になっていることを言うと、VENUSのダイヤモンド・ペンダントを紹介され気に入りました。
お値引きもしてくれるということでしたので買うことにしました。
わりと新しく出たブランドです、という説明を受けたような記憶があります。
当日は内金を2,400円だけお支払いしました。
残金888,000円は早々に振込みすることになりました。
私はVENUSをその日に持って帰りたいとお願いしました。最終的に次の週の週明け早々に全額を振り込むということで了承してくれました。その際に控えを頂きましたが、今は手許にはありません。
約束通り2月5日(月)の午後に、和歌山の銀行から888,000円を振り込みました。

審理終結日 2012-05-25 
結審通知日 2012-05-29 
審決日 2012-07-03 
出願番号 商願2001-75080(T2001-75080) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z14)
最終処分 成立  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
寺光 幸子
登録日 2002-10-18 
登録番号 商標登録第4614344号(T4614344) 
商標の称呼 ビーナス 
代理人 水野 勝文 
代理人 岸田 正行 
代理人 保崎 明弘 
代理人 白井 恵 
代理人 山田 清治 
代理人 萼 経夫 
代理人 和田 光子 

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