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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y35
管理番号 1259789 
審判番号 取消2010-300933 
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-08-26 
確定日 2012-07-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4657563号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4657563商標(以下「本件商標」という。)は、「NTTデータ」の文字を標準文字で表してなり、平成14年3月18日に登録出願され、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」のほか第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同15年3月28日に設定登録されたものである。

第2 参加の申請及び参加許否の決定
本件審判に関し、平成22年10月26日付けで、株式会社エヌ・ティ・ティ・データから被請求人を補助するための参加申請書の提出があったところ、これについて、当審は、同23年4月4日付けで、本件参加の申請を許可する旨の決定を行った。また、平成23年5月10日付けで、正林真之から請求人を補助するための参加申請書の提出があったところ、これについて、当審は、同23年9月12日付けで、参加申請人が利害関係を有する者とは認められないことを理由に、本件参加の申請を許可しない旨の決定を行った。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁(上申書を含む。)を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」について継続して3年以上日本全国において登録商標の使用をした事実が存在しないから、商標法第50条の規定により、その登録は、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
ア 商標的使用態様による使用ではないこと
被請求人は、乙第1号証の表面の左肩に記載された「NTTデータ」なる表示が本件商標の使用に該当すると主張する。
しかし、上記記載は、役務の名称ではなく、単に、役務を提供する主体を示すものに過ぎないから、商標的使用態様において使用されているものではない。
イ 別件における被請求人の主張によれば、商標的使用態様ではないこと
被請求人は、本件と同一の商標権についての別件の審判である取消2009-300343号事件(以下「別件審判」という。)において、本件の答弁書と反する主張をしている。
甲第1号証は、別件審判において請求人が提出した弁駁書であり、甲第2号証の1及び2は、当該弁駁書とともに提出された証拠であり、甲第3号証は、別件審判において上記弁駁書に対して被請求人(本件の被請求人と同一である)が提出した上申書である。
甲第3号証の4頁から5頁において、被請求人は、「次に、審判請求人は、新たな主張として、補助参加人2(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・セキスイシステムズ)が、ウェブサイト及び名刺上に次頁の表示をしていることをもって、本件登録商標の使用であると主張している。・・・しかし、上記の各表示は、補助参加人2が補助参加人1(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)のグループの一員であることを示しているものにすぎず、これが直ちに商標としての使用であるとはいえない。」と主張した。上記の被請求人の主張は、甲第2号証の1及び2の左上の商標、すなわち、二段書の「NTT/Data」の文字及び「10個の白点を三角形状に配した図形」からなる商標(以下「結合商標」という。)についての主張である。
甲第2号証の1には、結合商標とともに、「『ものづくり改革支援サービス』」等のサービスの記載がある。甲第2号証の2には、結合商標とともに、「基幹系ASPサービス」、「卸売業種向けパッケージ」等のサービスの記載がある。すなわち、結合商標は、上記サービスとの具体的関係において使用されている。それにもかかわらず、被請求人自身が、「上記の各表示は、補助参加人2が補助参加人1のグループの一員であることを示しているものにすぎず」というのであるから、本件の乙第1号証に記載の「NTTデータ」は、なおさら「グループの一員であることを示しているものにすぎず」というべきであり、せいぜい、役務の提供主体を示すにすぎないというべきである。
このため、別件審判における被請求人の主張によれば、乙第1号証に記載の「NTTデータ」なる記載は商標的使用態様による使用ではない。
また、本件審判における被請求人の主張は、別件審判における被請求人の上記主張によって、被請求人自身が作り出した外観と相反するという点においても認められない(民法上の外観法理)。
以上により、被請求人が提出した証拠は、本件商標の使用を示すものではない。

第4 被請求人及び補助参加人の答弁
被請求人及び補助参加人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)本件商標の使用事実の要点
本商標権の通常使用権者である補助参加人は、本件審判請求の登録前3年以内に、指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」に本件商標を使用している。
(2)本件商標の具体的使用事実
ア 商標の使用者
被請求人は、本件商標にかかる商標権について、補助参加人に通常使用権を許諾している。
補助参加人は、被請求人の一事業部であったデータ通信事業本部をその前身とし、昭和63年に被請求人から分離独立したものであって、両者は親子会社の関係にある(乙第2号証)。
本件商標「NTTデータ」は、補助参加人の商号「株式会社エヌ・ティ・ティ・データ」から「株式会社」の文字部分を除いたうえで、「エヌ・ティ・ティ」の文字部分をアルファベットの「NTT」で表記してなるものであり、補助参加人の略称そのものと言える。
このようなことから、被請求人と補助参加人との間では、格別文書による通常使用権の許諾はなされていないものの、上記のとおり本件商標権の通常使用権の許諾がなされているものである(乙第7号証)。
イ 使用にかかる役務
補助参加人は、指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」につき、顧客に対しサービスを提供しており、当該サービスの広告のために、本件商標が表示されたチラシ(乙第1号証の表面の左肩部分に本件商標が表示されている)を作成し、顧客に対し頒布してきている。
同号証にかかるチラシの表面には、本件商標の下に「広告代理サービス」と記載されているところ、同「広告代理サービス」の内容については、「広告代理業サービス」と「コンサルティングサービス」とに分類されており、「コンサルティングサービス」においては、「WEBサイト構築・運用」、「WEBサイト改修」の各サービスが含まれることが、同号証表面下部に明記されている。
さらに、同号証の裏面右上部には、同サービスの「サポート体制」について記載されているが、同箇所の「システム担当」の部分には、「サイト構築・運用を担当します。サイト内のボタンやコンテンツの配置等、ユーザビリティの改善を提案します。」と記載されている。
上記のとおり、補助参加人が、乙第1号証のチラシによって広告宣伝しているサービスの内容は、「広告代理サービス」と記載されていることに加えて、同サービスを構成する「コンサルティングサービス」や、さらにその「サポート体制」中に「WEBサイト構築・運用」、「WEBサイト改修」などが記載されており、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」が含まれていることが明らかである。
これに加えて、チラシ(乙第1号証)裏面の「事例紹介」の欄には、上記サービスを顧客に対し実際に提供した実例として、「三菱地所リアルエステートサービス様の事例」が記載されている。同事例においては、補助参加人が、不動産の販売広告用のホームページの設計・作成又は保守サービス、すなわち、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」サービスを、三菱地所リアルエステートサービス(株)に対して提供したことが紹介されている。
補助参加人は、同サービスを提供するに当たって、同社に対し、平成20(2008)年2月5日付提案書(乙第3号証)を提出している。同提案書2、3枚目には、乙第1号証裏面に表示されている三菱地所リアルエステートサービス(株)の広告用ウェブサイトの具体的改善案が記載されているが、これは、チラシ(乙第1号証)裏面の事例紹介の部分に表示されているウェブサイト画面そのものに他ならない。
これに加えて、同ウェブサイト画面は、三菱地所リアルエステートサービス(株)のウェブサイト上に、現実に表示されてきている(乙第4号証)。
上記のとおり、本件商標が、指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」につき使用されていることは明らかである(乙第7号証)。
ウ 使用時期
本件商標の使用時期に関しては、チラシ(乙第1号証)裏面左下部に、「掲載内容は2008年8月現在のものです。」と記載されているとおり、同時期及びそれ以後であり、本件審判請求登録前3年以内の時期に使用されていたことが明らかである。
ちなみに、乙第5号証は、補助参加人が、同チラシの印刷を社外の(株)メディアピックスに対し依頼した際の平成20(2008)年7月3日付発注書であり、乙第6号証は、(株)メディアピックスから補助参加人に対する同チラシ作成の完了を報告する平成20(2008)年8月22日付け業務完了報告書である。
これにより、同チラシが平成20(2008)年8月に補助参加人に納品され、以後、補助参加人がこれを顧客に対し頒布してきたことが明らかである(乙第7号証)。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者である補助参加人により、本件審判請求にかかる指定役務である第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」について使用されていることが明らかであり、本件審判請求は成り立たない。

第5 当審の判断
1 通常使用権者について
被請求人の主張及び乙第2号証(株式会社エヌ・ティ・ティ・データの有価証券報告書)によれば、補助参加人である「株式会社エヌ・ティ・ティ・データ」は、被請求人と親子会社の関係にあるといえるものであり、両者間には本件商標について黙示の使用許諾があったとみても不自然ではなく、補助参加人は本件商標権に係る通常使用権者とみて差し支えないものというべきである。
2 本件商標の使用について
(1)事実認定
乙第1号証は、通常使用権者の「広告代理サービス」に関するチラシと認められるところ、チラシ表の左上部には、「NTTデータ」「広告代理サービス」と記載されており、また、チラシ表下部には、「広告代理サービス」の内容について、「広告代理業サービス」と「コンサルティングサービス」とに分類されており、「広告代理業サービス」の欄には、「リスティング広告では、ビジュアル化されたレポートでの定期報告会を実施」等の記載の下に「リスティング広告、バナー広告・メール広告」等が例示されており、また、「コンサルティングサービス」の欄には、「広告出稿後は、実績データを多面的に分析し、仮説の検証を行うとともに、次のプロモーションに向けたコンサルティングを行います。」との記載の下に「ページ・バナー制作」「WEBサイト改修」「WEBサイト構築・運用」「SEO対策」等が例示されている。
また、チラシ裏上部には、同サービスの「サポート体制」について記載されており、同箇所の「システム担当」の欄には、「サイト構築・運用を担当します。サイト内のボタンやコンテンツの配置等、ユーザビリティの改善を提案します。」と記載され、チラシ裏中央部には「三菱地所リアルエステートサービス」の事例紹介として「リスティング広告」「運用結果分析コンサルティング」「ランディングページ制作」とともに「サイト制作・運用」等の表示が各ウェブサイト画面と共に掲載されている。
さらに、チラシ裏下部左には「掲載内容は2008年8月現在のものです。」と記載されており、チラシ表と裏の最下部にはいずれも通常使用権者を表示したものと認められる「株式会社NTTデータ」の社名が記載されている。
乙第3号証は、2008年2月5日付の、通常使用権者から三菱地所リアルエステートサービス株式会社宛の「売りたいページ、事業用・投資用ランディングページ修正案のご確認」と題する提案書であり、その2枚目及び3枚目には、乙第1号証のチラシ裏面の「三菱地所リアルエステートサービス」の事例紹介の項における「サイト制作・運用」等のウェブサイト画面と実質上同じものが掲載されている。
乙第4号証は、三菱地所リアルエステートサービス株式会社の3枚のウェブサイトであり、これらは、乙第1号証のチラシ裏面の「三菱地所リアルエステートサービスの事例」の項におけるウェブサイト画面と実質上同じものが掲載されている。
(2)以上の認定事実によれば、遅くとも平成20年8月頃、通常使用権者により作成されたチラシ(乙第1号証)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていることが認められる。
そして、当該チラシによって広告宣伝されている「広告代理サービス」の内容は、「リスティング広告、バナー広告・メール広告」等を内容とする「広告代理業サービス」及び「WEBサイト構築・運用、WEBサイト改修、SEO対策」等を内容とする「コンサルティングサービス」であり、「コンサルティングサービス」の業務内容からみれば、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」が含まれていることは明らかである。また、「広告代理業サービス」についても、その業務内容からみれば、「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」を含むものであって、「インターネットによる広告用ホームページ」は、HTMLやJavaScript等のプログラム言語で記述されるプログラムにより記述されることから、同役務は、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」なる役務に包含されているものと解される。
また、当該チラシ裏面の「事例紹介」の欄には、上記サービスを顧客に対し実際に提供した実例として、「三菱地所リアルエステートサービス様の事例」が記載されており、同事例においては、通常使用権者が不動産の販売広告用のホームページの設計・作成又は保守サービス、すなわち、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」サービスを三菱地所リアルエステートサービス株式会社に対して提供したことが紹介されている。
そして、このことを裏付けるものとして、2008年2月5日に、通常使用権者は、三菱地所リアルエステートサービス株式会社に対し、請求に係る役務を提供するにあたって、提案書を作成しており(乙第3号証)、同社は、この提案書に基づいて、実際に、不動産に関する広告用ホームページを使用していたことが認められることからすれば(乙第4号証)、通常使用権者は、請求に係る役務を実際に提供していたものと推認することができる。
そうとすると、通常使用権者は、本件審判の請求の登録(平成22年9月15日)前3年以内に、乙第1号証のチラシにおいて、その提供に係る役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示し、広告をしたことが認められる。そして、通常使用権者の上記行為は、「商品若しくは役務に関する広告」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
してみれば、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定役務について使用をしていたというべきである。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「乙第1号証の表面の左肩に記載された「NTTデータ」の表示は、役務の名称ではなく、単に、役務を提供する主体を示すものに過ぎないから、商標的使用態様において使用されているものではない」旨主張している。
しかしながら、請求人が主張するように、乙第1号証の表面の左肩に記載された「NTTデータ」の表示が役務を提供する主体を示すものであるなら、それ故に、提供する役務の出所識別標識としての機能を十分に果たすもの
というべきであって、当該表示が商標的使用態様において使用されているものではないとする合理的理由は見当たらない。
そうとすると、かかる請求人の主張は採用することができない。
(2)請求人は、「被請求人が本件商標権についての別件の審判事件である取消2009-300343号事件において、本件の答弁書と反する主張をしている。別件審判における被請求人の主張によれば、乙第1号証に記載の『NTTデータ』なる記載は商標的使用態様による使用ではなく、また、本件審判における被請求人の主張は、別件審判における被請求人の上記主張によって、被請求人自身が作り出した外観と相反するという点においても認められない(民法上の外観法理)から、被請求人が提出した証拠は、本件商標の使用を示すものではない」旨主張している。
しかしながら、別件の審判事件と本件とは、本件商標権が取消請求の対象とされている点において共通しているとしても、本件が商標法第50条第1項の取消審判請求であるのに対し、別件審判は同法第53条の取消審判請求であって、その取消の要件が異なるものであること、請求人が異なるので当事者も異なっていることからすれば、全く事案を異にする案件というべきものであり、また、民法上の外観法理を適用しなければならない事情も全く認められない。
そうとすると、かかる被請求人の主張も採用できない。
4 結論
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定役務である第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」について使用していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の指定役務中、本件審判の請求に係る第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言・指導」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-12-14 
結審通知日 2011-12-19 
審決日 2012-01-10 
出願番号 商願2002-21196(T2002-21196) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y35)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2003-03-28 
登録番号 商標登録第4657563号(T4657563) 
商標の称呼 エヌテイテイデータ 
代理人 水谷 直樹 
代理人 曽我部 高志 
代理人 八木澤 史彦 
代理人 曽我部 高志 
代理人 水谷 直樹 
代理人 正林 真之 

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