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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない X35
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X35
管理番号 1256410 
審判番号 不服2011-23588 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-02 
確定日 2012-04-20 
事件の表示 商願2011- 16555拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成23年3月8日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同年4月28日付け手続補正書により、第35類「ワインの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定は、本願の拒絶の理由に下記の登録商標(以下、まとめていうときは「各引用商標」という。)を引用し、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断した。
(1)登録第5294300号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成21年8月18日に登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同22年1月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第5318409号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成21年8月18日に登録出願、第33類「ワイン」を指定商品として、同22年4月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第5399537号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成22年11月9日に登録出願、第35類「ワインの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同23年3月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(4)登録第5406397号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成22年11月9日に登録出願、第33類「ワイン」を指定商品として、同23年4月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲(1)のとおり「わいんすき」の平仮名を手書き風の書体をもって表してなるところ、これよりは「ワインスキ」の称呼を生ずるものである。また、本願指定役務との関係から、本願商標の構成中「わいん」の文字は「ワイン」を、「すき」の文字は「好き」をそれぞれ平仮名書きで一連に書したものと容易に理解できるから、これよりは「ワインが好きである」程の観念を生ずるものというのが相当である。
一方、引用商標1及び2は、別掲(2)のとおり、ボトルを左に傾けて中身が流れ出る様を描いた図形(ボトルは緑色で、ボトル内の中身は濃い緑色でそれぞれ表され、また、ボトルから流れ出た液体は紫色で表されている。以下同じ。)とその右側に「ワインすき!」の文字(すべて紫色で書されている。以下同じ。)を小さく細字で表し、当該図形及び文字の下に「WINESUKI」の欧文字(「W」の文字は紫色で、その他の文字は緑色で書されている。以下同じ。)を大きく太字で表してなるものであるところ、これよりは、一見して顕著に表された下段の「WINESUKI」の欧文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうすると、引用商標1及び2の要部は、「WINESUKI」の欧文字部分と認められるから、これより「ワインスキ」の称呼及び「ワインが好きである」程の観念を生ずるものというのが相当である。
また、引用商標3及び4は、別掲(3)のとおり、「WINESUKI」の欧文字を大きく太字で表し、その下に「きっとワインが好きになる!」の文字を極めて小さく細字で表してなるものであるところ、これよりは、一見して顕著に表された上段の「WINESUKI」の欧文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうすると、引用商標3及び4の要部は、「WINESUKI」の欧文字部分と認められるから、これより「ワインスキ」の称呼及び「ワインが好きである」程の観念を生ずるものというのが相当である。
してみれば、本願商標と各引用商標とは、外観において差異を有するとしても、「ワインスキ」の称呼及び「ワインが好きである」程の観念を共通にする類似の商標であって、かつ、指定商品又は指定役務も同一又は類似するものと認められる。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
これに対し、請求人は、「本願商標及び各引用商標から生ずる称呼『ワインスキ』が由来する『ワインすき』又は『ワイン好き』の文字は、『ワインが好きな人』の意味合いを表すキャッチコピーとしてワイン業界やワイン愛好家等の間で頻繁に使用されており(第15ないし34号証)、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標として、法3条1項6号に該当する可能性が極めて高いから、商品『ワイン』又はワインに関する小売等役務において、『ワインスキ』の称呼及びその称呼に基づく観念『ワインが好きな人』は、ワイン業界の実情に照らせば、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たさない。したがって、本願商標及び各引用商標は、両商標から生ずる「ワインスキ」の称呼に基づいて商品等の出所の混同を生ずるおそれはなく、むしろ、特徴ある外観をもって十分に識別し得るものであるから、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。」旨主張している。
しかしながら、請求人提出に係る証拠(第15ないし34号証)は、その大半が個人のブログのたぐいにすぎず、かつ、同証拠中に「ワインすき」又は「ワイン好き」の文字がキャッチコピー(宣伝文句)として使用されているものも見当たらないから、同証拠をもって、ワインに係る取引の実情として、「ワインすき」又は「ワイン好き」の文字が「ワインが好きな人」を意味するキャッチコピーとして普通に使用されているものとは認められない。
また、株式会社三省堂発行「大辞林第三版」によれば、「すき【好き】」の項に、「(『・・・ずき』の形で)名詞の下に付いて複合語をつくる。それが好きであること、またその人を表す。」とあり、かつ、「さけずき【酒好き】」の項に、「飲酒を好むこと。酒の好きな人。」とあることを踏まえると、「ワイン好き」の文字に「ワインが好きな人」の意味合いがあるとしても、その場合の読み(称呼)は「ワインズキ」であって、そもそも本願商標及び各引用商標から生じる「ワインスキ」の称呼ではないから、本願商標及び各引用商標からは「ワインが好きである」程の観念を生ずるものというのが相当である。
したがって、本願商標及び各引用商標から生ずる「ワインスキ」の称呼及び「ワインが好きである」程の観念が、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たさないということはできないから、請求人の主張を採用することはできない。
また、請求人は、「各引用商標の商標権者であるメルシャン株式会社は、各引用商標が付された同社のウェブサイトにおいて、同社グループ企業のメルコム株式会社を通じてワインのインターネット通信販売を行っている(第10ないし14号証)。また、請求人代理人がメルコム株式会社に電話確認したところ、各引用商標が付されたインターネット通信販売に関する実店舗は審判請求時において存在せず、上記のインターネット通信販売に係る販売対象ワインを直接確認したい場合には、『メルシャンお客様相談室』に電話連絡し、そこで紹介を受けたメルシャン製品取扱店にてその販売対象ワインを確認するといった方法を採用している。したがって、実店舗が存在せず、インターネット通信販売のみによってワインが販売される等の取引の実情に鑑みると、各引用商標については、その称呼により認識される機会は極めて少なく、その外観が自他商品等識別機能を果たしている。」旨主張している。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品(役務)についてのみの特殊的、限定的な実情を指すものではなく、指定商品(役務)全般についての一般的、恒常的な実情を指すものと解すべきである(最高裁判 第一小法廷昭和49年4月25日判決・昭和47年(行ツ)第33号参照)ところ、申立人主張に係る取引の実情(第10ないし14号証)は、他人である引用商標権者が行っている現在の販売方法(インターネット通信販売のみで実店舗が存在しない等)を今後も変化する余地のないものとして述べているにとどまるものであって、これは指定商品(役務)全般についての一般的、恒常的な実情とはいえないから、請求人の主張を採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本願商標



(2)引用商標1及び2(色彩については原本参照)



(3)引用商標3及び4



審理終結日 2012-02-16 
結審通知日 2012-02-22 
審決日 2012-03-06 
出願番号 商願2011-16555(T2011-16555) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X35)
T 1 8・ 263- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 森山 啓
田中 亨子
商標の称呼 ワインスキ、スキ 
代理人 高橋 洋平 

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