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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X43
審判 全部申立て  登録を維持 X43
審判 全部申立て  登録を維持 X43
管理番号 1255339 
異議申立番号 異議2011-900430 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-12-05 
確定日 2012-04-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5436196号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5436196号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5436196号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成22年10月27日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同23年8月4日に登録査定、同年9月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、次の商標を引用して、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきものである旨主張し、その理由として要旨、次のように主張するとともに証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第4962343号商標(以下「引用商標」という。)は、「ハンズ」の片仮名及び「HANDS」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成17年8月5日に登録出願、第43類「飲食物の提供」のほか第43類に属する役務並びに第1類ないし第38類、第40類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同18年6月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)理由の要旨
ア 本件商標について
本件商標は、その構成文字の語頭である欧文字「H」と語尾である欧文字「S」とに「鍬形虫の大顎」ないし「動物の角」のような図形が付加されると共に、第二文字目の欧文字「A」には四肢動物を思わせる図形が小さく付加されているが、これらの書体をもって各構成文字が判読不可能というわけではなく、全体としては「HAN’S」の欧文字を表したものと容易に認識できる。
この「HAN’S」の文字部分は、構成中に英語で所有格等を表す「’(アポストロフィー)」の記号が語尾「S」の前に表されているので、「HAN’S」を英語風に読めば「ハンズ」と称呼されるのが自然である。
また、この「HAN’S」の欧文字は、特定の語義を有する語として広く普及しているとは認められない一種の造語であると解される。造語が欧文字で表記されている場合には、これに接する取引者・需要者は我が国で馴染みのある英語風あるいはローマ字風の読みで称呼するのが一般的であることからも、当該「HAN’S」の文字部分からは「ハンズ」の称呼が自然に生じる。
この主張は、本件商標の商標権者が審査段階で提出した意見書において、本件商標よりは「ハンズ」の称呼が生じ、特定の観念が生じないと主張していることからも裏付けられる。
また、本件商標の商標掲載公報には、称呼(参考情報)として「ハンズ」が筆頭に挙げられており、この事実からも前述の主張が裏付けられる。
前述のとおり、本件商標の文字部分「HAN’S」は、特定の語義を有しない造語であり、文字部分に付加された図形部分からも特定の観念を想起するものではない。したがって、本件商標からは、特定の観念を生じない。
ゆえに、本件商標をその指定役務に使用した場合には、それに接する取引者、需要者は、本件商標中「HAN’S」の文字部分に着目し、該文字部分から生じる称呼「ハンズ」によって取引に当たるとみるのが自然であり、この「HAN’S」の文字部分が取引者・需要者に対して役務の提供者の識別標識として支配的な印象を与えていることは自明である。
なお、本件商標は、複数の飲食店情報提供ウェブサイト上で使用されており、いずれのウェブサイト上でも欧文字「HAN’S」に片仮名「ハンズ」が併記されている(甲3及び甲4)。
この事実は、本件商標中「HAN’S」の文字部分が取引者・需要者に対して識別標識として支配的な印象を与え、その文字部分から生じる称呼「ハンズ」をもって取引に当たっていることを裏付ける。
イ 引用商標について
引用商標は片仮名「ハンズ」と欧文字「HANDS」とを上下二段に書してなり、この構成より引用商標からは「ハンズ」の自然称呼が生じる。
引用商標を構成する欧文字「HANDS」は、英単語「hand」の複数形であり「両手」等の意味を有するものである。したがって、引用商標からは、「両手」等の観念を生じる。
なお、引用商標の商標権者でもある株式会社東急ハンズは、全国各地(北海道:1店舗、関東地方:26店舗、中部地方:3店舗、関西・西日本:8店舗、沖縄:平成24年夏出店予定)に店舗を展開し、住まいと住生活・手づくり関連の製品・道具・工具・素材・部品の総合専門小売業として取引者・需要者から「東急ハンズ\TOKYU HANDS」ないし「ハンズ\HANDS」として知られ、一部店舗において飲食物の提供をも行っている。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標とを対比するに、外観においては差異を有し、観念においては、本件商標に対比の対象となる特定の観念が存在しないため両商標を比較することができないとしても、称呼においては、本件商標の識別標識として支配的な印象を与える「HAN’S」より生じる称呼「ハンズ」と引用商標より生じる称呼「ハンズ」とが共通する。
したがって、両商標は、全体として相紛れるおそれのある類似する商標であり、本件商標の指定役務は、前述のとおり引用商標の指定役務と同一又は類似の役務であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
なお、知財高裁平成18年9月28日判決は、図形との結合商標「RINKU」と図案化された「Link」とについて、両商標は、外観においては差異を有し、観念においては対比することができないとしても、称呼「リンク」が共通し、両商標は類似すると判断しており、この判決の基準によれば本件商標と引用商標とが類似することは明らかである。
エ むすび
前述したとおり、本件商標は引用商標と類似のものであり、また、その指定役務も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、「HAN’S」の欧文字を図案化してなるものである。しかして、その構成中の「H」及び「S」の欧文字は、その各文字を書き出す位置から上方に湾曲させ末端部を鋭角としたあたかも水牛の角のような形状と一体的に図案化がなされ、当該水牛の角のような形状は、「H」に係る部分が、右方向に湾曲し、「S」に係る部分が左方向に湾曲して、あたかも文字列から水牛の角が生えているかのように看取される特異なものである。加えて、その構成中の「A」の欧文字には、その中央に牛のような動物をシルエットで描いてなるものである。
また、「HAN’S」ないし「HAN」は、我が国において広く親しまれた外国語に見当たらず、そのほかに本件商標から特定の観念が生ずるとするような事情も見当たらない。
そうとすれば、本件商標は、その構成に相応して「ハンズ」の称呼を生じ、特定の観念を生ずるものではないというのが相当である。しかして、本件商標は、単に欧文字から構成される文字の商標とみるべきではなく、前記のような特徴的な図案化により、特異な外観を備えているものというべきであって、その外観が看者の注意を強く引き、その印象、記憶に残るものというのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、前記2(1)のとおり、「ハンズ」の片仮名及び「HANDS」の欧文字を二段に横書きしてなるものである。しかして、「HANDS」は、成語に見当たらないが、我が国で広く親しまれた基本的な英語「hand」の複数形を表したものと認識され、上段に書された片仮名も「HANDS」の読みを特定したものと無理なく理解しうるものである。
そうすると、引用商標は、その構成に相応して「ハンズ」の称呼を生じ、「手」の観念を生ずるというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 外観について
本件商標と引用商標を対比するに、両商標は全体の外観上顕著な差異を有するものである。
イ 称呼について
本件商標と引用商標とは、「ハンズ」の称呼を共通にするものである。
ウ 観念について
本件商標は、特定の観念を生じないものであり、少なくとも「手」の観念を生ずるものではないから、観念において、本件商標と引用商標とを類似するものということはできない。
エ 小括
以上からすると、本件商標と引用商標とは、称呼において共通するとしても、外観が顕著に相違するものであって、観念においても類似とする理由はないものというべきである。しかして、本件商標の特徴的な外観を踏まえて、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、本件商標は、引用商標と出所の混同を生ずるおそれのない非類似の商標というべきであって、これを左右するような取引の実情も見当たらない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
(4)申立人の主張について
ア 申立人は、本件商標は、複数の飲食店情報提供ウェブサイト上で使用されており、いずれのウェブサイト上でも欧文字「HAN’S」に片仮名「ハンズ」が併記されている(甲3及び甲4)から、本件商標中「HAN’S」の文字部分が取引者・需要者に対して識別標識として支配的な印象を与え、その文字部分から生じる称呼「ハンズ」をもって取引に当たっている旨主張する。
しかしながら、申立人の挙示する事実が存するとしても、登録出願の審査は、登録出願に係る商標について、商標法所定の登録要件により商標登録を許容するか否かについてなされるものである(商標法第15条)。しかして、登録異議申立制度は、審査の適否を審理し、ひいては商標登録処分の瑕疵を是正するためのものであるから、その申立ての審理の対象となる登録商標は、登録出願に係る商標、すなわち、登録出願の願書に記載した商標に基づいて定められるべきである。加えて、登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならないと規定されている(商標法第27条第1項)。
そうすると、本件商標が別掲のとおりの構成のものとして願書に記載されている以上は、それをもって、本件商標の認定を行うべきである。
しかして、本件商標については、前記(1)のとおり認定するのが相当であり、引用商標との類否については,前記(3)のとおり判断するものである。
イ 申立人は、全国各地に店舗を展開し、住まいと住生活・手づくり関連の
製品・道具・工具・素材・部品の総合専門小売業として取引者・需要者から「東急ハンズ\TOKYU HANDS」ないし「ハンズ\HANDS」として知られ、一部店舗において飲食物の提供をも行っている旨主張する。
しかしながら、引用商標が、本件商標と抵触する役務である「飲食物の提供」について広く需要者間に知られているものということは、認められない。そうとすれば、申立人の主張は、本件の審理に影響を与えるものではない。
ウ 申立人は、知財高裁平成18年9月28日判決を引用し、当該判決によれば本件商標と引用商標とが類似することは明らかである旨主張する。
しかしながら、申立人の挙示する判決が存するとしても、本件商標及び引用商標とは構成態様が相違し、かつ、取引の実情も同列に論じられない事案に係る判決を本件の審理に適切なものということはできない。しかして、そもそも、商標の類否の判断は、対比する両商標の構成態様及びその抵触する役務との関係から、個別かつ具体的に判断をなすべきものであって、本件の審理が、前記の判決により左右されるものではない。
以上のとおり、申立人の主張はいずれも理由がなく、採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)

(色彩については原本参照)

異議決定日 2012-03-29 
出願番号 商願2010-87699(T2010-87699) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (X43)
T 1 651・ 263- Y (X43)
T 1 651・ 262- Y (X43)
最終処分 維持  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 内田 直樹
前山 るり子
登録日 2011-09-02 
登録番号 商標登録第5436196号(T5436196) 
権利者 株式会社ステージングアップ沖縄
商標の称呼 ハンズ、ハン、エイチエイエヌ、エッチエイエヌ 
代理人 有吉 修一朗 
代理人 絹谷 信雄 
代理人 絹谷 晴久 

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