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審決分類 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない X09
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
管理番号 1253565 
審判番号 不服2011-1222 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-01-19 
確定日 2012-02-20 
事件の表示 商願2009- 48648拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第9類「調理用計量カップ」を指定商品として、平成20年10月22日に登録出願された商願2008-85606に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同21年6月26日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下のとおり認定、判断をして、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「iwaki」の欧文字を、やや図案化して横書きしてなるところ、該文字は、福島県南東部に位置し、東北地方でも有数の工業都市として知られる「いわき市」の市名を欧文字で表記したものと容易に認識されるものであって、この程度の文字の態様にあっては、いまだ普通に用いられる方法を脱しないものといえるから、これをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示したものと理解するにとどまるため、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標は、ありふれた氏である「岩城」又は「岩木」の文字を欧文字で表記したものと容易に認識されるものであるから、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲(1)のとおり、各文字が太字で表された「iwaki」の欧文字よりなるところ、構成中、「a」の文字の弧状を描く線の一端が途切れてやや開放され、「k」の文字の右側の「く」の字型部分が左側の縦線部分と接しないでやや離れているなどして表されてはいるものの、「iwaki」の欧文字をややデザイン化したものと無理なく看取できるものであり、この程度の文字のデザイン化は、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものというのが相当である。
そして、株式会社三省堂発行「コンサイス日本地名事典<第5版>」(2007年11月20日第1刷発行)、株式会社岩波書店発行「広辞苑 第六版」(2008年1月11日第1刷発行)及び新聞記事(例えば、平成23年4月4日付け日刊工業新聞1面、平成22年9月1日付け北海道新聞朝刊26面等)等によれば、福島県南東部に、東北地方でも有数の工業都市として知られる「いわき市」が存在することが認められるところ、日常の商取引において、地名を表す場合は、必ずしも漢字、平仮名又は片仮名のみに限らず、ローマ字で表す場合も決して少なくないことよりすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これを福島県の「いわき市」の市名をローマ字で表したもの、すなわち、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するというのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの原査定は妥当なものである。
(2)商標法第3条第1項第4号について
本願商標は、前記(1)とおり、各文字が太字で表された「iwaki」の欧文字を、普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものであるというのが相当である。
そして、東日本電信電話株式会社発行「ハローページ(東京都23区 個人名全区版・上巻)」(平成13年3月発行)によれば、「岩城」又は「岩木」の氏を有する者が多数(計300名)存在することが認められるところ、日常の商取引において、氏を表す場合は、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ字で表す場合も決して少なくないことよりすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏の「岩城」又は「岩木」をローマ字で表したもの、すなわち、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するというのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するとの原査定は妥当なものである。
(3)請求人の主張について
請求人は、商標「iwaki」は、極めて長い業務歴史のある岩城硝子のハウスマークとして、耐熱ガラス製の「調理用計量カップ」を初めとするキッチン用品や食器などの岩城硝子の特殊ガラス家庭用品について長い使用実績があり、需要者・取引者によく浸透しているため、市名である「いわき市」や人の姓である「岩城」や「岩木」などを想起させるものではなく、広く知られた岩城硝子の業務主体を想起させるものである旨主張し、証拠として第1ないし第4号証を提出している。
しかしながら、本願商標がその指定商品(調理用計量カップ)について使用された事実を確認できる証拠は、第4号証の商品カタログ(2008年ないし2010年の3年間)のみであり、当該カタログの作成部数、頒布の状況等も明らかでない。また、本願商標の使用に係る指定商品について、その販売数量、売上高及び市場に占める割合(シェア)、広告宣伝の期間・地域、内容及び規模等を立証する的確な証拠の提出もない。よって、本願商標が、岩城硝子の業務主体を想起させるものということはできない。
また請求人は、本願商標の書体は、別掲(2)の請求人所有の登録第4327410号商標「iwaki」(以下「請求人登録商標」という。)の態様を基礎にして、さらに力強い特徴あるデザインを施したものであるため、商標法第3条第1項第3号及び第4号の「普通に用いられる方法で表示」するものではない旨、会社の製品コンセプトや企業イメージの刷新から、商標自体の構成態様をリニューアルして行くことは企業活動においては一般化しており、かかる状況下で、それまで長い期間にわたって保護されていた商標に化体された業務上の信用がほんのわずかの文字自体の表示の変更によって最早保護されないというのでは合理性を欠く旨主張している。
しかしながら、請求人登録商標は、語頭と語尾の「i」の文字に相当する部分の縦線が二重線で表されることで、あたかも「wak」の文字が二重の縦線の上に黒丸を配した一種の図形のようなものに挟まれているかのような印象を与える点に特徴を有するのに対し、本願商標はかかる特徴を有していないため、両者の構成態様は異なるものと言わざるを得ず、「ほんのわずかの文字自体の表示の変更」ということはできない。また、そもそも請求人登録商標の指定商品は第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。)、コーヒー沸かし(電気式または貴金属製のものを除く。)、食器類(貴金属製のものを除く。)、アイスペール、食品保存用ガラス瓶、ガラス製包装用容器、花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。)」であって、本願指定商品の第9類「調理用計量カップ」を含むものではない。
さらに請求人は、「iwaki」の文字は、様々な漢字も該当し(例えば、「磐城」、「磐木」、「井脇」、「石脇」等)、また、「いわき市」という地名や「岩城」等の人の苗字に関係なく多くの名称で採用されている(例えば、「IWAKI PUMPS」「IWAKI KOGYO CO.,LTD.」「Car net Iwaki」等)から、市名である「いわき市」、又は苗字としての「岩城」若しくは「岩木」等を想起させるものではない旨主張している。
しかしながら、前記(1)及び(2)のとおり、本願商標は「iwaki」の欧文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、福島県南東部に東北地方でも有数の工業都市として知られる「いわき市」が存在すること、「岩城」又は「岩木」の氏を有する者が多数存在すること、日常の商取引において地名又は氏を表す場合はローマ字で表す場合も決して少なくないことよりすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これを福島県の「いわき市」の市名又はありふれた氏の「岩城」若しくは「岩木」をローマ字で表したものと理解し得るというのが相当である。
なお、請求人は、「IWAKI」の欧文字又は「イワキ」の片仮名からなる他人の商標登録例の存在を主張するが、請求人主張に係る商標登録例があるとしても、商標の登録適格性の有無は、各商標につき個別的に判断すべき性質のものであるから、請求人の主張は採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同第4号に該当するとした原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本願商標



(2)請求人登録商標(登録第4327410号)



審理終結日 2011-12-13 
結審通知日 2011-12-16 
審決日 2011-12-27 
出願番号 商願2009-48648(T2009-48648) 
審決分類 T 1 8・ 14- Z (X09)
T 1 8・ 13- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門倉 武則高橋 幸志 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田中 亨子
森山 啓
商標の称呼 イワキ 
代理人 田中 秀樹 

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