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審決分類 審判 全部取消 商51条権利者の不正使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030
管理番号 1253480 
審判番号 取消2010-301248 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-11-22 
確定日 2012-02-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第3263148号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3263148号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3263148号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成6年6月13日に登録出願、第30類「菓子」を指定商品として、同9年2月24日に設定登録され、その後、同18年11月28日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証、甲第51号証、甲第60号証ないし甲第78号証、甲第81号証、甲第90号証及び甲第101号証ないし甲第108号証(枝番を含む。なお、枝番の全てを引用する場合には、その記載を省略する。)を提出した。
1 請求の理由
以下のとおり、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)は、故意に、指定商品について登録商標に類似する商標を使用して、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものを行っている。
したがって、本件商標の登録は、商標法第51条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
(1)商標権者の使用に係る商標(以下、アないしスに示す商標について、順次、「使用商標1」、「使用商標2」といい、これらを総称する場合は、単に「使用商標」という。)
ア 使用商標1
使用商標1は、商品「せんべい」の中型包装袋の右上部に「銀座」の文字を表し、その左に頭を揃えて「七福神」の文字を、強調するために黒色の縦長方形の枠の中の、茶色の地に、「銀座」の文字に比べてかなり大きく、別々の態様で、少し離して、縦二行になるように配して表したものであり、それらの文字の下に、七福神の図形が表されているものである(甲第2号証の1)。そして、「銀座」の文字は、普通に用いられる赤色の印刷書体で表す一方、「七福神」の文字はレタリングを施して表したものである。「七福神」の文字は、「銀座」の文字に比べて2倍程の大きさの太字で黒色の縦長方形の枠の中に黒色で表したものである。「七福神」の文字の左には、「華の銀座は」、「味の賑わい。」、「一袋で七つの幸。」の各文字群を、「七福神」の文字の九分の一程の小ささで、かつ、「銀座」及び「七福神」の文字よりやや語頭を下げ、揃えて縦三行に分けて表し、その左下方に四角の枠で囲んだ「福」の一字を赤色で落款風に表し、袋の最上段に配した茶色の地に「GINZA」の文字を白抜きして表したものである。
イ 使用商標2
使用商標2は、商品「せんべい」の中型包装袋の正面の中央上部に「神々乃海の幸」と「海老一筋」の文字群を黒色で二行に大きく縦書きし、その右側に「七福神」の文字を黒で枠取りした縦長方形の濃赤色の地の中に黒色で表し、さらにその右に「七福神」の文字の二分の一程の小ささで、「銀座」の文字を、「七福神」の文字から離して黒色で表したものである(甲第2号証の2)。さらに、これら「銀座」と「七福神」の2つの文字群の下に海老の図を配し、「神々乃海の幸」と「海老一筋」の文字群の左下部には七福神が乗った宝船の図を配してなるものである。
ウ 使用商標3
使用商標3は、商品「おかき」の包装用巾着袋の正面中央上部に、「七福神」の文字を、四角形の濃紫色の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を太字で白抜きし縦一列に等間隔に並べて表し、その上部に「七福神」の文字とは別個に、「七福神」の文字から1字分ほど離して、「七福神」の文字の二分の一程の小ささで、細字で、「銀座」の文字を縦書きして表したものである(甲第2号証の3)。
エ 使用商標4
使用商標4は、商品「せんべい」の包装用巾着袋の正面の中央やや上部に、黒で枠取りした縦長方形の濃赤色の地の中に「七福神」の文字を黒色で縦書きし、その右側に、「銀座」の文字を「七福神」の文字の二分の一程の小ささで、離して、縦書きし、「七福神」と「銀座」の各文字の下部に海老の図を表し、それらの左側に「神々乃海の幸」と「海老一筋」の文字群を黒色で縦二行に配して表したものである(甲第2号証の4)。
オ 使用商標5及び6
使用商標5及び6は、インターネット上で広告された画像で、商品「せんべい」などの包装用中型袋及び包装用箱に、大きさの異なる「銀座」の文字と「七福神」の文字とを、色彩を異にした別々の態様で縦二行に表し、「七福神」の文字左側には、「華の銀座は」、「味の賑わい。」、「一袋で七つの幸。」の各文字群を縦三行に分けて表し、その左下方に四角の枠で囲んだ「福」の一字を赤色で落款風に表し、包装用中型袋の下半分には「七福神」の図が配されているものである(甲第2号証の5及び6)。
カ 使用商標7
使用商標7は、インターネット上で広告された画像で、商品「せんべい」などの商品説明票(パネル)に、大きさの異なる「銀座」の文字と「七福神」の文字とを、離して、別々の態様で縦二行になるように表されたものである。さらに、「七福神」の文字左側に、「華の銀座は」、「味の賑わい。」、「一袋で七つの幸。」の各文字群を縦三行に分けて表し、その左下方に四角の枠で囲んだ「福」の一字を赤色で落款風に表し、その左上の逆三角の地に「当店自慢の」と「おすすめ商品です。」の文字群を縦二行に表し、その左下に図形とともに「ぎんざ」と「花のれん」の文字を表したものである(甲第2号証の7)。
キ 使用商標8
使用商標8は、インターネット上で広告された画像で、商品「おかき」の包装用巾着袋に、「銀座」の文字と「七福神」の文字とを大きさを異にする別の書体で、上段・下段に離して、縦書きして表されたものである(甲第2号証の8)。
ク 使用商標9
使用商標9は、インターネット上で広告された画像で、商品「せんべい」の包装用巾着袋に、大きさを異にする「銀座」の文字と「七福神」の文字とを、離して、別々の態様で縦二行に表し、それらの「七福神」と「銀座」の各文字の下部に海老の図を表し、それらの左側に「神々乃海の幸」と「海老一筋」の文字群を縦二行に配して表されたものである(甲第2号証の9)。
ケ 使用商標10
使用商標10は、カタログに表示されたものであり、商品「おかき」などの写真の左横に、かつ、「七福神」の文字が表された「せんべい、あられ」入りの2つの巾着袋の上側に、紫色の四角形の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を白抜きし横一列に等間隔に並べて表し、その上部に「七福神」の文字とは別個に、離して、「銀座」の文字を横書きし、頭を揃えて横二段になるようにして表したものである(甲第2号証の10)。
コ 使用商標11
使用商標11は、カタログに表示されたものであり、商品「あられ」などの包装用缶の上蓋に、四角形の紫色の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を太字で白抜きし縦一列に等間隔に並べて表し、その上部に「七福神」の文字とは別個に、「七福神」の文字から半字分ほど離して、「七福神」の文字の二分の一程の小ささで、細字で、「銀座」の文字を縦書きして表したものである(甲第2号証の11)。
サ 使用商標12
使用商標12は、カタログに表示されたものであり、商品「おかき」などの写真の左横に、かつ、「七福神」の文字が表された「せんべい、あられ」入りの2つの巾着袋の上側に、紫色の四角形の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を白抜きし横一列に等間隔に並べて表し、その左側に「七福神」の文字とは別個に、離して、「銀座」の文字を横書きして表したものである(甲第2号証の12)。
シ 使用商標13
使用商標13は、カタログに表示されたものであり、商品「おかき」などの商品説明票(しおり)には、金色若しくは黄色の四角形の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を黒色で縦一列に等間隔に並べて表し、その右側に「七福神」の文字とは別個に、離して頭を下げて、「銀座」の文字を金色若しくは黄色で縦書きして表したものである(甲第2号証の13)。
ス 使用商標14
使用商標14は、カタログに表示されたものであり、商品「おかき」などの包装用缶の上蓋に、四角形の紫色の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を太字で白抜きし縦一列に等間隔に並べて表し、その上部に「七福神」の文字とは別個に、「七福神」の文字から半字分ほど離して、「七福神」の文字の二分の一程の小ささで、細字で、「銀座」の文字を縦書きして表したものである(甲第2号証の14)。
(審決注:請求人は、商標権者の使用する本件商標以外の登録商標の使用や商標権者以外の者による本件商標の使用を挙げ、甲第3号証として提出しているが、本件審判が商標法第51条に基づく商標登録の取消しの審判であることにかんがみて、これらについては、省略する。)
(2)本件商標と使用商標との類否
ア 使用商標1、5及び6
本件商標は、「銀座七福神」の文字を同書、同大、等間隔で縦書きしてなるものであるのに対し、使用商標1、5及び6は、大きさの異なる「銀座」の文字と「七福神」の文字とを、離して、色彩を異にし、別々の態様で縦二行に表された標章であるから、両者は、同一の商標とはいえない。また、使用商標1、5及び6は、「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるから、本件商標と該観念及び称呼を共通にする、全体として類似する商標である。
イ 使用商標2、4及び9
使用商標2、4及び9は、「七福神」の文字を黒で枠取りした縦長方形の濃赤色の地の中に黒色で表し、さらにその右に「七福神」の文字の二分の一程の小ささで、「銀座」の文字を、「七福神」の文字から離して黒色で表したものであるから、本件商標とは、同一の商標とはいえない。また、使用商標2、4及び9は、「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるから、本件商標と該観念及び称呼を共通にする、全体として類似する商標である。
ウ 使用商標3、8、11及び14
使用商標3、8、11及び14は、四角形の紫色の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を太字で白抜きし縦一列に等間隔に並べて表し、その上部に「七福神」の文字とは別個に、「七福神」の文字から半字分ほど離して、「七福神」の文字の二分の一程の小ささで、細字で、「銀座」の文字を縦書きして表したものであるから、本件商標とは、同一の商標とはいえない。また、使用商標3、8、11及び14は、「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるから、本件商標と該観念及び称呼を共通にする、全体として類似する商標である。
エ 使用商標7
使用商標7は、大きさの異なる「銀座」の文字と「七福神」の文字とを、離して、別々の態様で縦二行になるように表されたものであるから、本件商標とは、同一の商標とはいえない。また、使用商標7は、「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるから、本件商標と該観念及び称呼を共通にする、全体として類似する商標である。
オ 使用商標10
使用商標10は、「銀座」の文字と「七福神」の文字とを上下二段に、書体を異にして表してあるから、本件商標とは、同一の商標とはいえない。また、使用商標10は、「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるから、本件商標と該観念及び称呼を共通にする、全体として類似する商標である。
カ 使用商標12
使用商標12は、紫色の四角形の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を白抜きし横一列に等間隔に並べて表し、その左側に「七福神」の文字とは別個に、離して、「銀座」の文字を横書きして表したものであるから、本件商標とは、同一の商標とはいえない。また、使用商標12は、「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるから、本件商標と該観念及び称呼を共通にする、全体として類似する商標である。
キ 使用商標13
使用商標13は、金色若しくは黄色の四角形の3つの地にそれぞれ「七」、「福」、「神」の各文字を黒色で縦一列に等間隔に並べて表し、その右側に「七福神」の文字とは別個に、離して頭を下げて、「銀座」の文字を金色若しくは黄色で縦書きして表したものであるから、本件商標とは、同一の商標とはいえない。また、使用商標12は、「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるから、本件商標と該観念及び称呼を共通にする、全体として類似する商標である。
(3)請求人がその業務に係る商品「あられ、おかき、せんべい」(以下「請求人商品」という。)に使用する商標(以下アないしトに示す商標について、順次、「引用商標1」、「引用商標2」といい、これらを総称する場合は、以下、単に「引用商標」という。)。
ア 引用商標1は、包装用小袋に、恵比寿、大黒など七福神の一体の図形の上部に「七福神あられ」の文字を表したものである(甲第4号証の1)。
なお、「七福神」は、第30類「菓子及びパン」について、登録第4004283号商標として登録され、「七福神あられ」は、第30類「あられ」について、登録第5069835号商標として登録されている(甲第1号証の2の1及び3)。
イ 引用商標2は、中型の包装用袋に、恵比寿、大黒など七福神の一体の図形の下部に「七福神あられ」の文字を表したものである(甲第4号証の2)。
ウ 引用商標3は、中型の包装用袋に、「アメとあられの」と「七福神」の文字を二段に表し、その下部に「七福神が乗った宝船」の図形を表したものである(甲第4号証の3)。
エ 引用商標4は、中型の包装用袋に、恵比寿、大黒など七福神の一体の図形の下部に「七福神あられ」の文字を表したものである(甲第4号証の4)。
オ 引用商標5は、やや大きめの中型の包装用袋に、「七福神あられ」の文字を表し、その下部に「七福神が乗った宝船」の図形を表したものである(甲第4号証の5)。
カ 引用商標6は、大型の包装用巾着袋に、「七福神が乗った宝船」の図形と、その下に「七福神あられ」の文字を表したものである(甲第4号証の6)。
キ 引用商標7は、包装紙に、「七福神」と「あられ」の各文字を、細い円輪郭の中に輪郭に接するよう配し、該円輪郭の周りに七福神の七体の図形を表したものである(甲第4号証の7)。
なお、引用商標7は、第30類「あられ」について登録された登録第4271574号商標と同一のものである(甲第1号証の2の2)。
ク 引用商標8は、小型Aの包装用紙箱に、縦書きの「七福神」及び横書きの「七福神」の文字を表したものである(甲第4号証の8)。
ケ 引用商標9は、小型Bの包装用紙箱に、縦書きの「七福神」及び横書きの「七福神」の文字を表したものである(甲第4号証の9)。
コ 引用商標10は、中型Aの包装用紙箱に、縦書きの「七福神」及び横書きの「七福神」の文字を表したものである(甲第4号証の10)。
サ 引用商標11は、中型Bの包装用紙箱に、縦書きの「七福神」及び横書きの「七福神」の文字を表したものである(甲第4号証の11)。
シ 引用商標12は、大型Bの包装用紙箱に、「七福神」と「あられ」の各文字を、細い円輪郭の中に輪郭に接するよう配し、「七福神」の文字と「あられ」の文字を、細い円輪郭の中に輪郭に接するように表したものを帆印とする「七福神が乗った宝船」の図形を配したものである(甲第4号証の12)。
なお、「七福神」と「あられ」の各文字を、細い円輪郭の中に輪郭に接するよう配した商標は、登録第4576030号商標として登録されている(甲第81号証の1の3)。
ス 引用商標13ないし引用商標15は、小型ないし中型の包装用缶に貼付されたラベルに、縦書きの「七福神あられ」の文字と、その右に「招福七福神」の文字を帆印とする「七福神が乗った宝船」の図形を配したものである(甲第4号証の13ないし15)。
セ 引用商標16は、小型の包装用手提げ袋に、「七福神あられ」の文字を表したものである(甲第4号証の16)。
ソ 引用商標17及び引用商標18は、中型ないし大型の包装用手提げ袋に、「七福神あられ」の文字を横書きし、その下部に、「七福神が乗った宝船」の図形を表したものである(甲第4号証の17及び18)。
タ 引用商標19及び引用商標20は、中型の包装用ダンボール箱の横面に表示されたものである。
(ア)引用商標19は、「七福神あられ」の文字を表したものである(甲第4号証の19)。
(イ)引用商標20は、「七福神」の文字を表したものである(甲第4号証の20)。
チ 引用商標21ないし引用商標27は、インターネット上で表示されたものである。
(ア)引用商標21は、「七福神」の文字と「あられ」の文字を、細い円輪郭の中に輪郭に接するように表したものを帆印とする「七福神が乗った宝船」の図形を配したものである(甲第4号証の21)。
(イ)引用商標22ないし27は、「七福神」の図形及び「七福神あられ」の文字が表示されている(甲第4号証の22ないし27)。
ツ 引用商標28及び引用商標29は、中型の包装用袋又は大型Aの包装用紙箱に、横書きした「開運七福神あられ」の文字と、その下に「七福神が乗った宝船」の図形を配したものである(甲第4号証の28及び29)。
テ 引用商標30は、中型の包装用袋に、縦書きにした「鎌倉七福神」の文字と、その左に「七福神」の図形等を配したものである(甲第4号証の30)。
ト 引用商標31は、中型の包装用袋に、縦書きにした「日本橋七福神」の文字と、その左に「七福神」の図形等を配したものである(甲第4号証の31)。
(4)請求人の営業活動
ア 請求人は、「おかき、あられ、せんべい」などの製造・販売業者として、明治29年に東京日本橋において創業し、同42年に群馬県前橋市へ営業拠点を移した後、個人営業から有限会社幸煎餅、株式会社幸煎餅へと組織変更を経て現在に至るまで、100有余年の間、営業活動を継続してきた。平成22年11月現在、請求人は、群馬県前橋市千代田町4-19-3所在の本店をはじめ、群馬県、東京都及び静岡県の直営店並びに子会社店の合計4店を擁している。また、取扱店は、三越銀座店、高島屋高崎店、ダイエー大宮店など、群馬県を中心に67店舗に及ぶ(以上、甲第51号証)。
イ 広告・宣伝活動
(ア)ホームページの開設
請求人は、平成14年1月ころに、ホームページを開設し、「七福神あられ」などの文字と共に請求人商品を紹介している(甲第61号証)。
(イ)新聞
請求人は、上毛新聞、桐生タイムス、静岡新聞などの地方紙、菓子食品新報、東京中日スポーツ・スポーツ報知・日刊スポーツ・スポーツニッポンなどのスポーツ紙、メトロガイド等に「七福神あられ」などの文字と共に請求人商品の広告をした。その他、読売新聞や毎日新聞などの全国紙にも「七福神あられ」などの商品の広告をした(甲第62号証)。
(ウ)雑誌
請求人は、「文藝春秋」、「オール讀物」、「月刊ぷらざ」、「パリッシュ」、「週刊文春」、「NHKウィークリーステラ」、「クロワッサン」等の雑誌に「七福神あられ」などの文字と共に請求人商品の広告をした(甲第63号証)。
(エ)ちらしその他
請求人は、請求人商品に関し、ちらし、パンフレットを作成し、これらを頒布した。また、請求人商品について、その包装容器、電飾サインボードや新橋演舞場のプログラム等に掲載したり、ラジオやテレビを媒介して広告をした(甲第64号証ないし甲第70号証)。
以上のように、請求人は、多額の費用を費やし、数多の広告・宣伝を行っている。例えば、月刊「文藝春秋」(甲第63号証の1)の平成21年度の1年だけの広告費用は、約540万円を超える(甲第60号証の1の1)。 ウ 紹介情報
「七福神あられ」などの請求人商品は、郵便局が取り扱う「ゆうパック」や「ふるさと小包」などのパンフレット、雑誌、新聞、パンフレット等で紹介された(甲第71号証ないし甲第78号証)。
(5)出所の混同について
ア 引用商標の周知・著名性
上記(4)のとおり、引用商標は、請求人商品を表示するものとして、取引者、一般需要者に広く認識されていたものである。
イ 使用商標と引用商標との類似性
使用商標は、上記(1)及び(2)のとおり、その構成文字より「銀座の七福神」の観念及び「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるところ、その構成中の「銀座」の文字部分は、東京都中央区に存する日本の代表的な繁華街の名称であり、商品の産地又は販売地を示すものと認識されるから、「七福神」の文字部分が独立して商品の識別機能を有し、使用商標の要部といえるものである。
そうとすると、使用商標は、引用商標と、「七福神」の観念及び「シチフクジン」の称呼を共通にするものであるから、外観の相違点を考慮しても、それらは、全体として類似する商標である。
ウ したがって、商標権者が、本件商標と類似する使用商標を、「あられ、おかき、せんべい」について使用するときは、これに接する取引者及び一般需要者に、該商品があたかも請求人又は請求人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせ、若しくは、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
(6)商標権者の故意について
商標権者は、東京都品川区南大井3丁目12番16号に本社を置く「おかき、せんべい」などの米菓の製造・販売業者であり、請求人と同業者である(甲第2号証の5の4等)。請求人が「七福神」及び「七福神」を要部とする引用商標を、請求人商品について長年にわたり使用し、かつ、広告・宣伝を行った結果、「七福神」商標は、遅くとも平成13年7月ころには、とりわけ、関東一円において、請求人商品を表示するものとして、取引者、一般需要者に広く認識されていたものであり、商標権者は、その事実を当然知っていたものである(甲第4号証の1の1ないし甲第70号証の6の2及び甲第71号証の1の1の1ないし甲第78号証の2の2)。商標権者は、請求人が請求人商品について使用する引用商標を知った上で、本件商標を「銀座」と「七福神」とに分断し、別々の態様で、離して縦二行に表すなどして、「七福神」を際立たせ、一般需要者が請求人の業務に係る商品と混同を生ずることを認識しながら、自己の業務に係る商品「おかき」又は「せんべい」について、使用商標を使用したものである。
したがって、商標権者は、故意をもって、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる商標を、本件商標の指定商品について使用しているものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 「銀座七福神」について
七福神とは、福徳をもたらす神として広く信仰されている七体の神のことをいい、七福神の社寺を巡拝して福徳を祈ることを「七福神詣で」、「七福神参り」と称し、近世から盛んに行われている(乙第1号証)。七福神は、全国各地の社寺に祭られ、信仰の対象となっているものであって、「銀座七福神」も現存する(乙第2号証及び乙第3号証)。全国各地に点在する七福神は、「日本橋七福神」、「柴又七福神」、「亀戸七福神」のごとく、各地の地名を冠した名称の下、互いに区別されている。
商標権者は、福をもたらす神として信仰され、縁起の良い「七福神」であって、しかも東京の中心地である銀座に所在する「銀座七福神」にあやかり、これを菓子の商標として採択し、昭和63年から継続して使用している。
2 本件商標の使用態様について
本件商標は、甲第2号証の10ないし14(郵便局株式会社発行「東京お歳暮特選品カタログ」、「東京お中元特選品カタログ」)のとおり、おかきの詰め合わせに使用する商標である。上記カタログにおいて、「商品番号」の上部に各商品名が表示されているところ、本件商標に係る商品は、商品名として「銀座七福神」の文字が同書、同大、同間隔に表示されている。
需要者は、商品名と商品番号を照合して商品を購入するものであり、商品名として一体不可分の構成で表示されている「銀座七福神」を当該商品の商品名(商標)として認識するとみるのが自然である。
そうとすれば、「銀座」と「七福神」を左右二列、あるいは上下二段に表示されていても、これらは商品名として表示されている上記「銀座七福神」と同じ頁に表示されていることから、「銀座七福神」と同じ商品についての表示と容易に理解するものであって、一般需要者は、これを「銀座七福神」の一連の商標と認識するものである。
「七福神」自体は請求人の造語ではなく、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、布袋、福禄寿、寿老人の七神の総称として、元々我が国で有名である。
したがって、小袋に表示された「七福神」の文字部分についても、これを請求人の商標と認識するようなことはなく、各神をイメージしたキャラクター漫画と相俟って「七福神」を連想させる小袋のデザインと見るか、あるいは「銀座」の文字と一体的に見て「銀座七福神」という一つの商標と見るものである。
3 混同のおそれについて
請求人は、請求人が登録商標「七福神」、「七福神/あられ」を有していると述べているが、商標出願・登録情報においては、「秩父七福神」、「箱根七福神」、「武州七福神」等、地名と七福神の文字からなる商標が、上記した請求人の登録商標とは非類似であると判断され、多数登録されている(乙第4号証)。
これは、七福神信仰が広まる中、各地に「七福神」を祭った社寺が建立され、「秩父七福神」、「箱根七福神」、「武州七福神」のごとく、地名を冠したご当地の七福神が日本全国に存在し、しかも、各名称の下に区別されている取引実情を考慮したものである。
インターネット上で確認することができる、商品「菓子」に使用されている「地名」と「七福神」とからなる商標例は以下のとおりである。
(1)「飯山七福神」(乙第5号証及び乙第6号証)。
当該商標は、長野県飯山市の製菓会社が「かりんとう」に使用しており、その商品について、「北信州飯山七福神にあやかって七つの味のかりんとうがセットになりました。・・」との説明がされている。
(2)「秩父七福神」(乙第7号証及び乙第8号証)。
当該商標は、秩父市の会社が「サブレ」に使用している。
(3)「すぎと七福神」(乙第9号証及び乙第10号証)。
当該商標は、埼玉県杉戸町内の会社が「どら焼」に使用しており、その商品について「一枚一枚手焼きでつくった皮に挟まれた飴の中から、七福神になぞらえた青えんどうが時折顔を出すという遊び心いっぱいのお菓子です。」との説明がされている。
(4)「彩の国七福神」(乙第11号証及び乙第12号証)。
埼玉県の製菓会社が「せんべい」に使用しており、その商品について「美味しいおせんべいを通じて、七福神のご利益をおすそわけ。」との説明がされている。
上記のように、地名と七福神の文字とからなり、現存する七福神の名称を商標とする菓子は混同されることなく区別して取引されており、「銀座七福神」を一体的に使用している本件商標の使用商標が、引用商標「七福神あられ」との間で出所の混同を生じさせるおそれはない。
また、「銀座」と「七福神」の各文字を、行を変えて表示された使用態様については、上記のように、請求人の商標を認識させるようなことはなく、七福神の各神をイメージしたキャラクター漫画と相俟って「七福神」を連想させる小袋のデザインと認識されるか、あるいは「銀座」の文字と一体的に見て「銀座七福神」という一つの商標と認識されるものであって、引用商標「七福神あられ」と混同を生じさせるおそれはないものである。
さらに、商標権者の商品は、郵便局株式会社発行の「東京お歳暮特選品カタログ」、「東京お中元特選品カタログ」に掲載される程に信用、人気を得ているものである。この一事からも、本件商標には、独自の営業努力に基づいた業務上の信用が化体している事が容易に理解できるものであり、引用商標との間で出所の混同を問題とされるいわれはない。
4 まとめ
以上のように、本件商標は、商標法第51条第1項の規定に該当するものではない。

第4 当審の判断
1 商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定しているところ、請求人は、商標権者による指定商品についての使用商標の使用は請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものを行っている旨主張するので、以下検討する。
2 使用商標の構成態様・使用者・使用時期・使用商品
(1)甲第2号証の1ないし14によれば、使用商標の構成態様は、以下のとおりである。
ア 使用商標1、5及び6
使用商標1は、別掲(2)のとおり、明朝体風に表した「銀座」の文字を赤で着色して縦書きにし、その左に、黒色の縁を有する茶色地矩形内に宋朝体風に表した「七福神」の文字を黒色で大きく縦書きし、さらに、これらの文字の左に、「華の銀座は」、「味の賑わい。」、「一袋で七つの幸。」の各文字を三行にして小さく縦書きにしてなり、これらの文字中の「幸」の左斜め下には、赤色の正方形輪郭内に赤色で表された「福」の文字を小さく配してなるものである。そして、上記のすべての文字の下に、「七福神」の図形を大きく描いて配してなるものである。
また、使用商標5及び6は、同一のものと認められるところ、これらは、その構成中の「七福神」の図形が、使用商標1における「七福神」の図形の配置とはやや異なり、すべての文字の左下方に配されているものであり、それ以外は、使用商標1と同一の構成態様からなるものである。
イ 使用商標2、4及び9
使用商標2は、別掲(3)のとおり、清朝体風に表した「銀座」の文字を黒色で縦書きし、その左に、黒色の縁を有する赤地矩形内に清朝体風に表した「七福神」の文字を大きく黒色で縦書きし、さらに、これらの文字の左に、「神々乃海の幸」、「海老一筋」の各文字を黒色で二行にして大きく縦書きにしてなり、上記「七福神」の文字の下には、「えび」の図形を、また、「海老一筋」の文字の左下には、「宝船に乗った七福神」の図形を配してなるものである。
また、使用商標4及び9は、同一のものと認められるところ、これらは、使用商標2における「宝船に乗った七福神」の図形を有しないが、それ以外は、使用商標2と同一の構成態様からなるものである。
ウ 使用商標3、8、11及び14
使用商標3及び8は、別掲(4)のとおり、行書で表した「銀座」の文字を紫色で縦書きにし、その下に、紫色地の正方形3つを縦に並べ、上から順にそれぞれの正方形内に、清朝体風に表した「七」、「福」、「神」の各文字を白抜きで表してなるものである(使用商標3及び8は、背景の付記的模様の色彩において、若干の差異があるが、それ以外は、同一の構成態様からなるものと認められる。)。
また、使用商標11及び14は、同一のものと認められるところ、これらは、使用商標3及び8における背景の付記的模様の位置が若干相違し、かつ、「銀座」の文字及び正方形内の地色が黒色で表されている以外は、使用商標3及び8と同一の構成態様からなるものである。
エ 使用商標7
使用商標7は、明朝体風に表した「銀座」の文字を赤で着色して縦書きにし、その左に、緑色地の正方形3つを縦に並べ、上から順にそれぞれの正方形内に、宋朝体風に表した「七」、「福」、「神」の各文字を茶色で大きく表してなるものであり、さらに、これらの文字の左には、「華の銀座は」、「味の賑わい。」、「一袋で七つの幸。」の各文字を三行にして小さく縦書きにして表されている。また、上記文字の左には、「当店自慢のおすすめ商品です。/ぎんざ花のれん」の文字が縦書きされている。
オ 使用商標10及び12
使用商標10は、別掲(5)のとおり、行書で表した「銀座」の文字を横書きし、その下に、黒地の正方形3つを横に並べ、左から順にそれぞれの正方形内に、清朝体風に表した「七」、「福」、「神」の各文字を白抜きで表してなるものである。
また、使用商標12は、使用商標10を構成する各文字と同一の文字及び書体等からなるが、使用商標10と異なる点は、「銀座」の文字部分と3つの正方形内に表した「七」、「福」、「神」とを横一列に配してなる点のみである。
カ 使用商標13
使用商標13は、白地の正方形3つを縦に並べ、上から順にそれぞれの正方形内に、清朝体風に表した「七」、「福」、「神」の各文字を黒字で表し、これらの文字の右に、行書で表した「銀座」の文字を縦書きにしてなるものである(なお、使用商標13は、写真全体が不鮮明であるため、上記文字以外の文字は判読することができない。)。
(2)使用商標の使用者・使用時期及び使用商品
ア 甲第2号証の1ないし14によれば、以下の記載がある。
(ア)使用商標1が表示された包装袋の裏面には、中央より右側に、「商品名:銀座七福神」などの文字が記載され、同左側には、「名称:米菓」、「原材料:もち米・・」、「内容量」、「販売者:(株)銀座花のれん」などの文字が記載されている(甲第2号証の1の1)。また、甲第2号証の1の3として提出されたレシートには、「錦糸町TokyuStore/名菓ひよこ」、「2006年12月28日(木)16:23 No:0164」、「小計 ¥1,050/合計 ¥1,050」等が記載されている。
同じく使用商標1が表示された包装袋の裏面には、中央より右側に、「賞味期限/07.3.29」、「商品名:銀座七福神」などの文字が記載され、同左側には、「名称:米菓」、「原材料:もち米・・」、「賞味期限:裏面右に記載」、「量目」、「販売者:(株)銀座花のれん」などの文字が記載されている(甲第2号証の1の4の2)。
また、甲第2号証の1の4の4として提出されたレシートには、「銀座花のれん」、「06.-11.-24」、「105 現計」、「6529/19-15」等が記載されている(なお、農林水産省のホームページ「食品の期限表示について」によれば、賞味期限の表示において、「年月日」で表示されるものは、賞味期限が3ヶ月以内の食品である、との記載がある。これを使用商標1が表示された「米菓」に当てはめてみると、包装袋の裏面には、「賞味期限 07.3.29」との記載があり、当該おかきの賞味期限が3ヶ月以内であるとすると、2006年12月末ころに製造されたものと推認することができ、したがって、請求人の提出したレシート(甲第2号証の1の4の4)が使用商標1が表示された「おかき」を購入した際に発行されたものであるかについては、疑問が残らないでもない。以下、賞味期限の記載された商品について添付されたレシートの日付との関係は同様である。)。
同じく使用商標1が表示された包装袋の裏面には、中央より右側に、「賞味期限/08.3.7」、「商品名:銀座七福神」などの文字が記載され、同左側には、「名称:米菓」、「原材料:もち米・・」、「内容量」、「賞味期限:裏面右に記載」、「販売者:(株)銀座花のれん」などの文字が記載されている(甲第2号証の1の5の2)。また、甲第2号証の1の5の3として提出されたレシートには、「銀座花のれん」、「07.-11.-15」、「210 現計」、「0663/19-24」等が記載されている。
(イ)使用商標2が表示された包装袋の裏面には、中央より右側に、「商品名:神々乃海の幸」などの文字が記載され、同左側には、「名称:焼菓子」、「原材料:馬鈴薯澱粉・・」、「量目」、「賞味期限:別途記載」、「発売元:(株)銀座花のれん」などの文字が記載されている(甲第2号証の2の1)。また、甲第2号証の2の3として提出されたレシートには、「錦糸町TokyuStore/名菓ひよこ」、「2006年12月28日(木)16:23 No:0164」、「小計 ¥1,050/合計 ¥1,050」等が記載されている。
同じく使用商標2が表示された包装袋の裏面には、中央より右側に、「賞味期限/08.4.3」、「商品名:神々乃海の幸」などの文字が記載され、同左側には、「名称:焼菓子」、「原材料:馬鈴薯澱粉・・」、「量目」、「賞味期限:別途記載」、「発売元:(株)銀座花のれん」などの文字が記載されている(甲第2号証の2の5)。また、甲第2号証の2の6として提出されたレシートには、「銀座花のれん」、「07.-11.-15」、「210 現計」、「0663/19-24」等が記載されている。
(ウ)使用商標3が表示された包装袋に貼付されたラベルには、「品名 七福神」、「名称:米菓」、「原材料:もち米・・」、「内容量」、「賞味期限 07.5.17」、「販売者 (株)東京ひよこ」などと記載されている(甲第2号証の3の3の1ないし3)。また、甲第2号証の3の4として提出されたレシートには、「錦糸町TokyuStore/名菓ひよこ」、「2006年12月28日(木)16:23 No:0164」、「小計 ¥1,050/合計 ¥1,050」等が記載されている。
同じく使用商標3が表示された包装袋に貼付されたラベルには、「品名 銀座七福神」、「名称:米菓」、「原材料:もち米・・」、「内容量」、「賞味期限:08.2.15」、「販売者:(株)銀座花のれん」などの文字が記載されている(甲第2号証の3の6)。また、甲第2号証の3の8として提出された2枚のレシートには、「深川伊勢屋」、「2007年10月8日(月)」、「現計 ¥1000」、「6149 17時57分」等、及び、「深川伊勢屋」、「2007年10月7日(日)」、「現計 ¥1000」、「5927 13時35分」等、が記載されている。
(エ)使用商標4が表示された包装袋に貼付されたラベルには、「品名 神々乃海の幸」、「名称:焼菓子」、「原材料:馬鈴薯澱粉・・」、「内容量」、「賞味期限 07.7.8」、「販売者 (株)銀座花のれん」などと記載されている(甲第2号証の4の1の3)。また、甲第2号証の4の1の4提出されたレシートには、「錦糸町TokyuStore/名菓ひよこ」、「2006年12月28日(木)16:23 No:0164」、「小計 ¥1,050/合計 ¥1,050」等が記載されている。
同じく使用商標4が表示された包装袋に貼付されたラベルには、「品名 神々乃海の幸」、「名称:焼菓子」、「原材料:馬鈴薯澱粉・・」、「内容量」、「賞味期限 08.3.8」、「販売者 (株)銀座花のれん」などと記載されている(甲第2号証の4の2の2及び3)。
また、甲第2号証の4の2の4として提出された2枚レシートには、「深川伊勢屋」、「2007年10月8日(月)」、「現計 ¥1000」、「6149 17時57分」等、及び、「深川伊勢屋」、「2007年10月7日(日)」、「現計 ¥1000」、「5927 13時35分」等、が記載されている。
(オ)使用商標5が表示されたインターネットの画面上(2007年4月16日プリントアウト)には、上部に「お菓子な毎日/(株)田村米菓」の文字が記載され、中央には、使用商標5が表示された包装箱の写真が掲載され、そのすぐ下に「銀座花のれん」、「7種類のおかきを、1袋に詰め合わせたバラエティー豊かな味わいです。・・」、「賞味期間:4ヶ月」、「(株)銀座花のれん」、「銀座七福神(27袋入)」、「3,150円(税込)」などの文字が記載されている。さらに、その下方に「会社概要」、「正式会社名 株式会社田村米菓」などと記載され、次頁には「関連会社/株式会社東北田村米菓、株式会社銀座花のれん、京聚楽庵株式会社・・」などと記載されている(甲第2号証の5の2)。
また、甲第2号証の5の4及び甲第2号証の5の5として提出された株式会社田村米菓及び株式会社銀座花のれんの各現在事項全部証明書によれば、前者は、昭和47年7月15日に、後者は、同62年7月13日に、それぞれ設立された会社であり、いずれも代表取締役を同じくするものである。
(カ)使用商標6が表示されたインターネットの画面上(2007年9月20日プリントアウト)には、上記(オ)の画面上に記載された内容と同様の記載がある。
(キ)使用商標7が表示された商品説明票(パネル)には、上記(1)エのとおり、使用商標7が表示されているほか、「当店自慢のおすすめ商品です。/ぎんざ花のれん」の文字が縦書きされ、使用商標7の使用者が株式会社銀座花のれんであるかのような記載があるが、その使用時期を裏付ける証拠は見いだせない。
(ク)使用商標8及び9が表示されたインターネットの画面上(2007年5月25日プリントアウト)の商品説明欄には、「・・巾着袋に詰めあわされた一袋で七つの風味が味わえるおかきの詰め合わせと様々な海老の風味が味わえる海老せんの詰め合わせ・・」と記載され、また、「ショップ情報」には、「株式会社田村米菓」などと記載されている(甲第2号証の8の3及び甲第2号証の9の2)。
(ケ)使用商標10及び11が表示された商品が掲載された「東京お歳暮特選品」(郵便局株式会社発行のカタログ)の頁には、「・・七福神をイメージしたおかきの詰合せです。」、「田村米菓」などと記載され、最終頁の「『東京お歳暮特選品』お申込みご記入例」には、「お申込み受付期間:平成20年11月4日(火)?12月15日(月)」と記載されている(甲第2号証の10及び11)。
(コ)使用商標12ないし14が表示された商品が掲載された「東京お中元特選品」(郵便局株式会社発行のカタログ)の頁には、「・・七福神をイメージした、おかきの詰合せです。」、「田村米菓」などと記載され、最終頁の「『東京お中元特選品』お申込みご記入例」には、「お申込み受付期間:平成21年6月1日(月)?8月5日(水)」と記載されている(甲第2号証の12ないし14)。
イ 上記アで認定した事実によれば、以下のとおり認定するのが相当である。
(ア)使用者
使用商標1ないし4が付された商品は、商標権者(株式会社田村米菓)の関連会社である株式会社銀座花のれん又は他社である株式会社東京ひよこが販売者又は発売者となっており、商標権者の表示はない。また、使用商標5及び6が付された商品が掲載されたインターネット上の画面には、商標権者の記載はあるものの、全体の表示から使用商標5及び6が付された商品の販売者が株式会社銀座花のれんであることをうかがわせるものであり、商標権者は、株式会社銀座花のれんの関連会社であることを理解させるにとどまる内容といえる。さらに、使用商標7は、上記認定のとおり、使用商標7の使用者が株式会社銀座花のれんであるかのように理解させるものであり、商標権者の表示はない。
そうすると、使用商標1ないし7は、商標権者が使用したものと認めることはできない。
したがって、使用商標中、使用商標1ないし7以外の使用商標8ないし14については、商標権者が使用していたものと認めることができる。
(イ)使用時期及び使用商品
使用商標8及び9は、遅くとも2007年(平成19年)5月25日ころには、使用商標10及び11は、遅くとも平成20年11月4日ころには、使用商標12ないし14は、遅くとも同21年6月1日ころには、それぞれ使用されていたものと推認することができる。
そして、使用商標8ないし14は、本件商標の指定商品に含まれる「おかき」等の米菓又は焼き菓子について使用されていたものである。
3 本件商標と使用商標8ないし14の類否
(1)本件商標
本件商標は、別掲(1)のとおり、ゴシック活字風の文字で表された「銀座七福神」の文字を同一の大きさをもって、同一の間隔で縦書きにしてなるものである。
ところで、「七福神」の語は、「福徳をもたらす神として信仰される七体の神。大黒天・蛭子(えびす)・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋」(乙第1号証)を意味するものとして、一般の需要者の間に広く認識されているものであり、「七福神詣で」(新年に、七福神の社寺を巡拝して福徳を祈ること:乙第1号証)の言葉があるように、全国各地に七福神を祀った社寺が存在することは、乙第3号証(寺社所在地一覧(東京東部))からみても容易に推察し得るところである。
そうすると、「七福神」の語は、地名と結び付いて使用される場合が多い語であるといえるから、地名と「七福神」とを結合した文字が商標として使用される場合は、地名を表す文字部分と「七福神」の文字部分とが、書体や色彩等が異なる等、視覚上分離して看取されるなど特別の事情が存しない限りは、当該地名は、商品の産地、販売地等を表したものと理解されるというより、むしろ、構成全体をもって、「七福神」が存在する地名を表したと理解されるとみるのが相当である。
以上の事情に照らせば、本件商標は、構成全体をもって、「銀座にある七福神」なる観念を生ずるものであって、これより「ギンザシチフクジン」の一連の称呼のみを生ずるものということができる。
(2)使用商標8ないし14
ア 使用商標8及び10ないし14
使用商標8及び10ないし14において、顕著に表された3つの(紫色地又は黒地又は白地の)正方形内のそれぞれに表された「七」、「福」、「神」の各文字部分は、看者の注意を強く引く部分であり、また、観念上も、「七」、「福」、「神」の各文字部分が一体となって、「福徳をもたらす神として信仰される七体の神」を表すものとして、一般に親しまれている「七福神」を理解させるものといえる。これに対し、「銀座」の文字部分は、「七」、「福」、「神」の各文字部分に比べ小さく表されているばかりでなく、書体・構成態様も大きく異なるところから、「七」、「福」、「神」の各文字部分とは、視覚上分離して看取されるものである。
そうすると、使用商標8及び10ないし14に接する取引者、需要者は、視覚上分離して看取される「銀座」の文字部分について、我が国有数の繁華街であり、商業地区として一般によく知られている「銀座」を直ちに想起し、かつ、これを商品の販売地等を表示する文字部分と認識する一方で、顕著に表された「七」、「福」、「神」の文字部分を自他商品の識別標識として捉えて、これより生ずる称呼及び観念をもって商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
したがって、使用商標8及び10ないし14は、「銀座」の文字部分及び「七」、「福」、「神」の各文字部分全体から生ずる「ギンザシチフクジン」の称呼のほか、「七」、「福」、「神」の文字部分より、「シチフクジン」の称呼及び「七福神」の観念をも生ずるというべきである。
イ 使用商標9
使用商標9において、顕著に表された黒色の縁を有する赤地矩形内に黒色で清朝体風に大きく縦書きされた「七福神」の文字は、看者の注意を強く引く部分であり、また、観念上も、「福徳をもたらす神として信仰される七体の神」を表すものとして、一般に親しまれているものといえる。これに対し、清朝体風に表された「銀座」の文字部分は、「七福神」の文字部分に比べ小さく表されているばかりでなく、地色・表示方法も大きく異なるところから、「七福神」の文字部分とは、視覚上分離して看取されるものである。また、使用商標9中に、比較的大きく表された「神々乃海の幸」、「海老一筋」の各文字は、「えび」の図形と相俟って、商品の原材料を表したと理解されるものであるから、これらはいずれも自他商品の識別機能を有しないものといえる。
そうすると、使用商標9に接する取引者、需要者は、視覚上分離して看取される「銀座」の文字部分について、我が国有数の繁華街であり、商業地区として一般によく知られている「銀座」を直ちに想起し、かつ、これを商品の販売地等を表示する文字部分と認識する一方で、顕著に表された「七福神」の文字部分を自他商品の識別標識として捉えて、これより生ずる称呼及び観念をもって商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
したがって、使用商標9は、「銀座」の文字部分及び「七福神」の文字部分全体から生ずる「ギンザシチフクジン」の称呼のほか、「七福神」の文字部分より、「シチフクジン」の称呼及び「七福神」の観念をも生ずるというべきである。
(3)本件商標と使用商標8ないし14の対比
ア 外観
本件商標は、「銀座七福神」の文字を同書、同大、同間隔に縦書きにしてなるものであるのに対し、使用商標8ないし14は、「銀座」の文字と「七福神」の文字とを異なる書体・態様等で表してなるものである。
そうすると、本件商標と使用商標8ないし14は、外観上同一のものとはいえないとしても、本件商標と使用商標8ないし14における「銀座」及び「七福神」の各文字の書体・態様等の差異は、外観上の類否判断に大きな影響を及ぼすものではなく、本件商標と使用商標8ないし14は、いずれも同一の文字(語)である「銀座」及び「七福神」の各文字よりなるものであることに重視すべきであって、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合には、外観上相紛らわしく、相当程度類似するというべきである。
イ 称呼
本件商標は、その構成文字に相応して、「ギンザシチフクジン」の称呼を生ずるものである。これに対し、使用商標8ないし14は、上記(2)ア及びイ認定のとおり、「ギンザシチフクジン」、「シチフクジン」の称呼を生ずるものである。
してみると、本件商標と使用商標8ないし14は、いずれも「ギンザシチフクジン」の称呼を同じくする場合があるものといえる。
ウ 観念
本件商標は、「銀座にある七福神」なる観念を生ずるものであるのに対し、使用商標8ないし14は、「七福神」の観念を生ずるものであるから、両者は、観念上同一のものとはいえない。
しかし、いずれも「七柱の福徳の神。大黒天・蛭子(えびす)・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋」を意味するものとして我が国においてよく知られている「七福神」を共通にするものであり、観念上相当程度似通ったものといえる。
エ まとめ
以上によれば、本件商標と使用商標8ないし14は、いずれも「ギンザシチフクジン」の称呼を同じくする場合があるといえるものであり、外観及び観念上も、相当程度類似するというべきであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、本件商標と使用商標8ないし14は、類似の商標といわなければならない。
4 出所の混同
(1)引用商標の周知性について
ア 甲第4号証、甲第51号証、甲第60号証ないし甲第78号証及び甲第90号証(なお、甲第90号証の2の2ないし2の4は、甲第51号証の3の1ないし3の3と重複するものである。)によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)請求人の営業活動
請求人は、「菓子の製造販売」等を事業目的として、昭和51年4月8日に「有限会社幸煎餅」として法人組織を立ち上げ、その後、「株式会社幸煎餅」へと組織を変更して現在に至っている。請求人は、本店の所在する群馬県を中心に営業活動を展開してきたが、平成6年1月に、東京都中央区銀座7丁目に、子会社を設立し、営業活動地域を広げた。そして、2007年(平成19年)11月12日現在、請求人商品の取扱店は、以下のとおりである。
アピタ(前橋店、高崎店、館林店、笠懸店、伊勢崎東店、本庄店)、イトーヨーカ堂(前橋店、藤岡店、伊勢崎店、深谷店、久喜店※(※は期間店、以下同じ。))、イオン(ジャスコ太田店)、エーコープ(吾妻SC店、ブレイス店、安中店、富岡店、沼田店、北橋店、下仁田店※)、スズラン百貨店(前橋店、高崎店、沼田店)、西友(伊勢崎店、伊勢崎茂呂店)、ダイエー(大宮店)、高島屋(高崎店)、高崎駅物産館(一号店、二号店、三号店、NEWSDAYS店)、高崎駅ビルモントレー、フレッセイ(大利根店、新桐生店、桐生南店、天神店、田谷店、箕郷店、吉岡店、沼田店、足利通町店、館林店、板倉店、駒形店、南大類店、小鳥店、太田高林店、クラシード若宮、新保店、フォリオ安掘店)、ベイシア(伊勢崎店、伊勢崎西部モール店、赤堀店、渋川店、沼田モール店、渋川こもち店、富岡店、月夜野店、大胡店、吾妻店、新里店、前橋モール店、吉井店、伊勢崎バイパスプラザ店、安中店※、藪塚店※、なめがわモール店※、はるな店※、甘楽富岡店※、大間々店※、上里本庄店※、鶴ヶ島店※、深谷川本店※、川島インター店※、栗橋店※、ひだかモール店※、行田店※、寄居北店※、尾島店※、寄居店※)、ベルク(本庄店、上之店※、佐谷田店※、七本木店※、美茂呂店※、伊勢崎寿店※)、マイカルサティ(前橋店、高崎店、渋川店、熊谷店)、三越百貨店(日本橋店、多摩センター店、池袋店、銀座店、仙台店、札幌店、松山店※(菓遊庵))、ヤオコー(前橋六供店、足利店、桐生相生店、太田小舞木店、熊谷箱田店※、足利八幡店※、熊谷ニットーモール店※、足利大前店、上野本庄店)、ヨークマート(玉村店)、ヨークベニマル(足利店)、静岡伊勢丹、群馬県庁売店、高崎合同庁舎売店、前橋物産館、前橋市役所売店、群馬警察厚生会(以上、甲第51号証の2の4)。
(イ)引用商標
請求人商品に使用される引用商標は、「七福神」の文字よりなる商標等が使用されていることが認められるものの、「七福神あられ」の文字よりなる商標ないし該文字と漫画風に描いた七福神の図形を結合した商標が圧倒的に多いといえる(甲第4号証)。
(ウ)請求人による請求人商品の広告
請求人は、主として、「七福神あられ」の文字よりなる商標を付した請求人商品について、以下の広告をした。
a.新聞
(a)昭和63年5月から平成元年10月にかけて「上毛新聞」にほぼ月に1回程度、また、昭和63年に「桐生タイムス」に5回程度、さらに、「上毛新聞」には、平成18年9月から同21年7月にかけて約10回程度(甲第62号証の1及び2)。
(b)平成8年に「東京中日スポーツ」に1回、同18年に「スポーツ報知」及び「スポーツニッポン」にそれぞれ1回ずつ、同21年5月に「スポーツ報知」に3回、「スポーツニッポン」に5回、「日刊スポーツ」に2回(甲第62号証の2の6、甲第62号証の4、甲第62号証の5及び甲第62号証の9)。
(c)平成14年6月から平成15年1月にかけて「菓子食品新報」にほぼ月に1回(甲第62号証の3)。
(d)平成9年及び同10年に「静岡リビング」に計3回、同19年に「静岡新聞」に1回、同21年6月に「毎日新聞」に1回、同22年7月に「読売新聞」に1回(甲第62号証の6、同7、同10、同11)。
(e)平成21年1月に「メトロガイド」に1回、及び同年6月から平成22年5月にかけて同紙にほぼ月に1回程度(甲第62号証の8)。 b.雑誌
(a)平成7年に「文藝春秋」に1回、その後、同18年10月から同20年12月及び同21年5月から同22年11月にかけて同誌にほぼ月に1回程度(甲第63号証の1)。
(b)平成7年に「全国招福開運寺社参り」、同8年に「アサヒグラフ」、同11年に「二人旅の宿」に、それぞれ1回ずつ(甲第63号証の2の1ないし3)。
(c)平成19年7月から同21年10月にかけて「オール讀物」に計8回、同19年から同21年にかけて「週刊文春」に計3回(甲第63号証の2の4ないし13、及び甲第63号証の5(なお、甲第63号証の2の10と甲第63号証の5の1は同じもの))。
(d)平成14年5月から同16年7月にかけて「月刊ぷらざ」にほぼ月に1回程度、同15年及び同16年に「パリッシュ」に計3回、同19年及び同20年に「NHKウィークリーステラ」に計2回、同19年ないし同21年にかけて「クロワッサン」に計3回、同21年に「食楽」に1回(甲第63号証の3ないし11)。
c.「新橋演舞場」のプログラム
平成7年及び同8年に1から2回、その後、同19年8月から同20年6月にかけてほぼ月に1回程度(甲第67号証)。
d.その他
請求人のホームページ(平成19年1月ころから)、ちらし(同10年ころから)、電飾サインボード(同18年に高崎駅・前橋駅の各構内に設置)、パンフレット、包装用の缶・段ボール・手提げ袋等に表示した(甲第61号証、甲第64号証ないし甲第66号証、甲第68号証ないし甲第70号証の5の4)。また、平成元年12月から同2年11月まで、ラジオにおいてスポット広告をし、さらに、同21年6月及び7月にテレビにおいてスポット広告をした(甲第70号証の7及び8)。
(エ)請求人商品のうち、主として「七福神あられ」の文字よりなる商標を付した商品について、他社の発行するカタログ(平成5年から同17年にかけて、年に2回発行されたゆうパック等)や群馬県を中心に頒布されたと認められるちらし、新聞、雑誌、吊り広告等に紹介された(甲第71号証ないし甲第78号証)。
イ 上記アで認定した事実によれば、請求人は、主として「七福神あられ」の文字よりなる商標、その他「七福神あられ」商標を要部とする商標(これらをまとめて、以下「『七福神あられ』商標」という。)を付した請求人商品について、平成元年前後に新聞や雑誌等において宣伝広告をしてきたものの、その回数は、さほど多いものではなく、同19年ころから「七福神あられ」商標を付した請求人商品を中心に、宣伝広告の回数が次第に増え始め、同21年なってようやく多くなってきたと認められる。そして、その宣伝広告活動も、群馬県を中心としたものであったが、同19年ころからは、その近隣の埼玉県、栃木県、東京都、あるいは、静岡県等に及んでいること、及び、請求人商品の取扱店も上記地域に及んでいることが認められる。
上記状況からすると、使用商標8及び9が使用されていたと認められる平成19年5月ころは、「七福神あられ」商標は、せいぜい群馬県を中心とした菓子の分野の取引者、需要者の間においては、よく知られていたという程度であったが、その後、請求人商品の販売地域や宣伝広告の範囲も、群馬県をはじめ、その近隣地域である埼玉県、栃木県、東京都、あるいは、静岡県等に広がり、使用商標12ないし14が使用されていたと認められる平成21年6月ころには、群馬県はもとより、その近隣地域である埼玉県、栃木県、東京都等関東地方の菓子の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができる。そして、その周知性は、本件審判の請求時(平成22年11月22日)においても継続していたものということができる。
しかし、「七福神」の文字よりなる商標については、使用商標8及び9が使用されていたと認められる平成19年5月ころ前より、請求人商品に使用されていた事実は認められるものの、その使用(宣伝広告を含む。)の事実を示す証拠は極めて少なく、使用商標8及び9が使用されていた時点ないし使用商標12ないし14が使用されていた時点はもとより、本件審判の請求日に至るまで、請求人商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
なお、請求人は、「統計表(2008年のダイレクトメールの発送件数及びこれに対する受注件数)」、「(2007年度ないし2009年度の東京都、埼玉県、静岡県の)県別年間販売金額」等(甲第90号証の2)を提出するが、これらの数字を裏付ける証拠の提出はなく、また、いかなる商標が付された商品の売上高等であるかも明らかでないから、これらの証拠をもって、「七福神あられ」商標をはじめとする引用商標が請求人商品を表示するものとして周知であったか否かの判断の根拠とすることはできない。
(2)「七福神あられ」商標と使用商標8ないし14の類否
ア 「七福神あられ」商標
「七福神あられ」商標は、同一の書体で一連に又は外観上まとまりよく書されているものの、これを請求人商品中の「あられ」について使用するときは、その構成中の「あられ」の文字部分は、商品の普通名称を表す部分であるから、自他商品の識別機能を有しないものである。したがって、「七福神あられ」商標は、これを商品「あられ」について使用した場合における要部は、「七福神」の文字部分にあるというのが相当である。
そうすると、「七福神あられ」商標は、その構成文字より、「シチフクジンアラレ」の一連の称呼のほか、「七福神」の文字部分より、単に「シチフクジン」の称呼をも生ずるものであって、「七福神」の観念を生ずるものといわなければならない。
イ 使用商標8ないし14
使用商標8ないし14は、いずれも上記2(1)認定のとおりの構成よりなるものであり、上記3(2)認定のとおり、その構成文字中、要部と認識、把握される「七福神」の文字部分より「シチフクジン」の称呼及び「七福神」の観念を生ずるものである。
ウ 対比
以上によれば、「七福神あられ」商標と使用商標8ないし14は、いずれも「シチフクジン」の称呼を生ずるものであって、「七福神」の観念を生ずるものである。
そうすると、「七福神あられ」商標と使用商標8ないし14は、それぞれの構成よりみて、外観上相紛れるおそれがないとしても、称呼及び観念を同じくする類似の商標というべきである。
(3)以上を総合すれば、使用商標8ないし14に接する取引者、需要者は、請求人の使用に係る「七福神あられ」商標を想起又は連想する場合も決して少なくないものとみるのが相当であり、使用商標8ないし14を、「七福神あられ」商標が使用される請求人商品中の「あられ」と同一又は類似の商品である「おかき」等の米菓、焼き菓子について使用するときは、該商品が請求人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるものとみるべきである。
5 故意について
(1)上記4認定のとおり、「七福神あられ」商標は、使用商標8ないし14が使用されていた平成19年5月ころから同21年6月ころには、群馬県を中心とした知名度が次第に関東一円における菓子の分野の需要者の間にも広まった時期であり、その周知性の程度は、本件審判の請求日である同22年11月22日においても継続していたものと認めることができる。また、請求人は、同6年1月に、東京都中央区銀座7丁目に、子会社を設立して以来、同店舗(同22年9月に中央区銀座5丁目に移転)で「七福神あられ」商標を付した請求人商品の販売を行ってきた。
(2)一方、甲第2号証を総合すると、商標権者は、東京都品川区に本店を有し、設立の目的を「米菓の製造および販売」として昭和47年7月15日に設立された企業であり、また、商標権者の代表取締役と代表取締役を同じくする株式会社花のれんは、商標権者の関連会社であって、東京中央区銀座三丁目に所在する店舗において、使用商標8ないし14が使用された時期の前後を通して、「おかき」等の米菓を中心に販売活動をしていたことなどを認めることができる。
(3)以上によれば、商標権者は、「せんべい、あられ、おかき」を製造、販売する請求人とは同業者であり、請求人が、「七福神あられ」商標を付した請求人商品を東京中央区銀座等で販売してきたことなどを十分に知っていたと推認することができる。
してみれば、商標権者は、「七福神あられ」商標の存在を十分に知っていながら、本件商標に変更を加え、「七福神あられ」商標と称呼及び観念を近似させた使用商標8ないし14を使用し、その結果、使用商標8ないし14を使用した商品と「七福神あられ」商標を使用した商品との間に、出所の混同を生じさせることを認識していたものといわざるを得ず、上記商標権者の行為には、故意があったといわなければならない。
6 被請求人の主張について
(1)本件商標の使用態様について
被請求人は、甲第2号証の10ないし14(郵便局のカタログ「東京お歳暮特選品」等)の「商品番号」の上部には、商品名として「銀座七福神」の文字が同書、同大、同間隔に表示されているところ、当該商品を購入する需要者は、商品名と商品番号を照合するものであるから、商品名として一体不可分の構成で表示されている「銀座七福神」を当該商品の商品名(商標)として認識するのが自然であり、したがって、一般需要者は、これを「銀座七福神」の一連の商標と認識する旨主張し、さらに、「七福神」自体は、請求人の造語ではなく、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、布袋、福禄寿、寿老人の七神の総称として、元々我が国で有名であるから、小袋に表示された「七福神」の文字部分を請求人の商標と認識するようなことはなく、各神をイメージしたキャラクター漫画と相俟って「七福神」を連想させる小袋のデザインと見るか、あるいは「銀座」の文字と一体的に見て「銀座七福神」という一つの商標と見るものである旨主張する。
確かに、甲第2号証の10ないし14の「商品番号」の上部に、商品名として「銀座七福神」の文字が同書、同大、同間隔に表示されていることは被請求人主張のとおりである。しかしながら、上記商品名としての「銀座七福神」の文字は、比較的小さく表示されているのに対し、使用商標10、12は、カタログの頁において、看者の最も注意を引くほぼ中央に、また、使用商標12(使用商標14は同じもの)は、商品の包装用缶の中央に、いずれも「七福神」の文字が目立つように大きく表されているものであるから、これらカタログに接する需要者は、「七福神」の文字に印象付けられることは疑いの余地がない。そして、使用商標10ないし14を含めた使用商標8ないし14における「七福神」の文字部分が、商品の包装袋のデザインを表したものとみることは到底できるものではなく、自他商品の識別標識たる商標としての機能を十分に発揮する態様のものといえるのみならず、「七福神」の語が商品「あられ、おかき」等について、慣用されている商標であるとか、あるいは、品質等を表示するものとして普通に使用されている標章であるという事実を裏付ける証拠も見いだせない。
したがって、上記被請求人の主張はいずれも理由がなく、採用することはできない。
(2)混同のおそれについて
被請求人は、特許庁において、地名と七福神の文字からなる商標が多数登録され(乙第4号証)、かつ、地名を冠した当該地の七福神が日本全国に存在し、その名称の下に区別して商品が取引されている実情(乙第5号証ないし乙第12号証)からすれば、「銀座七福神」を一体的に使用している使用商標が、「七福神あられ」商標との間で出所の混同を生じさせるおそれはないし、また、「銀座」と「七福神」の各文字を、行を変えて表示された使用態様も、請求人の商標を認識させるようなことはなく、七福神の各神をイメージしたキャラクター漫画と相俟って「七福神」を連想させる小袋のデザインと認識されるか、あるいは「銀座」の文字と一体的に見て「銀座七福神」という一つの商標と認識されるものであって、引用商標「七福神あられ」と混同を生じさせるおそれはないものである旨主張し、さらに、商標権者の商品は、郵便局株式会社が発行する「東京お歳暮特選品カタログ」、「東京お中元特選品カタログ」(甲第2号証の10ないし14)に掲載される程に信用、人気を得ているものであるから、このことからも、本件商標には、独自の営業努力に基づいた業務上の信用が化体していることが理解できるものであり、引用商標との間で出所の混同を問題とされるいわれはない旨主張する。
しかし、上記3認定のとおり、「七福神」の語は、地名と結び付いて使用される場合が多い語であるといえるから、地名と「七福神」とを結合した文字が商標として使用される場合は、地名を表す文字部分と「七福神」の文字部分とが、書体や色彩等が異なる等、視覚上分離して看取されるなど特別の事情が存しない限りは、当該地名は、商品の産地、販売地等を表したものと理解されるというより、むしろ、構成全体をもって、「七福神」が存在する地名を表したと理解されるとみるのが相当である。ところが、使用商標8ないし14は、いずれも、「銀座」の文字部分と「七福神」の文字部分とを視覚上分離して看取される態様で表してなるものであるから、このような態様からなる使用商標8ないし14にあっては、「銀座」の文字部分は、「七福神」のある地名を表したと理解されるというより、商品の販売地等を表したと理解される場合が圧倒的に多いというべきである。また、使用商標8ないし14における「七福神」の文字部分が、自他商品の識別標識たる商標としての機能を十分に発揮する態様のものであることは、上記(1)のとおりである。したがって、使用商標8ないし14の態様からすれば、これに接する取引者、需要者は、商品「あられ」について「七福神」の文字部分を要部とする「七福神あられ」商標を想起又は連想する場合も決して少なくないとみるのが相当である。さらに、郵便局株式会社が発行する「東京お歳暮特選品カタログ」、「東京お中元特選品カタログ」(甲第2号証の10ないし14)に掲載されるか否かの商品の判定基準はさておくとしても、商標権者は、その業務上の信用が化体されていると主張する本件商標を、周知な「七福神あられ」商標と称呼及び観念において近似するように変更し、使用商標8ないし14を付した商品が、「七福神あられ」商標を付した商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるものをしたことは、上記認定のとおりである。
したがって、上記被請求人の主張はいずれも理由がなく、採用することはできない。
7 むすび
以上のとおりであるから、商標権者は、故意に指定商品について登録商標(本件商標)に類似する商標の使用をし、他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第51条第1項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(色彩については、原本を参照されたい。)
(1)本件商標(登録第3263148号商標)




(2)使用商標1




(3)使用商標2




(4)使用商標3及び8




(5)使用商標10



審理終結日 2011-11-22 
結審通知日 2011-11-29 
審決日 2011-12-21 
出願番号 商願平6-57166 
審決分類 T 1 31・ 3- Z (030)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長澤 祥子 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 1997-02-24 
登録番号 商標登録第3263148号(T3263148) 
商標の称呼 ギンザシチフクジン、シチフクジン 
代理人 潮崎 宗 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 吉田 親司 
代理人 村田 幸雄 
代理人 幡 茂良 
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 
代理人 佐久間 光夫 
代理人 橋本 良樹 
代理人 佐藤 久美枝 

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