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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y35
管理番号 1251706 
審判番号 取消2011-300197 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-02-23 
確定日 2012-01-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5016076号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5016076号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成18年3月27日に登録出願され、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」のほか、第3類、第9類、第14類、第18類、第20類、第21類、第25類、第26類及び第41類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年1月5日に設定登録されたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成23年3月10日にされている。

2 請求人の主張
請求人は、商標法50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,広告用具の貸与,求人情報の提供」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、本件審判請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
本件商標は、本件審判請求に係る指定役務について、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件商標権についての商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していない。
ア 被請求人コーポレートブランドとして使用(乙1ないし乙9)
(ア)本社ビル入口表札(乙1の1)、本社入口屋内表札(乙2の1)、屋内玄関前立て看板(乙3)、賃貸ビル裏口扉(乙4の1)、名刺(乙6の1)、封筒(乙6の2)及び修理用取引書類(乙6の3)について
a 「本社ビル入口表札」には、「BAYCREW*S」(構成中の「*」は、別掲に記載の本件商標中の「*」的図形と同一である。以下同じ。)、その直下に「CO.,LTD.」と表示(上下二段書き)されている。
b 「本社入口屋内表札」、「屋内玄関前立て看板」、「賃貸ビル裏口扉」、「名刺」、「封筒」及び「修理用取引書類」には、いずれにも「BAYCREW*S CO.,LTD.」と表示されている。
上記に表示された各使用標章は、いずれも全体が一体、又は一連一体として認識されることから、いずれも「BAYCREW*S」だけを抽出するのは適当でない。併せて、各使用標章と本件審判請求に係る指定役務である「広告等」との間の具体的関連性はいずれも認められない。
被請求人会社の現在事項全部証明書を提出する(甲1)が、同証明書の目的には、本件審判請求に係る指定役務である「広告等」に関する事項は一切記載されていない。
(イ)会社案内(乙5の1)について
「会社案内」には、「BAYCREW*S GROUP」、「BAYCREW*S CORPORATE PROFILE 1.」、「BAYCREW*S SPRIT」と表示されている。
しかしながら、当該「案内」には、「業務内容 紳士、婦人服の企画、生産、直販を主とする。」と表示され、被請求人が紳士、婦人服の直販会社を主としていることは明らかであるが、本件審判請求に係る指定役務である「広告等」を継続して取り扱っている広告業者と考えるのは不自然である。
また、当該「案内」に表示された各使用標章は一連一体と認識されるから、「BAYCREW*S」だけを抽出するのは適当でない。
(ウ)ブログ用ウェブサイト(乙7)について
ブログ用ウェブサイトのバナー広告は、リンク先の「紳士、婦人服の直販」に使用していることになるから、本件審判請求に係る指定役務である「広告等」と関連性があるといえない。
(エ)社用車(乙8)について
「青色の社用車」には「BAYCREW*S DELIVERY SERVICE」、「白色の社用車」には「BAYCREW*S/FOOD IDELIVERY WAGON(上下二段書き)」がそれぞれ表示されていることから、前者は、紳士・婦人服の配達に使用する車であり、後者は、飲食物の配達に使用する車であると考えられるが、これらの役務は、商品の販売又は役務の提供等に付随したものであるため、本件審判請求に係る指定役務である「広告等」に使用された商標は存在しない。
(オ)現在のウェブサイト(乙9)について
現在のウェブサイトには、ベイクルーズグループの社章としての図形(以下「社章図形」という。)と「BAYCREW’S」が表示されているが、これらは一体のものとして看者に認識されるために、「BAYCREW’S」の部分だけを抽出するのは適当でない。
また、上記使用標章は、本件商標とは、同一の称呼及び観念を生じる商標でなく、さらに外観において同視することができないことから、商標法50条1項に規定された「社会通念上同一」でない。
なお、現在のウェブサイトは、本件審判請求の予告登録前3年以内に存在していたかは明確でない。
イ 広告又は広告用具の貸与に使用(乙10ないし乙14の3)
看板設置場所の賃貸借に関する契約書(乙10)、看板(乙11)、債務伝票(乙12)、会社概要(乙13)及び広告の募集(乙14の1ないし3)には、全く使用標章が表示されていない(乙11)か、「株式会社ベイクルーズ」、「(株)ベイクルーズ」及び「ベイクルーズについて」のいずれか又は組み合わせたものが表示されているが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の記載がないことから、本件商標を本件審判請求に係る指定役務である「広告(看板による広告)」又は「広告用具の貸与」に使用しているとはいえない。
ウ 求人情報の提供又は職業のあっせんに使用(乙15ないし乙18)
(ア)マイナビ掲載のベイクルーズグループのグループ募集(乙15)、とらばーゆの求人原稿プレビュー(乙16及び乙18)について
これらには、「BAYCREW’S/GROUP(上下二段書き)」と「ベイクルーズグループ」(乙15)、「BAYCREW’Sグループスタッフ大募集!!」と「ベイクルーズグループ」(乙16)、「社章図形」と「BAYCREW’S」(乙18)が表示されている。
これらの各使用標章は、それぞれが一体と認識されるから、いずれも「BAYCREW‘S」だけを抽出するのは不自然である。
したがって、これらの各使用標章は、本件商標はもちろんのこと、本件商標と商標法50条第1項に規定された「社会通念上同一」である商標ではなく、本件商標を本件審判請求に係る指定役務である「求人情報の提供」又は「職業のあっせん」に使用しているという被請求人の主張は妥当ではない。
(イ)被請求人グループ会社のウェブページ(乙17)について
これには、本件商標はもちろんのこと、本件商標と商標法50条第1項に規定された「社会通念上同一」である商標の記載はなく、本件商標を本件審判請求に係る指定役務である「求人情報の提供」又は「職業のあっせん」に使用しているという被請求人の主張は妥当ではない。
エ 商品の販売に関する情報の提供及び広告に使用(乙19ないし21)
(ア)被請求人ウェブページ(乙19)及び被請人通販サイト(乙20)について
これらには、いずれも「社章図形」と「BAYCREW’S/GROUP(上下二段書き)」が表示されているが、これらはいずれも一体として認識されるから、「BAYCREW’S」だけを抽出することは不自然である。
したがって、これらの各使用標章は、本件商標はもちろんのこと、本件商標と商標法50条第1項に規定された「社会通念上同一」である商標ではなく、本件商標を本件審判請求に係る指定役務である「商品の販売に関する情報の提供」又は「広告」に使用しているという被請求人の主張は妥当ではない。
(イ)被請求人グループ会社のセール葉書(乙21の1ないし4)
これらは、2006年ないし2011年のセール葉書であるが、これらには、「BAYCREW’S GROUP」、「社章図形」と「BAYCREW’S/GROUP(上下二段書き)」の両方又はいずれかが表示されているが、いずれも「BAYCREW’S GROUP」又は、これと社章図形も含めて一体として認識され、「BAYCREW’S」だけを抽出するのは適当でない。
したがって、これらの各使用標章は、本件商標はもちろんのこと、本件商標と商標法50条1項に規定された「社会通念上同一」である商標ではなく、本件商標を本件審判請求に係る指定役務である「商品の販売に関する情報の提供」又は「広告」に使用しているという被請求人の主張は妥当ではない。
また、乙21号証の1の2006年及び2007年のセール葉書は、季節商品の案内であることから、本件審判請求の予告登録前3年以内の使用とは考えられない。
オ まとめ
本件商標は、本件審判請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙21(枝番を含む。)を提出している。
(1)答弁の理由
本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において商標権者(被請求人)が審判請求に係る指定役務について使用している。
ア 被請求人のコーポレートブランドとして使用
本件商標は、被請求人のコーポレートブランドとして使用されているもので、主に以下の場面で使用されている。
(ア)本社ビル入口表札(乙1の1)
(イ)本社入口屋内表札(乙2の1)及び屋内玄関前立て看板(乙3)
(ウ)賃貸ビル裏口扉(乙4の1)
(エ)会社案内(乙5の1)
2006年1月8日時点で頒布(乙5の2)しているが、現在は不使用である。
(オ)名刺(乙6の1)、封筒(乙6の2)、修理用取引書類(乙6の3) 封筒及び修理用取引書類は、2006年1月8日時点で、頒布(乙5の2)されていたが、現在は不使用である。
(カ)ブログ用ウェブサイト(乙7)
現在でも訪問可能であり、少なくとも2008年10月31日には、存在していた。
(キ)社用車(乙8の1)
青色は、平成12年8月31日から(乙8の2)、白色は、平成14年3月19日から現在に至るまで使用されている(乙8の3)。
(ク)現在のウェブサイト(乙9)
ウェブサイト上の使用商標は、書体が異なるのみで、本件商標と同一の称呼及び観念の生ずる社会通念上同一と考えられる商標である。
(ケ)以上(ア)ないし(ク)の使用状況から本件商標は、被請求人のコーポレートブランドとして使用されている商標である。
イ 広告又は広告用具の貸与に使用
被請求人は、「広告用具の貸与」又は「看板による広告」即ち「広告」を行っている。
(ア)看板設置場所の賃貸借に関する契約書(乙10)、看板(乙11)、債務伝票(乙12)について
a 当該契約書は、被請求人と株式会社フィジカル・エア・コーポレーションとの間で平成22年6月1日に交わされた看板設置場所の賃貸借に関する契約書である。
b 看板は、上記契約に基づいて実際に貼られた看板である。
c 債務伝票は、平成22年10月31日に発生した被請求人の債務伝票及び契約当事者である株式会社フィジカル・エア・コーポレーションに対して発行した請求書である。
(イ)賃貸借契約当事者の会社概要(乙13)及び広告募集の契約書(乙14の1ないし3)について
a 賃貸借契約当事者である「株式会社フィジカル エア コーポレーション」(フィットネスクラブの運営会社)の会社概要である。
b 広告募集の委託の契約当事者である「株式会社ピーエーアール」との契約書である。
(ウ)上記(ア)及び(イ)の各証拠より、当該契約の期間は平成22年6月1日から平成23年3月31日までとなっており、被請求人は本件審判の予告登録日前3年以内に「広告用具の貸与」又は「広告(看板による広告)」役務を提供していた。
ところで、この契約書に特定される看板掲載場所の貸与は「広告」としての側面と「広告用具の貸与」としての側面を備えた二面性を有する役務である。
これは看板が広告に専ら用いられるものであることが明らかな点で「看板による広告」即ち「広告」であるし、看板掲載場所という広告用具を貸与しているという点で、「広告用具の貸与」と言えるためである。
そして、このような二面性のある役務は、不使用取消審判の場面においては、この二つの側面のいずれか一方にのみ属し、又はいずれにも属さないと考える必要はなく、夫々の分類に属する役務と考えるべきである。
また、乙第10号証の契約当事者である「株式会社フィジカル・エア・コーポレーション」は、被請求人のグループ会社であるが(乙13)、この契約は、両会社がそれぞれ業として独立した会社間の取引として行っているものであり、グループ会社であることを理由に名目的な取引とは認められないものである。
その他にも、被請求人は広告用看板の場所を所有しており、それを第三者「株式会社ピーエーアール」に委託して第三者より広告の募集を行っている(乙14の1ないし3)。
以上の商標の使用状況及び役務の提供方法にかんがみると、本件商標は、「広告」又は「広告用具の貸与」の役務に使用している(商標法2条3項3号、5号、6号及び8号)。
ウ グループ会社のための求人情報の提供又は職業のあっせんに使用
(ア)マイナビ掲載のベイクルーズグループのグループ募集(乙15)について
これは、被請求人の求人情報を掲載した求人情報サイト「マイナビ」で、被請求人がグループ会社のために求人情報を一括して掲載しているものであり、掲載期間は平成21年10月16日開始で、平成21年11月2日にサイトの最終更新が行われているところ、当該日付は、本件審判請求の予告登録前3年以内のものである。
この求人情報には、「新卒採用募集会社」として「株式会社ジョイントワークス」、「株式会社フレームワークス」等の会社名が記載されおり、注意書きで「ご応募は株式会社ベイクルーズ 人材開発Div.が窓口となり、新卒採用募集会社のいずれかの会社に配属となります。」とある。これらの記載から被請求人がグループ会社に変わって「求人情報の提供」又は「職業のあっせん」を行っていることがわかる。
(イ)とらばーゆ求人原稿プレビュー(乙16及び乙18)について
乙第16号証は、被請求人の求人情報を掲載した求人情報サイト「とらばーゆ関東版」のウェブ記事(求人原稿プレビュー)である。
記事には「BAYCREW’Sグループスタッフ大募集!!」の記事タイトルがあり、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。掲載期間は2010年8月5日?同19日であり、本件審判請求の予告登録前3年以内である。
当該求人情報に記載の「IENA」、「Spick and Span」等の募集対象ブランド名は、被請求人のグループ会社(乙17)が取り扱うブランドであり、ブランド事業部(会社)毎に、採用が行われる。
乙第18号証は、同16号証と同様、求人情報サイト「とらばーゆ関東版」のウェブ記事である。
記事には「オープニングスタッフ大募集」とあり、本件商標と社会通念上同一の商標が記載されている。
掲載期間は2010年6月24日?同年7月1日であり、本件審判請求の予告登録前3年以内である。
(ウ)上記(ア)及び(イ)のように、被請求人はグループ会社の求人情報を一元化し、まとめて求人情報雑誌に掲載することを行っている意味で、第三者のために求人情報の提供を行っており、また、グループ会社に販売員を紹介している点で「職業(販売員)のあっせん」を行っている。
よって、被請求人は、本件商標と同一の商標を「求人情報の提供」又は「職業のあっせん」に関して使用(商標法2条3項3号、5号、8号)している。
エ グループ会社のための商品の販売に関する情報の提供及び広告に使用
(ア)被請求人ウェブページ(乙19)及び通販サイト(乙20)について
被請求人は、グループ会社の経営管理及び専門サービスの提供、ネット通販の運営等を行っているところ(乙19)、被請求人のウェブページ(通販サイト:乙20)では、グループ会社の各ブランドを紹介し、オンラインショッピングも行っている。
(イ)被請求人グループ会社のためのセール葉書(乙21の1ないし4)について
被請求人は、グループ会社に代わって広く第三者に情報提供を行っている(乙21の1ないし4)。これはグループ会社のための需要者への「商品の販売に関する情報の提供」であり、「広告」でもある。
これらから、被請求人は、本件商標を「商品の販売に関する情報の提供」又は「広告」について使用(商標法2条3項3号、4号、5号、8号)しているといえる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)のとおり、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において商標権者(被請求人)により、指定役務中、第35類「広告,商品の販売に関する情報の提供,広告用具の貸与,求人情報の提供,職業のあっせん」について使用されている。
よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。

4 当審の判断
(1)乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の1は、東京都渋谷区神南在の被請求人(商標権者)本社ビル入口壁面の表札の写真であるが、その上段には「BAYCREW*S」の横書きの表記、下段にはこれらの表記よりも小さな文字で「CO.,LTD.」の文字が横書きされている。
イ 乙第1号証の2は、1998年(平成10年)10月30日付けで被請求人(注文者:甲)と「株式会社長谷工コーポレーション」(請負者:乙)とによる本社ビル引き渡しの「証」なる写しであるが、そこには、「・・・請負契約を締結した(仮称)神南1丁目ビル新築工事(東京都渋谷区神南・・・)は、本日全て完了致しましたので、甲・乙双方確認の上、乙は建物を甲に引渡し、甲は異議なくこれを受領致しました。」と記載されている。
ウ 乙第2号証の1は、本社ビル入口屋内の表札の写真であるが、そこには、「BAYCREW*S」の横書きの表記、その右にこれらの文字よりも小さな文字で「CO.,LTD.」の文字が横書きされている。
エ 乙第10号証は、平成22年6月1日付けで被請求人が「株式会社フィジカル・エア・コーポレーション」(以下「フィジカル・エア社」という。)と交わした「看板掲出契約書」であるが、そこには、被請求人が以下の物件に「フィジカル・エア社」が看板を掲出することを承認し、「フィジカル・エア社」は、被請求人に看板掲出料金を支払う旨、及び「契約期間は、平成22年6月1日から平成23年3月31日までとする。」と記載されている。
物件の表示「名称 パシフィックマークス新宿サウスゲート」
所在地 「東京都新宿区新宿・・・」
掲出場所 「袖看板」、「エントランス」、「壁面」
オ 乙第11号証及び同第12号証は、上記契約に沿う看板掲出写真(乙11)及び請求人発行の2010年10月看板掲出料が計上された「フィジカル・エア社」の債務伝票と請求書(乙12)である。
カ 乙第14号証の1は、平成22年3月26日付けで被請求人が「株式会社ピーエーアール」(以下「ピーエーアール社」という。)と交わした広告掲載に関する「契約書」であるが、そこには、被請求人が権利を有する東京都渋谷区神南在の建物の「壁面」を「ピーエーアール社」の取り扱う広告物の設置場所として承諾し、「ピーエーアール社」が所定の賃料を支払う旨、及び「契約期間は、平成22年5月1日から平成23年4月30日迄の1ヶ年間とする。」と記載されている。
(2)以上の被請求人の提出にかかる乙各号証及び答弁の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 表札について
上記(1)の「ア」ないし「ウ」より、被請求人は、東京都渋谷区神南在の本社ビル入口の壁面に別掲記載の本件商標と同一と認められる「BAYCREW*S」の表記と「CO.,LTD.」の文字とを二段に横書きした表札を掲げ、また本社入口屋内には、やはり本件商標と同一と認められる「BAYCREW*S」の表記に続けて「CO.,LTD.」の文字を横書きした表札を掲げている。
当該本社ビルは、1998(平成10)年10月30日に請負者から被請求人に引き渡され、当時の被請求人の商号は現在と同じであるから、本社ビル入口表札及び本社入口屋内の表札の表示はその当時から平成23年6月(写真の撮影年月)頃にいたるまで同じ態様で掲げられていると推察される(乙1の2)。
これらの表札は、「BAYCREW*S」の表記部分と「CO.,LTD.」の文字とで、上下二段書きであったり、文字の大きさが異なっていたりするが、もとより表札としての機能を有するものであるが、その他「CO.,LTD.」の部分は、法人格(ここでは株式会社)を表す「Company Limited」の英語表記として知られていることにより、出所識別標識として捨象される傾向にあること、及び「BAYCREW*S」の部分が「CO.,LTD.」の部分に比し大きく顕著に表されていること、の両観点からすれば、「BAYCREW*S」の部分が表札としての機能の他、役務の出所識別標識としての機能をも有していると見て差し支えなく、これらの表札に表された各表示は、本件商標との間で観念の変動を伴うものとも認めらないものであって、本件商標と社会通念上同一の商標と見るのが相当である。
イ 使用役務について
上記(1)の「エ」ないし「カ」より、被請求人は、本件審判請求の予告登録(平成23年3月10日)前3年以内の期間に「フィジカル・エア社」に東京都新宿区新宿在の建物壁面について、「看板掲出による広告スペースの貸与」をしていること、及び、「ピーエーアール社」に東京都渋谷区神南在の建物壁面について「広告スペースの貸与」をしていることが認められる。
そして、「広告スペースの貸与」なる役務は、本件審判請求係る指定役務中の「広告」の範ちゅうと認め得るものである。
(3)小括
これらを総合すると、被請求人は、事業として「広告スペースの貸与」を行っているものであって、この役務の提供をするにあたっては、その業務を行う場所は、本社ビルということになるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標を本社ビル入口の壁面及び本社屋内の立て看板に付し、「広告」を行っているということができるものである。
そして当該事業を行うビル及び看板等に商標を付す行為は、役務の提供場所において、「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するというのが相当である。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人(権利者)は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、本件審判請求係る指定役務中の「広告」に、本件商標を使用していたものと認められる。
したがって、本件商標の指定役務中、請求にかかる指定役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2011-11-24 
結審通知日 2011-11-28 
審決日 2011-12-16 
出願番号 商願2006-31450(T2006-31450) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白倉 理 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2007-01-05 
登録番号 商標登録第5016076号(T5016076) 
商標の称呼 ベイクルーズ、ベイクルー 
代理人 西村 雅子 
代理人 高橋 幸夫 
代理人 田畑 浩美 
代理人 宮永 栄 

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