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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X20
管理番号 1249954 
審判番号 不服2011-7834 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-13 
確定日 2011-12-26 
事件の表示 商願2010-28038拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第20類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年4月8日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における平成22年10月12日受付けの手続補正書により、第20類「ペットボトル容器」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、上部に円錐状の飲み口を有し、その下にくびれを有する縦長の胴体からなり、全体として飲み口部分と商品を収納する胴体部分からなるものであって、『商品等を収納する(包装)容器』そのものを表した立体的形状よりなるものである。また、指定商品との関係では、飲料の飲み口、容器を保持するためのくびれ、液体飲料を収納する胴体からなる容器の形状と認められるものであるから、需要者は、単に商品の収納容器(形状)を表示するにすぎないものと理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものであると判断するのが相当である。さらに、本願商標は、胴体部分のくびれの形状において、女性の胴体から上脚部までの体型を模しているとしても、このような特徴は商品の機能又は美感を効果的に高める範囲内の形状にすぎないものと認められるものである。以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されたりするものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務(以下「自他商品等」という。)を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品等を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
イ 商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、女性の胴体から上脚部までを模したと思しき立体的形状よりなるところ、本願の指定商品「ペットボトル容器」との関係において、例えば、ボディ型ペットボトル、女性型ペットボトル、男性型ペットボトルと称したボトルに入った飲料が一般に販売されている事実を踏まえると、上部に円錐状の飲み口を有し、その下にくびれを有する縦長の胴体からなり、液体等の内容物を収納する容器であると容易に理解させるものであって、単に容器の一形態を表したと認められるものであるから、これをその指定商品「ペットボトル容器」に使用しても、取引者、需要者は、単に容器の形状と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標の形状は、一般的なペットボトル容器の形状とは異なる特異なものであり、限定的に選択されるものである旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品においては、商品の形状等の外観上の特徴が、需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な訴求力を有するものであるといえることから、商品の形状において、特に美感が強く追求されるのに対し、商品の機能、効果等のために特定の形状にしなければならない必要性は比較的薄いといえる。
そうすると、上記の商品の形状は、市場の流行や需要者の用途、嗜好等に合わせ、美感を強く意識した各種の特徴的な変更、装飾等が施される実情にあるものと認められ、その場合、立体的形状に施されたその種の変更、装飾等は、外観上、同種の商品の形状と比較して特徴的なものと認められる場合があるとしても、それらは専ら需要者が商品を選択するに際して、仮にその選択が限定的なものであるとしても、外観上の美感、若しくは魅力的な形状という嗜好上の意味合いを付与するにすぎず、それは未だその商品の形状の域を出ないものと認識するに止まるものである。
したがって、上記の商品の形状における変更、装飾等は、自他商品の出所を表示する識別標識として機能しているものではなく、その立体商標の形状等全体を観察しても識別力を有するものとは認められない。
そして、本願商標は、前記認定のとおりの形状からなるペットボトル容器であることを容易に認識し得るものであるから、その形状にデザインが施されているものであっても、それは商品の、主として美感をより発揮させるために施されたものというのが相当であり、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品等の識別力を有するものとは認められないことは、前記(1)のとおりであるから、請求人の主張は、採用することができない。

(4)請求人のその他の主張について
ア 請求人は、立体商標の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、欧米諸国において、様々な立体商標が登録されており、パリ条約第6条の5の趣旨からしても、本願商標の登録は認められるべきである旨主張する。
しかしながら、出願に係る商標が登録要件等を具備しているか否かについては、当該出願に係る国の法令及びその国の商品取引の実情等に照らして判断がなされるべきものであるところ、諸外国の登録制度と我が国のそれとが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、諸外国の審査事情をもって、本願商標が直ちに我が国で登録されるべき旨の請求人の主張は採用し得ない。

(5)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標







審理終結日 2011-10-28 
結審通知日 2011-10-31 
審決日 2011-11-11 
出願番号 商願2010-28038(T2010-28038) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X20)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正樹半田 正人 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 小林 正和
前山 るり子
代理人 宮川 宏一 

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