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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 109
管理番号 1249892 
審判番号 取消2010-301337 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-12-16 
確定日 2011-12-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4031198号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4031198号商標の指定商品中「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
登録第4031198号商標(以下「本件商標」という。)は、「MICRO TEC」の文字を書してなり、平成2年5月10日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品を指定商品として、平成9年7月18日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成19年12月19日に第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」を指定商品とする書換登録がなされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
本件商標は、請求人の調査によると、商標権者によって継続して3年以上日本国内において上記指定商品について使用された事実が無く、さらに甲第1号証として提出した商標登録原簿には専用使用権者及び通常使用権者の登録がなされていない。
以上のように、本件商標は、審判請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていないことは明らかである。
(2)弁駁の理由
被請求人の主張は、要するに、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「TEC」の使用を示す乙第1号証を提出したものであるから、本件審判請求は何ら理由がないというものである。
しかし、請求人は、本件商標と「TEC」とは社会通念上同一と認められる商標ではないと考えるものであり、その理由を以下に述べる。
被請求人は、不服2009-3461事件の審決を引用し、本件商標中「MICRO」の文字部分は、自他商品の出所識別標識としての機能を有していないものであり、顕著性がないことは明らかである旨述べている。では、本件商標中「TEC」の文字が、「MICRO」と比べて格別に高い顕著性を有しているかと言えば、そうではない。「TEC」の語は、「TECH」と並んで「TECHNOLOGY」の略語として一般的に使用されており、例えば、分かり易い例として、社名にも好んで採択されている(甲2)。「MICRO」と「TEC」はいずれも、自他商品の出所識別標識としての機能が強くはなく、識別力について軽重の差がないものといえる。本件商標は、その構成全体が簡潔にまとまっていることとも相侯って、一連一体の造語として認識されるものというべきである。
同様の判断は、被請求人が異議申立人である異議2002-90510事件の決定においてもなされている(甲3)。
以上のことから、「MICRO TEC」と「TEC」とは、外観、称呼及び観念のいずれについても同一性を欠き、社会通念上同一とはいうことができないものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。
被請求人は、1950年2月の創業以来、今日に至るまでの多年にわたり、主力製品である販売時点情報管理用金銭登録機を含む「電子応用機械器具及びその部品」の販売に際し、「TEC」商標を使用してきた。
乙第1号証は、被請求人が2010年12月に作成した「流通商品総合カタログ」で、カタログ表紙右上部に「TEC」商標が使用されている。また、カタログに記載されている、販売時点情報管理用金銭登録機を含む「電子応用機械器具及びその部品」についても「TEC」商標が使用されている。
なお、本件商標中「MICRO」部分については、特許庁の審決例を徴しても、不服2009-3461事件の審決において、「『MICRO』の文字は、『adj.1.微小な、微力な 2.マイクロコンピュータの. n.1.微小[微細]なもの』(『小学館ランダムハウス英和大辞典』株式会社小学館)等の意味を有する英語であり、『広辞苑 第六版』(株式会社岩波書店)によれば、『マイクロ【micro】(微小の意のギリシア語mikrosから)一〇〇万分の一を表す単位の接頭語。ミクロ。』、『コンサイスカタカナ語辞典 第3版』によれば、『[micro]極小、微小、非常に小さいもの。★接頭語として多くの複合語をつくる。』などの意味を有する語である」ことから、「『MICRO』及びこれより生ずる『マイクロ』の称呼よりは、『小さい又は微小な商品』であることを容易に理解するものというべきであり、自他商品の出所識別標識としての機能を有していないものと認識し、把握するとみるのが相当である」との判断がされており、顕著性がないことは明らかである。
以上のことから、被請求人は、本件商標を「電子応用機械器具及びその部品」において使用していることは明白である。

4 弁駁に対する答弁
被請求人は、請求人の弁駁に対し答弁していない。

5 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
被請求人に係ると認められる2010年12月の「流通商品総合カタログ[フィール]/2010.12」(乙1)には、その表紙の右上に「TEC」の文字が表示されている。
そして、該カタログの取扱製品としては、その12頁ないし20頁に「POSシステム」及び「POS周辺機器」として、POS端末機をはじめとする各種機器が掲載されている。
そうとすれば、本件審判請求の登録前3年以内に、被請求人によって、商標「TEC」が被請求人に係る商品(POS端末機等)に関する広告に表示されていたことが認められ、商標「TEC」が本件商標の指定商品「電子応用機械器具」の一に使用されていたといい得るものである。
(2)しかしながら、本件商標は、上記1記載のとおり、「MICRO TEC」の文字からなるものであるのに対して、該カタログの使用に係る商標は「TEC」の文字からなるものである。
そして、本件商標は、「MICRO」と「TEC」からなると容易に認識されるものではあるが、その構成各文字は同じ書体、同じ大きさで表され、両文字に間隔はあっても一体的に構成され、特定の観念を生じさせない造語を形成しているものというのが相当であり、その構成文字に相応して「マイクロテック」の称呼を生じるものである。
一方、使用に係る商標「TEC」は、その構成文字に相応して「テック」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせないものというのが相当である。
しかして、両者は、構成文字「MICRO」の有無という差異を有しており、外観構成上明らかに相違するものである。また、その称呼においても、「マイクロテック」と「テック」で明らかに異なるものである。
してみれば、前記の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできないものである。
なお、被請求人は、審決例を挙げ、本件商標中「MICRO」部分について顕著性がないことは明らかである旨主張している。
しかしながら、たとえ、「MICRO」の文字が、本件商標の指定商品に関して、識別力がないか、あるいは極めて弱いといわざるを得ない場合があるとしても、本件商標は、「MICRO」及び「TEC」の両構成文字が、一連に結合して一の造語を形成して、その識別性を発揮する商標として成立しているというのが相当であり、本件商標の構成と比べ「MICRO」を欠き、本件商標と称呼を異にする使用商標「TEC」をして、本件商標の有する識別性に影響を与えない範囲での軽微な変更使用であるとは到底認め難いものであるから、これをもって、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されたということはできないというべきである。
(3)上記のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が取消請求に係る指定商品について使用をされたと認めることはできないものである。
他に、本件審判請求の登録前3年以内において、本件商標が取消請求に係る指定商品に使用をされたとみるべき証拠はみいだせず、また、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。
さらに、被請求人は、請求人の弁駁に対し答弁をしていないものである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2011-10-24 
結審通知日 2011-10-26 
審決日 2011-11-08 
出願番号 商願平2-51773 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (109)
最終処分 成立  
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第4031198号(T4031198) 
商標の称呼 マイクロテック、マイクロテイイイシイ、テック、テイイイシイ、ミクロテック 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 
代理人 井上 正則 

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