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審決分類 審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 取り消して登録 Y0941
管理番号 1243374 
審判番号 不服2010-650110 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-30 
確定日 2011-07-27 
事件の表示 国際登録第918580号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類及び第41類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2006年3月10日にCyprusにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成18年)9月8日に国際商標登録出願され、2007年(平成19年)5月3日に我が国を領域指定とする通報がなされたものである。
その後、指定商品及び指定役務については、原審における平成20年5月26日付けの手続補正書により、第9類「Photographic,cinematographic and optical apparatus and instruments;telecommunication devices and apparatus;electronic machines,apparatus and their parts;apparatus for recording,transmission or reproduction of sound or images;magnetic data carriers,recording discs;automatic vending machines and mechanisms for coin operated apparatus;cash registers,calculating machines and data processing equipment;developed motion picture films;video cassettes;audio and audio visual recordings;motion picture projectors;cameras;optical printers for use with computers and apparatus for editing cinematographic film;motion picture screens;sound recording and sound reproducing apparatus and instruments,sound records,sound systems for use in motion picture theatres and other public performance theatres,halls and auditoriums;exposed photographic films,all prepared for exhibitions,motion based simulation system comprising computer operated seats and theatrical size screens displaying related full motion video content;parts of all aforesaid goods.」及び第41類「Education and entertainment;entertainment services provided through the medium of motion picture theatres;entertainment services provided through the medium of motion simulator rides;motion picture film editing services.」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4245324号商標(以下「引用商標」という。)は、「Expand」の欧文字を横書きに表してなり、平成9年10月16日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,レコード,メトロノーム,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置」を指定商品として、同11年3月5日に設定登録され、その後、同20年11月18日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、黒塗りの横長矩形内の中央に太線で顕著に表された「XPAND」の欧文字(両端の「X」及び「D」の各文字を「PAN」の文字に比して縦約1.5倍、横約2倍と大きく表し、該「X」の文字は、その左側から右側にかけて赤色から黒色にグラデーションを施し、さらに、「X」の文字の交差部に左からくさび状の切れ込みを入れて表しており、これにつづく「P」、「A」、「N」及び「D」の各文字は、それぞれの文字の左側から右側にかけて白色から灰青色にグラデーションを施し、かつ、右縁を赤色で表している。)を配し、その下方に概ね両端が該「XPAND」の欧文字とそろうように細線で極めて小さく表された「beyond cinema」の欧文字(該「beyond」の文字部分は白色、該「cinema」の文字部分は赤色で、各々、彩色されている。)を配してなるところ、その構成中の「XPAND」の文字部分と、「beyond cinema」の文字部分とでは、前記のとおり、構成文字の大きさ、色彩及び態様において顕著な差異を有するものであるから、両文字部分は、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。
また、本願商標の構成中の黒塗りの横長矩形部分は、その構成態様に照らし、背景の一種を表したものとして認識され得るものであり、さらに、その構成中の「XPAND」の文字部分は、直ちに特定の意味合いを想起させることのない造語からなるのに対し、同じく「beyond cinema」の文字部分は、「映画の域を超えて」程の意味合いを想起させる英語であることから、両者間に語義上の関連性があるとは認められない。
そうとすると、本願商標は、その構成中の「XPAND」の文字部分が顕著に表され、ひときわ看者の目を惹くものであるから、該文字部分が独立して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当である。
そして、該「XPAND」の文字についてみるに、該文字は造語であることから、直ちにその読みを特定することは困難であるものの、前記のとおり、「X」の文字部分と「PAND」の文字部分とで彩色が異なることに照らせば、これを「X」の文字と「PAND」の文字とを結合したものとして理解する場合も少なくないというのが相当であり、両文字を英語の読みに倣い、それぞれ「エックス」及び「パンド」の読みを生ずるとし、該文字から「エックスパンド」の称呼を生ずるというのが自然である。
してみれば、本願商標は、その構成文字全体に相応する「エックスパンドビヨンドシネマ」の称呼を生ずるほか、該「XPAND」の欧文字部分に相応する「エックスパンド」の称呼をも生ずるものである。
他方、引用商標は、「Expand」の欧文字を横書きに表してなるところ、該文字は、「エクスパンド」の読み及び「?を拡大する」等の意味を有する英語として、一般に知られているものであるから、これより「エクスパンド」の称呼及び「?を拡大する」の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標の類否について検討するに、両商標は、それぞれ上記1及び2のとおりの構成からなるものであるところ、全体観察における比較はもとより、本願商標の構成中の「XPAND」の文字部分と引用商標との比較においても、語頭部の「E」の文字の有無や彩色の違いといった明らかな差異を有するものであり、これらは全く別異の商標であると認識されるものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。
つぎに、本願商標から生ずる「エックスパンドビヨンドシネマ」の称呼と引用商標から生ずる「エクスパンド」の称呼とを比較すると、その音構成及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから、互いに聞き誤るおそれはない。また、本願商標から生ずる「エックスパンド」の称呼と引用商標から生ずる「エクスパンド」の称呼とは、前者が7音、後者が6音からなり、語頭の「エ」の音に伴う促音の有無を除き、その他の音を共通にするものである。そして、該差異音である促音は、それ自体が独立した1音として明確に発音されて聴取されるものではなく、促音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえないから、両称呼は類似するものであるが、前者が「XPAND」の文字綴りと相俟って「エックス」と「パンド」の2音節風に発音されるのに対し、後者が一連に「エクスパンド」と発音されることからすれば、その類似の程度は比較的弱いものということができる。
さらに、観念においては、本願商標は、その構成全体又はその構成中の「XPAND」の文字部分のいずれにおいても特定の観念を生ずるものではないから、「?を拡大する」の観念を生ずる引用商標と比較することができない。
以上を踏まえれば、本願商標と引用商標とは、称呼において比較的程度の弱い類似性が認められるものの、これが外観における著しい差異を凌駕するとはいい難く、また、観念においては比較することができないものであり、さらに、他にこれらが類似すると認めるに足る取引の実情等も見いだし得ないから、これらを総合的に考察すれば、両者を同一又は類似の商品に使用した場合においても、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれはないとするのが相当である。
したがって、本願商標が引用商標と類似する商標であるとした原審の判断は、妥当なものとは認められないから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審決日 2011-07-14 
国際登録番号 0918580 
審決分類 T 1 8・ 26- WY (Y0941)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 松江早川 真規子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 敬規
松田 訓子
商標の称呼 エックスパンドビヨンドシネマ、エックスパンド、エックスパンデイ、パンド、パンデイ、パン、ピイエイエヌ、ビヨンドシネマ 
代理人 葛和 清司 

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