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審決分類 審判 全部無効  審決却下 X32
管理番号 1241559 
審判番号 無効2010-680004 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-04-30 
確定日 2011-06-15 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第0924729号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件審判請求に係る国際登録第924729号商標(以下「本件商標」という。)は、「ESTRELLA DAMM」の欧文字を書してなり、2007年(平成19年)2月26日に国際商標登録出願、第32類「Beers,ale and porter,other non-alcoholic beverages [excluding ”Tomato juice beverages”,”Whey beverages”,”Vegetable juices”],syrups and other preparations for beverages.」を指定商品として、平成20年11月18日に登録査定、同21年1月9日に設定登録されたものである。
2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)(以下、まとめていうときは、「引用商標」という。)のとおりである。
(1)登録第2081213号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成態様により、黒塗りで表した星形図形と、その下に「ESTRELLA」の欧文字を書してなり、昭和54年8月27日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年9月30日に設定登録されたものである。その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成21年1月21日に、第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒」と書換登録がされ、さらに、商標権一部取消し審判により、指定商品中「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒,洋酒,果実酒」について取り消すべき旨の審決がされ、同22年10月8日に審決の確定登録がされたものである。
(2)登録第4822730号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ESTRELLA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年4月21日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,豆,食用たんぱく」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,小麦粉・澱粉・糖類等の炭水化物を主材料とするビタミン・ミネラル等の栄養素を含んだ錠剤状・固形状・粉末状・顆粒状・ゼリー状・ゲル状・カプセル状・液状の加工食品,アーモンドペースト,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、同年12月3日に設定登録されたものである。
そして、引用商標は、現に有効に存続しているものである。
3 請求人の主張及び審尋に対する回答
請求人は、「本件商標についての登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、」との審決を求め、その理由及び審尋に対する回答を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし同第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その先出願に係る、サッポロホールディングス株式会社の有する登録第2081213号商標「ESTRELLA」及びクラフト フーズ エイエスの有する登録第4822730号商標「ESTRELLA」と相類似しており、その指定商品も類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に反し、無効にすべきものである。
(2)審尋に対する回答
請求人は、日本国において、登録第5039170号及び第5013401号商標を有している。
これらは、本件商標と、互いに類似するものであり、出所の混同を生ずるおそれがあるものと考える。
よって、本件審判請求をする利害関係を有している。
4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由において、本件審判請求の請求人適格について要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号ないし同第9号証を提出した。
(1)特許庁の審判便覧によると、「審判請求において、請求人は、一般にその審判の対象物についての利害関係人として本案の審決を受ける適格を有する者、すなわち当事者適格を有する者であることが求められる」、と定められており、商標登録の無効審判についても、『昭和34年法改正の経過における立法の趣旨からみて、法条に「利害関係人」の字句がなくても民訴法の場合と同じく「利益なければ訴権なし」の原則が適用されるという解釈を採るものとする』とされている(乙第1号証)。
(2)本件の審判請求書中には、利害関係についての積極的な記載がされていない。請求人が引用する商標登録第2081213号及び第4822730号は、いずれも第三者の所有する商標であり、請求人自身が所有する商標ではない。したがって、これらの引用商標と本件商標が類似するか否かの判断は、少なくとも請求人に直接関係するものではないことは明らかである。
(3)よって、本件審判請求は、そもそも請求人適格に欠け、不適法として却下審決が下されるべきと考える(商標法56条1項)。
5 請求人に対する審尋
(1)商標登録の無効審判において、商標法第46条の法文上は請求人適格に関しては何も規定されていない。しかしながら、昭和34年法改正の経過における立法の趣旨(国会の審議における政府委員の説明などによる)からみて、法条に「利害関係人」の字句がなくても民訴法の場合と同じく「利益なければ訴権なし」の原則が適用されるという解釈を採るものである。
(2)請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第2081213号及び第4822730号商標の商標権者ではなく、また、請求の理由を勘案しても、本件審判を請求する利害関係を見いだすことができない。
(3)ついては、本審判請求について、請求人が利害関係を有するのであれば、その旨の主張及び必要な書面を提出されたい。
6 当審の判断
(1)本件審判請求について
ア 商標法第46条に基づく審判請求については、「商標法46条の規定に基づき商標登録を無効にすることについての審判を請求するためには、請求人に右審判を請求するについての法律上正当な利益が存することを必要と解すべきであるが、無効審判請求の利益は、審判請求を適法なものとして取り上げ、請求の当否について審決を得るために具備すべき要件であるから、審決時を基準として判断すべきであり、審決時に存在することを必要とするとともにこれをもって足りるというべきである。」(平成1年10月19日東京高等裁判所判決、昭和63年(行ケ)第65号)と判示されている。
イ そして、法律上正当な利益が存するか否かについては、「利害関係人とは、専用使用権者、通常使用権者、質権者その他商標権の設定存続により法律上、経済上直接の利害を受ける地位にある者をいう」(参照:注解 商標法〔新版〕下巻 青林書院)、及び、「他人の登録商標を引用する拒絶理由通知をうけたとか、侵害警告をうけたとか、自己の登録商標を抵触する商標が新たに登録になった等、登録商標の存在によって直接の不利益をうける者」(参照:商標法 学陽書房)と解されるものである。
(2)本件審理に関し、当事者間において利害関係について争いがあるので、検討する。
ア 請求人は、審尋に対する回答において、「請求人は、日本国において、登録第5039170号及び第5013401号商標を有している。これらは、本件商標と、互いに類似するものであり、出所の混同を生ずるおそれがあるものと考える。」旨述べているが、本件商標が登録されたことにより、請求人の登録商標との間で出所の誤認混同を生じさせたり、また、商取引上、何らかの不利益等を被った事実等の主張及び証拠の提出はなく、その他、利害関係を有することについて立証をするところもない。
イ さらに、引用商標の商標権者と請求人との関係は、未だ明確でなく、これらを引用して本件審判を請求する理由も見いだすことができない。
ウ したがって、請求人に本件商標の登録無効にすることにつき、何らかの利益を見いだすことができない以上、請求人を、本件審判を請求する法律上正当な利益を有する者と認めることはできない。
エ なお、請求人は、本件審判の審理終結後、平成23年1月24日付けで弁駁書を提出しているところ、当合議体は、当該弁駁書を勘案するも上記判断を左右するに足らないと認め、審理を再開する必要はないものと判断した。
(3)結び
以上のとおり、本件審判の請求は、審判請求の利益を有しない者の請求に係る不適法なものであってその補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項の規定により準用される特許法第135条の規定によって、却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2011-01-12 
結審通知日 2011-01-14 
審決日 2011-02-04 
国際登録番号 0924729 
審決分類 T 1 11・ 02- X (X32)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 小田 昌子 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
田中 亨子
商標の称呼 エストレージャダム、エストレッラダム、エストレージャ、エストレッラ、ダム 
代理人 篠田 哲也 
代理人 平山 一幸 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 

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