• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X18
管理番号 1241391 
審判番号 不服2010-24512 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-14 
確定日 2011-07-19 
事件の表示 商願2010- 18896拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲に表示するとおりの構成よりなり、第18類「植物タンニンなめし加工をした牛革を使用した鞄・ハンドバッグ・肩掛けかばん・書類入れかばん・手提げかばん・トランク・ボストンバッグ・ランドセル・リュックサック・ウエストポーチ・お守り入れ・カード入れ・キーケース・財布・パス入れ・名刺入れ・がま口」を指定商品として、平成22年2月26日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、引用した登録第2061502号商標(以下「引用商標」という。)は、「HERS」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年2月21日登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和63年7月22日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲に表示するとおりの構成よりなるところ、「心臓。心」の意味を有するドイツ語ではあるとしても、一般的な日本人が、本願商標から直ちに上記の意味を看取するとはいい難いことから、外国語の中にあって我が国で最も親しまれている英語風に称呼されるものというべきである。
そうとすれば、本願商標中の「HER」の文字部分は、中学校において学習する程度の極めて親しみやすい単語「her」を「ハー」と発音することから、「ハー」と称呼され、また、本願商標中の「Z」の文字部分は、例えば「quiz」を「クイズ」、「biz」を「ビズ」、「jazz」を「ジャズ」と発音する例に倣って、「ズ」と称呼されるものであるから、全体として「ハーズ」の称呼をも生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「HERS」の欧文字を横書きしてなるところ、該語は、中学校において学習する「she」の所有代名詞「hers」と同じ綴りであるから、「ハーズ」の称呼を生じ、「彼女のもの」の観念を生ずること明らかである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の称呼を比較すると、両商標は、「ハーズ」の称呼を共通にするものであるから、称呼において、類似する。
次に、本願商標と引用商標の観念を比較すると、観念においては比較できないものである。
さらに、本願商標と引用商標の外観を比較すると、本願商標は、多少デザインが施されているものの容易に「HERZ」の欧文字からなると看取されるのに対して、引用商標は、「HERS」の欧文字を表してなることから、その構成中、前半に位置する「H」「E」「R」の構成文字の綴りを同じくものといえる。
そして、本願商標と引用商標は、いずれも文字を表した商標であって、一方が文字のみからなる商標、もう一方が文字と図形との結合商標というように、外観上、明瞭に区別できる商標ではない。
したがって、本願商標と引用商標とは、称呼の類否性を否定するに足りる特徴的な外観、観念上の相違はないと解すべきである。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、観念においては比較し得ないものの、外観においては近似し、称呼においては「ハーズ」の称呼を共通にする商標であることから、全体として相紛れるおそれのある類似する商標というべきである。
(4)指定商品の類否について
商標法第4条第1項第11号における商品の類否は、対比されるべき両商品に同一又は類似の商標を付して取引においた場合に、需要者をして商品について出所の混同を生ずるおそれがあるかどうかによって判断されるものであり、このことは、「指定商品が類似のものであるかどうかは、原判示のように、商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらの商標は商標法(大正10年法律99号)2条9号にいう類似の商品にあたると解するのが相当である。」(昭和33年(オ)第1104号判決 昭和36年6月27日判決言渡)との最高裁判所の判決においても示されているところである。
そして、商品の類否を判断するに際しては、対比すべき商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるか等について総合的に考慮するものと解される。
また、本願の指定商品は、「植物タンニンなめし加工をした牛革を使用した鞄・ハンドバッグ・肩掛けかばん・書類入れかばん・手提げかばん・トランク・ボストンバッグ・ランドセル・リュックサック・ウエストポーチ・お守り入れ・カード入れ・キーケース・財布・パス入れ・名刺入れ・がま口」であり、引用商標の指定商品中には、「かばん類、袋物」が含まれるところ、「かばん類、袋物」は、商品の上位概念としての商品表示であり、「かばん類」として、「書類入れかばん,折りかばん,手さげかばん,肩掛けかばん,ランドセル,ハンドバッグ,トランク,スーツケース,グラッドストン,ボストンバッグ,こうり,リュックサック」、「袋物」として、「さいふ,がま口,パス入れ,切符入れ,名刺入れ,お守り入れ,信玄袋,買物袋,手ひも」が例示されている。
以上を踏まえ、検討を進める。
ア 生産部門について
本願の指定商品及び「かばん類、袋物」に含まれる商品は、かばん製造メーカー、財布の製造メーカー等により生産されるから、その生産部門(生産者)を共通にするものである。
イ 販売部門について
本願の指定商品及び「かばん類、袋物」に含まれる商品中、例えば、ハンドバック及び財布は、デパートなどの総合小売店においては、近くの売り場で取り扱われ、小売店においては、同一店舗で取り扱われることが多いから、販売部門の共通性があるというべきである。
ウ 用途について
本願の指定商品及び「かばん類、袋物」に含まれる商品は、「革またはズックなどで作り、中に物を入れる携帯用具」又は「紙入れ・煙草入れ・手提、日用の袋状の入れ物の総称」であり、その用途を共通にするものである。
エ 需要者の範囲について
本願の指定商品及び「かばん類、袋物」に含まれる商品は、主に日常生活において普通に使用される商品であり、その需要者も、老若男女を問わない、多くの一般消費者であるといえから、その需要者の範囲は、共通していると判断するのが相当である。
オ 小括
前記アないしエからすれば、本願商標の指定商品「植物タンニンなめし加工をした牛革を使用した鞄・ハンドバッグ・肩掛けかばん・書類入れかばん・手提げかばん・トランク・ボストンバッグ・ランドセル・リュックサック・ウエストポーチ・お守り入れ・カード入れ・キーケース・財布・パス入れ・名刺入れ・がま口」と、引用商標の指定商品中の「かばん類、袋物」は、ともに、生産部門(生産者)、販売部門、用途、需要者の範囲において共通性があることから、当該両商品に同一又は類似の商標を使用した場合、これに接する需要者は、同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあると判断するのが相当である。
したがって、本願商標の指定商品と、引用商標の指定商品中の「かばん類、袋物」とは、同一又は類似の商品であるというべきである。
(5)請求人の主張について
請求人は、「引用商標は、旧区分で登録されており当時の区分では『装身具・ボタン類・かばん類・袋物・宝玉・造花・化粧用具』が同一区分となっており、引用商標の意味合いから言っても女性用装身具としての登録を目指した可能性が非常に高いと思われる。一方、本願商標は、新区分の18類でかばん類と限定した物であり特に<植物タンニンなめし加工をした牛革を使用した鞄>と更に限定している。」旨述べている。
しかしながら、指定商品は、商標権の権利範囲を定めるものであって、具体的に商品を明示するか否かに係わらず、その範囲は、指定商品の表示により確定するものである。そして、引用商標は、平成3年9月25日政令第299号による改正前の商標法施行令に基づく商品の区分(昭和34年法)の第21類に属する商品を指定商品としているものであるところ、該表示は、商品の範囲を概念括りした包括表示であって、その包括表示下の商品を全て指定したことになるものである。
そうとすれば、前記(4)のとおり、引用商標の指定商品中の「かばん類,袋物」は、包括表示であって、加工方法の違いを問わず、ハンドバッグ,ランドセル,ボストンバッグ,スーツケースのような鞄類及びお守り入れ,カード入れ,財布のような袋物がこの概念に含まれているというのが相当であるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(6)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)





審理終結日 2011-04-22 
結審通知日 2011-05-06 
審決日 2011-05-27 
出願番号 商願2010-18896(T2010-18896) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 前山 るり子
小林 正和
商標の称呼 ヘルツ、ハーズ、ハーツ 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ