ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X10 審判 一部申立て 登録を維持 X10 |
---|---|
管理番号 | 1236755 |
異議申立番号 | 異議2010-900309 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-10-04 |
確定日 | 2011-05-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5339566号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5339566号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5339566号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成21年7月1日に登録出願、平成22年6月4日に登録査定され、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、同年7月23日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 (1)引用商標の周知著名性 「CIRCULATION Up-to-Date」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る商品「雑誌」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものである。 (2)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、引用商標に類似する商標であって、雑誌について使用するものである。 (3)商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、前記(2)のとおり、引用商標に類似する商標であって、不正の目的をもって使用されるものである。 (4)むすび したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「雑誌」について、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について 申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、学術用書籍・専門誌の出版等の事業を行う企業として、1977年(昭和52年)に設立されたこと、引用商標が使用されていると申立人が主張する雑誌は、循環器医療に従事する者を対象として、2006年(平成18年)9月に創刊された医学専門誌であって、その表紙には、上段に「循環器医療の基礎から最新までをビジュアルで診る臨床専門誌」の文字が記載され、その下に、大きく横書きにした「CIRCULATION」の文字、その左下に、やや小さく横書きにした「Up-to-Date」の文字、さらに、上記「CIRCULATION」の文字の右下に、小さく横書きにした「サーキュレーション・アップ・トゥ・デート」の文字が表示されている。また、該雑誌の発行部数は、隔月約1000部であり、そのうちの約半数が定期購読者であることなどを認めることができる(甲第1?3号証)。 しかしながら、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして周知著名であるとして、その事実を明らかにするものとして申立人が提出した証拠は、申立人の編集局副局長の陳述書(甲第3号証)のみであり、しかも、該陳述書に記載された内容を裏付ける証拠の提出はない。その他、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成21年7月1日)及び登録査定日(平成22年6月4日)の時点において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見出せない。 してみると、甲第3号証のみをもってしては、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標の類否 本件商標は、別掲のとおり、「循環器」の文字を上段に大きく横書きし、その下に、「CIRCULATION」の文字を、上記「循環器」の文字と同程度の幅で横書きしてなるものであって、その指定商品を第16類「雑誌,新聞」とするものである。 一方、引用商標は、前記(1)のとおり、「CIRCULATION」の文字を大きく横書きにし、その左下に、「Up-to-Date」の文字を横書きし、さらに、上記「CIRCULATION」の文字の右下に、「サーキュレーション・アップ・トゥ・デート」の文字を小さく横書きにした構成よりなるものであって、医学専門誌(雑誌)の題号として使用されるものである(甲第1?3、12号証)。 ところで、定期刊行物の題号は、題号全体が需要者に印象付けられるといえるから、当該定期刊行物の題号全体をもって、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるべきである。 そうすると、本件商標と引用商標は、その構成の一部に、いずれも「CIRCULATION」の文字を含むものであるとしても、本件商標は、その構成全体の文字に相応して、「ジュンカンキサーキュレーション」の称呼が生ずるものであって、かつ、その構成中の「CIRCULATION」の文字が「循環」等を意味する英語であるから、構成全体として、「循環器」の観念を生ずるものといえる。これに対して、引用商標は、その構成全体の文字に相応して、「サーキュレーションアップトゥデート」の称呼を生ずるものであって、構成全体として、「循環器最新情報」なる観念を生ずるものといえる。 してみると、本件商標より生ずる「ジュンカンキサーキュレーション」の称呼と引用商標より生ずる「サーキュレーションアップトゥデート」の称呼は、各音の配列や音感、音質等において著しい差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、全体の語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤られるおそれはないというべきである。 また、本件商標と引用商標は、それぞれ前記のとおりの観念を有するものであるから、観念上相紛れるおそれもない。 さらに、本件商標と引用商標は、前記したそれぞれの構成よりみて、外観上明らかに区別し得るものである。 したがって、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同第19号について 前記(1)及び(2)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品「雑誌」を表示するものとして、本件商標の登録出願日はもとより、その査定日においても、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないものであり、また、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 さらに、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標と認めることができない。 この点に関し、申立人は、甲第3号証ないし甲第13号証を提出し、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)は、申立人が発行する雑誌の題名に類似する商標の登録出願をしたため、申立人は、商標権者に対し、これらの商標の登録出願を取り下げることを申し入れる旨を内容とする「申入書」を送付したが、商標権者はその受取を拒否するなどをしたと主張するが、例えば、甲第13号証に記載された商標権者が登録出願した商標は、そのほとんどのものが拒絶の理由を発見することができないものとして登録に至ったのであり、そのうち、申立人による登録異議の申立てがあったものについても、登録を維持する旨の決定がされたものであるところからすると、商標権者の上記行為が直ちに不正な行為に結びつくものとはいえない。したがって、申立人の上記主張は理由がなく、その他、本件商標が不正の目的をもって使用する商標と認めるに足りる証拠は見出せない。 以上によれば、引用商標が需要者の間に広く認識され、かつ、本件商標が引用商標に類似する商標であって、不正の目的をもって使用する商標であることを前提に、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第19号に該当するとする申立人の主張は、前提において誤りがあり、採用することができない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2011-04-20 |
出願番号 | 商願2009-53020(T2009-53020) |
審決分類 |
T
1
652・
252-
Y
(X10)
T 1 652・ 222- Y (X10) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 金子 尚人 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
内山 進 前山 るり子 |
登録日 | 2010-07-23 |
登録番号 | 商標登録第5339566号(T5339566) |
権利者 | 株式会社医学出版 |
商標の称呼 | ジュンカンキサーキュレーション、ジュンカンキ、サーキュレーション |
代理人 | 種村 泰一 |