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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101
管理番号 1236625 
審判番号 取消2010-300744 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-07-07 
確定日 2011-04-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第2204618号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2204618号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリーンサイド」の片仮名を横書きしてなり、昭和49年2月4日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、同22年3月10日に指定商品を第1類「化学品」及び第5類「薬剤」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、その商標権(以下「本件商標権」という。)は現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は,平成22年7月27日である。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中第1類「化学品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べた。
本件商標は、その指定商品中第1類「化学品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、通常使用権者である静岡県磐田市塩新田328番地所在のケイ・アイ化成株式会社(以下「ケイ・アイ社」という。)が、商品「化学品」について使用している。
被請求人とケイ・アイ社は、平成10年11月1日に商標使用許諾契約を締結し(乙第1号証)、同20年3月19日には覚書を締結しており(乙第2号証)、ケイ・アイ社は本件商標「クリーンサイド」を商品「水処理剤」について使用することを許諾された。
(2)通常使用権者であるケイ・アイ社が、「水処理剤」について本件商標を使用している事実を証するため、乙第3号証ないし乙第7号証として、「クリーンサイド300」(工業用殺菌洗浄剤)、「クリーンサイド1000」(工程殺菌・スケール洗浄剤)、「クリーンサイドMC-30」(スライム除去剤・スケール分散剤)、「クリーンサイドNV-35」(除菌剤)、「クリーンサイドSG」(工業用水処理剤)の包装用容器に貼り付けるラベル、商品説明書及び出荷伝票を提出する。
(3)さらに、同事実を示すため、乙第8号証ないし乙第10号証として、広告を掲載した雑誌の表紙、広告掲載頁及び奥付の写しを提出する。これらの雑誌には、「クリーンサイド1000」(有機脂肪族系の複合物)、「クリーンサイドMC-30」(有機リン酸系化合物)、「クリーンサイド1000」(工程洗浄殺菌剤・スケール除去剤)の広告が示されており、いずれの雑誌も発行日が本件審判の請求の登録日以前の3年間である。
(4)以上のとおり、本件商標は、通常使用権者により商品「化学品」である「水処理剤」に、本件審判の請求の登録日前の3年の間に使用されており、商標法第50条第1項の規定に該当しないことが明らかである。

4 当審の判断
(1)乙各号証について
ア 乙第1号証は、平成10年11月1日付けの被請求人(商標権者)を甲とし、ケイ・アイ社を乙とする商標使用許諾契約書の写しであり、その前書きには、別表に掲げる登録商標を「本登録商標」という旨の記載があり、「(使用権の許諾)第1条」には「甲は,乙に,本登録商標について通常使用権を許諾する.」、「(使用権の範囲)第2条」には「第1条の使用権の範囲は,別表記載の許諾商品とする.」、「(許諾の期間及び対価)第3条」には「(1)本登録商標の許諾の期間は,原則として更新登録日から10年単位とする.」、「(有効期間)第14条」には「本契約の有効期間は,本契約締結の日から5年間とする.ただし,期間満了前の3ケ月前までに,甲または乙より,何らかの意志表示がないときは,この契約は2年間延長され,その後の延長についても同様とする.」の記載があり、本文末尾に甲、乙それぞれの代表取締役社長の記名、押印がある。
そして、別表には「甲が乙に通常使用権を許諾する登録商標」として、商標名「クリーンサイド」、登録番号「第2204618号」、更新時期「H12-1-30」、許諾商品「水処理剤」の記載がある。
イ 乙第2号証は、平成20年3月19日付けの被請求人(商標権者)を甲とし、ケイ・アイ社を乙とする、平成10年11月1日に締結した商標使用許諾契約書の対象となる登録商標の変更に合意した旨の覚書の写しであり、変更後の別表には、商標名「クリーンサイド」、登録番号「第2204618号」、更新時期「2010年1月30日」、許諾商品「水処理剤」の記載がある。また、文末には甲、乙それぞれの代表取締役社長の記名、押印がある。
ウ 乙第3号証の1ないし乙第5号証の3は、「クリーンサイド300」(工業用殺菌洗浄剤)、「クリーンサイド1000」(工程殺菌・スケール洗浄剤)、「クリーンサイドMC-30」(スライム除去剤・スケール分散剤)と表記されている各商品の包装用容器に貼り付けるラベル、商品説明書及び出荷伝票であり、それらにはいずれにも「ケイ・アイ化成株式会社」「静岡県磐田市塩新田328」の記載がある。
また、出荷伝票の日付けは、2010年01月15日(乙第3号証の3)、2010年01月20日(乙第4号証の3)、2010年04月01日(乙第5号証の3)と記載されている。
エ 乙第6号証の1ないし3は、商品の包装用容器に貼り付けるラベル、商品説明書及び出荷伝票であり、それらにはいずれにも「クリーンサイドNV-35」「ケイ・アイ化成株式会社」「静岡県磐田市塩新田328」の記載がある。
そして、ラベルに記載された「クリーンサイドNV-35」の文字中には「ド」の文字の右上に小さく「R(○の中に「R」の文字)」の記号があり、商品説明書には、「はじめに」の項に「本品は、・・・新しいタイプの除菌剤です。」の記載が、「クリーンサイド NV-35の特長」の項に「水処理や環境衛生施設・・・幅広い分野に適用されます。」の記載が、「製品概要」の項に「荷姿:20kgポリ缶」の記載がある。
また、出荷伝票には、左上に「静岡県富士市中之郷1772\(株)ネップ 東海工場 御中」、右上に「2010年04月07日」の記載があり、表中には品目名称が「クリーンサイドNV-35」、個数が1個、数量が20kgであることが記載されている。
オ 乙第7号証の1ないし3は、商品の包装用容器に貼り付けるラベル、商品説明書及び出荷伝票であり、それらにはいずれにも「クリーンサイドSG」「ケイ・アイ化成株式会社」「静岡県磐田市塩新田328」の記載がある。
そして、ラベル及び商品説明書に記載された「クリーンサイドSG」の文字中には「ド」の文字の右上に小さく「R(○の中に「R」の文字)」の記号があり、ラベル及び商品説明書の上段には「工業用水処理剤」の記載が、商品説明書の「クリーンサイドSGの包装荷姿」の項には「20kg詰め ポリエチレン袋・ダンボール梱包」の記載がある。
また、出荷伝票には、左上に「岡山県勝田郡奈義町柿502-9\東西工業(株) 岡山事業所 御中」、右上に「2010年03月10日」の記載があり、表中には品目名称が「クリーンサイドSG」、個数が4個、数量が80kgであることが記載されている。
カ 乙第8号証ないし乙第10号証は、ケイ・アイ社が広告を掲載した雑誌の写しであり、それぞれ次のとおりである。
(ア)乙第8号証は、雑誌「紙パ技協誌」(2009年10月1日 紙パルプ技術協会発行)で、2枚目の広告掲載頁の中央やや下の「工程洗浄殺菌剤・スケール除去剤(製紙抄造、カラー工程用)」の項に「有機窒素系の複合物\クリーンサイドX-70」、「有機脂肪族系の複合物\クリーンサイド1000」、「有機リン酸系化合物\クリーンサイドMC-30」の記載があり、下段には「ケイ・アイ化成株式会社」の記載や住所などの記載がある。
(イ)乙第9号証は、雑誌「紙パルプ技術タイムス」(2009年10月1日 株式会社テックタイムス発行)で、2枚目の広告掲載頁の下段に「ケイ・アイ化成の製紙用薬品」とあり、「工程洗浄殺菌剤・スケール除去剤」の項に「クリーンサイド1000」の記載があり、その下には「ケイ・アイ化成株式会社」の記載や住所などの記載がある。
(ウ)乙第10号証は、雑誌「紙パ技協誌」(2010年1月1日 紙パルプ技術協会発行)で、2枚目の広告掲載頁に乙第8号証と同内容の広告が掲載されている。
(2)以上の被請求人の提出に係る乙各号証及び答弁の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。
ア 被請求人(商標権者)は、ケイ・アイ社に対して、平成10年11月1日に、水処理剤について本件商標に係る通常使用権を許諾した。その使用権は、2010(平成22)年1月30日まで継続し、本件商標権が現在も存続していること及び商標使用許諾契約書の内容からすれば、その後、現在も継続しているものと推認できる(上記(1)ア及びイ)。
イ ケイ・アイ社は、商品説明書の「水処理や環境衛生施設・・・幅広い分野に適用されます。」の記載から水処理剤と認められる商品「クリーンサイドNV-35(20kgポリ缶)」の包装容器に、「クリーンサイドNV-35」の記載のある商品ラベル(乙第6号証の1)を付し、当該商品1個を2010(平成22)年4月7日に、(株)ネップ東海工場へ出荷したことが推認できる(上記(1)エ)。
また、同社は、工業用水処理剤「クリーンサイドSG(20kg詰め)」の包装容器に、「クリーンサイドSG」の記載のある商品ラベル(乙第7号証の1)を付し、当該商品4個を2010(平成22)年3月10日に、東西工業(株)岡山事業所へ出荷したことが推認できる(上記(1)オ)。
(3)上記(2)の認定事実によれば、本件商標の通常使用権者であるケイ・アイ社は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成22年3月ないし4月に、本件審判請求に係る指定商品「第1類 化学品」の範ちゅうに含まれる「水処理剤」に、「クリーンサイドNV-35」及び「クリーンサイドSG」の各文字からなる商標を(その容器に)付し、それぞれ(株)ネップ東海工場及び東西工業(株)岡山事業所に出荷したものと認められる。
そして、乙第6号証の1ないし3に記載された「クリーンサイドNV-35」及び乙第7号証の1ないし3に記載された「クリーンサイドSG」の文字からなる商標は、いずれも構成文字の種類から、容易に「クリーンサイド」と「NV-35」又は「SG」とに分離でき、かつ、後者が商品の記号、符号として一般に使用されている欧文字、数字あるいはそれらの組み合わせの一類型と認められることから、前者の「クリーンサイド」の文字が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
してみれば、かかる「クリーンサイドNV-35」及び「クリーンサイドSG」の文字からなる商標は、「クリーンサイド」の文字からなる本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
(4)請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
(5)そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者である「ケイ・アイ化成株式会社」が本件審判の請求に係る指定商品「第1類 化学品」の範ちゅうに属する「水処理剤」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したといわなければならない。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品「第1類 化学品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-03-02 
結審通知日 2011-03-04 
審決日 2011-03-16 
出願番号 商願昭49-15862 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (101)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 瀧本 佐代子
小畑 恵一
登録日 1990-01-30 
登録番号 商標登録第2204618号(T2204618) 
商標の称呼 クリーンサイド 
代理人 原 隆 
代理人 田島 壽 
代理人 加藤 和彦 
代理人 青木 篤 
代理人 稲木 次之 

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