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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X33 |
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管理番号 | 1235047 |
異議申立番号 | 異議2010-900201 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-07-16 |
確定日 | 2011-03-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5315585号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5315585号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5315585号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成21年9月14日に登録出願され、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として平成22年4月9日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)に掲げるとおりである。 (1)国際登録第944133号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲(B)のとおり 国際登録日:2007年10月24日(優先権主張:2007年5月7日フランス) 設定登録日:平成20年10月10日 指定商品 :第33類「Alcoholic beverages (except beers); wines, sparkling wines, wines with protected label of origin Champagne; champagne cocktails.」 (2)登録第4567331号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲(C)のとおり 登録出願日:平成13年4月24日(優先権主張:2000年12月13日域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)) 設定登録日:平成14年5月10日 指定商品 :第33類「シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒,発泡性ぶどう酒,ぶどう酒,その他の果実酒,洋酒,薬味酒,中国酒,日本酒」 (3)登録第4683100号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲(D)のとおり(立体商標) 登録出願日:平成14年10月18日 設定登録日:平成15年6月20日 指定商品 :第33類「シャンパーニュ地方産の発泡性ワイン」 上記引用商標1ないし3は、いずれも現に有効に存続しているものであり、以下、これらを一括して「引用商標」ということがある。 3 登録異議申立ての理由の要点 引用商標は、仏国のウージェーヌ・アイメ・サロンによる1920年の創業以来現在に至るまで、シャンパーニュ(シャンパーニュ産の発泡性ワイン)について使用されている「SALON」ブランド(サロンブランド)の商標であり、その構成中の「S」の文字(以下「Sマーク」という。)は、サロンブランドを代表するロゴマークとして世界的に周知著名な商標である。 本件商標は、サロンブランドの周知著名なSマークと類似の程度が高い「S」の文字からなる図形部分を含むものであり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、該商品がサロンブランド又はその関連会社等の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)本件商標と引用商標との対比 本件商標は、別掲(A)のとおり、赤色に着色された図形(以下「本件図形」という。)と「株式会社サニプロ」の文字とからなるところ、本件図形と上記文字部分とは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、両者が常に不可分一体にのみ認識されるべき格別の理由は見出し難いから、両者は、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえる。 しかして、本件図形は、赤色で塗り潰した横長の楕円形内に、右上から右下にかけて太さを変えて蛇行する曲線が白抜きで表され、さらに下部中央付近から左側に湾曲させた曲線が細く白抜きで表された構成からなるものである。そして、本件図形は、上記二つの白抜き部分と上記楕円の下部とを併せて、両先端を尖らせた「S」の文字を連想、想起させる場合があることは強ち否定するものではないが、上記表現態様に照らし、むしろ、一見して直ちに何を表したか理解し難い幾何図形として看取されるとみるのが自然であり、既成の親しまれた称呼及び観念を生じ得ないものというべきである。 一方、引用商標1は、別掲(B)のとおり、濃緑色で塗り潰された縦長長方形に沿って黄色の細線で輪郭を表し、その内部上方に、やや図案化された黄色の「S」の文字を配した構成からなるものである。上記「S」の文字(Sマーク)は、両先端部分に突起を設けて図案化がされているものの、「S」の字形の範囲を超えるものではなく、一見して直ちに「S」の文字を表したものと認識し理解され、「エス」(S)の称呼及び観念を生ずるものといえる。 引用商標2は、別掲(C)のとおり、黒褐色で塗り潰された縦長長方形に沿って金色の細線で輪郭を表し、その内部に引用商標1と同様のSマーク(ただし、金色で縁取られ、その内側は濃茶色。)を表し、さらにその下部には、白色の「SALON」の文字を横書きした構成からなるものである。 引用商標3は、別掲(D)のとおり、ワインの瓶を表した立体商標であって、該瓶の胴体部分には、引用商標2と同様のSマーク(ただし、白色)及び白色の「SALON」の文字をはじめ、白色の「CHAMPAGNE」の文字等を表示したラベルが貼付されているほか、該瓶の首部分には、金色のSマーク及び白色の「1990」の数字が表示されているものである。 そして、引用商標の構成中のSマークは、いずれも上記図案化された点において特徴を有するものであり、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。 そこで、本件図形と引用商標中のSマークとを対比すると、両者は、上記のそれぞれの特徴により、構成態様が明らかに異なり、看者に全く別異の印象を与えるものであって、外観上判然と区別し得るものであるばかりでなく、本件図形は、一見して直ちに何を表したものか理解し難く、既成の親しまれた称呼及び観念は生じないのに対し、Sマークは、「S」の文字を表したものと容易に認識し理解され、「エス」(S)の称呼及び観念を生ずるものである。 そうすると、本件図形とSマークとは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものであり、本件図形からSマークが連想、想起されるようなことはないというべきである。 その他、本件商標と引用商標とを全体的に対比した場合には、構成文字等において明らかな相違点があり、両者は、より一層容易に区別し得るものである。 (2)商品の混同のおそれについて 申立人の提出に係る証拠(甲第9ないし第21号証及び第28号証の1ないし5)によれば、引用商標及びSマークは、高級シャンパーニュについて使用する商標(サロンブランド)として一部需要者の間に相当程度知られていることが認められる。また、引用商標が使用されている「シャンパーニュ地方産の発泡性ワイン」は、本件商標の指定商品中の「果実酒」の範疇に属する商品であり、両者は密接な関係を有するものといえる。 しかしながら、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、類似するところのない別異の商標であるから、引用商標及びSマークの周知性をはじめ、本件商標の指定商品と引用商標に係る商品との関連性、取引者・需要者の共通性、その他本件商標の指定商品の取引の実情等を考慮したとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する取引者・需要者が引用商標、Sマークないしはサロンブランドを連想、想起するようなことはないとうべきであり、該商品が申立人をはじめとするサロンブランドの関係者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(色彩については、原本を参照されたい。) (A)本件商標(登録第5315585号商標) (B)引用商標1(国際登録第944133号商標) (C)引用商標2(登録第4567331号商標) (D)引用商標3(登録第4683100号商標) |
異議決定日 | 2011-02-22 |
出願番号 | 商願2009-70170(T2009-70170) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X33)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大渕 敏雄 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 小林 由美子 |
登録日 | 2010-04-09 |
登録番号 | 商標登録第5315585号(T5315585) |
権利者 | 株式会社サニプロ |
商標の称呼 | エス、サニプロ |
代理人 | 田中 景子 |
代理人 | 阪田 至彦 |
代理人 | 佐藤 俊司 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |