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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y14
管理番号 1234966 
審判番号 取消2010-300626 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-06-07 
確定日 2011-03-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4876834号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4876834号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成17年2月2日に登録出願され,第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具」を指定商品として平成17年7月1日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は, 商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べている。
請求人が種々調査した結果,本件商標は商標権者により,少なくとも過去3年以内に日本国内でその指定商品には使用されていないことが判明した。
したがって,本件商標の登録は取消されるべきものである。
そして,請求人は,被請求人の答弁に対し弁駁をしていない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1ないし第4号証(枝番を含む。)を提出している。
1 使用に係る商標及び商品
(1)本件商標の通常使用権者は,本件商標を,本件審判請求の登録前3年以内に,本件審判の取消請求に係る商品中の「身飾品」について,日本国内において使用している。
乙第1号証は,本件商標の通常使用権者であってフランス国企業であるNEREIDES DISTRIBUTION-N2社(以下「NEREIDES社」という。)が製造販売する,本件商標をモチーフにした貴金属類(特に,ネックレスやイヤリング)の販売力タログ「Smiley by N2 SMILEY FASHION ACCESSORIES」の写しである。上記カタログは,請求があれば各国の小売店等(通信販売業者含む。)へ配布されるものであって,一部外国語ではあるものの,日本在住の取引者であっても参照及び入手が可能なものである。そして,例えば,通し番号第4頁目には本件商標と社会通念上同一とみられる片目を閉じ又はウィンクをしている表情を描いたものとして印象づけられる図形が附されたイヤリング及びネックスレスが,それぞれ型番「LDM 101T」,「LDM 104T」,「LDM 201」等として掲載されている。また,通し番号第5頁目にも,本件商標と社会通念上同一とみられる図形が附されている型番「LDM 301」,「LDM 302」,「LDM 303」等のネックレスが掲載されている。したがって,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が現実に使用されていることが確認できる。
(2)本件商標の通常使用権者であるNEREIDES社は,我が国の通信販売業者に直接,上記製品カタログに掲載されているイヤリングやネックレスの販売を,本件審判請求の登録日前3年以内に行った(乙第2号証)。
乙第2号証は,NEREIDES社がJUPITER SHOP CHANNEL宛に発行した「FACTURE」(フランス語。英語の「INVOICE」にあたる。)である。
まず,乙第2号証の1については,宛先として「JUPITER SHOP CHANNEL KOKKAN BLDG 4F,1-14-1SHINKAWA 104-0033 CHUOKU JAPON」の記載,発行日は「03/02/10」,内容欄には,まず商品コード(CODEARTICLE)の欄に「LDM 101T」と色彩「BLUE BLUE」「BRW BROWN」「PINK PINK」の記載,それに対応する製品名(DESIGNATION)として「EARRINGS DIS-MOI ”CHEESE”」,数量(QUANTITE)の欄には色ごとに「200」「200」「150」,単価(PRIX UNITAIRE)の欄には「3.50」といった記載がある。
次いで,乙第2号証の2についても同様に,宛先及び配送先として「JUPITER SHOP CHANNEL KOKKAN BLDG 4F,1-14-1SHINKAWA 104-0033 CHUOKU JAPON」の記載,発行日の欄に「15/12/09」,内容欄には,まず商品コードの欄に「LDM 101T」と色彩「BLUE BLUE」「BRW BROWN」「PINK PINK」や「LDM 303」と色彩「BLUE BLUE」「BRW BROWN」の記載が,それに対応する製品名として「EARRINGS DIS-MOI ”CHEESE”」,「NECKLACE DIS-MOI ”CHEESE”」,数量は各色につき「3」などといった記載がある。ちなみに,乙第2号証の請求書の宛先(配送先)である「JUPITER SHOP CHANNEL」(住所:KOKKAN BLDG 4F,1-14-1SHINKAWA 104-0033 CHUOKU JAPON)とは,国内に本社を置く「ジュピターショップチャンネル株式会社」(住所:東京都中央区新川1-14-1国冠ビル)であって,該企業は主にCATV放送・衛星放送・インターネット・カタログ等の媒体を通して通信販売を展開する「ショップチャンネル」の運営を中心としたダイレクトマーケティング事業を行う法人である(乙第3号証)。
(3)以上より,被請求人が本件商標の使用許諾を与えているNEREIDES社は,製品カタログに掲載されている,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示した商品中,少なくとも「LDM 101T」や「LDM 303」を品番とする「イヤリング」や「ネックレス」を,2010年2月3日及び2009年12月15日に出荷し,東京都中央区新川1-14-1国冠ビルに所在のジュピターショップチャンネル株式会社に発送,また,NEREIDES社はジュピターショップチャンネル株式会社に対し,発送した商品の代金を2010年2月3日及び2009年12月15日付けの「FACTURE」(インボイス)により請求した。
(4)よって,本件商標の通常使用権者は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示した本件取消請求に係る指定商品に含まれる「イヤリング」や「ネックレス」を2010年2月3日及び2009年12月15日に発送し,それら商品が,本件審判請求の登録前3年以内である2010年2月3日頃及び2009年12月15日頃に日本国に輸入されたのは明らかであって,本件商標の通常使用権者NEREIDES社の上記行為は,標章の「使用」について定めている商標法第2条第3項第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為」の規定のうち「輸入する行為」に該当する。
(5)ちなみに,我が国の取引先による,外国法人の商標権者又は使用権者からの商品の輸入行為をもって,商標法第50条に規定する商標権者又は使用権者による商標の「使用」があったと認められるべきことは,下記に示す東京高等裁判所平成14年行(ケ)第346号判決の判示に照らし,妥当である。
「・・・商標権は,国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり,属地主義の原則に支配され,その効力は当該国の領域内においてのみ認められるところから,外国法人が商標を付した商品が我が国外において流通している限りは,我が国の商標法の効力は及ばない結果,我が国の商標法上の『使用』として認めることはできないものの,その商品がいったん日本に輸入された場合には,当該輸入行為をとらえ,当該外国法人による同法2条3項2号にいう『商品に標章を付したものを輸入する行為』に当たる『使用』行為として,同法上の『使用』としての法的効果を認めるのが相当である。」
(6)以上により,本件商標の通常使用権者が,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標と社会通念上同一とみられる商標を取消請求に係る指定商品中の「イヤリング,ネックレス」について使用していたことは,明らかな事実である。
2 使用者(通常使用権者)
(1)被請求人は,本件商標について,Smiley world Ltd(以下「SWL社」という。)を通じて,上記NEREIDES社(住所:5 RUE DU BOURG L’ABBE 75003 PARIS)に対し,本件商標を含むいわゆるスマイルフェイスの範躊に属する顔のマークについて,全世界を範囲として,宝飾品類全般への使用を許諾している。
(2)乙第4号証は,「SMILEY LICENSE AGREEMENT」(SMILEYマークの商標使用許諾契約書)と題する書面である。第2頁目には,本件商標の使用許諾者としてSWL社が,被許諾者としてNEREIDES社がそれぞれ記載されている。
ちなみに,使用許諾者であるSWL社は,本件商標を含む被請求人の一切の登録商標等を管理するために設立された,いわゆる商標管理人・代理人である。なお,上記書面は,本件商標の商標権者である被請求人の息子であるNicolas LOUFRANI(ニコラ ルフラニ)が許諾者のCEOとして署名している(第20頁)。
(3)また,使用許諾の範囲について,地域については「TERRITORY:Worldwide」(地域:世界全域),契約期間については「COMMENCEMENT DATE:Upon signing」(開始日:署名日より)及び「EXPIRATION DATE:30 September2011」(終了日:2011年9月30日),内容については「PRODUCTS:Watches,jewellery made of non precious metals」(商品:時計,非金属製の宝飾品)とあり(以上,第2頁),本契約書への署名日は「1/1/09」となっているから(第20頁),本契約は,遅くとも2009年1月1日に効力を発し,2011年9月30日までは有効なものである。つまり,上記説明したような,本件商標と社会通念上同一とみられる商標を付した「イヤリング,ネックレス」を,ジュピターショップチャンネル株式会社がNEREIDES社から輸入した2010年2月3日頃及び2009年12月15日頃は,NEREIDES社は本件商標の正当な通常使用権者としての地位を有していたのであり(無論,今日でもその状態は継続している),しかも,該取引は本件審判についての要証期間内に行われたものである。
(4)ちなみに,使用許諾の対象となる商標については,登録番号による特定はしておらず「TRADEMARKS:Smiley name+Original logo」と記載してあるのみである。これは,被請求人創作のマークが多岐のバリエーションを含んでいるからということもあり,被請求人及びSWL社は,登録商標を含むそれらマーク(契約書第4頁に記載されているように,実際には,SWL社が不定期にライセンシーに配布するStyle Guides,Trend Books,Brand Bibleといった被請求人創作のマークのカタログに掲載されているもの)の一切について,ライセンシーに対して包括的に使用を認めるという方針のためである。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標の通常使用権者は,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標と社会通念上同一とみられる商標を,取消請求に係る指定商品中,「身飾品」の範躊に属する商品「イヤリング,ネックレス」について使用していたものである。
したがって,本件審判請求には理由がないから,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,取り消されるべきでない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証は,「Smiley World by N2 SMILEY FASHION ACCESSORIES」と題する商品カタログの写しと認められるところ,その3枚目には,「《Dis-moi cheese》Line」の表題の下に,「-3clors available-The references have to be ordered by 3 units per color」と記載され,「Blue」,「Brown」及び「Red」として,それぞれ青色,茶色又は赤色に塗り潰された円図形と白抜き線とをもって本件商標と略同様の構成とした図形が表示されている。
同様に,その4枚目及び5枚目には,「AVAILABLE REFERENCES」として,やや不鮮明ながら,イヤリング,ネックレス等の写真が掲載され,それぞれ「LDM 101T」,「LDM 201」,「LDM 301」,「LDM 302」,「LDM 303」又は「LDM 603」等の記号が付されている。
また,上記イヤリング,ネックレス等には,飾り部分に,上記乙第1号証に示す図形と同様の構成態様と看取される球状ないしは円盤状の物が付されている。
そして,上記球状ないしは円盤状の物は,上記イヤリング,ネックレス等を構成する一部分であって,装飾的に用いられているものではあるが,それ自体が顕著な特徴を有するものであり,商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから,商標としての使用ではないとまではいえないし,乙第1号証に示された図形と共に,本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えないものである。
(イ)乙第2号証の1及び2は,フランス在の「N2-NEREIDES DISTRIBUTION」から日本国内の「JUPITER SHOP CHANNEL」に宛てられた「FACTURE」(フランス語で「送り状」の意)の写しと認められるところ,日付(Date)欄に「03/02/10」又は「15/12/09」と記載されており,内容として,商品コード(CODE ARTICLE)欄に「LDM101T」と色彩表示といえる「BLUE BLUE」,「BRW BROWN」及び「PINK PINK」の文字とが記載され,それに対応する商品名(DESIGNATION)欄に「EARRINGS DIS-MOI”CHEESE”」の文字が記載され,さらにそれに対応する数量(QUANTITE)欄及び単価(PRIX UNITAIRE)欄にそれぞれ数字が記載されている。
同様に,「LDM202」として「BRACELET DIS-MOI”CHEESE”」,「LDM303」として「NECKLACE DIS-MOI”CHEESE”」,「LDM305」として「NECKLACE DIS-MOI”CHEESE”」等の記載がみられる。
これらの商品コードは,乙第1号証のカタログに示されたイヤリング,ネックレス等の商品記号と一致するものであり,上記イヤリング,ネックレス等を示すものというべきであって,日付欄の記載に照らし,これらが2009年12月15日及び2010年2月3日に取引されたものとみるのが自然である。
(ウ)乙第3号証は,「テレビショッピングのショップチャンネル」と題するウェブサイトの写しと認められるところ,会社概要として,会社名に「ジュピターショップチャンネル株式会社」,所在地に「東京都中央区新川1-14-1 国冠ビル」がそれぞれ掲載されていること,上記会社名と所在地は,上記乙第2号証の1及び2に記載された名称及び住所と一致するところから,上記乙第2号証の1及び2に記載された「JUPITER SHOP CHANNEL」は,上記ジュピターショップチャンネル株式会社を指すものといえる。
(エ)乙第4号証は,「SMILEY LICENCE AGREEMENT」と題する書面の写しと認められるところ,許諾者として「Smiley world Ltd」(「SWL社」),被許諾者として「NEREIDES DISTRIBUTION-N2社」(「NEREIDES社」)と記載されているほか,「2009年9月29日に締結された」こと,使用権の対象たる商標「Smileyの名称+オリジナルロゴ」,商品「時計,非金属製の宝飾品」,地域「世界全域」,終了日「2011年9月30日」等が記載されている(上記記載の表示は訳文による。)。
上記書面は,その内容に照らし,SWL社とNEREIDES社との間で2009年9月29日に締結された,本件商標を含むSmiley商標に関する使用許諾契約書と認められ,NEREIDES社は,本件商標に係る通常使用権者といえる。なお,SWL社は,被請求人の登録商標等を実質的に管理する,いわゆる商標管理人・代理人とみられる。
(2)上記(1)の認定・事実によれば,NEREIDES社によって,本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品「イヤリング,ネックレス」が,2009年(平成21年)12月15日頃及び2010年(平成22年)2月3日頃に我が国のジュピターショップチャンネル株式会社に販売されたものというべきであるから,本件商標は,本件審判の請求の登録(平成22年6月23日)前3年以内に上記商品について使用されていたものというべきである。
2 本件商標の使用者及び使用商品について
前示のとおり,NEREIDES社は,本件商標に係る通常使用権者と認められるものであり,同社は,本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品「イヤリング,ネックレス」をジュピターショップチャンネル株式会社に販売することにより,本件商標を使用しているものといえる。また,本件商標が使用されている上記「イヤリング,ネックレス」は,本件商標の指定商品中の「身飾品」の範疇に属する商品といえるものである。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者によって,指定商品中の「イヤリング,ネックレス」について使用されていたものというべきであるから,商標法第50条第1項の規定に基づき,その登録を取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2011-01-26 
結審通知日 2011-01-28 
審決日 2011-02-09 
出願番号 商願2005-7885(T2005-7885) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y14)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小畑 恵一 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
小川 きみえ
登録日 2005-07-01 
登録番号 商標登録第4876834号(T4876834) 
代理人 太田 恵一 

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