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審決分類 |
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X35 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない X35 審判 査定不服 商3条柱書 業務尾記載 登録しない X35 |
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管理番号 | 1234891 |
審判番号 | 不服2010-1896 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-28 |
確定日 | 2011-03-14 |
事件の表示 | 商願2007-71221拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「クボタ」の片仮名文字を書してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年6月29日に登録出願されたものである。 その後、指定役務については、平成22年3月23日付け手続補正書により、第35類「肥料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農業用機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,その他の農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,トラクターの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,その他の自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気冷蔵庫及び電気がまの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子応用機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,その他の電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,潤滑油の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,土木機械器具及び荷役機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化学機械器具及び乾燥装置の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食料加工用の機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,包装用機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,動力機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,芝刈機の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用炊飯器及び業務用電磁調理器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電動車いすの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,布製包装用袋の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定において、以下の理由(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。 (1)商標登録を受けることができる商標は、現在使用をしているもの又は近い将来使用をするものと解されるところ、出願人が出願に係る商標を小売等役務に使用しているか、または、近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。 (2)本願商標は、ありふれた氏である「久保田」、「窪田」に通じる「クボタ」の片仮名文字を横書きしてなるものであるから、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項柱書について 本願商標の指定役務については、前記1のとおり補正され、また、平成20年9月9日付け手続補足書を確認した結果、本願商標の指定役務は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するものになったと認められる。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとした原査定の拒絶の理由は、解消した。 (2)商標法第3条第1項第4号について 本願商標は、上記1のとおり、「クボタ」の文字からなるところ、日本人の姓氏を表す場合、必ずしも漢字のみならず、平仮名や片仮名文字又は欧文字等で表す場合も決して少なくないことからすれば、本願商標に接する取引者・需要者は、我が国においてありふれた氏の一つである「久保田」ないし「窪田」の姓氏を、片仮名文字により「クボタ」と表したものと極めて容易に理解・認識するものというべきである。 そして、「久保田」又は「窪田」の文字が、姓氏の一つという点については、例えば「広辞苑第六版」に、共に「姓氏の一つ。」との記載があること、また、「久保田」の姓が、ありふれた氏という点については、例えば「日本人の姓」(佐久間英著1972年3月8日再版、六藝書房発行)によれば、「久保田」の姓が約8万人で全国第140位に位置づけられていることが記載されており、さらに、「姓名分布&ランキング」(http://www2.nipponsoft.co.jp/bldoko/index.asp)によれば、「久保田」の姓は「全国順位122位」との検索結果からも、同様にありふれた氏であることが裏付けられるものである。 そうすると、本願商標「クボタ」の文字は、これに接する取引者・需要者に、我が国において、ありふれた氏の一つである、例えば「久保田」を片仮名文字で「クボタ」と表したものと容易に理解されるものと判断するのが相当である。 なお、請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当することについて何ら意見を述べていない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。 (3)商標法第3条第2項について ア 請求人は、「本願商標は、出願人の業務に係る役務を表示するものとして以前より継続的に使用されており、現在では既に出願人の業務に係る役務を表すものとして取引者、需要者に広く認識されるに至っているので、商標法第3条第2項に該当し、登録されるべきものである。」旨主張し、証拠方法として原審において資料1ないし90を、当審において資料91ないし137(枝番号を含む。)をそれぞれ提出している。 イ ところで、出願に係る商標が、指定役務に係る役務の質を表示するものとして商標法第3条第1項第4号に該当する場合であって、それが同条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び役務について、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該役務に係る売上高等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決定すべきものであり、その場合、使用に係る商標及び役務は、出願に係る商標及びその指定役務と同一の場合に限られると解されるところである。 そして、本願商標に係る小売等役務についての「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」としては、例えば、店舗内外に設置した販売場所の案内板や、接客する店員の制服・制帽・名札等が該当する。 ウ そこで、以上の観点を踏まえて、請求人が提出した全証拠(資料1ないし137)について検討する。 (ア)資料1及び2は、「クボタ農業関連商品の総合カタログ」及び「株式会社クボタの会社案内」であるが、いずれにも本願商標の指定役務と同一の役務が提供されているか明らかでなく、かつ、それらの役務に本願商標が使用されていることも確認できない。 (イ)資料3ないし15(ただし、資料4ないし6、8は除く。)、資料92ないし95及び資料99ないし102は、「クボタ電農スクエア」のインターネット・ホームページの写しであるが、そのいずれにも本願商標が使用されていることは確認できない。 (ウ)資料4ないし6、8の資料に、本願商標が使用されていることは確認できない。 (エ)資料16ないし79は、「カタログ一覧表」及び出願人の製造・販売に係る商品「土木機械」、「農業用機械」、「トラクター」、「発電機」等の「カタログ」であるところ、これらのカタログには、例えば「クボタ野菜移植機」、「クボタトラクタ」等のように本願商標と同視し得る「クボタ」の文字を含む「クボタ」標章が使用されていることは認められるものの、これらの商品カタログに使用されている標章(以下「クボタ標章」という。)は、商品に使用されている商標と認められるものであり、小売等役務について使用されている商標とは認められない。 (オ)資料80及び81は、「国内主要関係会社の一覧表」及び「株式会社クボタ」の「会社概要」であるが、そのいずれにも本願商標の指定役務と同一の役務が提供されているか明らかでなく、本願商標が使用されていることも確認できない。 (カ)資料82ないし90については、出願人所有に係る登録商標及びAIPPI・JAPAN作成の「日本有名商標集」に掲載された「株式会社クボタ」の登録商標の掲載の事実を示す資料にすぎないものである。 (キ)資料91は、「本審判請求人の小売等役務を行っている主な関係会社のリスト」であり、また、資料96及び97は、「中国クボタ」及び「福岡九州クボタ」の会社案内(インターネット・ホームページの写し)であるが、いずれにも本願商標が使用されていることは確認できない。なお、資料97の1頁目の右上には、文字の一部が欠けた「kubota」商標、斜線の図形及び本願商標と同視し得る「クボタ」の文字から構成される看板(使用標章)が認められるところ、本願商標のみの使用ではなく、本願商標とはその構成態様を異にするものであるから、商標法第3条第2項の要件である出願商標と使用標章との同一性は認められないものである。 (ク)資料98は、「株式会社クボタホームページ」の写しであるところ、そのページ中の一部文字が欠けた「kubota」商標の使用は認められるとしても、本願商標の使用は確認できない。 (ケ)資料103及び104は、「クボタ建設機械事業部」の商品紹介及び「販売会社一覧」であるところ、そのいずれにも本願商標の使用は確認できない。 (コ)資料105ないし109は、「有価証券報告書」であり、「農業機械等の販売」や「建設機械等の販売」に係る小売等役務の提供を行っていることは認められるものの、本願商標の使用までは確認できない。 (サ)資料110ないし124は、各営業所等に掲げられた看板であるところ、本願商標の使用と認められるものは、資料110及び114のみであり、それ以外は、本願商標と斜線図形等との組合せからなる標章であるから、本願商標とはその構成態様を異にするものであって、商標法第3条第2項の要件である出願商標と使用標章との同一性は認められないものである。 また、資料110及び114にしても本願商標の指定役務と同一の役務が全て提供されているかは明らかでない。 (シ)資料125の1ないし134の2は、「決算短信(連結)」及び「連結部門別売上高」であるところ、連結された売上高等が記載されているとしても、いずれの役務について本願商標が使用されたのか不明というほかないから、これらの資料によって、本願商標が取引者、需要者に広く知られていることを証明するものではない。 (ス)資料135ないし137は、「読売新聞」及び「日経産業新聞」の記事並びに雑誌「エコノミスト」の記事であるところ、国内シェアが首位であることは記載されているとしても、いずれの役務について本願商標が使用されたのか不明というほかないから、これらの資料によって、本願商標が取引者、需要者に広く知られていることを証明するものではない。 エ そうすると、上記(ア)ないし(ス)にかかる資料を総合考慮しても、本願商標をその指定役務に使用した結果、需要者が本願商標を何人かの業務に係る役務であると認識するに至ったものと認めることはできない。 さらに、請求人が、本願商標について、一般需要者が接する機会が多いと認められるテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、テレビCM等の宣伝・広告を行っている事実も認めることができない。 してみれば、本願商標が使用により自他役務の識別力を獲得したとする請求人の主張は採用することはできない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-01-11 |
結審通知日 | 2011-01-13 |
審決日 | 2011-01-26 |
出願番号 | 商願2007-71221(T2007-71221) |
審決分類 |
T
1
8・
14-
Z
(X35)
T 1 8・ 18- Z (X35) T 1 8・ 17- Z (X35) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 久保田 正文 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 田中 亨子 |
商標の称呼 | クボタ |
代理人 | 北村 修一郎 |