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審決分類 |
審判 査定不服 商64条防護標章 登録しない Y25 |
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管理番号 | 1234888 |
審判番号 | 不服2009-1588 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-01-19 |
確定日 | 2011-03-15 |
事件の表示 | 商願2007-25733拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願標章 本願標章は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「Tシャツ,その他の被服」を指定商品とし、登録第4611304号商標(以下、「原登録商標」という。)の防護標章として、平成16年6月24日に登録出願された商願2004-58720に係る商標法第68条第1項の規定で準用する同法第10条第1項の規定による防護標章登録出願として、同19年3月26日に登録出願されたものである。 第2 原登録商標 原登録商標は、本願標章と同一の構成よりなり、平成11年12月27日に登録出願、第41類「プロレス・その他の格闘技の興行の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,美術品の展示,格闘技に関する資料の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配」を指定役務として、同14年10月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願標章は、他人がこれを本願指定商品に使用しても、商品の出所について混同を生じさせる程に需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断をして、本願を拒絶したものである。 第4 当審の判断 1 本願標章と原登録商標との一致について 本願標章は、原登録商標と同一の構成態様よりなるものであって、その出願も原登録商標権者によるものであることが、商標登録原簿及び出願書類に徴して認められる。 2 原登録商標の著名性について (1)請求の理由及び請求人の提出した平成21年3月25日付けの手続補足書に係る甲第1号証ないし甲第5号証によれば、以下のとおりである。(なお、甲第2号証は、本願の分割前の防護標章登録願2004-58720に係る書類である。) ア 請求の理由及び甲第1号証によれば、原登録商標については、防護標章登録第1号が、第41類「格闘技に関する録画済みビデオテープの貸与,格闘技に関する録画済みDVDの貸与,格闘技に関するビデオの製作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),格闘技に関する電子出版物の提供,格闘技に関する放送番組における演出」を指定役務として、平成16年8月6日に、防護標章登録第2号が、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成19年9月21日に、それぞれ設定登録されている。 イ 甲第2号証における平成17年3月2日付け意見書の2頁には、「本願標章にかかる総合格闘技イベント『PRIDE』は、そもそも1997年当時、既に社会的にも格闘技ブームが巻き起こっていた中で、『世界最強の格闘家を決める』とのコンセプトの下に、興行が企画・立案されたものであり、・・・1997年10月11日に・・・第1回目の興行『PRIDE.1』が、東京ドームで開催されたところであります。」との記載がある。 ウ 甲第2号証における平成17年8月11日受付の手続補正書の3頁ないし8頁によれば、当該興行の開催は、1997年に1回、1998年に3回、1999年に4回、2000年?2003年に各年6回、2004年に10回、2005年に6回であった。 エ 甲第2号証における平成17年3月2日付け意見書の2頁ないし3頁、及び平成17年8月11日受付の手続補正書の9頁ないし10頁によれば、当該興行は、フジテレビ放送により放送され、平均視聴率が、2003年12月31日の19:20?21:20に17.2%、2004年12月31日の19:30?21:30に18.3%、2005年6月26日の22:00?24:00に14.6%、などを記録している。 オ 甲第2号証における平成17年8月11日受付の手続補正書の8頁、9頁及び18頁によれば、当該興行は、格闘技関連の専門誌・スポーツ新聞・一般的なスポーツ誌への掲載がなされるほか、「現代用語の基礎知識2005」、「imidas2005」、「知恵蔵2005」への掲載もなされている。 カ 格闘技「PRIDE」の興行は、平成19年(2007年)3月より、本願標章の当初の出願人「株式会社ドリームステージエンターテインメント」から、現出願人「プライド エフシー ワールドワイド ホールディングス エルエルシー」によりなされることとなった。しかし、その後、上記「PRIDE」の興行は、日本において行われていない。(なお、原登録商標については特定承継による移転登録申請が、本願については出願人名義変更届が、共に平成19年8月17日に提出されている。) キ 請求の理由及び甲第3号証(2009年3月24日及び同年3月25日出力のホームページ)によれば、インターネット上に、請求人に係る当該興行の公式ホームページが設けられている。 ク 請求の理由及び甲第4号証(2009年3月25日出力の「pride」の文字に係るインターネット検索結果)によれば、インターネット上の情報として、興行「PRIDE」の公式ホームページ、Wikipediaへの掲載記事(「PRIDE(プライド)」は、1997年から2007年まで開催されていた・・・総合格闘技の興行である。)、興行「PRIDE21」の動画などが抽出されている。 ケ 請求の理由及び甲第5号証(2009年3月24日出力のインターネット情報)によれば、上記「PRIDE」の興行を記録したDVDが販売されている。 (2)以上よりすれば、原登録商標は、格闘技の興行を表示するものとして使用され、テレビ放送もなされた結果、興行開催回数の最も多い2004年を中心に、一時期においては、格闘技に関連する分野を核として、格闘技ファンやこれに興味を持つ人々などに一定程度知られていたものと認め得るところである。 しかしながら、当該興行は、請求人が原登録商標を承継して以降、日本で行われていない。 また、提出された興行「PRIDE」の公式ホームページ情報については、該ホームページがインターネット上に設けられていることは認められるものの、通常、ホームページは、不特定の者が接続するとしても、広く一般需要者が必ず接続するものとは限らないものである。 そして、該ホームページ情報では、「PRIDE」の興行開催について、2007年4月8日開催の「PRIDE.34」までを確認することができるのみである。 さらに、請求人の提出による証拠からは、一般需要者が接する機会が多いと認められるテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、請求人が、原登録商標を使用する役務等に関し、近年において、テレビCM等の宣伝・広告を行っている事実を認めることができない。 なお、例えば、「現代用語の基礎知識」においては、2007年1月1日発行のものには格闘技の一種として「PRIDE」が挙げられているものの、2008年1月1日発行のものには「PRIDE」が組織的崩壊に陥った旨の記述が見られるほかは格闘技の一種としての項立てはなく、2009年1月1日発行のものには格闘技の項に「PRIDE」についての記載そのものがない。 してみると、原登録商標の使用は、近年ではかなり少なくなっているものであり、原登録商標に接する需要者も限定されていると判断できるものであるから、原登録商標が、一般需要者の間に広く認識されているものとは、認めることができない。 3 出所の混同のおそれについて 他人が原登録商標と構成を同一にする商標を本願標章に係る指定商品について使用した場合、需要者が、その商品と原登録商標の商標権者の取扱いに係る指定役務と混同を生ずるおそれがあるか否かについて判断するに、商標法第64条第1項においていう「混同のおそれ」を判断するに当たっては、原登録商標自体とその商標の著名の程度、防護標章登録出願に係る指定商品の属する分野における需要者層、当該商品の取引の実情等に照らし、出所の混同のおそれの有無を総合的に判断すべきものと解される。 これを本件についてみるに、原登録商標に係る格闘技「PRIDE」の興行は、1997年に開始され、テレビ放送もされたものではあるが、その興行が2007年3月に請求人(現出願人)によってなされることとなった後、この格闘技の試合は、同年4月の試合を最後に日本ではなされていないものであるから、現在において、その著名性は必ずしも高いものと認めることができない。 そして、本願標章の指定商品は「被服」全体に及ぶものであるところ、原登録商標を使用した「格闘技の興行の企画・運営又は開催」とは、その用途、取引系統、販売・提供場所等において異なるもので、需要者層についても、商品「被服」の需要者は年齢の幅も広く、一般需要者全般に亘るものであり、格闘技の興行の分野における需要者層とは、その対象者において、大きく異なるものといわざるを得ない。 してみると、近年における経営の多角化や原登録商標の図案化された態様を考慮しても、他人が原登録商標と構成を同一にする商標を本願指定商品について使用しても、該商品が請求人の取扱いに係る商品であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできない。 4 結び 以上のとおりであるから、本願標章が商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願標章) |
審理終結日 | 2010-10-07 |
結審通知日 | 2010-10-12 |
審決日 | 2010-10-27 |
出願番号 | 商願2007-25733(T2007-25733) |
審決分類 |
T
1
8・
8-
Z
(Y25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 井出 英一郎 |
商標の称呼 | プライド、ピイアアルデイイイ |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 東谷 幸浩 |