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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X1430
審判 全部申立て  登録を維持 X1430
管理番号 1230260 
異議申立番号 異議2010-900167 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-02-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-06-10 
確定日 2010-12-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5309215号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5309215号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5309215号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成21年8月21日に登録出願され、第14類「キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」及び第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」を指定商品として、同22年2月22日に登録査定、同年3月12日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第5137015号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成19(2007年)4月11日に登録出願され、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」及び第30類「菓子及びパン,調味料,香辛料,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミ-トパイ,ラビオリ,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」を指定商品とするほか、第3類、第4類、第6類、第8類、第9類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類ないし第29類、第32類ないし第34類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同20年6月6日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第7号について
本件商標の商標権者は、「東京スカイツリー」の事業主体である東武鉄道株式会社及び東武タワースカイツリー株式会社と何ら関係のない一私人であり、事業主体の許諾がないにもかかわらず、引用商標に表される著名な「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状を本件商標の一部(ロボットの股下部)に用いた巧妙な模倣による商標を出願し、商標登録されている。
すなわち、甲第1号証に示された本件商標と、甲第2号証に示された事業主体が保有する「東京スカイツリー」の外形形状のシルエットを表した引用商標とを比較すると、引用商標の横幅を1.5倍した図形が本件商標のロボットの股下部と合致することがわかる。
特に、甲第1号証を見ると、第一展望台と第二展望台の位置や形状が、「東京スカイツリー」の外形形状のシルエットを表した引用商標と明らかに合致している。
このように、本件商標の商標登録出願人が、「東京スカイツリー」が第一展望台と第二展望台を有することやその位置・形状、およびその著名な東京スカイツリーの特徴的な外形形状を知らなければ、本件商標のような図形を含む商標には至らなかったものと考えられる。
本件商標は、著名な「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状を模しており、著名な「東京スカイツリー」の形状をまさに巧妙に模したものと判断せざるを得ない。
また、「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状は、そのデザイン発表日(2006年11月24日)以降マスコミ報道等により著名の域にある。特に本件商標に係る出願日(2009年8月21日)は、事業主体による「東京スカイツリー」の塔の高さが100mを突破する旨のプレスリリースがあった日(2009年8月6日)からわずか15日後のことであり、商標登録出願人は「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状や著名性を知って出願したものと推認される。
以上のとおり、本件商標は、「東京スカイツリー」の著名性にあやかろうとする意図があり、他人の名声名誉にただ乗りする行為により出願されたものである。「東京スカイツリー」の事業主体と無関係の第三者に登録を認めることは、一般的道徳観念に反して公正な競業秩序を害するとともに、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、本件商標は著名な「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状を巧妙に模倣した商標であり、需要者をして著名な「東京スカイツリー」を直感的に想起させるものである。
すなわち、「東京スカイツリー」の著名性などを勘案すると、「東京スカイツリー」の事業主体と何ら関係のない一私人である商標登録出願人が本件商標の付された商品等を使用した場合、その商品が「『東京スカイツリー』の事業主体」または「『東京スカイツリー』の事業主体と組織的又は経済的に何らかの関連のある者」の事業に係る商品であるかの如く需要者に認識され、出所混同を生じるおそれがある。
以上のとおり、本件商標は他人の業務に係る商品等と出所混同を生じるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第第4条第1項第7号及び同15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなるところ、その構成中の顕著に表された「押上ロボ」の文字部分より「オシアゲロボ」の称呼を生じるものである。
また、本件商標が、「押上ロボ」の文字及び「PUSH UP ROBO」の文字並びに物を押し上げているロボットの如き図形を結合した構成よりなることを考慮すると、本件商標からは「物を押し上げているロボット」程の意味合いを看取させる場合があるとしても、特定の観念を生じないものである。
これに対し、引用商標は、別掲(2)のとおりの構成からなるところ、その形状が、本件商標の登録出願以前において、特定の称呼、観念をもって一般国民又は引用商標を取り扱う取引者、需要者に知られていたとは認められないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において著しい差異を有するものであるから明確に区別することができ、称呼及び観念においては比較することができないものであって、非類似の商標というべきものである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
前記のとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、本件商標が、他人の名声、名誉にただ乗りする行為又は希釈化する行為により出願されたものということはできない。
してみれば、本件商標は、一般的道徳観念に反して公正な競業秩序を害するとともに、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、本件商標は、引用商標を連想、想起させるものではないから、本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項15号に違反してされたものとはいえない。
(4)申立人の主張について
申立人は、「本件商標が引用商標に表される著名な『東京スカイツリー』の特徴的な外形形状をその一部(ロボットの股下部)に用いた模倣出願である。」旨主張する。
しかしながら、「東京スカイツリー」に国民の関心が寄せられるようになったのは、2009年10月16日に塔の高さが634mに決定され、完成後は自立式電波塔として世界一となる旨が公表され、2010年3月29日に日本で一番高かった東京タワーの高さ333mを追い抜き、工事中の「東京スカイツリー」の写真とともにその高さが日本一になった旨を翌日に各新聞紙が報道してからであり、当時においても、未だ塔全体が完成しておらず、「東京スカイツリー」の形状が、我が国において広く知られていたとは認められないものである。まして、本件商標が出願されたそれ以前の2009年8月21日当時において、「東京スカイツリー」の形状はもとより引用商標のシルエット図形が、「東京スカイツリー」の形状を表すものとして我が国において広く知られていたとは認められない。
申立人においても、「自立式電波塔として世界一の高さとなる634mとする旨の発表を受け、発表翌日2009年10月17日(または19日)に全国紙をはじめ、業界紙等で一斉に報道がなされ、甲第6号証の1のとおり、業界紙等には『東京スカイツリー』の特徴的な外形形状がはっきりと記載されており、当該『東京スカイツリー』の特徴的な外形形状は全国的に著名の域に達したものと考えられます。」とし、「東京スカイツリー」の外形形状が全国的に著名の域に達したのは、本件商標の登録出願後としている(申立書5頁33行ないし6頁5行)。
そして、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成全体、「押上ロボ」の文字部分又はロボットの如き図形部分を捕らえて取引に資すると解されるものであり、本件商標構成中のロボットの股下部分の輪郭線は、ロボットの脚の図として認識できるものであって、本件商標の出願当時、引用商標の図形及び「東京スカイツリー」の形状が広く知られたものではなく、これを引用商標の輪郭又は「東京スカイツリー」の形状として連想、想起し、この股下部分のみに着目して取引することはないというのが相当であるから、本件商標の出願人が引用商標の形状を模倣したとは認められない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標




(2)引用商標





異議決定日 2010-11-30 
出願番号 商願2009-64089(T2009-64089) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X1430)
T 1 651・ 22- Y (X1430)
最終処分 維持  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2010-03-12 
登録番号 商標登録第5309215号(T5309215) 
権利者 合資会社ヘッドライトファクトリー 有限会社ミヤココーポレーション
商標の称呼 オシアゲロボ、オシアゲプッシュアップロボニゼロイチイチ、オシアゲプッシュアップロボニセンジューイチ、オシアゲプッシュアップロボ、オシアゲプッシュアップ、プッシュアップロボ、プッシュアップ、ロボ 
代理人 特許業務法人むつきパートナーズ 
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