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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X36
審判 一部申立て  登録を維持 X36
管理番号 1228584 
異議申立番号 異議2010-900134 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-05-21 
確定日 2010-11-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5302150号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5302150号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5302150号商標(以下「本件商標」という。)は、「レックス」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成21年11月5日に登録出願、第36類「損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、同22年1月5日に登録査定、同年2月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4907647号商標(以下「引用商標」という。)は、「レックス・ホールディングス」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成17年4月5日に登録出願され、第36類「損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」のほか、第11類、第29類、第30類、第32類、第35類、前記以外の第36類、第37類及び第43類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年11月11日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
初めに、本件商標と引用商標との指定役務について対比する。
本件商標の指定役務は、第36類「損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」である。
引用商標の指定商品・指定役務には、第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は上地の情報の提供」が含まれている。
以上のとおり、本件商標のすべての指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似である。
次に、本件商標と引用商標との商標の対比をする。
本件商標は、「レックス」の標準文字からなる商標であり、一方、引用商標は、「レックス・ホールディングス」の標準文字からなる商標である。
両者は、いずれも標準文字からなる商標であって、その外観において特に特徴的なデザインを有していない。
また、両者は造語からなる商標であって、それぞれの商標から特定の意味合い・観念を直接的に想起させるものではない。
したがって、本件商標と引用商標との対比は、その称呼の対比により判断すべきものである。
本件商標と引用商標とは、著しく異なった外観又は観念を生ずるものではないと判断されるところ、引用商標は結合商標と考えられるので、その結合の強弱の程度を考慮すれば、引用商標からは「レックス」の称呼が生じるものである。
すなわち、引用商標は「レックス・ホールディングス」の文字からなり、「レックス」の文字と「ホールディングス」の文字との間には「・」が挿入され、それぞれ分離して観察・発音できるものであり、特に「ホールディングス」の文字は「持株会社」の意味合いを有する慣用的に使用される文字であるところから、引用商標においては語頭部分の「レックス」が商標の要部と認められる。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(甲第3号証)によれば、「持株会社」とは、「他の株式会社を支配する目的で、その会社の株式を保有する会社を指す。ホールディングカンパニー(Holding=保持、保有)とも呼ぶ。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法。以下「独禁法」)では、「子会社の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額)の合計額の当該会社の総資産の額に対する割合が百分の五十を超える会社』を持株会社と定義している。」とされている。
また、これら持株会社の一例として、りそなホールディングス、中央三井トラスト・ホールディングス、ソニーフィナンシャルホールディングス、東京海上ホールディングス、野村ホールディングス、サッポロホールディングス、宝ホールディング、キリンホールディングス、日清食品ホールディングス、サントリーホールディングス、明治ホールディングス、三菱ケミカルホールディングス、JXホールディングス、博報堂DYホールディングス、フジ・メディア・ホールディングス、東京放送ホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、日本マクドナルドホールディングス、吉野家ホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、セガサミーホールディングス、バンダイナムコホールディングス、インデックス・ホールディングス、スクウェア・エニックス・ホールディングス、小田急箱根ホールディングス、西武ホールディングス、阪急阪神ホールディングス、ヤマトホールディングス、野村不動産ホールディングス、コニカミノルタホールディングス、富士電機ホールディングス、シチズンホールディングス、セイコーホールディングス、JFEホールディングス、などの例があげられている。
以上のとおり、引用商標中の「ホールディングス」の文字は、「持株会社」の意味合いを有する単語として、慣用的に使用されていることは明らかである。
さらに、一般の需要者にとっては、これら著名企業であっても、その株主構成や、子会社・親会社の関係までを把握していることはむしろ珍しいことであって、単に「吉野家」、「日清食品」、「野村不動産」等と覚え、発音することは一般的であって、このことからも、引用商標が単に「レックス」と称されることも想定されることであり、引用商標からは「レックス」の称呼が生じるものである。
最後に、引用商標の商標権者による取引の実情を示す説明及び証拠を提示する。
引用商標の商標権者である株式会社レックス・ホールディングスは、その発足(持株会社体制以前)の母体となった株式会社レインズインターナショナルを主要な子会社とし、その他、スーパーマーケット事業を展開する株式会社成城石井、店舗総合物流サービスを展開する株式会社コスト・イズ、小売店・飲食店の運営受託・経営管理を行う株式会社ピーシーサーブ等を主要な子会社として保有し、これら子会社の経営管理・経営指導・資産管理等を行うための持株会社として事業を行っている(なお、以前に子会社であった株式会社エーエムピーエムジャパンは事業譲渡した。)。
株式会社レックス・ホールディングスの沿革にあるとおり、引用商標の商標権者は、その業務を多岐にわたって展開しているが、1987年6月に国土信販株式会社として設立され、不動産賃貸管理事業を開始したところから事業を展開してきたものである。
1998年4月には商号を株式会社レインズインターナショナルに変更し、2003年3月にはレインズグループでの1000店舗を達成した。
これらの店舗は、自社保有物件のほか、主として賃借物件によるものであり、また店舗は自社運営とフランチャイズ運営とを行っている。
そして、2005年5月に現在の持株会社体制を採用し、その商号を現在の「株式会社レックス・ホールディングス」としたものである。
なお、2000年12月にJASDAQ市場に株式公開を行ったが、経営陣による経営権取得により2007年4月に非公開企業となっている。
こうした事業展開の中、引用商標の商標権者である株式会社レックス・ホールディングスは、子会社の経営管理・経営指導・資産管理等の一環として、創業当初の事業であった不動産賃貸管理事業を現在に至るまで行っている。
株式会社レックス・ホールディングスの決算短信(平成18年12月期。なお、これ以降は非公開会社となったため一般には開示していない)を参照すればこのことは明らかである。
決算短信第15ページによれば、株式会社レックス・ホールディングスの賃貸不動産収入は平成17年12月期において4億7784万円、平成18年12月期において8億8320万円となっている。なお規模に比較して金額が少ないのは、賃借物件が主体のためである。
決算短信第12ページによれば、株式会社レックス・ホールディングスの有形固定資産中、「建物及び構築物」は平成17年12月期において184億9377万円であり、平成18年12月期において224億6672万円であり、年間数十億円の不動産保有を増大させていることが見て取れる。
これらの保有不動産は、子会社、またはフランチャイズ契約をした事業者に対し賃貸に貸し出す目的のものが主体であり、これにより不動産賃貸収入を得ている。
さらに、引用商標の商標権者は、子会社の経営管理・経営指導・資産管理等の一環として、賃貸物件の管理、賃貸契約に伴う損害保険契約の代理等を、賃貸先の子会社及びフランチャイズ事業者との間で行っている。
またこうした事実は、とりわけ商業不動産物件を取り扱う全国の不動産仲介事業者において知られているところである。
決算短信第8ページにあるとおり、飲食店「牛角」は直営店76店舗、FC店327店舗、エリアFC店372店舗、飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜」は直営店52店舗、FC店93店舗、エリアFC店24店舗、飲食店「土間土間」は直営店748店舗、FC店95店舗、エリアFC店51店舗、といったように、商業不動産物件を取り扱う全国の不動産仲介事業者にとっては、引用商標の商標権者は不動産賃貸事業者としても優良顧客である。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似であって、その商標に係る指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであることが明らかであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

4 当審の判断
本件商標は、「レックス」の文字よりなるところ、該語よりは特定の意味合いを有しないものであって造語として認識されるものであるから、その構成文字に相応して「レックス」の称呼を生じ、観念は生じないものである。
他方、引用商標は、「レックス・ホールディングス」の文字及び中黒の構成よりなるところ、申立人は、引用商標は、「レックス」の文字と「ホールディングス」の文字との間には「・」が挿入され、それぞれ分離して観察・発音できるものであり、特に「ホールディングス」の文字は「持株会社」の意味合いを有する慣用的に使用される文字であるところから、引用商標においては語頭部分の「レックス」が商標の要部と認められ、「レックス」の称呼が生じるものである旨主張する。
しかしながら、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(平成20年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決、最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁参照)。
これを本件についてみるに、引用商標は、「レックス・ホールディングス」の片仮名文字を標準文字で横書きしてなるものであるところ、その構成中の「レックス」の文字部分は、上記と同様に造語として認識されるものであり、また、「ホールディングス」の文字部分は、我が国において「持株会社」の意味を有する語として広く知られているものである。そして、構成する各文字の大きさ及び書体は同一であって、「レックス」の文字と「ホールディングス」の文字との間に「・」を介してその全体が等間隔一行でまとまりよく表され、全体としての称呼「レックスホールディングス」も一気一連に淀みなく称呼し得るものであるから、その構成中に「・」が介在し称呼の音数が比較的長いとしても、「ホールディングス」の文字を含む企業名は、企業形態を表すものとしてこれを省略することなく表示されるのが一般的といえるので、「レックス」の文字部分だけが他の構成部分から独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。
また、申立人は、引用商標の構成中の「レックス」の文字部分が本件登録異議の申立てに係る指定役務の取引者や需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるとの主張や証拠の提出はなされておらず、そのような事情は認められない。
してみれば、引用商標は、一連一体のものとして看取されるものであるというのが相当であるから、その構成文字に相応して「レックスホールディングス」の称呼のみを生じ、観念は生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標とを対比すると、外観においては、「ホールディングス」の文字の有無の差異を有するので、両者は、外観上相紛れるおそれがなく十分識別できる非類似の商標である。
称呼においては、本件商標の「レックス」の称呼と引用商標の「レックスホールディングス」の称呼とは、「ホールディングス」の構成音の有無の差異を有するので、両者は、称呼上相紛れるおそれがなく十分聴別できる非類似の商標である。
観念においては、本件商標と引用商標とは、観念上比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-10-29 
出願番号 商願2009-87340(T2009-87340) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (X36)
T 1 652・ 262- Y (X36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 井出 英一郎
末武 久佳
登録日 2010-02-19 
登録番号 商標登録第5302150号(T5302150) 
権利者 株式会社レクシオ
商標の称呼 レックス 
代理人 金原 正道 

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